双子が欲しい!作り方・産み分け方法はある?双子妊娠の確率や妊娠しやすいケースを解説

妊活中のカップルの中には「双子が欲しい」という人がいるかもしれませんね。男女の産み分けの確率を上げることは可能だという説もありますが、双子の産み分けを意図的に行い成功させる方法はあるのでしょうか。ここでは、双子が生まれる確率や、不妊治療や排卵誘発剤・高齢出産と双子の関係、双子妊娠のリスクについて解説します。

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この記事の監修

杉山 太朗
産婦人科医
杉山 太朗

目次

  1. 一卵性双生児と二卵性双生児
  2. 双子が生まれる確率は?
  3. 双子が生まれやすいケース
  4. 双子を妊娠しやすい食べ物はある?
  5. 双子妊娠のリスク
  6. 双子の妊娠はいつわかる?
  7. 双子の産み分けは現実的には難しい
  8. あわせて読みたい

一卵性双生児と二卵性双生児

双子には一卵性双生児(いちらんせいそうせいじ)と二卵性双生児(にらんせいそうせいじ)とがあります。双子を妊娠するメカニズムについて解説します。

一卵性双生児

1つの卵細胞が1つの精子と受精した受精卵が、細胞分裂の過程でなんらかの原因により2つに分かれて、それぞれが赤ちゃんとして育つことができれば「一卵性双生児」となります。

まったく同じ卵子と精子からできているので、一卵性双生児は性別や血液型が同じで、顔つき、身体つきもよく似ています。よく「見分けがつかない」といわれる同性の双子の場合は「一卵性双生児」のケースが多いでしょう。

二卵性双生児

通常であれば1つずつ排卵されるはずの卵子が、なんらかの原因で同時に2つ排卵され、それぞれが別の精子と受精して、赤ちゃんとして成長していくと「二卵性双生児」となります。

二卵性双生児は、卵子と精子がそれぞれ違うので、性別や血液型が異なることがあります。二卵性双生児は、たまたま同時に生まれてきたきょうだいというイメージです。顔や身体つきが似ている場合はあっても、一卵性双生児のように見分けがつかないほどそっくりだということはめったにありません。

双子が生まれる確率は?

一卵性双生児を自然に妊娠する確率はおよそ0.4%といわれています。これは人種に関わらずほぼ一定とされています。一卵性双生児が発生する原因は医学的には解明されておらず、生まれる前に流産してしまう確率も二卵性双生児に比べて高くなります。

一方、二卵性双生児を妊娠する確率は、人種や遺伝要素によって異なりますが、日本では0.2~0.3%の確率で自然発生すると推測されています。

日本では1990年代半ばまで、一卵性双生児が二卵性双生児よりも高い確率で生まれていました。しかし最近では、不妊治療が普及した影響から二卵性双生児の割合が大きくなっています。現在、二卵性双生児が生まれる割合は約1%とされています。

また、双子の性別については、確率的には同性のパターンが多いと考えられていますが、実際には異性(男女)の双子が多いようです。近年では、性別の異なる赤ちゃんが生まれる可能性のある二卵性双生児が増えてきていることから、男女の双子が増えてきているのかもしれませんね。

双子が生まれやすいケース

遺伝(体質)

一卵性の双子妊娠の発生頻度は、人種にかかわらずほぼ一定で0.4%程度ですが、二卵性の双子妊娠の頻度は人種によって異なります。また、世界各国に双子が多い地域が存在しているようです。このことから、双子の生まれやすさには遺伝が関係していると考えられます。

親戚に双子がいる場合、特に母方の家族に双子がいる場合には、双子が生まれる可能性が高くなるといわれています。実際に、筆者の双子の友人は、親戚の中に双子が3組いるそうです。

排卵誘発剤を使用した場合

妊娠を望む女性が、卵子が十分に育たないことなどにより排卵が行われない排卵障害を起こしている場合、治療に排卵誘発剤が使用されることがあります。排卵誘発剤は女性ホルモンに働きかけて排卵を誘発するため、一度に複数の卵子が排卵されることがあり、双子などの多胎妊娠の可能性が高くなります。

体外受精・顕微(けんび)授精をした場合

不妊に悩むカップルがタイミング指導、人工授精(精液を濃縮して注入器を使って子宮内に注入する方法)を試みて妊娠しない場合、「体外受精」「顕微授精」という生殖補助医療(ART)にステップアップすることがあります。女性の卵巣から良好な卵子を採取し、男性が射精した精子と体外で受精させ、受精卵を培養したのちに子宮内へ移植する方法です。

受精障害がない場合は、培養液の中で精子と卵子を受精させます。これを体外受精といいます。一方、受精障害がある場合は、顕微鏡を用いて卵子の中に直接精子を注入する顕微授精を行います。

以前は妊娠の確率を上げるために、体外受精や顕微授精でできた胚(培養した受精卵)を子宮に戻す際、2個以上の胚を子宮に移植することがありました。そのため、双子を妊娠する確率が高かったのです。

