【乳がん検診について学ぼう】乳がんの症状は?検診はいつから受ける?費用やセルフチェックの方法について解説|産婦人科医監修

乳がんは女性がかかるがんの中でもっとも多い病気です。誰もがかかる可能性があると同時に、早い時期に治療することで治癒する可能性が高いがんでもあります。子どもと一緒に笑顔で生活していくためにも、病気の発見につながる乳がん検診やセルフチェックについて学んでいきましょう。乳がんの症状や検診にかかる費用についても解説します。

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この記事の監修

藤東 淳也
産婦人科医
藤東 淳也

目次

  1. 乳がんとは?
  2. 乳がんの自覚症状はある?
  3. 乳がん検診はいつから?費用は?
  4. 乳がんを予防するには?
  5. 乳がんのセルフチェックをしてみよう
  6. 乳がん検診とセルフチェックで身体をケアしよう
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乳がんとは?

女性でもっとも多いがん

乳がんは乳房(にゅうぼう)にできるがんで、女性のがんの中でもっとも報告数が多いものです。毎年9万人以上の人が乳がんと診断され、2020年には約14,000人もの方が亡くなりました(※1)(※2)。患者数も死亡者数も年々増加傾向にあり、年代別では40代後半から罹患(りかん)者数が多くなります。

がんにかかるのは高齢者であったりまれなことだったりというイメージがあるかもしれませんが、実は身近な病気だと意識しておくことが大切なのです。そして、がん=死の病気と恐れすぎる必要もありません。

乳がんは卵巣がんや大腸がんなどそのほかのがんと比べ5年後の生存率が90%以上と高く、早期であれば治癒しやすいという特徴があるのです(※3)。子どもの成長を見守っていくためにも、早期発見・早期治療を考えながら対策していきたいですね。

※罹患…病気にかかること

乳腺にできる

乳がんが発生する場所の多くは、乳房の中でも乳腺(にゅうせん)と呼ばれる組織です。ママには母乳がつくられ運ばれる場所としてなじみがある名前かもしれません。

この乳腺は、母乳をつくる10~20個あまりの小葉(しょうよう)と、そこから乳頭に向かって伸びる乳管(にゅうかん)で形成されています。がんが発生しやすいのは乳管のほうで、そのほとんどが小葉の近くで発見されています。がんが進行すると、周りのリンパ節やほかの臓器に転移することがあります。

乳がんの自覚症状はある?

乳がんは自分でみつけることができる数少ないがんのひとつといわれています。それでは、乳がんにはどのような自覚症状があるのでしょうか。

・胸のしこり(乳房、脇の下)
・皮膚のひきつれ
・くぼみ
・腫れ、変形
・皮膚のただれ
・乳頭から茶褐色の分泌物

自覚症状としてまっさきにあげられるのは胸のしこりです。乳房だけでなく、脇の下にできる場合もあります。このしこりは、痛みをともなわないことが多いのが特徴です。ほかに皮膚のひきつれ、えくぼのようなくぼみ、腫れや変形などがみられます。皮膚がただれたり乳頭から茶褐色の分泌物が出たりすることもあります。

こうした自覚症状に気づくのは、ある程度がんが進行して腫瘍が大きくなってからです。早期の場合は自覚症状がなく、自分ではなにも気づかないうちに検診ではじめてがんがみつかることも少なくありません。早期発見は早期治療につながることから、検診を受けることがとても重要なのだということがわかりますね。

乳がん検診はいつから?費用は?

40歳以上は自治体の助成が受けられる

日本では科学的に効果が認められたがん検診を推進するため、厚生労働省において指針が設けられています。これによりほとんどの自治体ではがん検診の費用を助成するクーポンを配付しており、一部の自己負担で検査が受けられます。

乳がんに罹患する人は20代から徐々に増えてきますが、割合としては40歳以上が大半です。そのため、公費による助成の対象となるのは40歳以上と定められています。問診・視触診およびマンモグラフィによる検診を原則とし、2年に1度の間隔で行うことが推奨されています。

20代30代は乳腺エコー(超音波検査)

乳がんの検査方法で死亡率低下に効果があるとされているのはマンモグラフィです。しかし、マンモグラフィには高濃度乳腺での精度が低いという弱点があります。この高濃度乳腺は乳腺が発達した状態を指し、閉経前の40歳未満に多い傾向がみられます。

そのため過去に高濃度乳腺と診断された人や20代~30代では、乳腺超音波検査(乳腺エコー)を選択するのが一般的です。ペースメーカーや豊胸手術をしている人も受けられます。

乳腺エコーは妊婦健診の腹部エコーと同じく乳房に超音波をあて乳腺の状態を調べるもので、痛みがなく被ばくの心配もありません。検査費用は自費では3,000円~5,000円が相場です。加入している健康保険組合が実施する健康診断項目に盛り込まれている場合もあるため内容を確認しておきましょう。

