自営業やフリーランス、非正規雇用労働者でも育休給付金がもらえる?受給対象の拡大はいつから?
令和4年4月に有期雇用労働者の育児休業給付の要件が緩和され、10月からは育児休業の分割取得や出生時育児休業給付金が支給されるなど、子育て支援の充実が図られています。こうした中、個人事業主や非正規雇用労働者に対して育児休業給付金を支払う制度の創設に向け検討が進められています。これまでの議論の経過や内容について解説します。
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目次
非正規雇用労働者でも育休給付金がもらえる?
新制度創設に向け議論が進行中
雇用保険に加入している人は出産手当金、育児休業給付金・出生時育児休業給付金といった経済的支援が受けられます。しかし、雇用保険に加入していない非正規雇用労働者や自営業、フリーランスは育児休業給付金の対象にはならず、支援が手薄になっていました。
そこで現在検討されているのが、自営業者やフリーランス・ギグワーカーなどに対する育児期間中の給付の創設です(※1)。少子化対策の一環として、子ども・子育て支援の充実を図る検討課題にあげられ、年内に今後のスケジュールが策定される見通しです。
新制度創設の背景
新制度創設には、令和4年6月7日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2022(骨太方針2022)」において、持続的な社会保障制度(全世代型社会保障)の構築に向けた方向性が示されたという背景があります(※2)。
この骨太方針2022は、仕事と子育てを両立し男女が希望通りに働ける社会を構築するために、男性や非正規雇用労働者の育児休業取得や子育て支援に取り組むことが明示されたものです。
これを受け、政府の有識者会議である「全世代型社会保障構築本部(第4回)」にて令和4年11月24日に改革の方向性を示す論点が整理され、新制度の創設が検討すべき課題としてあげられました。議論が途切れることなく、確実な支援に結びつくことを期待したいですね。
育児休業給付金とは?
育休中に受け取れる手当
現在の雇用保険でまかなわれている育児休業給付金は、原則1歳までの子どもを養育するため育児休業を取得した場合に賃金の最大67%を受け取れる制度です。支給額は原則として「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」で計算されます。
現在の受給対象者
現在、育児休業給付金を受給できるのは雇用保険の被保険者です。雇用保険の加入には雇用期間が31日以上、1週間の所定労働時間が20時間以上といった要件が設けられています。
現在の受給要件
現在育児休業給付金の受給要件として定められている項目は、以下の4点があります。
①1歳未満の子どもを養育するために育児休業を取得した被保険者であること ※育児休業は2回までの分割取得が可能 |
②休業開始日前2年間に賃金支払基礎日数が11日以上または就業した時間数が80時間以上ある完全月が12ヶ月以上あること |
③休業期間中の就業日数が10日以下または就業した時間数が80時間以下であること |
④パートや派遣など有期雇用労働者の場合、養育する子どもが1歳6ヶ月に達する日までのあいだにその労働契約の期間が満了することが明らかでないこと |
受給対象者が拡大されるのはいつから?
フリーランスや非正規雇用労働者を対象とした新制度はまだ検討段階にあり、制度の開始時期や支給対象となる子どもの出生時期、支給方法、所得制限などは未定です。
2022年11月時点で月額2~3万円を定額支給するという報道が見受けられるものの、骨太方針2022や全世代型社会保障構築会議では支給額について示されていません。
また、政府は来年度の「骨太方針」において子ども・子育て支援関連予算の倍増を示唆していますが、給付金の財源をどうするのかは定まっておらず、今後の課題として残っているといえるでしょう。
育休給付金の新制度は最新情報を確認しよう
働き方が多様化する中、男性や非正規雇用労働者などの育児休業取得や子育て支援への対応が急がれており、新制度に向けた議論が進んでいることは歓迎すべきことですね。
その一方で、現行の育児休業給付金も近い将来に財源が不足するといわれており、社会保障制度そのものが抜本的な見直しに迫られている現状にあります。社会保障制度を安定的に継続していくための議論は各分野にわたるため、今後の制度の行方については注意深く見守る必要がありそうです。
※この記事は2022年12月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。