不妊症をセルフチェック!男女別の原因・チェック項目・検査法を解説
妊娠・出産の高齢化で不妊症に悩む夫婦が増えています。「いつか妊娠できるかも」と思いながら、検査を受けるのを先延ばしにしてしまうと、妊娠の可能性が低くなりかねません。ここでは、不妊症かどうかのセルフチェック項目、不妊症の原因、検査の方法を男女別に解説します。気になる症状があれば、早めに医師に相談してくださいね。
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目次
不妊症とは?
「不妊症」とは、妊娠を望む健康なカップルが避妊をせずに性行為を行っているのにもかかわらず、一定期間を過ぎても妊娠しない状態を指します。日本産科婦人科学会はこの一定期間を1年としています。
不妊症の原因は?
不妊症の原因は女性、男性ともにさまざまなものが考えられます。夫婦によっては、いくつかの原因が複雑に絡み合っている場合や、原因不明の場合も珍しくありません。不妊症は女性に原因があるイメージが強いですが、実は不妊症の半数は男性にも問題があるとされています。妊娠の確率をアップさせるためには、不妊症の原因を突き止めて、できるだけ早いうちから対処することが重要です。
女性不妊の原因
女性側の不妊の原因は「排卵障害」「卵管障害」「着床障害」にわけられます。
排卵障害
卵子が卵巣から飛び出す排卵が何らかの理由でスムーズにいかないことです。排卵障害の原因として多いのは、排卵を促すホルモンの分泌にかかわっている脳の視床下部の機能不全です。その他、「多嚢胞性卵巣症候群(たのうほうせいらんそうしょうこうぐん)」や「黄体化未破裂細胞」、「早発卵巣不全」といった原因が考えられます。
卵管障害
精子や受精卵の通り道である卵管や、排卵された卵子を取り込む卵管采(らんかんさい)に障害がある状態です。クラミジア感染症や子宮内膜症、骨盤内の過去の手術などの影響により、卵管が詰まる「卵管閉塞」や、卵管采が閉じて卵子をうまくキャッチできなくなる「ピックアップ障害」が起こります。
着床障害
受精卵が着床できない「着床障害」の主な原因は、「子宮筋腫」や「子宮内膜ポリープ」です。その他、人工妊娠中絶などの手術の影響で子宮内膜が癒着する「アッシャーマン症候群」や、女性ホルモンのプロゲステロンを分泌する黄体がうまく機能しない「黄体機能不全」も不妊の原因となります。
男性不妊の原因
男性側の不妊の原因で80~90%を占めるのは、精子をつくる能力に問題がある「造精機能障害」です。精巣の周りに静脈のこぶができる「精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)」などが原因となって起こります。精液中の精子の数が少ない「乏精子症」や、精子の動きが悪い「精子無力症」といった症状がみられます。
男性不妊の原因としてその他には、精子を運ぶ経路に問題があり、精液に精子が混ざらなくなる「精路通過障害」、勃起や射精がうまくできない「性機能障害」があります。
不妊症かもしれないときは?
夫婦が各自セルフチェックしよう
なかなか妊娠できない状況が続くと、「もしかして不妊症かもしれない」と不安になってしまいますよね。病院で検査を受けたほうが良いか悩む夫婦も多いかもしれません。まずは男女別の不妊症チェックリストで、不妊症の可能性があるかどうか夫婦がそれぞれセルフチェックしてみましょう。
病院に行くタイミングは?
