【小児科医監修】インフルエンザになったら?型別の食事&お風呂は?対処や予防方法!体験談も
通常の風邪に比べ、インフルエンザになると完治まで長期化し、症状も重くなる傾向にあります。もちろん感染しないのが一番ですが、もしもインフルエンザになったらどのように過ごせば良いのでしょうか。ここでは、子どもがインフルエンザにかかってしまったときの食事や、お風呂、感染予防の方法について解説します。
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目次
インフルエンザになったらどうする?
インフルエンザの症状かなと思ったら、なるべく早く医療機関へ行くことをおすすめします。(検査の種類によっては38度以上の発熱があって6-8時間経過後の検査を勧められる場合もあります)
通常の風邪によく似た症状だからといって放置してしまうと、重症化してしまうこともあり得ます。正しい判断ができるように、それぞれのインフルエンザの特徴について知っておきましよう。
インフルエンザA型の症状
インフルエンザA型では、突然の高熱が出る傾向にあります。高熱が出てから1~3日間のあいだに寒気や倦怠感、関節痛などの全身症状が現れ、やや遅れて鼻水や咳などの呼吸器症状が強く出るでしょう。
インフルエンザB型の症状
インフルエンザB型では、熱は微熱程度のこともあり、下痢や吐き気、嘔吐などの消化器症状が現れる傾向にあります。微熱だと、通常の風邪と勘違いしてしまう場合がありますが、周囲にインフルエンザの感染者がいて、消化器症状がある場合は、インフルエンザの可能性を疑ったほうが良いでしょう。
受診するタイミング
インフルエンザか通常の風邪か、また他の感染症なのか、自己判断は難しいものです。新型コロナウイルスと初期症状が似ているため、区別がつきにくいこともあります。思い当たる症状がある場合は、なるべく早く医療機関に行くことをおすすめします。医師に自分の身体に現れている症状を伝えましょう。
インフルエンザは、初期に対処することが大切です。抗インフルエンザ薬は、症状が出てから48時間(2日)以内に使用すれば、ウイルスの増殖を抑えて、症状を軽くし、完治まで短期間で済ませることができるといわれています。
インフルエンザになったら自己判断は避け、医師の指示に従いましょう。
インフルエンザになったらまずは水分補給を
インフルエンザになったらまずは、水分を十分に補給することを心がけましょう。インフルエンザになると発熱や下痢などにより、体内の多くの水分が失われます。脱水症などにならないためにも、こまめに水分補給をしましょう。また、脱水症予防の役割以外にも、喉を潤して喉の痛みや不快感を軽減させる役割もあります。
インフルエンザに感染しているあいだは、水分だけでなくナトリウムなどの電解質も失われます。そこで、経口補水液やスポーツ飲料がおすすめです。これらには、電解質が含まれているので、失われた成分を補うことができるでしょう。
子どもがスポーツ飲料を飲む場合には、水かお湯で2~3倍に薄めて飲ませるようにすると良いようです。スポーツ飲料は糖分が多く含まれているため、糖分過剰摂取にならないように気をつけましょう。または、子ども用のイオン飲料が市販されているので、そちらを飲ませると安心かもしれませんね。
吐き気や嘔吐などの症状が出ているときは、無理をせず、1回あたりの飲み物の量を少なくして、こまめに水分をとるように心がけましょう。
インフルエンザになったときの食事
インフルエンザになったら食事をとるのもつらい状況ではありますが、食事で身体に必要なものを摂取しなければ、体力ばかり消耗され、治癒しても身体がだるいという状態になってしまいます。インフルエンザの種類によって症状が異なるため、各々に適した食べ物があります。ここでは、インフルエンザA型・B型それぞれに合わせた食事を紹介します。
インフルエンザA型は、初期症状に突然の高熱や、寒気、悪寒、関節痛、筋肉痛、頭痛、倦怠感、食欲不振などの全身症状があります。その後、鼻水や咳などの呼吸器症状が強く出るのが一般的です。段階によって異なる症状が出る傾向にあるため、症状にあった食事をとることで、適切に身体を回復させましょう。
インフルエンザA型:高熱がでているとき
高熱が出ているときは、身体がインフルエンザウイルスと闘っている状態です。身体自体が持っている防御機能を落とさないためにも、抵抗力を高めて体力を失わないようにしましょう。このとき、「ビタミンB群」や「ビタミンC」、「ビタミンE」を摂取することがおすすめです。
栄養素 | 働き | 食品 | 補足 |
---|---|---|---|
ビタミンB群 | 私たちが生きるためのエネルギーをつくるのに欠かせない栄養素であり、タンパク質や糖質の代謝をサポートするなど重要な役割を担っています。 | 豚肉、卵、海苔、ヨーグルト、バナナ など | 発熱したときに失われやすい栄養素でもあるため、しっかり補給するようにしましょう。 |
