エコー検査(超音波検査)で何がわかる?エコー検査の種類と回数

子宮の中の様子をリアルタイムで観察できるエコー検査(超音波検査)は、妊婦さんなら何度も経験する検査です。エコー検査はどのようにして行われ、何がわかるのでしょうか。ここでは、エコー検査の種類と回数、超音波検査でわかることについて解説します。

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この記事の監修

藤東 淳也
産婦人科医
藤東 淳也

目次

  1. エコー検査(超音波検査)とは
  2. エコー検査の種類
  3. エコー検査の回数
  4. 妊娠初期にエコー検査でわかること
  5. 妊娠中期にエコー検査でわかること
  6. エコー検査ではわからないこと
  7. エコー検査を受けるときの注意点
  8. エコー検査も妊娠中の楽しみ
  9. あわせて読みたい

エコー検査(超音波検査)とは

エコー検査(超音波検査)とは、高い周波数の超音波を対象物にあて、反射具合を映像化することによって内部の状態を観察するための機械での検査です。X線のように放射線の問題もなく、妊婦さんも安心して行える安全な検査方法で、お腹の中にいる赤ちゃんがどのような状態なのかがわかります。

妊娠の初期段階では、スティック状の器具を腟に挿入して赤ちゃんを観察する経腟法が行われます。妊娠後12週間前後からは、お腹の上にゼリーを付け、器具をお腹に当てる経腹法で検査をします。

エコー検査の種類

経腟法

妊娠初期〜12週目頃までは「経腟法」で胎児を確認します。経腟法での検査とは、丸い棒状の「経腟プローブ」という超音波器を腟の中に入れて検査し、ママの子宮の状態や、胎嚢、胎児の大きさ、心拍の状態を確認することです。

腟に入れて検査するので、胎児との距離が近く、精密な画像を見られます。妊娠中期以降でも、胎盤や頸管の状態を確認するのに使われることがあります。

経腹法

経腹法とは、妊娠12週目頃からお腹にプローブを当てて胎児を確認する方法です。超音波の通りをよくするためにゼリーをお腹に塗ります。

胎児の全長や頭の大きさ、足の長さなどを測ったり、胎児の臓器や骨格、胎盤の状態などを確認したりします。また、測った胎児の大きさから胎児の体重が計算されます。

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カラードップラー法

カラードップラー法とは、血液の流れる量や速さを測定するエコー検査の方法で、主に経腹法で行います。胎児の心臓など臓器の状態や、へその緒の状態が確認可能です。へその緒は流れている血管の本数まで、とても詳細に調べられます。

3D、4D

胎児がかわいい立体になって映るエコーが3D、4Dです。主に経腹法で行いますが、身体の中まで見ることはできないので、他のエコーとあわせて使われます。4Dは3Dに時間の経過を加えたもので、動画が見られます。また、3D、4Dは病院によっては対応していません。

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エコー検査の回数

妊娠初期

妊娠初期のエコー検査は、妊娠に気がついた初診時(妊娠5週~6週頃)と、妊娠9週~11週頃に行われます。検査によってわかるのは、胎芽が子宮内にあること、妊娠週数と出産予定日、胎児数、胎芽心拍、胎児発育、胎盤や臍帯の位置などです。

妊娠中期~後期

妊娠中期~後期にかけて、赤ちゃんの発育を見るためにエコー検査が最低3回は行われます。妊娠5ヶ月~7ヶ月の妊娠中期はお腹の赤ちゃんも成長し、ほとんどの場合は経腹超音波検査を実施します。

子宮部分に検査用ゼリーを塗り、プローブを滑らせてお腹の赤ちゃんの様子を観察します。通常の外来検査時に行い、5~15分程度で、痛みはありません。

妊娠初期にエコー検査でわかること

子宮内に胎嚢があるかどうか

妊娠が成立すると、早いと5週目頃に子宮内に「胎嚢(たいのう)」という赤ちゃんが入っている袋が確認できるでしょう。正常妊娠では子宮内に着床しますが、まれに受精卵が子宮に来る途中の卵管などで着床してしまうことがあり、これを「異所性妊娠(子宮外妊娠)」と言います。

