不妊治療の助成金をもらうには?助成額・申請方法は?医療費控除できる?

不妊治療にはどれくらいの費用がかかるのか、不安になる人は多いかもしれません。不妊治療にかかる平均額は約140万円というデータがあり、経済的な負担は少なくありません。国や自治体は高額な不妊治療費の一部を助成する制度を用意しています。ここでは、不妊治療の助成金の対象者や助成額、申請方法、医療費控除について解説します。

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目次

  1. 国による不妊治療の助成金事業とは?
  2. 不妊治療の助成金を受け取る条件
  3. 助成額と助成を受けられる回数
  4. 不妊治療の独自の助成制度がある地方自治体
  5. 不妊治療の助成金の申請方法
  6. 不妊治療の助成金はいつもらえる?
  7. 助成金を受けても医療費控除できる?
  8. 不妊治療は助成金を活用しよう
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国による不妊治療の助成金事業とは?

不妊治療は高額なものが多く、基本的に保険適用外です。不妊治療の経済的な負担を軽減するため、国は厚生労働省を通じて、特定の不妊治療に対して助成する「特定不妊治療費助成事業」を行っています。国が定めて地方自治体が実施する制度で、体外受精と顕微授精が「特定不妊治療」として助成の対象となります。

不妊治療の助成金を受け取る条件

不妊治療の助成には所得制限や年齢制限があります。助成金を受け取る条件は以下になります。

□法律上の婚姻をしている夫婦であること(※ただし2018年度からは事実婚の夫婦も助成対象になります)
□体外受精と顕微授精以外の治療法では妊娠の見込みがないか、またはきわめて少ないと医師から診断されていること
□指定医療機関で治療を受けていること
□治療期間の初日における妻の年齢が43歳未満
□申請日の前年の夫婦の合算の所得額が730万円未満

助成額と助成を受けられる回数

不妊治療の助成額

国の助成金では、不妊治療のステージによって、治療1回につき以下の上限額まで助成します(かっこ内は初回の助成額)。

□治療ステージA:15万円(30万円)
□治療ステージB:15万円(30万円)
□治療ステージC・F:7万5000円
□治療ステージD・E:15万円(30万円)

治療ステージの内容は以下となります。

□治療ステージA:新鮮胚移植を実施
□治療ステージB:凍結胚移植を実施
□治療ステージC:以前に凍結した胚を解凍して胚移植を実施
□治療ステージD:体調不良などにより移植のめどが立たず治療終了
□治療ステージE:受精できず、または胚の分割停止、変性、多精子授精などの異常授精により中止
□治療ステージF:採卵した卵が得られない、または状態の良い卵が得られないため中止

また、特定不妊治療にいたる過程の一環として行われる男性の不妊治療も助成の対象となります。「精巣内精子生検採取法(TESE)」や「精巣上体内精子吸引採取法(MESA)」といった、精巣や精巣上体から精子を採取するための手術費および精子凍結料について、15万円まで助成されます。

助成が受けられる回数

助成が受けられる回数は、特定不妊治療の助成を初めて受けたときの妻の治療開始年齢によって変わります。助成回数の上限は以下となります。

□40歳未満:43歳になるまでに通算6回
□40歳から43歳未満:通算3回

上限内であれば、年に何回でも助成が受けられます。また、助成期間の定めはありません。

不妊治療の独自の助成制度がある地方自治体

助成は都道府県、政令市、中核市ごとに行われ、基本的に助成内容に違いはありません。ただし、地方自治体によっては、国の制度をベースに、独自に助成金制度を拡充している場合があります。通常は助成の対象にならない、人工授精などの一般不妊治療や不妊検査の費用を助成する市区町村もあるため、自分が住む地域の役所などで確認すると良いでしょう。

独自の助成金制度を設けている自治体の一例をご紹介します。

東京都の特定不妊治療の助成制度

東京都では不妊治療のステージによって、治療1回につき以下の上限額まで助成します(かっこ内は初回の助成額)。ステージによって異なりますが、国が定めた助成金よりも5〜10万円手厚くなっています。

□治療ステージA:20万円(30万円)
□治療ステージB:25万円(30万円)
□治療ステージC・F:7万5000円
□治療ステージD・E:15万円(30万円)

