【保育士解説!#2】パパの育児参加「イクメン」を徹底解説!男性の育児参画は本当に必要?
保育士・子育てアドバイザーとして活躍する河西景翔先生の連載第2弾。今回は、パパの育児参加「イクメン」について語っていただきました。パパが育児に参加すると、パパが育児に参加すると、子どもにとっても良いことがあるそうですよ。ぜひ内容をパパとママとでシェアして、家庭に合った笑顔になれる育児を模索してみてくださいね。
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目次
「イクメン」男性の育児参加は必要?日本の現状は?
そもそもどうして男性の育児参加が大切なのか皆さんはご存じですか。
ここでは、さまざまなデータを用いて解説します。男性も育児が必要な理由を知って、ぜひ夫婦で子育てを担っていただければと思います。
男女が育児に関わる時間の誤差
2007年から、男女ともに社会に出て働く指数が一気に向上しました。しかし、いつの時代も「男女平等」をうたいながらも実際に育児をしているのは「女性」が大半を占めているのではないでしょうか。
内閣府の少子化社会対策白書(※1)では、男女が育児に関わる時間を表で表しているので紹介しますね。
妻と夫の家事・育児関連時間を比較したグラフを見ると、女性の家事・育児負担が7.34時間(育児時間3.45時間)なのに対して、男性はなんと1.23時間(育児時間0.49時間)という数字が出ています。一方でノルウェーの家事・育児関連時間は、女性が5.26時間(育児時間2.17時間)なのに対して男性が3.12時間(育児時間1.13時間)と日本との差を感じますね。
女性にかかわる社会問題
近年の「人口減少」「女性活躍」「少子化」「待機児童」など、私はすべてにおいて男性の問題ではなく女性の問題としてあつかわれている気がします。
ガラスの天井指数という女性の社会進出をさまたげる障壁指数がありますが、日本はなんと30ヶ国中28位。これは何を意味するのかというと、男性が家庭の仕事をある程度担わないと、女性は社会で十分に活躍できないことを示しています。
※ガラスの天井…男女平等を示す指数(資質や成果にかかわらず、マイノリティや女性が組織内で昇進しにくい壁)
第2子を望んだ時に必要な男性の育児時間
先進国と言われている我が国が、少子化を打破していないということは非常に恥ずかしいことだと思います。
厚生労働省が行った21世紀成年者縦断調査(※2)によれば、第2子を望んでいる夫婦でも、男性が休日に家事・育児を2時間以上たずさわっている家庭のほうが第2子の出生率が高いともいわれています。
さまざまなデータを見比べると、より男性の育児参画(さんかく)の重要性を感じますね。
※参画…計画の相談に加わること
母親の精神的なケア
女性の身体や精神的なことをお伝えすると、女性の産後の身体は大きな負担がかかり大怪我しているのと同じ状態です。その身体が元の状態に戻るまでには、約1年かかると言われています。
産後は身体が傷つくだけではなく、精神的な病におちいるケースもあります。個人差がありますが、一般的に産後2週間程度は非常に気持ちが不安定になり、「産後鬱(さんごうつ)」と言われる精神的なダメージを感じる方もいますよね。こういうときこそ、男性からのケアが大切なのではないでしょうか。
出産直後、男性が自宅で母子のケアをしてあげるのとそうでないのとでは、精神的な面でも大きく変化します。
女性の「いのち」を救って支えているのは、身近な男性の存在なのですよ。
パパが育児に参加すると子どもの情緒が安定する?
