排卵検査薬の陽性期間と妊娠しやすいタイミングのとり方は?無排卵についても解説!
排卵検査薬の陽性反応がでてから、タイミングを取るのに適している時期はいつごろなのでしょうか。身体の中で起こっている変化を見ながら、陽性期間や妊娠しやすい時期をクローズアップしていきましょう。この記事では、妊娠につなげるための排卵検査薬以外のチェック方法や、排卵後から妊娠までのプロセスも解説していきます。
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目次
排卵検査薬のはたらき
黄体形成ホルモンをとらえて排卵日を予測
「黄体形成ホルモン(LH)」は排卵間際になると分泌されるホルモンで、大きく育った卵胞を刺激して排卵を促します。基準値は20mIU/mL以下で、通常はそれを上回ることはほとんどありません。ところが、ひとたび分泌が始まるとその値は急激に上昇し、20mIU/mLを超えてきます。これを「LHサージ」と呼びます。
こうした変化をとらえられるのが排卵検査薬です。自宅で採尿し、尿中のLH量をみることでLHサージをとらえられます。数値が上昇すると判定結果が陽性となることから、排卵が近づいていることを予測することができるのです。
自分の身体の状態を把握するのにも役立つ
排卵検査薬には日本製や海外製などいくつもの商品があり、それぞれ特徴が異なります。検出感度も20mIU/mL~40mIU/mLと商品ごとに変わるため、排卵の状況はもちろん、黄体形成ホルモン分泌量の傾向などをとらえるのにも役立ちます。
たとえばLH分泌量がもともと低く、LHサージになっても分泌量が30mIU/mLを超えないという場合、高感度の商品を選択するとLHサージを検知できたという例もあります。このように、自分の身体の中のわからなかった部分が、検査薬を使うと把握できるようになるのは頼もしいですね。
月経のメカニズムと排卵のしくみ
卵胞ホルモンと黄体ホルモンがコントロール
排卵や月経は、脳下垂体の前葉から分泌される性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)や、卵巣から分泌される卵巣ホルモンのはたらきによって緻密にコントロールされています。性腺刺激ホルモンには「卵胞刺激ホルモン(FSH)」と「黄体形成ホルモン(LH)」があり、この2つのホルモンが分泌されることによって卵胞が成熟していくのです。
黄体形成ホルモンが排卵を促進
卵胞が成熟すると、卵巣からエストロゲン(卵胞ホルモン)が分泌されます。すると卵胞刺激ホルモンの分泌が抑えられ、黄体形成ホルモンが大量に分泌されるようになります。これが排卵検査薬でとらえることのできるLHサージにつながります。
LHサージが起こって排卵が誘発されると、エストロゲンに加えてプロゲステロン(黄体ホルモン)が卵巣内にある黄体から分泌されるようになります。プロゲステロンは子宮内膜をやわらかくして受精卵の着床に備えますが、着床が起こらないと卵巣からのホルモン分泌は減少し、子宮内膜が維持できなくなります。これが体外に排出され「月経(生理)」となるのです。
排卵後は黄体ホルモンが優位に
排卵後、プロゲステロン(黄体ホルモン)とエストロゲンにより子宮内膜がやわらかく整えられている期間を「分泌期」または「黄体期」といいます。一方、月経後から排卵が起こるまでの期間は「増殖期」または「卵胞期」といいます。
増殖期のあいだはエストロゲンが多く分泌され、受精卵の着床に備えて子宮内膜をふかふかした厚いベッドへと成長させます。その後排卵が起こると分泌期へと移行し、プロゲステロン(黄体ホルモン)がエストロゲンよりも多く分泌されるようになります。
黄体期に入ると、基礎体温も高温期に入ります。この期間はおおよそ14日間とほぼ安定しており、受精した卵子はこの期間に子宮まで移動して着床するのです。
平均して28日周期で繰り返す月経
正常な月経であれば3~7日間の出血が続いた後、卵胞期、排卵期を経て黄体期に突入します。次の生理が開始するまでの平均的な月経周期は28日間で、25日~38日間であれば正常といわれています。
生理の出血が続く日数や月経周期が正常値におさまらないときは、黄体機能不全などのホルモンのバランスの乱れや生殖器の病気が疑われるので、早めに医師の診察を受けると良いでしょう。
また、月経があるからといって、排卵も起こっているとは限りません。視床下部から分泌される性腺刺激ホルモン(ゴナドトロビン)の働きによって、無排卵でも月経が起こることがあるのです。
