【産婦人科医監修】高温期6日目の体温・身体・おりものの変化は?
基礎体温を継続的に計測すると、自分の身体や心の変化傾向を読み取ることができます。一方で、身体と心に密接な関係があるからこそ、基礎体温が安定しなかったり、大きく上下したりすると不安になってしまうかもしれません。ここでは高温期6日目の体温の変化の原因、身体・おりものなどの変化について解説します。
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目次
基礎体温と女性ホルモン
基礎体温とは安静な状態で測った体温のことで、起床時に身体をあまり動かさずに測ります。一般的な体温計ではなく専用の基礎体温計を用いて、0.01℃単位の細かな体温の変化を観察します。基礎体温は、生理開始日から次の生理開始日前日までの「生理周期」の中で、高い時期(高温期)と低い時期(低温期)があります。目安としては、低温期は36℃以上になり、高温期は低温期より0.3℃以上高くなります。平熱には個人差があるため、37℃になったら高温期といった判断を行うことはありませんが、低温期が36℃未満の場合には低体温である可能性があるでしょう。
基礎体温は卵巣で作られる女性ホルモンの分泌量によって高くなったり低くなったりします。女性ホルモンは二種類あり、女性らしさを作り出す「卵胞ホルモン(エストロゲン)」と、妊娠の維持を助ける「黄体ホルモン(プロゲステロン)」があります。女性ホルモンは排卵・生理といった女性特有の身体の変化もコントロールしているため、基礎体温の変化を観察することで、女性ホルモンの働きや排卵・生理といった身体の変化のサインを読み取ることができます。
高温期と妊娠
基礎体温は、生理周期の中で高温期と低温期に分かれます。生理開始後から排卵までが低温期、排卵後から次の生理開始直前までが高温期です。生理周期は月経期・卵胞期・排卵期・黄体期の四つの期間に分かれており、それぞれ名前の通りの変化が身体の中で起こっています。黄体期はいつでも妊娠できるように準備が進められている期間でもあり、精子と卵子が出会った場合に受精卵が着床しやすいよう、子宮内膜が厚くなります。基礎体温を上昇させる働きがある黄体ホルモンの分泌が多くなるため、生理が始まるまでは体温が高い状態が続きます。
黄体期の後にどのような身体の変化が起こるかで妊娠の可能性を判断することができます。妊娠していなければ、黄体ホルモンの分泌が徐々に減り、基礎体温が下降し、厚くなった子宮内膜がはがれて血液とともに外に出る「生理」が起こります。妊娠していた場合には基礎体温が高い状態が2週間以上続き、生理が遅れ、受精卵が着床するとhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピンホルモン)が尿中から検出できるようになり、妊娠検査薬に反応するようになります。受精後6〜7日ごろから着床は開始するようです。生理周期によっては排卵が遅れることもあるため、高温期の仲良しは妊娠につながらないと断言はできないでしょう。
高温期6日目に体温が上がる・下がることはある?
高温期は約2週間続き、個人差はあるもののほぼ一定の期間になるといわれています。基礎体温は0.01℃単位の細かな変化を観察するため、前日の飲酒や食事・運動・入浴・外が暑いといった影響により体温が上がる・下がるといった影響を受ける可能性はあります。なるべく毎日同じ時間・同じ条件で測り、寝坊したなどいつもと違うことがあれば基礎体温と一緒に記録しておくと良いでしょう。また、風邪などによる発熱があれば体温が上昇することがあります。
測り方や測った条件による誤差以外で、高温期の基礎体温が上下する場合には病気の可能性があります。高温期と低温期の温度差が少なく「高温期がない、はっきりしない」という場合には排卵が起こっていない可能性があります。「高温期が9日程度で終わる、短い」という場合には黄体機能不全である可能性があります。無排卵・黄体機能不全ともに不妊につながるケースもあるため、病院への相談をおすすめします。
高温期のおりものの変化
腟・子宮・汗腺の分泌物の集合体である「おりもの」は、女性の身体を守るとても重要な役割を担っています。おりものも女性ホルモンの分泌量の変化に応じて、個人差はありますが生理周期で量・色・粘り気が変化します。月経期には量が少なくなり、排卵期に最も量が多くなります。卵胞期後半から排卵期までは、透明でとろみのある水のような状態になります。黄体期には分泌量が徐々に少なくなり、粘りのある白いおりものになります。下着につくと黄色に見える場合もあります。
生理の前や直後、排卵期ごろにはおりものに血が混じって茶色っぽいおりものになることもあります。年齢や身体の変化によってもおりものは変化することがあり、妊娠中は胎児を細菌から守る為に多く分泌されます。おりものは基礎体温と同じように個人差があるため、生理周期に応じて自分のおりものはどのような変化をしているのかを把握しておくと良いでしょう。
高温期の腹痛・腰痛といった症状の原因は?
