不妊検査について解説!不妊検査の方法・期間・費用は?
妊娠を望む夫婦のうち、約10%が不妊症といわれています。不妊症かもしれないと思いながらも、不妊検査を受けるのをためらっている夫婦は多いのではないでしょうか。しかし、年齢が高くなるとともに妊娠率は低くなります。早めに検査を受け、適切に対処しましょう。ここでは、不妊検査の方法や、検査にかかる期間・費用について解説します。
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目次
不妊の原因は?
不妊とは、妊娠を望む健康な男女が避妊をせずに性行為をしているにもかかわらず、1年以上妊娠できない状態のことです。
不妊の原因は女性、男性ともに多岐にわたり、夫婦によっては、いくつかの原因が重なり合っていることや、原因がわからないこともあります。不妊は女性に原因があるというイメージが強いですが、不妊症の夫婦の半数近くが、男性側にも原因があるとされています。そのため、女性だけでなく男性も不妊検査を受けることが大切です。
不妊検査に行くタイミングは?
不妊検査は、避妊せずに性行為をし、1年以上妊娠できなかったタイミングで受けるのが一般的です。しかし、年齢が高くなるとともに妊娠しにくくなるため、35歳以上の場合は6ヶ月経っても妊娠できなければ検査を受けたほうが良いでしょう。
また34歳以下であっても、生理不順やひどい生理痛といった症状がみられる場合、病気を早期発見するためにも早めに病院に行くのがおすすめです。
最近は、自分やパートナーが妊娠できる身体かどうか結婚前に検査する「ブライダルチェック」も広がりつつあります。
不妊検査の流れと期間は?
不妊検査の流れ
女性の不妊検査は、不妊治療専門のクリニックか、不妊外来のある産婦人科で受けられます。男性の場合は、女性と一緒に不妊治療専門クリニックか不妊外来で検査を受けるか、泌尿器科を受診します。女性は問診や内診のあとに基本検査をして、必要に応じて精密検査を行う流れとなります。男性は、まず精液検査を行い、疾患が疑われる場合に泌尿器科で精密検査を受けます。
不妊検査にかかる期間
女性の不妊検査は生理周期にあわせて複数回に分けて行うため、基本検査をひと通り終えるまで1~2ヶ月間継続して通院する必要があります。病院に行かなければならない時期が生理周期によって決まっているため、仕事をしている人はスケジュールを調整する必要があるでしょう。
初診は生理周期のどのタイミングで受ける?
初診を受けるタイミングは基本的にいつでも良いですが、内診で下着を脱ぐ必要があるため、生理中は避けたほうが安心して診察が受けられるかもしれません。ただし、病院によっては予約時に「生理3~5日目に来てください」などと指定されることもあるようです。
女性の不妊検査(基本検査)
問診・内診
問診では結婚年数や生理周期、過去にかかった病気などが質問されます。数ヶ月分の基礎体温表を持参すると良いでしょう。内診では腟に指を入れて子宮や卵巣の状態を調べ、子宮筋腫や子宮内膜症がないかチェックします。
超音波検査
腟内に超音波プローブという器具を挿入し、子宮筋腫や卵巣腫瘍がないかといったことを調べます。超音波検査は子宮内膜の状態や卵胞の大きさ、排卵時期もわかるため、受診のたびに行うことが多いです。
ホルモン検査
血液中のホルモン量を血液検査で調べ、妊娠に必要なホルモンがきちんと分泌されているかみていきます。生理周期に応じて以下のホルモンを調べます。
・低温期(生理3~5日目):卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン
・排卵前:黄体形成ホルモン、卵胞ホルモン(エストロゲン)
・高温期6~8日目:黄体ホルモン(プロゲステロン)
・随時:プロラクチン、甲状腺刺激ホルモン、甲状腺ホルモン、抗ミューラリアンホルモン
子宮卵管造影検査
子宮卵管造影検査は、生理終了後から排卵までのあいだに行います。腟から細い管で子宮内に造影剤を注入し、その広がり方をX線撮影して、卵管の詰まりや子宮の形状、ポリープの有無などを調べます。造影剤が卵管内の滑りを良くしたり、粘液などの軽い詰まりを解消したりすることから、不妊治療もかねて行う場合があります。
卵管通水検査・通気検査
