hCG注射の効果と副作用は?排卵のタイミングや妊娠検査薬の反応も解説

hCGという言葉を「妊娠検査薬」で知ったという人も多いのではないでしょうか。hCGとは妊娠時に分泌されるホルモンです。hCGは不妊治療にも使われています。どのような理由で、どのような効果があるのでしょうか。またhCGを不妊治療で使用した場合は妊娠検査薬はどのように反応するのかも含めて解説します。

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この記事の監修

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産婦人科医
杉山 太朗

目次

  1. hCG注射とは?
  2. hCG注射の効果と妊娠率は?
  3. hCG注射の重大な副作用は?
  4. hCG注射で腹痛や吐き気が起こる?
  5. hCG注射後の排卵はいつ?
  6. hCG注射後のタイミングのとりかたは?
  7. hCG注射は妊娠検査薬に反応する?
  8. hCG注射の基礎体温や生理への影響は?
  9. 副作用を知って怖がりすぎずに治療をすすめよう
  10. あわせて読みたい

hCG注射とは?

hCGとは「Human chorionic gonadotropin(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)」の略で、通常、女性の身体には存在しないホルモンです。しかし、妊娠して受精卵が子宮内に着床すると、絨毛という組織がつくられ、hCGホルモンが分泌されるというわけです。こうして子宮は妊娠を維持するのに必要な環境を整えていきます。

そんな妊娠時の胎盤から抽出された(妊婦の尿から精製)hCGを不妊治療などで使用することがあります。このhCGホルモンの構造は、LH(黄体形成ホルモン)と構造が似ています。そのため、hCGホルモンを投与することで、LHの働きである、卵胞ホルモンと黄体ホルモンの分泌を促す効果もあるのです。

hCG注射とは、hCGホルモンを注射することをさします。注射によりプロゲステロンの分泌を促し、妊娠に必要な環境をととのえます。hCG注射を投与すると、LHサージが起こり、排卵が促されます。このためhCG注射は、「ゴナドトロピン療法」「hCG療法」などの排卵誘発法で使用される、妊活とは関係の深い注射なのです。

hCG注射の効果と妊娠率は?

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hCG注射は主に、無月経や無排卵周期症の治療、人工授精や体外受精、不正出血の治療、黄体機能不全の治療、切迫流産や習慣性流産の治療、男性不妊の治療に用いられます。それぞれの治療と効果を解説していきます。

無月経や無排卵周期症の治療

hCG注射は、無月経や無排卵周期症の治療で使用されます。クロミッドを使用するクロミフェン療法で効果が出ない場合なども対象となります。hCG注射での排卵率は60~85%、妊娠率は20~40%となっています。

人工授精や体外受精

人工授精のときはタイミングをあわせるために、体外受精や顕微授精のときは卵子を取りだす「採卵」の前に、hCG注射を行うことがあります。体外受精や顕微授精では排卵誘発を行って、主席卵胞が18mmを超えた時点でhCG注射をし、36時間程度で採卵を行うようになっています。

不正出血(機能性出血)の治療

機能性出血は、月経以外の器質的な異常がない子宮内膜からの出血を言います。機能性出血は、卵胞ホルモンと黄体ホルモンのふたつのホルモン分泌が正常になされていない場合に起こります。hCG注射はそれらのホルモンバランスを整える効果があるので、機能性出血の治療にもhCG注射が行われることがあります。

黄体機能不全の治療

黄体機能不全は、黄体からのホルモン分泌が不十分になったり、黄体の存続そのものが短縮していたりする状態を指します。黄体期に増える黄体ホルモンは、受精卵を着床させやすくし、流産させにくくする働きを持っています。hCG注射は黄体ホルモンの分泌も促すので、黄体機能不全の治療にも効果があります。黄体機能不全は不妊症の原因となるため、妊娠を望んでいる場合には早めに治療しましょう。

切迫流産や習慣性流産の治療

hCG注射は妊娠を維持するのに必要な環境を整えるものなので、切迫流産や習慣性流産の治療にも用いられます。

男性不妊の治療

また、造精機能不全による男性不妊症の治療でも、hCG注射は効果が期待されます。女性だけでなく、男性の不妊症にも効果のあるのがhCG注射なのですね。

hCG注射の重大な副作用は?

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いろいろな治療に用いられるhCG注射ですが、重大な副作用はないのでしょうか。次に、hCG注射の副作用について解説していきます。

卵巣過剰刺激症候群(OHSS)

hCG注射によって引き起こされる重大な副作用のひとつとして、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)があります。OHSSは、卵巣刺激によって、卵巣が膨れ、ときには胸水や腹水にもつながる病気です。ちなみに、OHSSは、35歳以下の若い女性、やせ型の女性、ネックレスサイン(卵巣内の卵胞が数珠状になっている)の女性、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の人に発症しやすいといわれています。それらに該当する人は医師とよく相談して体外受精を決めてください。

血栓症などOHSSから派生する疾患

hCG注射から直接起こる病気ではないのですが、OHSSから派生する疾患としては「血栓症」「脳梗塞」「卵巣破裂」「卵巣茎捻転」「肺水腫」「呼吸困難」などがあります。hCG注射をした後はとくに、自分の体調に気を付け、気になる症状があればかかりつけ医に相談しましょう。

ショック

hCG注射後、急に血圧が下がってしまう状態になることがあります。急激な血圧の低下により、嘔吐や呼吸困難などのさまざまな症状が引き起こされることもあります。 他にも「胸が苦しい」「呼吸困難」「顔面が赤くなる」などの症状が現れることがあります。気になる症状があれば担当医に相談しましょう。

多胎妊娠

hCG注射の副作用として、多胎妊娠の可能性があります。2007年に発表された生殖医療ガイドラインでは、hCGを使用するhMG-hCG療法、またはFSH-hCG療法では、もともとの月経異常に対して多胎妊娠率は4.0~24.4%となっています。特に第2度無月経の治療でhCG注射を使用した際の多胎妊娠率は21.5~24.4%と高くなっています。

hCG注射で腹痛や吐き気が起こる?

