ゴナールエフの効果・副作用は?妊娠率や自己注射についても解説

ゴナールエフは排卵誘発剤のひとつで、不妊症の治療に用いられる卵胞刺激ホルモン製剤の注射剤です。排卵誘発や精子形成を助けるために男女ともに処方されます。自己注射ができるので通院の負担を減らせるというメリットがありますが、デメリットはあるのでしょうか。ゴナールエフの効果や副作用、使用方法、保険適用についても解説します。

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この記事の監修

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産婦人科医
杉山 太朗

目次

  1. ゴナールエフとは?
  2. ゴナールエフの費用は?保険適用はあるの?
  3. ゴナールエフの効果は?
  4. ゴナールエフの使用者の妊娠率は?
  5. ゴナールエフ皮下注ペンの使い方は?痛みはある?
  6. ゴナールエフの副作用は?
  7. ゴナールエフを使用してはいけない人は?
  8. 効果とリスクを正しく理解して治療に臨もう
  9. あわせて読みたい

ゴナールエフとは?

「ゴナールエフ」は、不妊治療において排卵の誘発と精子の形成を目的に使用される卵胞刺激ホルモン(FSH)製剤で、遺伝子組み換え型のFSHのみを成分とする「リコンビナントFSH製剤」のひとつです。内服薬ではなく皮下注射で投与されるタイプの薬剤で、医師の指導のもと自己注射が可能です。

商品としては白い粉末もしくは塊(かたまり)状の薬剤を溶解水で溶かして使用する「ゴナールエフ皮下注用」と、自己注射がしやすいようにペン型のカートリッジがついた「ゴナールエフ皮下注ペン」とがあります。

皮下注ペンより皮下注用のほうが安価ですが、皮下注ペンには取り扱いが手軽であるというメリットがあります。

ゴナールエフの費用は?保険適用はあるの?

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不妊治療の費用は、初期の検査からタイミング法まではほとんどが健康保険の適用範囲内ですが、それ以降の治療法では健康保険の適用範囲が限られるため高額になりがちです。

ゴナールエフ注射そのものにかかる費用の一例として、体外受精のため他の製剤との併用で「ゴナールエフ皮下注ペン300」を使用、自己注射を3日間というケースで1周期につき1万8,000円ほどかかったという人もいます。なお自己注射の場合は別途「自己注射指導料」などがかかります。

ゴナールエフにかかる費用すなわち投与量はケースにより異なります。治療費用の設定も病院やクリニックによって異なるので、事前に確認すると良いでしょう。

ゴナールエフの効果は?

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女性には排卵誘発効果

ゴナールエフに含まれているのは、卵胞の発育を促進する作用を持つ卵胞刺激ホルモン(FSH)です。クロミッドなど排卵誘発作用がゆるやかな排卵誘発剤で効果が得られなかったときに、卵胞刺激ホルモンそのものを注射することで卵巣に直接刺激を与え、卵胞の発育と成熟を促します。

一般的には人工授精や体外受精を行うときに、複数の卵胞の発育を促進させるために処方されることが多いようです。

男性には精子形成の誘導効果

男性は第2次性徴期(思春期)を迎えると精巣が大きく成長し、精子がつくられるようになります。精子の形成に大きく関わっているのが、女性と同様に脳下垂体から分泌される卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)です。

卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)の分泌量が少ないと、精子がつくられない、男性ホルモンが分泌されない、といった性腺機能低下症(性腺機能障害)の症状があらわれます。大人になってから発症した場合は、性欲の減退や勃起障害、射精障害が起こり、乏精子症や無精子症の原因となります。

ゴナールエフは成人の性腺機能低下症の治療に有効で、精子形成の促進を目的としてhCG製剤と併用されます。卵胞刺激ホルモンの分泌機能障害は「低ゴナドトロピン性男子性腺機能低下症」として特定疾患治療研究事業の対象となり、治療費用の一部が国と都道府県により助成される可能性があります。治療の際は、医療機関か最寄りの保健所に問い合わせてみましょう。

ゴナールエフの使用者の妊娠率は?

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ゴナールエフを使用した場合の排卵や妊娠の確率はどの程度なのでしょうか。プロゲステロンの分泌異常がある「第1度無月経」と排卵をともなわない月経がみられる「無排卵月経」の患者に対しゴナールエフを投与した臨床試験では、129例中102例(79.1%)で排卵が認められました。排卵した人のうち、22例(17.1%)で妊娠が確認されています。

ゴナールエフ皮下注ペンの使い方は?痛みはある?

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ゴナールエフの注射をするタイミングは、採卵前の生理開始後、月経周期3日目からであることが多いようです。使用する注射の種類や投与量は人によって異なるため、自己注射をする際には医師の指示を守りましょう。

注射の準備

ゴナールエフ皮下注ペンを自己注射するときは、まず手をきれいに洗います。ゴナールエフのキャップを外し、先端をアルコール綿で拭いたら注射針を取り付けます。初回使用時は先端に空気が入っていないか確認し、気泡があれば空気抜きをしましょう。2回目以降の空気抜きは必要ありません。

規定量に設定

投与量表示窓に処方量の数字があらわれるまで、注入ボタンを時計回りに動かします。投与量が規定どおりに設定されていることをしっかりと確認したら、注射する身体の部位をアルコールで消毒します。

注射をする部位は、上腕部、腹部、大腿部(だいたいぶ)、臀部(でんぶ)などです。場所は1回ごとに変えるようにし、短期間に繰り返し同じ部位に注射しないようにしましょう。

薬を注入

投与量表示窓を上に向け、針を皮膚に刺します。針を刺すときはチクッとした痛みを感じますが、筋肉注射と比べると痛みは軽いといわれます。針を刺したら注入ボタンをゆっくりと最後まで押し込み、薬を注入します。

10秒間以上待って針を抜く

表示窓の数字が「0」になったのを確認し、注入ボタンを押したままの状態で10秒間以上待ち、そのまま針を引き抜きましょう。針を抜く前にボタンを押す手をゆるめると、血液が混入してしまうため注意してください。

ゴナールエフの副作用は?

