子宮頸管炎について知ろう。症状や原因、治療法は?兆候はおりもの?

「子宮頸管炎」は放っておくと不妊や早産、産道感染につながりうる病気であることをご存じですか。子宮頸管炎は腟と子宮をつなぐ子宮頸管に起こる炎症で、性交や免疫力の低下によってクラミジアなどの病原菌に感染することで起こります。子宮頸管炎の症状や原因、治療法について知り、早期に発見・治療できるようにしておきましょう。

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この記事の監修

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産婦人科医
藤東 淳也

目次

  1. 子宮頸管炎とは?
  2. 子宮頸管炎の症状は?
  3. 子宮頸管炎の原因は?
  4. 子宮頸管炎の治療とは?どんな薬を使う?
  5. 子宮頸管炎が妊婦に与える影響は?
  6. 子宮頸管炎はどう予防する?
  7. 子宮頸管炎は早めに見つけて治療しよう
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子宮頸管炎とは?

子宮頸管炎(しきゅうけいかんえん)は、腟から子宮内部につながる子宮頸管が細菌感染などによって炎症を起こすことを指します。子宮頸管炎の原因となる病原菌はさまざまですが、性交によって感染するクラミジアや淋菌によるものが増えており、10代~20代の若い女性も多く発症しています。

子宮頸管炎そのものは軽度な症状で済む場合も多いですが、放っておくと炎症が広がり、子宮内膜炎や骨盤腹膜炎、卵管炎といった病気に発展することもあります。不妊や妊娠・出産トラブルの原因となることもあるため、早めに気づいて治してしまいたいですね。

子宮頸管炎の症状は?

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子宮頸管炎になると、原因菌によって以下のような症状が出ることがあります。心当たりがある人は一度病院で検査を受けてみましょう。

おりものの異常

おりものが増加し、膿状や泡状のおりもの、粘り気の強いおりものといった特徴的なおりものが出るようになることがあります。おりものの色も通常の透明~白ではなく、黄色や黄緑になったり、白でもかなり濁った色になったりする場合があるでしょう。においも普段の少し酸っぱいにおいではなく、腐ったようなにおいに変化する可能性があります。

性交時の痛み

炎症が起こっているため、性交すると接触による痛みを感じることがあります。

不正出血、性交時出血

生理のときでないのに性器から出血してしまう「不正出血」や、性交時に出血してしまう「性交時出血」が起こる可能性があります。普段から生理周期をしっかり把握しておくことで、不正出血に気づきやすくなります。

発熱、下腹部痛、腰痛

子宮頸管炎が悪化して広がり、子宮内膜炎や骨盤腹膜炎といった炎症を併発すると、発熱や下腹部痛、腰痛を伴うこともあるでしょう。ひどくなってしまう前に治療したいですね。

不妊につながることがある

子宮頸管炎を放っておくと慢性化してしまい、不妊の原因となることがあります。不妊に悩んでいる人が、不妊症の検査で細菌に感染していることがわかり、子宮頸管炎であると診断されることもあります。

子宮頸管炎の原因は?

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子宮頸管炎はどのようにして発症するのでしょうか。主な原因としては以下の3つがあげられます。確認しておきましょう。

性行為による病原菌への感染

性行為によって以下のような病原菌や原虫が腟から入り込み、子宮頸管に炎症が起こることが考えられます。もともとは腟のみの炎症だったものが広がって子宮頸管まで到達することも多いでしょう。こうした性感染による子宮頸管炎が近年ではよくみられます。

 ■クラミジア
 ■淋菌
 ■カンジダ
 ■トリコモナス
 ■梅毒
 ■ヘルペス

常在菌への感染

大腸菌、ブドウ球菌、連鎖球菌といった体外や体内に常在している菌が子宮頸管炎を引き起こすこともあります。

通常は、女性ホルモンのはたらきによって子宮頸管や腟の中ではおりものが分泌され、細菌が感染しにくい酸性の状態に保たれています(自浄作用)。しかし不摂生や体調不良、ストレスなどが原因で女性ホルモンが正常に分泌されなくなると、自浄作用が弱まってしまい、普段は感染しない菌にまで感染しやすくなってしまうことがあるのです。

外的刺激による炎症

外的刺激によって子宮頸管に傷がついて炎症が起こる可能性もあります。分娩や人工妊娠中絶手術、性交などによって傷がつくと、細菌感染のリスクが高まります。タンポンを長時間使用したり、コンドームを出し忘れたりすることによって細菌が増殖してしまい、感染につながることもあるでしょう。

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子宮頸管炎の治療とは?どんな薬を使う?