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hCG注射では、以下のような精神神経系の症状や注射部位の腫れが起こることがあります。

精神神経系の副作用

hCG注射の副作用として、添付文章には「めまい、頭痛、興奮、不眠、抑うつ、疲労感」などの症状が出るかもしれないと明記されています。あまりにひどく症状が出た場合には主治医に相談してください。

性の早熟や女性の男性化

二次性徴が早く出現した「性早熟症(思春期早発症)」とよばれる症状や、かすれ声、多毛、陰核肥大、ざ瘡(ざそう)など女性の男性化症状が現れることがあります。

アレルギーによる発疹

薬の添付文書には、発疹が現れた場合は、投与を中止する旨もあわせて記載されています。そのような症状が現れたら、主治医に相談しましょう。

注射による痛みや腫れ

注射部については、痛み、発赤、硬結などの症状が現れることがあります。こちらもつらい場合は、主治医に相談してください。

hCG注射後の排卵はいつ?

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hCG注射後の排卵時期はいつになるのでしょうか。詳しく解説していきます。

hCG注射から約36時間後

hCG注射後の排卵は約36時間後といわれています。個人差もあるので、排卵まで24~36時間までと幅を持たせていわれています。採卵する場合は、hCG注射から約36時間後に、局所麻酔または静脈麻酔下で経腟超音波ガイドの下で採卵を行う予定となります。

排卵検査薬で確認するのも良い

採卵をしない場合、排卵が実際に起こっているかは、排卵検査薬で検査することもひとつの手です。排卵検査薬は、尿中のLHの変化をとらえて、妊娠しやすい1日前に排卵を予測することができます。

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排卵しないこともある

hCG注射後の排卵は60~85%と高い排卵率であるものの、逆にいえば、15~40%は排卵していないということです。hCG注射をすると絶対に排卵するというわけではなく、排卵しないこともあります。

hCG注射後のタイミングのとりかたは?

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精子や卵子の寿命から、排卵日の1~2日前に性交をするのがもっとも効果的といわれています。そのため、hCG注射後24~36時間ほどで排卵するので、注射後、当日から2日でタイミングをとるようにしましょう。通常医師からも指示があるため、それに従ってください。

hCG注射は妊娠検査薬に反応する?

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hCGは通常、妊娠したときに分泌されるホルモンです。そのホルモンが妊娠4週目(生理予定日)あたりから尿にも出てくるのですが、妊娠検査薬はそのhCGに反応して陽性が出るようになっています。

hCG注射の影響で陽性反応が出やすい

hCGを注射している場合は、その注射液中のホルモンが尿に出てしまい、妊娠していなくても陽性反応が出ることもあります。特に、注射からの期間が短いほど、偽陽性反応がでてしまいます。フライング検査には特に注意しましょう。

妊娠検査薬は注射から1~2週間以上経ってから

hCG注射の添付文書によると、hCG注射をした場合、血中濃度は6時間後に最高となり、その後30~32時間の半減期で血中より消失する、とされています。何度も投与する場合もありますし、hCG注射にはそれぞれ濃度もありますので、一概にこのタイミングから注射のhCGが妊娠検査薬に反応しなくなるとは言えませんが、おおむね最後の注射から1~2週間ほどたっていれば妊娠検査薬が使えるといわれています。

病院で正確な診断を

妊娠検査薬はあくまで目安です。偽陽性などの誤判定がでることもありますので、あとあとがっかりしてしまうという事態もあります。そのため、正確な診断は病院でお願いしましょう。

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hCG注射の基礎体温や生理への影響は?

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hCG注射は、基礎体温や生理にどのような影響を与えるのでしょうか。

基礎体温が上がり高温期が長くなりやすい

hCGの構造はLH(黄体形成ホルモン)の構造に似ていることから、hCGを注射すると基礎体温があがり、高温期が長くなりやすくなります。高温期が続くと、妊娠したかもしれないと思うかもしれませんが、hCG注射の影響もあるのです。

生理が遅れることもある

黄体ホルモンの影響で、生理が遅れることもあります。hCG注射の効果が長く続けば続くほど、生理が遅れる傾向になります。

基礎体温が上がらない・生理がこないこともある

最初からhCG注射の効果が出るとは限りません。基礎体温が上がらないこともありますし、また、生理が来ないということもあります。hCG注射には60~85%の非常に高い排卵率がありますが、逆に15~40%の人は排卵していません。排卵しない場合は、基礎体温があがらず、生理がこないこともあるのです。

副作用を知って怖がりすぎずに治療をすすめよう

hCG注射には高い不妊治療の効果があります。その分、副作用もあるのも事実です。ただし、どんな薬であっても、副作用は0ではありません。きちんと副作用を知って、気になる症状が出たときにははやめに医師に相談できるようにしておきましょう。

そのうえで、排卵にあわせてタイミングを取り、妊娠する確率を高めたいですね。その後、妊娠検査薬を使用する際には、hCG注射が反応して偽陽性となることもあるので、正式な妊娠判定は病院で行ってください。

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