ビタミンC | インフルエンザウイルスに対する抵抗力を高めるのに効果的な栄養素だといわれています。 | じゃがいも、さつまいも、みかんなどの柑橘類、キウイフルーツ、いちご、パイナップル、キャベツ、チンゲン菜 など | みかんの缶詰めであれば、用意も簡単にできますし、シロップでカロリーを摂取することもできますね。 |
ビタミンE | 白血球やリンパ球の働きをよくするといわれています。 | 植物油、大豆、玄米、アーモンド、ウナギ、サンマ、イワシ、かぼちゃ、ブロッコリー、アボカド など | かぼちゃの煮物であれば、他の家族の料理にもなりますし、すりつぶしてあげれば、インフルエンザの症状回復も期待できますね。 |
インフルエンザA型:熱が下がってきたら
熱が下がってくると、鼻水や咳などの呼吸器症状が出る傾向にあります。このとき、意識して摂りたい栄養が「タンパク質」と「ビタミンA」です。
栄養素 | 働き | 食品 | 補足 |
---|---|---|---|
タンパク質 | 身体の修復をする働きがあります。また、抵抗力を活性化させるともいわれています。 | 白身魚、鶏のささみ、卵(うずら卵、鶏卵)、豆腐、納豆 など | 豆腐は冷ややっこですと、お腹を冷やしてしまいますので、レンジで温めるなどして食べるようにしましょう。 |
ビタミンA | 喉や鼻の症状が気になる場合は、ウイルスへの抵抗力を高め、鼻やのどの粘膜を助ける「ビタミンA」を積極的に食事へ取り入れましょう。 | 卵(主に卵黄、うずら卵)、レバー、チーズ、にんじん、ほうれん草、かぼちゃなどの緑黄色野菜 など | お湯に粉末のコンソメを溶かし、溶き卵を入れたスープはいかがでしょうか。食欲が出てきたら、これにニンジンを小さく刻んだものや、他の野菜を入れてみてもいいですね。 |
インフルエンザB型に感染した場合の食事
インフルエンザB型では、下痢や吐き気、嘔吐などの消化器症状が出やすい傾向にあります。このときは、無理に食べ物を食べずに水分補給をこまめに行うようにしましょう。
食事は、吐き気や下痢などの症状がおさまってから、消化しやすいものや、やわらかく調理したものをとり、腸を刺激しないようにしましょう。
たとえば、次のような食べ物がおすすめです。
おじや、野菜スープ、うどん、豆腐、みそ汁、ヨーグルト、すりおろしりんご
食べ始めは、急にたくさん食べるのではなく、少量から徐々に量を増やすようにしましょう。吐き気や下痢などで食事がとれない状況から、急に食べ物をたくさんとってしまうと、胃が受け付けられずに、また吐いてしまうこともあり得ます。食事の際は十分気を付けてくださいね。
控えたほうが良い食べ物
おかゆや野菜スープやうどんに具材を入れる場合は、具材に注意をしましょう。食物繊維が豊富な海藻類やきのこ類はなるべく控えるようにしてください。食べ過ぎると、腸内でガスが大量に発生して刺激を与えてしまうことがあるようです。
ネギや生姜、唐辛子は身体を温める効果がありますが、胃腸への刺激が強いため、下痢などの消化器症状が出ている場合は控えるのが良いでしょう。
また、インフルエンザに感染しているときは通常より内臓の働きが弱まっています。冷たい飲み物が胃腸に負担をかけてしまうこともありますので、常温で飲むようにしましょう。
少しずつ食事をとりましょう
ここまで、インフルエンザ感染中におすすめの食事を紹介してきましたが、子どもは特に、食事をうまくできないときもあるかもしれません。発熱や、嘔吐などでつらく、食欲がわかないときなどは無理に食事をする必要はないようです。
栄養があるものをできるだけとらせて、早く楽になってほしいと願うママの気持ちもあるでしょう。しかし、無理に食べると吐き出してしまうこともあり、子どもが食事をつらく感じて、なかなか食べなくなってしまうこともあるようです。
たとえば、おかゆやうどんは嫌がっても、喉に通りやすいゼリーやプリンなら食べられる場合もあります。刺激物を避けながら、食べられるものから徐々に食べさせてあげましょう。
インフルエンザになったらお風呂には入れる?
インフルエンザに限らず、通常の風邪になったときでもお風呂に入って良いか迷うことがあるかもしれません。そもそも、なぜ「入らない方が良い」といわれることがあるのでしょうか。ここでは、インフルエンザになったらお風呂を控えたほうが良い理由と、入る際の注意点を説明します。
なぜお風呂は控えたほうがいいのか
インフルエンザにになったら、基本的にはお風呂は控えたほうが良いようです。これは、湯船に浸かるときに、体力を消耗してしまうからです。身体がウイルスと闘う体力を残すためにも、症状が落ち着くまではお風呂は入らない方が良いようです。身体をさっぱりさせたいときには、シャワーを浴びるようにすると良いでしょう。
いつからお風呂に入れるようになるの?