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子宮頸管炎の疑いがある場合には、子宮頸管の細胞やおりものを採取して菌への感染を調べます。検査で子宮頸管炎であると診断された場合には、どのような治療を行うのでしょうか。

経口薬や腟剤を使う

子宮頸管炎の治療では、抗生物質や抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗原虫剤を使用して原因菌や原虫のはたらきを抑えたり、増殖を防いだりします。原因菌・原虫によって使用する薬は異なり、薬の投与の仕方も飲み薬や腟からいれる座薬(腟剤)、点滴とさまざまです。

腟内を洗浄、消毒することも

腟の中の菌を洗い流すことで腟を清潔に保ち、菌の繁殖を抑えるため、腟の中を洗浄・消毒することもあります。

パートナーも一緒に治療しよう

子宮頸管炎は性感染によるものが多いことから、パートナーも同時にクラミジアや淋菌、トリコモナスなどの病原菌に感染している可能性があります。一緒に検査して治療を進めることで、再発や感染の広がりを防止しましょう。

子宮頸管炎が妊婦に与える影響は?

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妊娠中に子宮頸管炎になった場合、母体や胎児にはどのような影響があるのでしょうか。

早産の原因になることがある

妊娠中に子宮頸管炎になると、妊娠22~36週で赤ちゃんが生まれる「早産」や早産の一歩手前の状態である「切迫早産」の原因になることがあります。早産になると、赤ちゃんが低体重で生まれ、病気や障害のリスクが高まるといわれています。

原因菌が卵膜に達して子宮から羊水にまで広がると、早産の原因の中でもっとも多い病気である「絨毛膜(じゅうもうまく)羊膜炎」にまで発展することもあります。妊娠前に、あるいは妊娠していてもできるだけ感染範囲が狭い段階で、子宮頸管炎を治してしまいたいですね。

産道感染することも

出産時まで子宮頸管炎が継続している場合、原因菌が産道から胎児に感染し、新生児の肺炎や結膜炎を引き起こす恐れがあります。このように母体だけでなく赤ちゃんの身体にも悪影響をおよぼすことがある点においても、早めに治療を始めて治してしまうことが大切です。

子宮頸管炎はどう予防する?

子宮頸管炎を予防するためにはどのようなことに気をつけると良いのでしょうか。

コンドームをつけて性交

子宮頸管炎を予防するためのもっとも効果的な方法のひとつが、コンドームをつけて性交することです。コンドームをつけて性交することで、原因菌や原虫の腟からの侵入を防止しましょう。

性感染症の疑いのある人とは性交しない

クラミジアや淋菌といった性感染症に感染している疑いのある人との性交は控えましょう。特に、セックスパートナーが多い人など、性交の機会が多い人は、性感染症になるリスクが高いといえるでしょう。

また、子宮頸管炎の治療をすでに終えた人であっても、パートナーが治療を継続しているときはパートナーとは性交しないようにしてください。再発してしまうかもしれません。

デリケートゾーンを清潔に保つ

下着や生理用ナプキン、おりものシートをこまめに取り換えながら、デリケートゾーンを清潔に保ちましょう。汚れた状態で長時間放置しておくと、細菌が繁殖しやすくなります。

ただし、デリケートゾーンを洗いすぎると、おりものを必要以上に洗い流してしまい、細菌の侵入を防ぐ「自浄作用」が低下してしまうことがあります。洗うときにはぬるま湯でやさしく洗い流す程度にし、1日に何度も石鹸を使用したりごしごし強く洗ったりしないように心がけましょう。

免疫力を高める

生活習慣が乱れていたり風邪をひいていたりして免疫力が低下していると、細菌に感染しやすくなります。十分な睡眠とバランスの良い食事を基本として規則正しい生活を送り、身体の調子を整えましょう。

子宮頸管炎は早めに見つけて治療しよう

子宮頸管炎は、それ自体では重い症状がないため、自然治癒に任せて放っておこうと考える人がいるかもしれません。しかし放っておくと炎症が悪化して子宮頸管以外の部分にまで広がり、不妊や早産、新生児の病気の原因となる恐れがあります。また、性感染症が原因で炎症が起こっている場合には気づかないうちに他の人に病気を広めてしまうリスクもあるでしょう。

症状がほとんどない、あるいは軽いからといって放置せず、少しでも気になる症状があるときはできるだけ早く病院に行きましょう。早期発見・早期治療が、自分だけでなく周囲の人を守ることにもつながりますよ。

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