子宮内膜炎の症状や原因、検査、治療法は?妊娠への影響と手術の必要性は?

子宮内膜に細菌が感染して炎症が起こる「子宮内膜炎」という病気をご存じでしょうか。「子宮内膜症」との区別がつかない人もいるかもしれません。子宮内膜炎は、悪化すると他の炎症と併発したり、不妊につながったりすることのある病気です。子宮内膜炎の症状や原因、検査法、治療法・治療期間、手術、妊娠との関係について知っておきましょう。

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この記事の監修

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産婦人科医
杉山 太朗

目次

  1. 子宮内膜炎とは?原因は?
  2. 子宮内膜炎の症状をチェックしよう
  3. 子宮内膜炎の検査とは?
  4. 子宮内膜炎の治療方法・治療期間は?
  5. 子宮内膜炎でも妊娠できる?
  6. 子宮内膜炎を予防するには?
  7. 子宮内膜炎は症状がひどくなる前に病院へ
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子宮内膜炎とは?原因は?

子宮内膜炎とはどのような病気なのでしょうか。原因や子宮内膜症との違いについて知っておきましょう。

子宮内膜が細菌に感染して炎症が起こる

子宮内膜が病原菌に感染して炎症が起こる病気のことを「子宮内膜炎」と呼びます。ブドウ球菌、大腸菌、連鎖球菌といった常在菌や、淋菌やクラミジアのような性行為によって感染する菌や原虫、ウイルスなど、原因菌はさまざまです。

分娩や人工妊娠中絶手術、流産時の処置によって子宮の中についた傷、子宮頸管や子宮口の閉塞、性行為、免疫力の低下、タンポンを長時間装着することによる衛生状態の悪化といった要因からこうした菌に感染することが考えられます。

子宮内膜症とは異なる

子宮内膜炎というと、「子宮内膜症」と混同してしまう人が多いのではないでしょうか。子宮内膜症は、卵管や卵巣など子宮以外の場所に子宮内膜のような組織ができる病気なので、菌の感染によって炎症が起こる子宮内膜炎とはまったく異なります。両者を区別して理解しましょう。

子宮内膜炎の症状をチェックしよう

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子宮内膜炎になると、どんな症状が現れるのでしょうか。子宮内膜炎を大きく分けると「急性子宮内膜炎」、「慢性子宮内膜炎」、「老人性子宮内膜炎」の3種類があり、種類によって症状の特徴が異なります。それぞれについて症状をチェックしていきましょう。

急性子宮内膜炎の症状

子宮内膜の表面の部分で起こる一時的な炎症のことを急性子宮内膜炎と言います。生理によって子宮内膜が剥がれ落ちるため、自然に治癒する例もあるようです。症状としては、下腹部痛や生理以外の出血(不正出血)、膿状のおりものや白~黄色、黄緑のおりもの、発熱や下痢があげられます。

自然に治るだろうと放っておくと卵管や卵巣まで感染が広がってしまうことがあるため、数日経過しても症状が治まらない場合は早めに病院に行きましょう。

慢性子宮内膜炎の症状

子宮内膜の深い部分で炎症が起こっている場合には、生理が起こっても子宮内膜が体外に排出されないため、慢性的に炎症が起こってしまうことがあります。症状として生理の経血の減少や生理がこない(無月経)ことがあげられますが、自覚症状がない場合も多いため、見過ごされてしまう危険性のある病気です。また、慢性子宮内膜炎は不妊につながりやすいことが指摘されています。

老人性子宮内膜炎の症状

歳をとると女性ホルモンの分泌量が減少し、おりものが分泌されなくなり、子宮や腟の中の自浄作用(清潔でうるおいのある状態を保って細菌の侵入を防ぐはたらき)が低下してしまいます。さらに閉経を迎えると生理によって子宮内膜が排出されることがなくなるため、子宮内膜が再生されず細菌感染のリスクが高まります。

こうした加齢による子宮の環境の変化によって起こる子宮の炎症は「老人性子宮内膜炎」と呼ばれています。老人性子宮内膜炎になると、膿状のおりものや下腹部痛といった症状があらわれることがあるでしょう。子宮頸管が塞がって膿がたまりやすくなる可能性もあります。

子宮内膜炎の検査とは?

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子宮内膜炎が疑われる場合、病院では必要に応じて以下の検査を行うことになります。

内診

医師による問診で症状を確認したり、子宮のあたりを押して圧迫し、痛みが出ないかどうかを確認したりします。

子宮からの分泌物を採取

子宮頸部や腟の粘液(おりもの)を採取して観察し、病原菌・原虫に感染しているかどうか、どの菌・原虫に感染しているのかを調べます。

子宮内膜の組織検査

専用のチューブやスプーンのような器具で子宮内膜の組織を小さく削り取り、子宮内膜の細胞に炎症が起こっているかどうかを観察します。

血液検査

血液を採取して白血球(WBC)数や赤血球沈降速度(ESR)、クラミジアの抗体といった血液中の成分の検査を行うことも考えられます。

子宮内膜炎の治療方法・治療期間は?

