【産婦人科医監修】hCG注射の妊娠検査薬への影響はいつまで?正確な陽性反応はいつから?
不妊治療で用いられるhCG注射の影響があると、妊娠検査薬では偽の陽性反応が出ることがわかっています。そもそもなぜ偽の陽性になるのでしょうか。hCG注射と妊娠検査薬の仕組みについて解説します。擬陽性がいつまで続くのか、正確な陽性反応がでるまでの期間もあわせてお伝えします。
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目次
hCG注射とは?
hCGとは「Human chorionic gonadotropin(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)」の略です。これは、妊娠時に分泌され、妊娠検査薬がそれを感知することで妊娠が判定できるホルモンで、通常では女性の身体には存在していません。
hCGホルモンには妊娠を維持するのに必要な環境を女性の体内に整える効果があります。不妊治療では、hCGを抽出し、不妊治療中の女性にhCG注射をすることがあります。これをhCG注射と言います。hCGはLH(黄体形成ホルモン)と同じような構造のため、不妊治療ではLHの役割を果たすことがあります。
hCG注射を投与すると、LHサージが起こり排卵が促されます。このため、hCG注射は、「ゴナドトロピン療法」「hCG療法」などの排卵誘発法においても使用されています。hCG注射は、「無月経」「無排卵」「黄体機能不全」「不正出血」などの治療に使われ、妊娠確率をあげる効果が期待されています。
hCG注射後に妊娠検査薬が陽性になる原因は?
hCG注射には、その名の通り、胎盤中から抽出されたhCGホルモンが抽出されています。そのため、hCGを注射すると、妊娠検査薬が体内のhCGホルモンに反応し、「妊娠陽性」として反応してしまうのです。陽性反応がでても、実際には妊娠していないため、これを偽陽性と言います。
hCG注射の影響で偽陽性になるのはいつまで?
hCGを注射してから、妊娠検査薬が偽陽性を示す期間がいつまでなのか気になりますね。この期間はhCG注射の単位と関係してきます。たとえば、あるhCG注射製剤であれば「3000」「5000」「10000」という単位があります。これらの数値は「含量」で、つまり「濃さ」と思っておくと良いでしょう。含量が多ければ多いほど、注射後の体内にhCGホルモンが残ります。
hCG注射後1週間はフライング検査に注意
hCG注射後は、1週間ほどフライング検査に注意しましょう。早すぎると偽陽性が出る可能性が高くなります。また1週間もあくまで目安であり、hCG注射の濃度によっても、偽陽性の期間に差が出てきます。そのため、hCG注射をしている場合、妊娠の確定はあくまで慎重に行わなければなりません。
妊娠検査薬は生理予定日の1週間後以降の使用が安心
妊娠検査薬は生理予定日の1週間後であれば安心です。生理予定日がわからない場合は、hCG注射後、3週間程度が安心と思っておきましょう。
正確な妊娠判定は病院で
hCG注射の薬液の添付文書によると、人に対してhCG注射を注射した場合、血中濃度が6時間後に最高となり、その後30~32時間の半減期で血中から消失するとされています。しかし、治療により、何度か注射することも多く、hCGは濃度もさまざまで、個人差も大きいものなので、正確な判定は病院で行うと確実です。
hCG注射の基礎体温や生理への影響は?
hCG注射をすると、女性の身体にどのような影響を与えるのでしょうか。基礎体温、生理などに対する影響に関して解説していきます。
基礎体温が上がり高温期が続く
hCGはLH(黄体形成ホルモン)と似ている構造を持つことから、hCG注射後は、黄体期の状態となります。そのためhCG注射を投与している限り、基礎体温は上がり高温期が続きます。
生理が遅れることも
生理は、黄体期(高温期)に増殖した子宮内膜が、妊娠に至らないとはがれて溶け出てくることで起こります。hCG注射中は、hCGが黄体形成ホルモンに近い作用をするので、高温期が続くような形となり、生理が遅れてしまうこともあります。
副作用が出ることも
hCG注射の副作用として、薬液の添付文書には「めまい、頭痛、興奮、不眠、抑うつ、疲労感」などの症状が出るかもしれないと明記されています。また、発疹が現れた場合は、投与を中止する旨もあわせて記載されています。
他にも、hCG注射の副作用として有名なものに卵巣刺激症候群(OHSS)があります。hCGでの卵胞刺激により、卵巣が腫れたり、胸水や腹水などの症状が出たりすることがあります。OHSSは主に若い女性に現れやすい副作用です。hCGを注射していて、下腹部の不快感や痛みなどの症状がある場合には、早めに主治医に相談してみましょう。
hCGの性質を知っておきましょう
hCG注射による妊娠検査薬への影響や、生理への影響について解説していきました。hCGは、もともと女性の体内には存在しないホルモンなので、注射をすることで体内で検出されてしまい、それが妊娠検査薬に反応して偽陽性となってしまいます。誤判定であとあとがっかりしないためにも、hCGの性質を知り、あくまで妊娠検査薬は目安として使用しましょう。
※この記事は2023年10月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。