視床下部は交感神経や副交感神経をコントロールする器官でもあり、ストレスや疲労などのダメージを受けやすい場所。ストレスで生理が乱れるのはこのためです。妊娠に向けて月経のリズムを安定させるためにも、ストレスを減らし穏やかに生活できるよう心がけたいものですね。
平均的な排卵の時期は月経周期の14日目ごろ
平均的な28日の月経周期の場合、排卵は生理開始日から13~17日のあいだに起こります。最も可能性が高いのは14日目前後で、このころになると排卵に向けてホルモンの分泌量が変わったり、身体にさまざまな兆候が現れたりします。
排卵検査薬の陽性期間
検査開始後3日目ころがLHサージのピークに
排卵検査は月経周期から次の生理開始予測日を導き出し、その日から17日前に検査を開始するのが一般的です。規則的に生理が来ている場合は検査開始から3日目ごろにLHの分泌量がピークに達する計算となります。
LHサージの持続時間は約48時間
黄体形成ホルモンの分泌量は14時間かけて上昇してピークを迎え、その後14時間ピークが持続します。それから20時間かけて下降して、もとの状態に戻ります。LHサージは上昇が始まってから元に戻るまでの48時間をLHサージといい、排卵は上昇が始まってからおよそ40時間以内に起こります。
排卵していないのに陽性反応が出ることもある
排卵検査薬の陽性反応は、これから排卵が起こることを意味しますが、まれに「排卵をともなわない陽性反応」が出ることがあります。これはすでに妊娠していたり、不妊治療薬を使用していたりすることによるもの、疾患によるものなどいくつかの理由が考えられます。陽性反応が48時間以上続く場合は、すみやかに医師の診察を受けてください。
数ヶ月陰性が続く場合は無排卵の可能性も
検査期間中1回も陽性反応がなく、それが数周期続くときは排卵がない状態であることも考えられます。妊娠を望む場合は、原因を正しく把握するためにも医師へ相談することをおすすめします。
陽性後の性交のタイミングはいつ?
はじめての陽性反応の当日か翌日までに
陽性反応はLHの上昇が始まったときから検出され、排卵はLHサージが始まってから約40時間以内に起きます。卵子が体内で生きていられる時間は24時間、そのうち受精に適した状態なのは6~8時間と言う医師もいるため、そのタイミングを見計らって性交することが望ましいのです。
精子が体内で生きていられるのはおよそ72時間で、射精してから約6時間後に受精能力を持つといわれています。このことから、陽性反応が出た当日か翌日、すなわち排卵前から直後にかけての性交がベストなタイミングといえます。
陽性後は連続してタイミングが取れるとベター
妊娠するために避けては通れない性交の問題です。陽性反応が出てベストなタイミングなのに、パートナーとの距離があってタイミングをとれなかったというのは現実問題としてよく起こります。ナーバスな話題だけに、パートナーの気持ちや身体のことを気遣うとなかなか難しい面がありますね。
しかし、毎日性交したほうが精子の運動率があがるという報告あったり、女性はオーガズムを感じると排卵が誘発されるという説が注目を集めていたりと、今までとは異なる研究結果が出てきています。要は気持ちの良い性交を日常的に得られることが妊娠につながる可能性が出てきたということです。
陽性後は連続してタイミングが取れることがベターですが、陽性反応がないときもスキンシップなどを通じて高揚感を得られる工夫をしてみると良いかもしれません。
数周期性交をしても妊娠しないときは医師に相談を
排卵検査薬に陽性反応があって身体に排卵期の変化が見て取れるのに、タイミングをとっても妊娠にいたらないときは、ほかに注視すべき原因があるのかもしれません。こういった場合は、正確な状態を把握するためにも、医師に相談することをおすすめします。
排卵検査薬以外に排卵とタイミングを知る方法
女性周期管理アプリを活用
インターネット上では、生理日を記録することで次回の排卵・生理日を予測するアプリがいくつか配信されています。妊娠しやすいタイミングや次の生理日がわかりやすいアイコンで表示されるなど、アプリごとに使い勝手が工夫されているので、生理周期を把握するのに役立ちますよ。
アプリのなかには、パートナーと妊娠しやすい日を共有できるサービスが付いたものもあります。アプリによって管理できる内容や、予測の状況が異なるため、ご自身の身体に合ったサービスを探してみてください。
排卵前のおりものの変化に注目
排卵期近くなると、おりものの分泌量に変化が見られます。排卵の2、3日前になると、卵白のように水分量が多いトロンとしたおりものが分泌されます。このおりものはアルカリ性を示し、アルカリ性を好む精子が卵子までたどり着くのを助けてくれるのです。
