子宮頸管ポリープとは?悪性の場合はあるの?切除術とはどんな手術?
不正出血(生理以外の出血)に悩んでいる人が知っておきたい病気のひとつに「子宮頸管(けいかん)ポリープ」があります。子宮頸管ポリープはほとんどが良性で命にかかわるものではありませんが、ごくまれに悪性の場合があるため早めに取り除いておくと安心です。子宮頸管ポリープの症状や原因、切除術、妊娠への影響について解説します。
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目次
子宮頸管ポリープとは?
子宮頸管ポリープは、腟から子宮につながる子宮頸管の粘膜が増殖してできるポリープ(腫瘍)です。子宮頸管ポリープにはどのような特徴があるのでしょうか。
子宮頸管にできる良性の腫瘍
子宮頸管ポリープはそのほとんどが良性なので、がんのように命にかかわることは基本的にはありません。2、3ミリ~1センチ程度で、同時に複数個できることもあるでしょう。子宮の外にはみ出している場合が多く発見しやすいといわれています。ただしまれに悪性の場合もあるため、見つかった場合には切除して検査してもらうのが一般的です。
30代~40代の女性に多い
子宮頸管ポリープは、30代~40代の女性によく見られ、特に出産回数が多い人にできやすいという特徴があります。これにあてはまる人で、不正出血が気になっているという場合には、一度病院で診てもらうことをおすすめします。
子宮頸管ポリープの症状は?
不正出血がある
子宮頸管ポリープのもっとも特徴的な症状は不正出血(生理以外の出血)です。子宮頸管ポリープの組織は充血しており、またとても傷つきやすいので、ちょっとした刺激に反応して出血してしまいます。スポーツや性交による刺激ですぐに出血し、おりものに血がまじるようなら、子宮頸管ポリープを原因のひとつとして疑ってみましょう。
痛みはない
子宮頸管ポリープができても痛みを感じることはありません。わかりやすい症状は不正出血のみなので、普段から生理周期やおりものの変化に敏感になることが、子宮頸管ポリープに早く気づくための方法であるといえるでしょう。ただ不正出血でさえも起こらず自覚症状がない場合があり、子宮頸がんの検診やほかの病気に関する診察の際にたまたま発見されるケースも多いようです。
子宮頸管ポリープの原因は?
子宮頸管ポリープができる原因は、はっきりとは解明されていません。細菌による炎症やホルモンバランスの乱れなど、さまざまな考えがありますが、特定にはいたっていないため、どのような予防をすればいいのかはわからないのが現状です。子宮頸部(子宮の入り口部分)に慢性的な炎症を持っている人や、出産回数が多い人にできやすいといわれています。
子宮頸管ポリープが悪性の場合はあるの?
子宮頸管ポリープは、そのほとんどが良性ですが、ごくまれに悪性の場合があります。具体的には、およそ0.1%が悪性、およそ0.5%が悪性か良性か疑わしい「異形成」と呼ばれる状態であったという研究結果があります。そのため子宮頸管ポリープが見つかった際には、子宮頸がんなどの悪性の腫瘍でないかを念のため確かめる必要があります。悪性であると判断された場合には、ケースに応じて手術や治療を行うことになるでしょう。
子宮頸管ポリープの治療法は?切除術とは?
子宮頸管ポリープは、病院での内診時に腟に検査器具を入れて観察することで簡単に見つけることができます。子宮頸管ポリープが発見された場合、どのように治療を行うのでしょうか。切除術とはどのような処置なのでしょうか。
切除術が一般的
外来で子宮頸管ポリープが見つかったときには、大きなものや根が太いものでなければその日のうちにすぐに切除してもらえるのが一般的です。腟から器具を入れてポリープを根本からひねり取ります。痛みはほとんどなく、麻酔をせずに短時間で処置が終わる場合が多いでしょう。
根づいていて大きい、奥深くにあって見えにくいといった場合には、メスで切除したり、電気メスやレーザーメスを用いて「焼灼(しょうしゃく)切除」を行ったりすることも考えられます。切除とは別に、再発防止のためにレーザーでの処理や組織を凍結・破壊する処置を行う場合もあるでしょう。
切除したポリープは悪性かどうか検査
切除した子宮頸管ポリープは、悪性の可能性がないかを確かめるために組織検査を行います。ポリープの組織に染色液をつけて顕微鏡で観察し、悪性か良性かを判断します。異常が発見された場合にはがんなどの疑いがあるため、さらに精密な検査を受けることになるでしょう。
妊娠する前に切除しておくと安心
子宮頸管ポリープができると性交時に出血するため、性交を躊躇(ちゅうちょ)してしまう可能性があるという点においては妊娠の妨げになることが考えられますが、直接的な不妊の原因となることはありません。
ただ妊娠中に子宮頸管ポリープが見つかると、切除してもしなくても妊娠に何かしらの影響を与える恐れがあります。妊娠する前に切除術を受けておくことで、安心して妊娠状態を維持したいですね。
子宮頸管ポリープ切除術の費用は?