東京都品川区の一般不妊治療の助成制度

東京都品川区では、東京都の特定不妊治療の助成制度に加えて、タイミング法や人工授精などの一般不妊治療と不妊検査の費用を助成する制度が利用できます。年間10万円を限度額として、通算5年間助成が受けられます。

埼玉県の2人目の出生を支援する制度

埼玉県は二人目の出生をサポートする制度を行っています。国の制度では、特定不妊治療の助成金をもらって一人目を出産し、二人目以降も助成を受けようとすると、助成回数は一人目から通算して6回(40歳から43歳未満は3回)までとなります。埼玉県では、助成制度を活用して一人目を出産後、新たに特定不妊治療を受ける場合、助成回数がリセットされ、一人目と同様に6回まで助成されます。

不妊治療の助成金の申請方法

助成金の申請に必要な書類

特定不妊治療の助成を受けるには、申請書類一式をそろえて、申請期限内に居住地域の申請窓口に提出する必要があります。複数の治療をまとめて申請することはできず、それぞれの治療ごとに申請します。

特定不妊治療の助成金を申請するために必要な書類は以下の通りです。

□特定不妊治療費助成申請書
治療1回につき1枚提出する必要があります。

□特定不妊治療費助成事業受診等証明書
特定不妊治療を実施した指定医療機関が記入する書類で、治療1回につき1枚提出します。

□住民票
申請日から3ヶ月以内に発行され、個人番号(マイナンバー)の記載がないもの。

□戸籍謄本
申請日から3ヶ月以内に発行されたもの。

□夫婦それぞれの申請日の前年の所得を証明する書類
いずれかが配偶者の扶養に入っていて無収入の場合も、所得がないことを証明する書類が必要です。住民税課税(非課税)証明書や住民税額決定通知書などのうち、いずれかの書類を夫婦それぞれ1通ずつ用意します。

□指定医療機関発行の領収書(保険適用外診療分)
自治体によって原本が必要かコピー可かどうか異なります。領収書の原本は確定申告の医療費控除などでも使うことがあるため、原本を提出する際は返却を希望しましょう。もしも申請前に領収書をなくしてしまったら、紛失分の治療費は助成の対象にならなくなるため注意してください。ただし自治体によっては、医療機関に領収証明書を発行してもらい、領収書の代わりに提出できる場合があります。

申請のタイミングは?

申請期限は自治体によって異なり、年度末(3月31日)の場合もあれば、特定不妊治療の終了日から60日以内という場合もあります。

引っ越した場合の申請は?

特定不妊治療の助成金の申請は、申請する時点の住所地で行うことになっているため、転居してから転居前の自治体に申請することはできません。自治体によっては、1年間など一定期間居住していないと申請対象にならない場合もあるため、転居先の助成の要件をよく確認し、どちらで申請するか引っ越し前に決めましょう。助成の回数については、他自治体で受けた回数も通算します。

不妊治療の助成金はいつもらえる?

申請日から約2ヶ月で申請が受理されたかどうかの決定通知書が発送され、さらに1ヶ月後くらいに助成金が振り込まれることが多いようです。ただし、2月から5月くらいまでの年度が切り替わる前後の時期は、申請が集中するなどの理由でさらに時間がかかることもあります。

助成金を受けても医療費控除できる?

特定不妊治療にかかる医療費は医療費控除の対象になります。1月1日から12月31日までの1年間にかかった医療費から助成額を差し引いた金額が10万円を超える場合、最高200万円まで確定申告で医療費控除を申請できます。なお、確定申告と助成制度の年度の区切りは異なるため、年をまたいで行った治療の費用の医療費控除については、税務署によく確認してください。

2017年分の確定申告より、医療費控除の申請には、領収書に代わって医療費の明細書または医薬品購入費の明細書を提出することになります。領収書についても5年間は提出を求められることがあるため、領収書や明細書は普段からしっかりと管理しましょう。

不妊治療は助成金を活用しよう

高額な治療費への不安から、体外受精や顕微授精に踏み切れない夫婦は少なくないようです。国や地方自治体による助成制度を活用すれば、費用の負担を軽くすることができるため、ぜひお住まいの自治体の制度を調べてみてください。場合によっては、不妊検査や一般不妊治療が助成の対象になることもありますよ。

不妊治療中はお金のことに限らず、さまざまな悩みや問題が生まれるかもしれません。くれぐれも夫婦ふたりで抱え込まず、周りの人や地域の不妊専門相談センターなどを頼ってくださいね。

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