熱が下がり、体力が戻ってきてからはお風呂に入っても良いようです。しかし、この判断は難しく、専門家でも意見が分かれています。熱が下がっても、身体がだるいとき、食欲がないようなときは、体力を温存するという意味で、やはりお風呂は控えた方が良いでしょう。
お風呂に入るときの注意点
熱が下がってからも、しばらくは身体の調子が戻っていないものです。体力の消耗を防ぐために、長湯を避けて体を洗ったあとにさっと浴槽に入るか、シャワーを浴びる程度にしましょう。また、濡らしたタオルをレンジで温めた、蒸しタオルで身体を拭くだけにすることも簡単でおすすめです。
お風呂に入った後は、湯冷めをしないように脱衣所や部屋は暖めて、髪はすぐに乾かすようにしましょう。また、お風呂で奪われた水分を十分に補給することも、忘れないようにしてくださいね。
家族がインフルエンザにかかった!気をつけることは?
家族がインフルエンザになったら、二次感染しないためには、どのようなことに気をつければ良いのでしょうか。
湿度をこまめに調整しよう
空気が乾燥すると、喉の粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなります。特に乾燥しやすい室内では、加湿器などを使って適切な湿度(50~60%)を保つことが効果的といわれています。また、ウイルスを室内に蔓延させないためにも、定期的に換気をするよう心がけましょう。
手洗い、うがい、洗顔
インフルエンザに感染している人が触ったものには、ウイルスがついている可能性があります。手洗いによって手指についたウイルスを取り除きましょう。また、洗顔にも感染予防の効果があるといわれています。手洗いうがいとあわせて実施してみてくださいね。
マスクを着用する
咳やくしゃみからの飛沫(ひまつ)中のウイルスは、インフルエンザの主な感染経路だとされています。またマスク風邪での予防は、鼻や口などのインフルエンザウイルスが入りやすい部分の湿度を上げる意味でも効果的と考えられています。
ウイルス感染者と物を共有しない
インフルエンザにかかっている人が使ったものにはウイルスが付着している可能性があります。インフルエンザにかかってしまった家族とは、タオルやコップを共用しないよう、別のものを用意しましょう。
インフルエンザになったらしっかり身体を休めよう
インフルエンザになったら安静にして、休養をとりましょう。特に、睡眠を十分にとることが大切です。睡眠をとることは体力を維持することにつながります。
子どもであれば、登園、登校をせず、大人であれば通勤をしないようにしましょう。特に、幼稚園、保育園、学校に関しては、学校保健安全施行規則(学校保健安全法)に基づいて、登園、登校、出席停止の措置がとられます。その間は安静にして、治療に専念しましょう。
また、小児、未成年者では、インフルエンザに感染したことにより、急に走り出す、部屋から飛び出そうとする、ウロウロと歩き回る等の異常行動を起こすということもあり得るようです。少なくとも発症から2日間、小児・未成年者がひとりにならないよう気をつけましょう。
インフルエンザの流行時期
インフルエンザシーズンはその年の第36週から翌年の35週までのあいだで、2024/25シーズンは2024年9月2日~2025年8月31日までになります。
インフルエンザは例年、11月末ごろから報告数が増えはじめ、1月ごろにピークを迎えます。近年はインフルエンザや新型コロナ以外の感染症で例年以上に患者数が増加していたり、新型コロナとの同時流行の可能性も懸念されたりしているため、引き続き感染症対策をとるようにしましょう。
家族でインフルエンザにかかってしまったママの体験談
ままのて編集部に寄せられた、家族でインフルエンザにかかってしまったママの体験談を紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
子どもが保育園に通い始めた1年目の冬に家族でインフルエンザにかかりました。その年、わたしはインフルエンザの予防接種を受けていましたが、子どもは体調不良が続き予防接種をしていませんでした。
初めに兆候が現れたのが夫です。突然の高熱に病院に行くとインフルエンザの診断を受けたため、家族とは別の部屋に寝てもらいました。夫が発熱した次の日に子どもが発熱。病院に連れて行きましたが、熱が出てから24時間経っていなかったため検査ができず、次の日にもう一度病院に行くことになりました。このとき、夫はインフルエンザに罹っていたため、わたしひとりで看病をしました。
熱でぐったりとしていた子どもは、抱っこでくっついて離れず、子どもの顔が常に自分の目の前にある状況でした。まだ断乳をしていなかったため、食欲がなくても授乳をすることができるのが救いでした。わたしは予防接種を受けていましたが、常に子どもと至近距離で過ごしたためか、だんだん私も体調が悪くなり、高熱が出てしまいました。
次の日に病院に行った際に子どもにもインフルエンザの診断が出て、夫と看病を分担することになりましたが、それまでの2日間、途中から自分も高熱にもかかわらずひとりで看病せざるを得ず、非常に大変でした。
子どもがインフルエンザにかかったときには、一生懸命看病するだけでなく、母親であるわたしもマスクをしたり、なるべく休息をとったりして、自分自身も感染予防をする必要があると感じました。
インフルエンザの症状の段階に合わせて対応を
インフルエンザにかかってしまった場合の対応方法を知っておくことで、重症化を未然に防ぎ、早期回復につながるでしょう。身体がつらく、食欲がないときは無理をする必要はありませんが、水分補給だけは忘れないようにしたいですね。症状が回復してきて、食欲が出てきてからは、できるだけ負担のない食事に心がけましょう。少しでも早く、完治に向かうと良いですね。
※この記事は2024年9月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。