1年以上避妊せずに性行為をしているのに妊娠できない夫婦で、不妊のチェックリストにあてはまる項目がひとつでもある場合、検査を受けるのをおすすめします。また、夫婦のどちらか一方でも35歳以上の場合は、加齢により妊娠率が低下するため、あてはまる項目がなくても、なるべく早く病院に行くと良いでしょう。詳しく検査をすることで、不妊の原因が特定できるかもしれません。
女性不妊のチェックリスト
□生理周期が不規則
正常な生理周期は25~38日とされていますが、生理周期が短すぎる「頻発月経」や長すぎる「稀発月経(きはつげっけい)」の場合、排卵が正常に行われていない可能性があります。
□生理痛がひどい
「以前よりも生理痛が強くなった」「鎮痛薬が効かない」といったように、ひどい生理痛があらわれる場合、不妊の原因となりやすい子宮内膜症の恐れがあります。
□経血の量が多い・不正出血がある
着床障害の原因となる子宮筋腫や子宮内膜ポリープの症状の可能性があります。
□性器クラミジア感染症などの性感染症にかかったことがある
クラミジアや淋菌への感染で内性器が炎症や癒着を起こすと、不妊の原因となります。
□乳汁が出たことがある
授乳期間中や妊娠中ではないのに乳頭から乳汁が出る場合は、生理や排卵を抑える働きがあるプロラクチンが異常に分泌されている「高プロラクチン血症」の疑いがあります。
□性交痛がある
子宮内膜症の症状の可能性があります。
□糖尿病や甲状腺機能異常などの疾患がある
糖尿病は「多嚢胞性卵巣症候群」とかかわりが深いとされています。一方、甲状腺機能異常で甲状腺ホルモンの分泌が減ると、月経異常の原因となります。
□婦人科手術を行ったことがある
婦人科手術の影響により、「卵管周囲癒着」を起こすことがあります。また、人工妊娠中絶の術後、子宮内膜が癒着する「アッシャーマン症候群」になると、着床障害の原因になります。
□ストレスが多い
過度なストレスにより自律神経のバランスが崩れ、排卵機能が低下します。
□タバコを吸う
喫煙により卵巣のホルモン分泌が抑制され、卵子の老化が早まることがわかっています。
□肥満(BMI25.0以上)
女性の体内で内臓脂肪が増えると、脂肪細胞から分泌されるアディポネクチンというタンパク質が減少し、排卵障害の原因になることが判明しています。
□やせすぎ(BMI18.5以下)
脂肪組織が少なすぎると、脂肪組織から分泌されるエストロゲンが低下し、無月経になりやすくなります。
男性不妊のチェックリスト
□射精時に出る精液の量が少ない
正常な精液量は約2mL以上とされていますが、極端に少ない場合、膀胱内に精液が逆流する「逆行性射精」のことがあります。
□睾丸(こうがん)が小さい・痛みや違和感がある
精子をつくる機能を妨げる「精索静脈瘤」の疑いがあります。
□大人になってからおたふく風邪にかかったことがある
15歳以上の大人の男性がおたふく風邪(流行性耳下腺炎)にかかると、精巣炎や精巣上体炎を合併しやすく、まれに「無精子症」の原因になることがあります。
□ストレスが多い
うつ病などの精神疾患のみならず、夫婦間のストレスや仕事の悩み、幼少期のトラウマなどあらゆるストレスが勃起障害(ED)の原因となります。精神的、心理的な要因から起こるEDを心因性EDと言います。
□タバコを吸う
造精機能に影響をおよぼすほか、EDの発症リスクを高めるといわれています。
□高血圧や糖尿病といった生活習慣病にかかっている
EDの原因となります。
□性器クラミジア感染症などの性感染症にかかったことがある
クラミジアや淋菌に感染すると、「両側精巣上体炎」になって精路通過障害を起こす可能性があります。
□睾丸を温める生活習慣がある
精子は熱に弱いといわれています。「ノートパソコンを膝の上に置いて使う」「長風呂」「ブリーフを好んで履く」といった睾丸(精巣)を温める生活習慣は、精子の減少や運動率の低下につながります。
不妊症の検査の方法は?
女性の不妊検査
女性の場合、不妊治療専門のクリニックか不妊外来のある産婦人科で検査を受けます。問診と内診のあとに、血液検査によるホルモン検査、超音波検査、子宮卵管造影検査、フーナーテスト(ヒューナーテスト)といった基本検査を行い、何らかの異常が疑われる場合は腹腔鏡検査といった精密検査に進みます。
男性の不妊検査
男性の場合、不妊治療専門クリニックか泌尿器科で検査を受けます。基本的な検査は「精液検査」で、病院か自宅でマスターベーションをして精液を採取し、精子の数や運動率などをチェックします。その後、ホルモン検査や染色体検査といった精密検査を行うこともあります。
早めの不妊症チェックで妊娠をめざそう
年齢が高くなるほど妊娠の可能性は低下してしまいます。「もっと早く治療を始めていれば」と後悔しないためにも、なるべく早い段階で不妊症のセルフチェックをして、気がかりな点があれば検査を受けましょう。不妊症の原因は多岐にわたり、特定できない場合もありますが、早期に適切な対処をすることで、妊娠の確率が高まりますよ。