しかし現在では、不妊治療の技術が向上したこと、また、多胎妊娠のリスクを避ける目的から、体外受精や顕微授精で子宮に戻す胚は原則として1個とされています。そのため、体外受精・顕微授精での双子妊娠は減っています。

高齢出産の場合

「高齢出産では双子を妊娠しやすい」という説を聞いたことがある人がいるかもしれません。これは、結婚・出産の年齢が上がり、さらに不妊治療を受ける人が増えたためだと考えられています。

実際に、双子の発生率には女性の年齢が影響するといわれます。自然妊娠で女性が高齢の場合に双子の発生率が高くなるかどうか、医学的に解明されてはいませんが、高齢になるほど双子が生まれる確率が高くなるのは事実のようです。

双子の妊娠・出産はただでさえリスクが高いのに、高齢の妊婦さんではさらにリスクが高くなります。また、高齢での双子妊娠では、双子のうちのひとり、またはふたりともに染色体異常が現れる確率が高くなるとされています。

双子を妊娠しやすい食べ物はある?

双子を妊娠しやすいとされる食べ物にはさまざまな俗説があります。しかし、現在のところ医学的根拠はありません。ジンクスだと思って試してみるのは良いですが、あまり特定の食品ばかり摂りすぎないよう注意してくださいね。

乳製品

牛乳などの乳製品を積極的に摂取している女性は、まったく摂取していない女性に比べて、双子を妊娠する確率が高いという説があります。これは、乳製品などの動物性食品に含まれるIGFという成分が、卵子の形成に関与しているためだと考えられています。

乳製品に含まれるたんぱく質は人体に欠かせない栄養素であり、妊活中にも積極的に摂りたいもの。医学的な根拠はありませんが、双子の妊娠を希望するなら、試してみても良いかもしれませんね。

ヤムイモ・タロイモ

ヤムイモ・タロイモを食べると双子を妊娠しやすくなるという俗説があります。これは、アフリカのある地域に双子が多い部族がいて、その部族がよく食べるものに「ヤムイモ」があることに由来する話のようです。

二卵性双生児の自然妊娠には遺伝的な要素があり、ヤムイモ・タロイモが双子の妊娠に関係があるというこの説にはまったく根拠がありません。しかし、ヤムイモ・タロイモは栄養価の高い食べ物なので、妊活中に食べてみても良いかもしれません。

葉酸サプリメント

妊娠前に葉酸サプリメントを積極的に摂取すると、双子を妊娠する確率が高くなるという説があります。医学的には、葉酸の摂取が双子妊娠に関係するということは証明されていません。

しかし葉酸は、妊娠初期の胎児の細胞分裂に必要なDNAの合成に関係が深く、妊娠前から積極的に摂取したい栄養素のひとつです。厚生労働省は、妊娠の可能性がある女性は食事からの葉酸の摂取に加え、サプリメントから1日400μgの葉酸を摂取するように推奨しています。

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双子妊娠のリスク

双子を授かると、同時にふたりの子どもを産んで育てることになります。出産や育児の喜びは倍増するでしょう。しかし双子の妊娠では、一度にひとりだけを妊娠する単胎妊娠に比べて、ママとお腹の赤ちゃんの両方に妊娠中の合併症のリスクが高まります。双子を含む多胎妊娠は、周産期医療の現場では「ハイリスク妊娠」とされます。

貧血

妊娠時はママの血液を通じてお腹の赤ちゃんに栄養を送るため、母体の循環血液量が増えます。そのため、ママが貧血になる母体貧血(鉄欠乏性貧血)が起こりやすくなります。双子の妊娠ではそのリスクが高まります。

妊娠高血圧症候群

双子妊娠では妊娠高血圧症候群になりやすいのも特徴です。妊娠高血圧症候群とは、妊娠中に「高血圧」「むくみ」「尿たんぱく」などの症状が出ることをいいます。以前は「妊娠中毒症」と呼ばれていました。妊娠高血圧症候群が発生する原因は解明されていませんが、双子の妊娠では妊娠高血圧症候群となる確率が高いといわれます。

流産・早産・難産

妊娠すると、ママの子宮は赤ちゃんの成長にともなって大きくなります。双子の妊娠ではお腹の中で同時にふたりの赤ちゃんが育つことになりますが、ママの身体が対応し切れないことがあります。子宮が大きくなり過ぎると、子宮収縮が起こりやすく、流産・早産を引き起こす恐れがあります。実際、双子の妊娠のうち約半数は早産になるといわれています。

また、双子の妊娠では、子宮壁が伸びすぎることがあります。そのため、子宮収縮が弱くなり、分娩時に陣痛が弱くなりお産が進まない「微弱陣痛(びじゃくじんつう)」や、出産後に子宮からの出血が続く「弛緩出血(しかんしゅっけつ)」が起こるなど、難産となるリスクも高まります。

以前は、双子の出産は帝王切開で行われました。現在では自然分娩を選択できる産院も増えてきています。ただし自然分娩でも、難産になることが多いようです。

双胎間輸血症候群(そうたいかんゆけつしょうこうぐん)

