妊娠初期のエコー検査で調べることは?性別はわかる?エコー写真の見方は?
妊娠期間中を通して行われるエコー検査。赤ちゃんの成長の様子が見られるため、毎回緊張しながらも楽しみにしている妊婦さんが多いかもしれません。妊娠初期のエコー検査ではどんなことがわかるのでしょうか。ここでは、妊娠初期のエコー検査で調べる内容や、エコー写真の英数字の意味を解説します。
本ページはプロモーションが含まれています
この記事の監修
目次
エコー検査(超音波検査)とは?
エコー検査(超音波検査)は、「超音波断層撮影装置」という装置を使って、対象物の内部の状態を画像化して観察する検査です。対象物に超音波を当てて、その反射波をとらえることで、内部の状態をリアルタイムでモニターに映し出せます。
妊娠期間中は母体や胎児の状態を見るために、定期的にエコー検査を行います。エコー検査には「経腟エコー」と「経腹エコー」の2種類があり、妊娠の週数や調べる部位によって使い分けられています。エコー検査を受ける回数は妊娠の経過や病院の方針によって異なり、出産まで妊婦健診のたびに受けたという人もいれば、4~5回しか受けなかったという人もいます。
経腟エコー
経腟エコーは、腟から「プローブ」という棒状の機器を挿入して観察する検査です。子宮や卵巣に近づけられるため、鮮明な画像を映し出せます。お腹の赤ちゃんがまだ小さい妊娠5週から12週頃までは経腟エコーを行います。婦人科の内診に慣れていない人は、痛みを感じることがあるかもしれません。
経腹エコー
経腹エコーは、お腹の表面にジェルを塗り、プローブを当てながら胎児の状態を確認します。妊娠12週頃から妊娠後期にかけて行います。腟から挿入する経腟エコーに比べて、抵抗なく検査を受けられる人が多いでしょう。
経腹エコーは画像が白黒で平面的な2Dエコーが一般的でした。しかし、最近では、胎児の細かい部分まで立体的に映し出す3Dエコーや、動いている様子もわかる4Dエコーを導入する病院が増えてきました。
妊娠初期(~妊娠15週)のエコー検査で調べることは?
正常妊娠かどうか
妊娠した可能性があって産婦人科を受診すると、まず経腟エコーを受けることになります。正常な妊娠であれば、妊娠5週くらいに子宮内に胎嚢(たいのう)という赤ちゃんを包む袋があるのが目視できます。さらに、妊娠6週頃になると、胎嚢の中に胎芽(たいが)の状態の赤ちゃんが見え、7週頃には心拍も確認できるようになります。胎嚢、胎芽、心拍が確認できて初めて妊娠確定となります。
最近の妊娠検査薬は性能が良いため、判定可能時期より前に陽性反応が出る場合がありますが、病院に早く行きすぎるとエコー検査をしても胎嚢が見えないことがあります。妊娠5週頃までは胎嚢が確認できないのは珍しくなく、1~2週間後に再度受診するように指示されるでしょう。
妊娠6週頃になっても胎嚢が確認できない場合、子宮外妊娠(異所性妊娠)や流産の疑いもあります。子宮外妊娠を放っておくと卵管破裂などを引き起こして命の危険を伴う場合があるので、注意が必要です。
妊娠週数・分娩予定日
妊娠週数は最終月経開始日から算出しますが、排卵時期がずれることがあるため、正しい妊娠週数であるとは限りません。そのため、妊娠8~11週頃になると、経腟エコーで胎児の頭からお尻までの長さを測り、測定値をもとに妊娠週数と分娩予定日を修正・確定します。妊娠初期は発育の個体差が少なく、この時期に算出した分娩予定日は信頼性が高いといわれています。最終月経開始日から算出した妊娠週数と1週間以上の誤差が出ることは珍しくありません。
胎児数
妊娠初期のエコー検査では胎児の数を調べます。双子や三つ子といった「多胎妊娠」であることが判明したら、胎児を包む羊膜と絨毛膜(じゅうもうまく)の数を調べる「膜性診断」を行います。双子の胎児がひとつの胎盤、絨毛膜、羊膜を共有している「一絨毛膜一羊膜双胎」は、胎児間の血液量のバランスが崩れる「双胎間輸血症候群」が起こりやすいなど、多胎妊娠はリスクが高いです。そのため、しっかりと妊娠を管理する必要があります。
胎児と胎児付属物の発育
妊娠8週頃から、胎児の身体が順調に発育しているかどうかが観察できます。また、胎盤や臍帯(さいたい)、羊水といった、胎児の発育に欠かせない胎児付属物も観察できるようになります。さらに、妊娠12週頃になると、経腹エコーで胎児の心音を聞けるでしょう。
子宮や卵巣の病気
エコー検査では胎児の発育とともに、子宮筋腫や卵巣腫瘍といった子宮・卵巣の異常がないかを調べます。子宮筋腫や卵巣腫瘍はほとんどが良性で、経過観察にとどめます。しかし、腫瘍が大きくなるなどして妊娠の継続が困難になることがまれにあり、そうした場合には、病変を取り除く手術を行うかどうかを慎重に検討しなければなりません。
妊娠初期のエコー検査で性別はわかる?