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子宮内膜炎と診断された場合、どのような治療をどのくらいの期間行うことになるのでしょうか。薬剤を使用した治療だけでなく、入院や手術も必要なのでしょうか。

抗生物質で治療

子宮内膜炎の治療法としてもっとも一般的なのは、抗生物質による治療です。原因となる菌や原虫のはたらきを抑えたり増殖を防いだりする抗生物質を使用します。炎症を抑えるために消炎薬を用いることもあるでしょう。

急性子宮内膜炎であれば数日~1週間程度の治療期間で治ることがありますが、慢性子宮内膜炎の場合には長期的な治療や検査が必要になることが考えられます。

ドレナージ(排膿:はいのう)を行う

子宮頸管や子宮口がふさがって分泌物が外に排出されないことで、子宮の中に膿がたまってしまう場合があります。たまった膿を体外に出すために、ドレナージと呼ばれる処置を行うことがあるでしょう。ドレーンという細いチューブで膿を排出します。

入院や手術に発展することも

子宮内膜炎がひどくなると、入院治療で抗生物質の点滴を行ったり、手術をしたりする場合があります。悪化する前に症状に気づいて治してしまいたいですね。また、流産後や産後など術後に感染症を発症したときには、そのまま入院して治療を行う場合があるようです。

子宮内膜炎でも妊娠できる?

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子宮内膜炎になったからといって必ずしも妊娠できないわけではありませんが、妊娠しにくくなることがあります。特に慢性子宮内膜炎は不妊原因のひとつであるといわれており、不妊に悩んで病院で検査を受けたところ慢性子宮内膜炎だったという例もあるようです。また、急性子宮内膜炎であっても、悪化すると卵管や骨盤周辺まで広がって卵管炎や骨盤腹膜炎を併発することがあり、不妊症につながる可能性があるでしょう。

なお、妊娠中に炎症をわずらっていると、早産になったり、産道感染によって新生児の肺炎や結膜炎の原因となったりすることが考えられます。早く病気を発見して母体と胎児両方にとって影響が少ないように治療したいですね。

子宮内膜炎を予防するには?

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子宮内膜炎を予防するために、どのようなことに気をつければ良いのでしょうか。普段のちょっとした心がけを続けることで、細菌に感染しにくい環境作り・身体作りをしていきましょう。

デリケートゾーンを清潔に保つ

下着やおりものシート、生理用ナプキンをこまめに取り換えたり、タンポンは長時間つけないようにしたりすることで、デリケートゾーンを常に清潔に保ちましょう。汚い状態で放置しておくと細菌が繁殖しやすくなってしまいます。

ただし腟内の洗いすぎには注意してください。おりものを必要以上に洗い流してしまうと、おりものの体内に細菌が侵入しないように防ぐ効果(自浄作用)が低下してしまう可能性があるためです。1日に何度も石鹸で洗ったりごしごし洗ったりするのは控えてくださいね。

通気性の良い格好をする

下着や洋服は通気性の良い素材のものを着用しましょう。下着の中に空気がこもってしまうと、蒸れて細菌が繁殖しやすくなってしまうかもしれません。綿素材の下着やスカートを着用するなど工夫しましょう。

性行為はコンドームをつけて

性行為によって淋菌やクラミジアといった性感染症をわずらうことで、子宮内膜炎を発症する可能性があります。感染を防ぐため、性行為はコンドームをつけて行うようにしましょう。性交の後にシャワーを浴びて腟を清潔に保つことも大切です。また、性交を行う以前に、性感染症にかかっている疑いがある人との性交は避けるようにするのが賢明です。

免疫力を高める

体調不良や不規則な生活、栄養不足によって身体が弱っていると、免疫力が低下して細菌に感染するリスクが高まります。十分な睡眠と栄養バランスのとれた食事、規則正しい生活を心がけ、細菌に感染しにくい健康な身体を作りましょう。

子宮内膜炎は症状がひどくなる前に病院へ

子宮内膜炎は、慢性化している場合は症状に気づきにくいため、知らぬ間に発症して悪化してしまうことがあります。不妊で悩んでいて、かつ生理の経血が少なかったり生理がこなかったりする人は、病院で検査を受けてみると子宮内膜炎が見つかるかもしれません。

また急性のものであっても、放っておくとますます悪化して炎症が広がってしまう危険性があります。不正出血やおりものの異常、下腹部痛といった症状が出てきた場合には悪化する前に病院へ行き、治療を開始しましょう。

子宮内膜炎にかかっていない人も、デリケートゾーンを清潔に保ちつつ性行為を行う際にはコンドームを使用するなど、感染症にならないように注意を払いながら生活してくださいね。

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