双子の赤ちゃんには、ママの子宮の中で胎盤を共有している一絨毛膜双胎(いちじゅうもうまくそうたい)と、胎盤がそれぞれに分かれている二絨毛膜双胎(にじゅうもうまくそうたい)があります。

このうち、胎盤を共有している一絨毛膜双胎では、ふたりの赤ちゃん間での循環血液量のバランスがとれず、片方の赤ちゃんにばかり血液が流れ込んでしまう「双胎間輸血症候群(そうたいかんゆけつしょうこうぐん)」の症状が起こることがあります。

この場合、片方の胎児は血液量が過多になり、もう片方の胎児は貧血を起こします。さまざまな合併症を起こしやすい状況となり、最悪の場合、どちらかの胎児が機能不全を起こして死亡する恐れがあります。さらに妊娠中期以降に一絨毛膜双胎の双子のうち片方が死亡した場合、もう一方の胎児が脳障害を起こしたり、死亡したりする危険性もあります。

双子の妊娠では、こういったリスクに備えるために、妊娠中期より管理入院をするケースが多いでしょう。特に一絨毛膜双胎では、早い時期からの厳重な管理が必要とされます。

低出生体重児・早産児

双子の妊娠・出産では、2,500g未満の低出生体重児や、妊娠37週未満で生まれる早産児になることが多いようです。ママのお腹の中で同時にふたりの赤ちゃんが育つので、ママの身体が耐え切れなくなり、約半数が早産になるといわれます。その結果、低出生体重児となる確率が高まるようです。

低出生体重児や早産児は、臓器が未成熟だったり、免疫力が弱かったりするため、重度の感染症や合併症を起こしやすい傾向にあります。新生児集中治療室(NICU)や回復治療室(GCU)でサポートを受ける必要がある場合も多いでしょう。

双子の妊娠はいつわかる?

妊娠検査薬の反応は単胎妊娠と違う?

妊娠の可能性がある場合、多くの人が妊娠検査薬を使って妊娠しているかどうかを調べるでしょう。妊娠検査薬は、妊娠中に分泌されるhCGというホルモンの尿中濃度を検出することで、妊娠しているかどうかを判定するものです。hCGは受精卵の着床後に分泌されはじめ、妊娠8~10週で分泌量のピークを迎えます。

ドラッグストアなどで市販されている妊娠検査薬は、生理開始予定日の1週間後から検査可能なタイプが多いようです。しかし双子の妊娠時は、ひとりの赤ちゃんを妊娠しているときに比べてhCGの分泌量が多いといわれます。そのため、双子を妊娠している場合、検査薬を使用すると単胎妊娠の場合より早く反応が出たり、フライング検査であっても陽性反応が出たりすることがあるかもしれません。

また、非常に珍しいケースではありますが、妊娠検査薬で検出できるhCG濃度には反応上限があるため、双子の妊娠ではhCG濃度が高すぎて妊娠検査薬で陰性と判定されることがあるようです。

ただし、尿中のhCG濃度には個人差があります。双子が欲しいと思っていても、妊娠検査薬の反応によって双子を妊娠しているかどうかを判別することは不可能です。妊娠の可能性があり生理が遅れているときは産婦人科の診察を受けるようにしましょう。

超音波検査(エコー検査)で双子がわかるのはいつ?

双子を妊娠している場合、妊娠初期に行われる超音波検査(エコー検査)で双子であることが判明します。ただし、双子妊娠がわかる時期は一卵性か二卵性かによって違います。

二卵性双生児の妊娠であれば、赤ちゃんが入っている袋である胎嚢(たいのう)が2つあります。胎嚢(たいのう)は早ければ妊娠5週目で確認できるので、妊娠5週目ごろの超音波検査で双子であると判明することもあります。

一方、一卵性双生児の妊娠では、ひとつの胎嚢の中に2つの胎芽ができます。一般的に胎芽は妊娠6週目ごろ、心拍は妊娠7週ごろに確認できるとされます。一卵性双生児の場合は、胎芽や心拍を確認できる妊娠6~7週ごろの超音波検査で、双子であると判明することが多いようです。

双子が判明するタイミングは受診の時期によって違いますが、一般的に妊娠3ヶ月(妊娠8〜11週)頃には、双子かどうかわかるでしょう。

双子の産み分けは現実的には難しい

双子が欲しいと憧れる人もいるでしょうが、実際には双子を授かるための確実な作り方があるわけではありません。排卵誘発剤や体外受精・顕微授精といった不妊治療の結果、双子が生まれる確率は高まりますが、双子を意図的に産み分ける方法として利用するものではありません。

双子の妊娠は偶然によるものです。もし希望通り双子を妊娠することができたら、と想像してみることは楽しいものですが、双子であっても双子でなくても、赤ちゃんはとてもかわいいものです。双子にあまりこだわりすぎずに、妊活に取り組んでみてくださいね。

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