腟から子宮に挿入した細い管から生理食塩水や炭酸ガスを注入し、卵管に詰まりがないかチェックします。子宮卵管造影検査の造影剤にアレルギー反応を起こす患者に対して行います。
クラミジア検査
卵管障害などを引き起こす原因となるクラミジア感染症にかかっていないか、子宮頸管の分泌物や腟分泌物を採取して調べます。
頸管粘液検査
子宮の入り口である子宮頸管では、排卵が近くなると、精子の生存に最適な伸びの良い頸管粘液が多量に分泌されます。尿中の黄体形成ホルモンなどから排卵期を予測し、頸管内の粘液をツベルクリン注射器で吸い出し、粘液の粘りやpHをチェックします。
フーナーテスト(ヒューナーテスト)
排卵期に性行為をして9~24時間後の頸管粘液を採取し、頸管粘液内に運動率の良い精子がどれくらいいるか顕微鏡で調べます。検査結果が良くない場合、「頸管粘液の分泌不全」「精子の状態が悪い」「抗精子抗体」のいずれかが原因と考えられます。
女性の不妊検査(精密検査)
子宮鏡検査
子宮に異常があると疑われる場合、子宮の中に子宮鏡を入れ、モニターで子宮内膜ポリープや粘膜下筋腫がないかどうか観察します。
腹腔鏡検査
お腹に小さな穴を開けて、腹腔鏡を入れてモニターで卵管や卵巣の癒着の有無などを観察します。子宮内膜症の病変を発見した場合、同時に治療を行うことができます。
抗精子抗体検査
フーナーテストで精子が見つからなかった場合、受精を妨げる「抗精子抗体」が女性の血清の中にないか血液検査で調べます。抗精子抗体の種類には、精子自体の運動能力を奪う「精子不動化抗体」や、精子同士をくっつけて動けなくする「精子凝集抗体」があります。
子宮内膜組織検査
直径3mmほどの器具で子宮内膜の組織を採取して、受精卵が着床できる正常な子宮内膜かどうかチェックをします。排卵後4~5日目に行います。
男性の不妊検査(基本検査)
問診・触診
問診では過去の病歴や生活習慣が質問されます。触診では精巣(睾丸)の硬さや大きさを確認したり、精巣上体や精管に腫れや痛みがないか調べたりします。
精液検査
1~5日間の禁欲期間のあとに、病院か自宅でマスターベーションをして精液を採取し、精液量、精子濃度、運動率や感染の有無などを調べます。精子は約3ヶ月間かけてつくられ、そのあいだの体調やストレスの影響を受けやすいため、検査結果が良好でない場合は間隔をあけて何回か検査するようにします。
男性の不妊検査(精密検査)
ホルモン検査
精液検査の結果が良好でなかった場合、血液検査でテストステロンや性腺刺激ホルモンといった、精子の生成や勃起を促すホルモンの数値を調べます。
陰嚢部超音波検査(いんのうぶちょうおんぱけんさ)
陰嚢部に超音波プローブという器具をあてて、モニター画像で造精機能障害の原因となる「精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)」の有無や精巣の容積を確認します。
染色体・遺伝子検査
精子数が極端に少ない乏精子症や無精子症の場合には、染色体異常の「クラインフェルター症候群」などの疑いがあるとして、染色体検査や遺伝子検査を行うことがあります。
精巣生検
精液検査で無精子症などと診断された場合に、精巣の機能をチェックします。精巣をメスで切開して精巣組織を少量採取し、顕微鏡で観察します。
不妊検査の費用は保険適用?助成金がでる?
不妊検査は、保険が適用される検査と自費の検査があります。また、病院によって検査費用が異なるため、あらかじめ病院に費用の目安を確認すると良いでしょう。
女性が初診で内診や超音波検査といった基本検査を受ける場合、保険が適用され、自己負担額は5千~1万円程度をみておけば良いでしょう。男性の精液検査は、精子の数や運動率などの基本的な検査項目であれば保険が適用され、1回当たり約400円で受けられます。
なお、自治体によっては、不妊検査にかかる費用を助成する制度があります。対象者や申請方法などは自治体ごとに異なるため、自分が住んでいる地域の役所の窓口に問い合わせてみましょう。
夫婦そろって不妊検査を受けよう
不妊の原因は多岐にわたり、その原因を特定するために、さまざまな検査を最低でも1~2ヶ月間かけて行う必要があります。年齢が高くなるほど妊娠の可能性が低くなることも考慮し、なるべく早めに不妊検査を受け始めると良いでしょう。不妊は夫婦ふたりの問題ですから、できれば夫婦そろって受診して、検査内容や不妊治療に対する希望などをお互いに共有できると良いですね。