保険が適用される
子宮頸管ポリープの切除術は、子宮頸管ポリープの治療なので保険が適用されます。日帰りでできる簡単な処置の場合には3割負担で5千~1万円程度、入院して手術を行う場合には、同じく3割負担で3万円程度と見積もっておくと良いでしょう。
生命保険では手術給付金が出ることも
任意保険に加入している場合には、保険会社から手術給付金の支給を受けることができる可能性があります。日帰りの子宮頸管ポリープの切除術であっても給付対象になる場合があるため、事前にご加入の保険の適用対象を確認してみましょう。
子宮頸管ポリープ切除後の過ごし方!出血はある?
子宮頸管ポリープを切除した後には、どのような症状があるのでしょうか。気をつけておくべきことを確認していきましょう。
切除術後は出血がある
子宮頸管ポリープを切除した後、少量の出血が続くことがあります。数日間でおさまる出血なので、神経質になる必要はありません。出血量があまりにも多い場合やなかなか止まらない場合には病院に相談してみましょう。
激しい運動や性交は控える
切除当日の入浴は控えるとともに、切除後しばらくは激しい運動や性交を控え、腟や子宮に刺激を与えないようにしましょう。切除後数日間は安静にして、普段通りの生活を送りましょう。
再発に注意
子宮頸管ポリープは、切除時に完全には取りきれなかった根の部分や、もともと持っている炎症が原因となって再発することがあります。そのため定期的に検査を受けて経過を見る必要があります。
子宮頸管ポリープが妊娠中にできたら?
子宮頸管ポリープは妊娠中に発見されることがあるのでしょうか。妊娠中に見つかった場合にはどのように対処すると良いのでしょうか。
妊娠中は慎重に対処
妊娠中にも子宮頸管ポリープが見つかることがあります。自覚症状がなく、妊婦健診の際に発見されるケースもみられます。子宮頸管ポリープが見つかった場合には、妊娠への影響を踏まえた上で慎重に治療について検討する必要があります。
切除するかどうかはケースによる
妊娠中に子宮頸管ポリープが見つかった場合には、医師の判断によって切除するかどうか、あるいはいつ切除するかが異なります。ポリープを切除することで子宮の中の状態が変わってしまうため、妊娠に悪影響だととらえられることもあれば、ポリープがあることで出血や感染症のリスクが上がるため早めに切除するほうが得策だと考えられることもあるためです。
一例としては、赤ちゃんを包み込む絨毛膜(じゅうもうまく)や羊膜が炎症を起こす「絨毛膜羊膜炎」になるリスクが高まるとの指摘があります。子宮頸管ポリープが妊娠状態を継続する妨げになると判断された場合には切除することになり、特に影響がない場合には妊娠状態が安定するまで様子を見たり、切除しない選択をしたりすることになるでしょう。
子宮頸管ポリープを早期発見するためにも、定期的に検診を受けよう
子宮頸管ポリープは放っておいても命にかかわることはありませんが、切除しない限り良くはなりません。妊娠中に見つかると処置しにくい場合も考えられるため、早めに見つけて切除し、悪性かどうかを検査して不安を解消しておきたいですね。
不正出血があるときに病院に行くのはもちろんのこと、症状がないときでも定期的に子宮頸がん検診といった婦人科検診を受けるようにすることで、子宮頸管ポリープを早めに発見できるようにしておきましょう。しっかり検診を受けることで、ほかの見逃してしまいがちな病気を発見することもできるかもしれませんよ。