ただし、乳腺エコーについては乳がんの死亡率低下に有効であるというデータは示されておらず、その科学的根拠については研究が進められている状況です。心配なときはマンモグラフィとの併用や乳腺MRIを視野に入れ、気になる症状があれば医師の診察を受けましょう。

項目
費用の相場
自治体検診の一部負担1,000~1,500円
自費診療3,000~5,000円

40歳以上はマンモグラフィ

40歳以上は乳がんの発生率が上がるため、効果が認められたマンモグラフィ(乳房X線検査)による検診が推奨されています。

マンモグラフィは乳腺専用のレントゲンで、X線で乳房を撮影するものです。乳房を機器で圧迫し薄く伸ばした状態で撮影するため、人によっては強い痛みを感じることがあるかもしれません。

被ばく量は少量といわれており、健康への影響は心配しなくても良いでしょう。自費で検査する場合は4,000円〜6,000円が相場です。病院によっては10,000〜15,000円ほどの費用でマンモグラフィと乳腺エコーを併用するプランや、子宮がん検診とセットになったプランを実施しているところもありますよ。

項目
費用の相場
自治体検診の一部負担1,500~2,000円
自費診療4,000~6,000円

※乳房のしこりや痛み、違和感など何らかの自覚症状がある方は、保険診療(3割負担)となる場合があります。詳細は各病院へお問い合わせください、

乳がんを予防するには?

食生活を見直す

日本やアジアの地域よりも欧米で乳がんにかかる人が多いこと、さらに肥満の人よりも痩せている人のほうが乳がんになるリスクが低いことから、乳がんの発生には食生活が影響していると考えられています(※4)(※5)。

食事はバランスを考え、ひとつの栄養にかたよらないようにすることが大切です。イソフラボンを含む納豆や豆腐などの大豆製品や、野菜、果物が不足しないよう心がけましょう。

やせているほうがリスクが低くなるとはいえ、やせすぎもよくありません。独立行政法人国立がん研究センターが提唱する「日本人のためのがん予防法」では、中高年女性のBMIの目標値として21以上25未満を推奨しています。

飲酒・喫煙を控える

さまざまな研究において、飲酒や喫煙は閉経前の乳がんのリスクを高めることが報告されています。特に、飲酒は量や回数が増えるほどリスクは高まる傾向が示されています(※6)。乳がんのリスクを考えると、飲酒や喫煙はなるべく控え、量や回数を減らすようにすると良いでしょう。

定期的にセルフチェック、検診を行う

乳がんの対策としては、定期的なセルフチェックが有効です。乳がん検診で異常なしという判定であっても、その後のセルフチェックでがんが見つかるケースも報告されています。自治体や健康保険組合で行う乳がん検診に加え、月に1回のセルフチェックを行うと安心ですよ。

乳がんのセルフチェックをしてみよう

1.見てチェック

乳がんがあると周りの皮膚がひきつれてくぼんだり、乳頭や乳房が変形したりすることがあります。こうした変化がないかよく観察しましょう。

チェック方法

1.上半身が見やすい鏡を用意し、下着を外します。
2.両腕を下ろした状態で乳房や乳頭の形を覚えます。
3.正面を向いたまま両腕を上げて、乳房のくぼみやひきつれ、乳頭のただれや変形がないかチェックします。
4.横向き、斜め向きで3のチェックを繰り返します。

2.触ってチェック

乳房や乳頭にしこりがないか確認するには、触ってチェックすることも大切です。仰向けの状態で左右交互にチェックしてみましょう。横になるときはチェックするほうの肩の下に薄い枕や折り畳んだバスタオルなどを敷き、乳房が垂れずに均等に広がるよう調整してくださいね。

右胸をチェックするときは左手、左胸をチェックするときは左手と、チェックする胸とは反対の手で触るのが基本です。

チェック方法(※7)

1.まずチェックするほうの腕を頭の後ろに上げ、乳房の内側半分をチェックします。胸の中心から外側に向けて、指の腹で軽く圧迫しながら触れていきます。

2.内側半分を上から下までまんべんなく調べたら、外側半分を調べます。上げていた腕を自然な位置までおろし、胸とは反対の手で外側から胸の中心に向けて、指の腹で圧迫しながらまんべんなく確認します。

3.最後に脇の下にしこりがないか確認したら、反対側も同じようにチェックしてみましょう。指の腹で小さな「の」の字を描くように触る方法もあります。

3.つまんでチェック

乳頭はつまんでチェックします。チェックするほうの腕を頭の後ろに上げ、反対側の手で乳頭を軽くつまんだら、乳をしぼる要領で茶褐色の分泌物が出ないか確認します。左右両方行いましょう。

乳がん検診とセルフチェックで身体をケアしよう

乳がんは怖い病気ではありますが、早く見つければ治癒する可能性も高くなります。毎月のセルフチェックや定期的な乳がん検診は欠かさずに取り組んでいきましょう。

胸のセルフチェックを続けていると自分の胸の状態が把握でき、異変があったときに察知しやすくなりますよ。セルフチェックで気になることがあれば早めに医師の診察を受けてくださいね。

※この記事は2022年3月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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