高温期に下腹部痛などの症状に悩まされる人がいます。症状は人によって異なりますが、腹痛・眠気などの身体的な症状とイライラ・不安といった精神的な症状があるかもしれません。生理前にいつも身体的・精神的症状が現れる場合には、「PMS(月経前症候群)」の可能性があります。PMSは女性ホルモンの分泌量の変化によって起こります。具体的には、胸の張り・頭痛・胃痛・風邪のような微熱・めまいなど、200以上もの症状があるともいわれています。
注意しなければいけないのが、PMSに似た症状が「妊娠初期症状」で現れるケースもあるという点です。PMSは生理がくれば症状が緩和されたり、なくなったりしますが、妊娠初期症状では「症状が続く」「生理がこない」「高温期が2週間以上続く」といった違いがあります。ただし個人差があり、PMS・妊娠初期症状ともに症状がない人もいます。妊娠の可能性がある場合には、市販の妊娠検査薬を試したり、病院に相談したりすると良いでしょう。高温期の腹痛を排卵痛・着床痛と称する人もいますが、PMSや妊娠初期症状のひとつである可能性があるかもしれません。
高温期6日目に妊娠検査薬が陽性になる可能性は?
一般的に、市販の妊娠検査薬は生理予定日の1週間後からの使用を推奨しているものが多いです。妊娠を希望している人の中には、妊娠の有無を早く知りたくて、推奨使用時期より前に妊娠検査薬を試す「フライング検査」を行う人がいます。使用方法を守らずに検査してしまうと、検査結果に誤差が生じる場合があるため、陽性・陰性どちらの結果でも正しい判定であるとはいえないでしょう。
市販の妊娠検査薬は、妊娠すると分泌が始まるhCGが尿中に確認できるかどうかで陽性・陰性の判定を行います。着床してから3〜4日程度でhCGの分泌が始まるといわれていますが、分泌量が増えるのは生理予定日の1週間後からとなります。妊娠しているにも関わらず陰性判定になることもあるため、安易に使用して判断せず、推奨されている使用時期を守ると良いでしょう。早めに妊娠検査薬を使用することでストレスがたまると、ホルモンバランスが乱れる可能性もありますよ。
高温期の出血は着床が原因?
高温期は、排卵後・生理前・妊娠の準備期間というデリケートな時期でもあるため、出血があると不安になってしまうかもしれません。生理以外の性器からの出血は「不正(性器)出血」と呼ばれます。不正出血は、病気による出血、ホルモンの乱れによる出血などさまざまな原因が考えられます。子宮ガンや子宮筋腫などの病気が原因である可能性もあるため、月経以外の出血があれば病院に相談すると良いでしょう。
一方で、中間期出血や妊娠初期の出血の可能性もあります。中間期出血は排卵期に起こる生理的な出血で、毎回同じ時期に出血するのであれば中間期出血である可能性があるでしょう。中間期出血を排卵出血と呼ぶ人もいます。妊娠初期の出血を着床出血と呼ぶ人もいますが、検査しなければ原因の特定は難しいでしょう。妊娠初期の出血は流産や子宮外妊娠の可能性もあるため、自己判断せずに妊娠の検査とともに病院に相談してくださいね。
妊娠かな?と思ったら、自己判断せずに診断をしてもらおう
高温期6日目になると、着床や妊娠の有無が気になり始める人もいるかもしれません。基礎体温が安定しないと不安になるかもしれませんが、本やインターネットで見かけるようなきれいな基礎体温グラフの曲線を描くことは珍しいため、あまり思い詰めず、ストレスにならない程度に基礎体温の計測を続けましょう。
妊娠を希望している場合には、さまざまなことが気になってそわそわしてしまうかもしれませんが、高温期6日目という判断が難しい時期ではあるため、焦らず待つと良いでしょう。いつもと違う点がある人は、妊娠している場合を想定して喫煙・飲酒・薬の服用は控えましょう。風邪などで薬を服用したい場合には、妊娠を希望している・妊娠している可能性があるかもしれない旨を医師に伝えて相談してくださいね。
※この記事は2022年3月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。