異所性妊娠に気づかずに放置していると受精卵はどんどん成長していくため、細い卵管が破裂することもあり、激痛や大量に出血するなどして危険です。

心拍が確認できるかどうか

子宮内に着床していても、胎児が育っていないことがあるため、心拍の確認は大切です。だいたい6週~7週頃までに、エコー画像上で規則的にチカチカするものが見られるようになります。これは赤ちゃんの心拍です。一度見えた心拍が消えてしまうこともあるので、初期では重要視されます。

胎児の数

胎児の数が多いと早産の可能性や妊娠高血圧症候群などのリスクが上がるほか、母体への負担も大きいため、多胎妊娠特有の対応をしなければなりません。そのため、確実に診断する必要があります。

妊娠週数の確認と修正

妊娠しても、実際に受精した日まではわかりません。妊娠初期(特に12週頃まで)は、胎芽の成長の個人差はあまりないため、エコーの結果から週数と出産予定日を予想します。妊娠9週前後に頭からお尻までの長さ(CRL/頭殿長)、妊娠12~13週に胎児の頭の横幅(BPD/児頭大横径)を測って予定日を修正するようです。

健診時に成長の様子を把握するために、胎のうの大きさ(GS)や頭からお尻までの長さ(CRL/頭殿長)を測ります。骨がはっきり映るようになる13週頃からは、胎児の頭の横幅(BPD/児頭大横径)や胎児の太ももの骨の長さ(FL/大腿骨長)、胎児のお腹から背骨までの幅(APTD/腹部前後径)、APTDと直角になる線(TTD/腹部横径)を測り、胎児の体重を推測することができるようになります。

子宮や卵巣に異常がないか

妊娠初期に、胎児の確認とともに、妊娠に影響を与える子宮筋腫や卵巣腫瘍がないかの確認をします。

妊娠中期にエコー検査でわかること

推定体重

頭の大きさ(BPD)、大腿骨の長さ(FL)、腹部の大きさ(AC/APTD × TTD)を測り、赤ちゃんの推定体重を割り出します。体重を知ることで、胎児の発育不全やトラブルを早く見つけることにつながります。

赤ちゃんの身体の形に異常がないか

検査では、胎児と胎児付属物(卵膜・胎盤・臍帯・羊水)の観察をします。

生理機能

心臓、肺、血管などの臓器の形を確認し、胎盤・臍帯の位置や構造に問題がないかを見ます。

羊水量

赤ちゃんを守る羊水量が正常かどうかも、お医者さんがチェックする大事なポイントです。

エコー検査ではわからないこと

染色体や遺伝子の異常

染色体21番が3本あればダウン症ですが、エコー検査では判断はできません。ただし、ダウン症の特徴のひとつである首の後ろのこぶはエコー検査で見えるので、医師から可能性を告げられ、精密検査をすすめられる場合があります。そのほか遺伝子の異常レベルは、エコー検査ではわかりません。

組織の性質

赤ちゃんの腎臓に水が溜まっているような状態はエコー検査でわかりますが、その原因が何かまではわかりません。

臓器の発達状況

赤ちゃんの動き方や心臓の音、排尿動作を分析することによって、ある程度の心臓や腎臓の働き具合がわかります。しかし、詳しい状況まではわかりません。

小さい病気

赤ちゃんはとても小さく、エコー検査は目視での検査になるため、状況を調べるには限界があります。そのため、あまり目立った症状がない場合は見落としてしまいがちです。妊娠中は問題なかったのに、実際に出産してから病気や障害がわかったという事例は多く、さらには生後数ヶ月経たないとわからない症状もあります。

エコー検査を受けるときの注意点

検査を受けやすい服装を心がける

経腟法の時期は、下着などを脱ぎやすい服を心がけ、ストッキングは避けましょう。経腹法の時期は、お腹をすぐにだせるよう上下わかれた服のほうが良いですね。

経腟法は力を抜いて受ける

内診と同じように力が入りがちですが、しっかり赤ちゃんを観察するため、力を抜いてリラックスして受けましょう。

エコー検査も妊娠中の楽しみ

お腹の赤ちゃんを見られる数少ない機会であるエコー検査。エコー検査からわかる情報を正確に理解できれば、今赤ちゃんがどのような状態でいるのかを詳しく知ることができますね。出産までの楽しみのひとつとして、楽しんで受診できると良いですね。

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