排卵を過ぎると糸を引くような粘度の高いおりものに変化するため、排卵が起きたかどうか判断する基準にもなりますよ。
排卵で頭痛や下腹部痛が起こることもある
卵胞は排卵すると、一時的に血液で満たされ赤体となります。このときの出血が腹腔にある腹膜を刺激すると、下腹部に痛みを案じる「排卵痛」が起こります。排卵痛は必ずしも起こるものではなく、痛みをまったく感じない人もいるのですが、腹膜は痛みに敏感なため、なかには生理痛のような強い痛みを感じる場合もあります。
排卵時は、ホルモンの変化により身体のだるさや吐き気、頭痛やイライラなど生理痛と似た症状を引き起こすこともあり、黄体期全体でなんとなく調子が悪い日が続くというのもよく聞かれることです。身体の不調は気を滅入らせてしまいます。あまりにも調子が悪いときや不正な出血があるときは何らかの処置が必要なこともあるため、医師と相談しながら上手にこの期間を乗り越えましょう。
排卵前に最低体温になる基礎体温
排卵検査薬以外に身体の変化を見る手段として、基礎体温を記録するのもポピュラーな方法です。基礎体温は女性体温計を使い、毎朝同じ時間帯に、寝たままの状態で、舌下で測定します。最近では、専用のリーダーを使ってパソコンと接続し、データを簡単に管理できるものや、排卵や生理予定日が表示されるものが発売されていますよ。
生理開始予定日が過ぎても高温期が続けば妊娠の可能性も
排卵から月経開始までの期間はおおむね14日間です。14日よりも短ければ黄体機能不全など分泌系統の異常が理由としてあげられます。逆に、14日以上が過ぎても生理が来ないのは「生理が遅れている」状態で、妊娠の可能性やホルモンバランスの乱れなどが考えられます。
妊娠検査薬を用いた検査をしても兆候が得られなかった場合は、ゆったりとした気分で過ごしながらホルモンバランスを整えていきましょう。
不安なときは医療機関で超音波卵胞計測を
排卵検査薬やそのほかの方法をチェックしても、排卵が起こっているか、つかみづらいことがあります。そんなときは病院にかかり、医師による診察を受けましょう。婦人科外来ではお腹の卵胞の大きさを超音波で測ることができます。
タイミング後に妊娠を知る方法は?どれくらいで確認できる?
受精卵が着床するのは受精後7~10日
卵子が精子と結びついて受精卵になると、すぐに子宮に着床するわけではないのをご存知ですか。受精卵は分裂や増殖を繰り返しながら移動し、子宮にたどり着くのは受精からおよそ3日後です。そこから子宮内膜にもぐりこみ、数日かけて着床します。
受精から着床までにかかる日数は実に1週間ほどです。小さな卵子と精子は、身体の中で壮大な旅を続けているのですね。
採尿による妊娠検査薬が一般的
受精卵が着床すると、その後胎盤が作られ始めます。胎盤の形成にかかわるのは「ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)」で、着床後急激に分泌量が増えるため、妊娠したかどうかは尿中のhCG濃度で探ることができます。
自分で妊娠の可能性を調べるには、このhCGを尿から判定できる妊娠検査薬を使うのが一般的。排卵検査薬と同様、スティック型の検査薬に採尿して簡単に調べることができますよ。
一般用検査薬では生理開始予定日1週間後から測定可能
妊娠検査薬は第2類医薬品に指定されており、薬剤師が不在のドラッグストアなどでも販売されています。手軽に自宅で検査できるのが利点ですが、着床した直後のhCG量は微量のため、検査可能となるのは生理開始予定日1週間後からです。海外製の早期妊娠検査薬なら生理開始予定日当日から検査できるものもあります。
定められた使用期間よりも早く検査した場合、hCGの量が低く妊娠していても陰性反応となる場合があります。一度陰性になっても、予定日を過ぎて生理が来ないときは数日後に改めて検査をしてください。
医療機関の妊娠診断補助試薬では予定日当日から測定できる
医療機関で扱われている妊娠検査薬や、市販の早期妊娠検査薬は精度が高く、生理開始予定日より以前からhCGを検出できるものがあります。いつもと違う様子がみてとれて不安なときは、産婦人科を受診するようにしましょう。
排卵のタイミングは総合的に判断しよう
女性の身体はデリケートで、月経のメカニズムは実に複雑です。少しでも安心して妊娠につながる生活を送れるように、排卵検査薬だけではなく基礎体温や自分の体調の変化を記録して、傾向をつかんでおきたいものですね。
こうしたアイテムを総合的に活用してもなかなかリズムがつかめないときや妊娠に至らないときは、医師に相談しながら身体のほかのところに原因が潜んでいないか、チェックするようにしてください。