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卵巣過剰刺激症候群(OHSS)

ゴナールエフの刺激によって、普段は親指ほどの大きさしかない卵巣が肥大化してしまうことがあります。卵巣が腫れると腹水や胸水がたまり、重症化した場合は腎不全や血栓などの重篤な症状があらわれます。臨床試験のデータでは313例中22例(7.0%)に卵巣過剰刺激症候群(OHSS)が認められました。

初期症状としてあらわれるのは、お腹のむくみや膨満感、腹水がたまることによる急激な体重増加、吐き気や嘔吐などです。早い段階で症状に気付くことが重症化の予防につながります。ゴナールエフの使用後にこのような症状や体調の変化がみられたときは、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の可能性があります。すみやかに医師の診察を受けましょう。

血栓塞栓症

ゴナールエフと同様の性腺刺激ホルモン製剤の使用では、血栓塞栓症を発症したケースが報告されています。過去に自身や家族が血栓塞栓症を発症したことがあるという人は発症率が高くなります。

足や肺はとくに血栓ができやすく、異変があらわれやすい場所です。足に血栓ができると足が張ったり、むくんだり、激しい痛みが出たりします。肺に発症すると急激な胸の痛みや息苦しさ、ひどい腹痛などが起こり、嘔吐や吐血がみられることもあります。

血栓が大きくなると、突然死を招くこともあります。血栓塞栓症の既往歴に注意し、医師と情報を共有しましょう。ゴナールエフの使用中に足や胸に痛みを感じたら、すみやかに医師の診察を受けてください。

アナフィラキシー反応

ゴナールエフに含まれる成分に対し、アナフィラキシー反応が起こることがあります。一般的なアナフィラキシー反応としては、薬を使用してから30分以内に息苦しさや声のかすれ、目や唇のまわりの腫れ、じんましんや身体のだるさなどが発生するといわれます。

服用後5分以内に症状が出ることもあり、意識がもうろうとして気を失いかけたり顔面の血の気が失せた状態になったりと、ショック症状に陥ることもあります。ショック症状が出たときは緊急処置が必要です。救急医療を利用しましょう。

その他の副作用

その他の症状として報告されている副作用のうち、最も多いものが腹部の膨満感です。下腹部痛や吐き気、腹痛、乳房の不快感なども認められています。まれに頭痛や不眠症もみられると言います。

血液中の白血球増加、注射部位の痛みや浮腫、じんましんや呼吸困難といった軽度のアレルギー反応が出るケースもあります。異常を感じたら使用を中止し、医師や薬剤師に相談しましょう。

不妊治療でホルモン注射をすると太る、と感じる人もいるようです。ゴナールエフの直接的な副作用に「体重増加」はありませんが、使用に際して体重が微増した場合は副作用のひとつである浮腫、急激に増加した場合は副作用のひとつである卵巣過剰刺激症候群(OHSS)で腹水がたまったことが原因かもしれません。

流産や多胎妊娠が自然妊娠と比べて多い 

ゴナールエフに限らず、不妊治療において卵胞発育刺激を受けている人は、刺激を受けていない人と比べて流産率がやや高くなります。また性腺刺激ホルモン製剤を使用すると、多胎妊娠となる傾向もみられます。

全国60施設で行った調査では、性腺刺激ホルモン製剤を使って妊娠した人の約17%が多胎妊娠でした。多胎妊娠では流産や早産のリスクや合併症などを引き起こすリスクが高まります。治療前に医師からの説明を受け、薬を使用することのリスクを十分理解しておくことが大切です。

ゴナールエフを使用してはいけない人は?

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ゴナールエフを使用してはいけない人

過去に性腺刺激ホルモン製剤に含まれる成分に過敏に反応した経験がある人への投与は禁止されています。また、もともと原発性性腺機能不全や甲状腺・副腎機能不全がある人への投与も禁止されています。

悪性腫瘍や原因不明の不正出血があるときも使用が避けられます。妊娠中や授乳中の安全性は確立されていないため、妊婦さんや授乳中の人には投与しないこととされています。

ゴナールエフを慎重に使用すべき人

子宮筋腫や子宮内膜症があると症状が悪化する可能性が指摘されています。自分自身が過去に乳がんにかかっている人や家系に乳がんをわずらっている人が多い人には、慎重な投与が求められます。男性では、前立腺肥大がある場合に注意が必要です。

効果とリスクを正しく理解して治療に臨もう

ゴナールエフを含む性腺刺激ホルモン製剤は生物由来製品です。高い効果が得られる反面、まれにであるとはいえ重篤な副作用が生じることがあり、多胎妊娠の確率が高まるというリスクもあわせ持っています。

使用前には医師や薬剤師の説明をしっかりと受けて、納得したうえで治療に臨みましょう。不妊治療全般に言えることですが、薬の投与は精神的にも肉体的にも負担がかかる治療です。パートナーとともに、お互いを思いやる気持ちを大切に取り組んでいきましょう。

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