赤ちゃんの性別は受精した瞬間に決まっていますが、エコー検査で性別が判定できるようになるのは妊娠中期の18~30週くらいのようです。妊娠初期でも12週頃になると、外性器の突起が見られるようになり、突起の向きによって性別がわかる場合があります。突起が上向きに伸びていたら男の子、下向きに伸びていたら女の子とされていますが、このころはまだ外性器の形は整っていないため、医師から性別を伝えることはほとんどありません。
妊娠初期のエコー検査で胎児はどう見える?
妊娠5週頃
小さな黒い豆粒のような胎嚢が見えます。
妊娠8週頃
妊娠8週頃から胎児と呼ばれます。頭から手足らしきものが出ているのが見えます。
妊娠11週頃
手足の区別がつくほか、目や口といった顔のパーツが発達して人間らしい顔になってきます。
妊娠15週頃
頭と首、胴体の区別がつき、腕を曲げた様子もはっきりと確認できるようになります。
エコー写真の見方は?
エコー写真にはさまざまな英文字や数字が記載されており、病院を出てから改めて見直すと「何を表しているのだろう」と疑問に思うかもしれません。それぞれにどんな意味があるのか解説します。
□AGE:胎児の大きさによる推定週数。wは週、dは日を表しています。
□DEL(EDC):出産予定日。頭からお尻までの長さを基に算出します。
□GS:妊娠初期に胎児が包まれている胎嚢の大きさ。
□CRL:頭殿長。頭からお尻までの長さ。
□BPD:児頭大横径(じとうだいおうけい)。頭の横幅のことで、脳の発達をチェックします。
□FL:大腿骨長(だいたいこっちょう)。太ももの骨の長さ。BPDなどとあわせて体重を推定します。
□APTD:腹部前後径。お腹部分の前後の幅。発育状態を見たり、体重の算出に使ったりします。
□TTD:腹部横径。お腹部分の横の幅。体重の算出に利用します。
□AC:お腹の周りの長さ。お腹の発達の状態を見ます。
□HL:肩から肘までの骨の長さ。骨の発達障害がないかわかります。
□FTA:胴体を水平に輪切りにしたときの断面積。
□AFI:羊水の量。
□EFBW(FWまたはEFW):推定体重。BPDやAPTD、TTDなどから算出します。
□+や×:胎児の大きさを測るためのマーク。
□目盛り:1目盛りが1cmのことが多いです。胎児の大きさがわかります。
エコー検査を受けるときの服装
経腟エコーは腟からプローブを挿入するため、下着を脱ぐ必要があります。そのため、脱ぎ着しやすいボトムスがおすすめです。裾の広がったスカートなら、下着を脱いで内診台の上で裾をまくるだけで良いので便利ですよ。タイツやストッキングを履くと着替えに時間がかかってしまうかもしれませんので、注意してくださいね。
妊娠中は、お腹を締め付けずに楽ちんなワンピースを着る妊婦さんが多いかもしれません。しかし、経腹エコーでは裾をお腹の上までまくらなければならないため、避けたほうが無難です。
エコー検査の費用
エコー検査の費用は1回あたり2,500円~3,500円が相場のようです。ただし、3Dエコーや4Dエコーの場合には料金がさらに加算される場合があります。エコー検査を含む妊婦健診は保険の適用外ですが、母子手帳の交付の際に自治体からもらえる妊婦健診の補助券を使えば、自己負担額を抑えられ、無料になる場合もあります。妊婦健診の際には忘れずに持参しましょう。
妊娠初期のエコー検査はリラックスして受けよう
お腹の赤ちゃんが順調に成長しているかどうか、エコー検査のたびに緊張してしまう妊婦さんは多いかもしれません。経腟エコーの場合、緊張して力が入ると痛みを感じることもあるので、深呼吸するなどして、できるだけリラックスしてくださいね。
不安で仕方なかった方も、胎動がわかるようになったら、やっと少し安心できたということが多いようです。それまでは、自分とお腹の赤ちゃんを信じて、妊娠初期の大切な時期を過ごしてくださいね。