男性が育児に参加することは、女性のフォローだけでなく子どもの成長を助けることにもつながります。
男性の育児参加が子どもにおよぼす影響をお伝えします。
男性の育児参加は子どもの「いのち」を守る
「父親の育児関与と幼児における不慮の事故:日本人口に基づくコホート研究 」(※3)では、男性が赤ちゃんの生後6ヶ月時点で育児関与率が高いと、生後18ヶ月時点での不慮の事故(転落・溺水(できすい)・誤嚥(ごえん)・火傷)などが防げる可能性が高いという結果が出ています。
ワンオペと言われるよう、夫が仕事などで忙しくて主に女性がひとりで育児すると、子どもを見守る目は右と左の2つしかありません。しかし、そこに男性が入ってふたりで育児することで、見守る目は4つになります。
人の目や手を差し伸べる数が増えれば増えるほど、子どもの「いのち」もしっかり守ることができることもいえるでしょう。
※溺水…気道内に液体が入り、気道がふさがり息を詰まらせること
※誤嚥…食べ物をうまく飲み込めずに気管を詰まらせること
男性の育児時間が長いと「反抗期」が少ない
海外で5世代に渡って研究された調査では、男性が生後〜満3歳までしっかり育児に入って子どもと関わると、「反抗期」と言われる期間が参画しなかった家庭と比べて非常に短くなるという結果が出ているそうです。
「ママだけでなく、パパもいろいろな周りの方々も育児参画することで、子どもの情緒の安定や成長・発達を促せる」というように、これからはチームで行う育児がより大切になってくるのではないでしょうか。
保育士から見た「イクメン」とは?
私もたまにパパ向けのセミナーを開催します。
そこでは「何をしたらいいのかわからない」「育児休暇とりたくてもなかなか難しい」という話が出てくるのでお答えしますね。
子どもが生まれる前から知識をたくわえておく
パパは、子どもが生まれてから「何したらいいんだろう」と悩むのは当たり前の姿です。しかし、結婚したら子どもを授かることを考えておくのは必要なこと。授かってから慌てるのではなく、授かる前から勉強をしておくことは大切なことです。
妊娠が判明してから出産までは約半年強あります。1日1ページでも、新生児のお世話や子どもに関する本を読めば、知識をたくわえることができます。
また、赤ちゃんが生まれる前に地域で「赤ちゃん教室」などが開催していれば通っておくと良いでしょう。そこでパパ仲間を作っておくと、子どもが誕生してから同じ悩みを共有できることがあります。
パパ仲間と悩みを共有する大切さ
最近ではマタニティーブルーという言葉と同じように、男性の「パタニティブルー」という言葉が存在します。子どもにさまざまな育児のアプローチをしても上手くいかない…すると落ち込んで悩んでしまうパパが多いようです。
もし、子どものお世話がうまくいかないことや妻の体調など同じ悩みをパパ仲間と共有することができれば、「どこも一緒なんだ」という安心感につながります。悩んだときにたくさんの人と関わることで、気持ちを落ち着かせることにつながるでしょう。
ぜひパパ仲間ができるよう、時間のゆるす範囲で赤ちゃん教室などへ足を運んでみてください。
あらかじめ職場に話をしておく
男性の育休が徐々に浸透してきましたが、まだまだ職場の理解が得られないパパも多いでしょう。
その場合、まずは出産がいつになるのか職場の周囲の人たちにきちんと伝えておくことが大切です。いきなり休まれては、会社側も準備が整いませんよね。周囲に話をして、予測してもらうことが重要です。会社全体の共通理解を得ることで、出産間近の期間は仕事の割り振りを減らしてもらうように話しておくことも視野に入れてください。
しかし、これらは会社側の役割でもあります。もし職場が育児に協力的でない場合は、パパがファーストペンギンになって会社側を意識改革してみてはいかがでしょうか。すると、次の人も育児を理由に休暇を取りやすい環境ができるかもしれませんね。
※ファーストペンギン…集団の中からリスクを背負って第一歩を踏み出す勇敢なペンギンを見立てたたとえ
男性の育休が叫ばれている中、「何故、男性が育休を取る、育児に入ること」が大切なのかを、男性自身もしっかり学んで訴えていってください。
きっと子どもたちの未来につながるはずですよ。
※この記事は2020年2月に作成しています。
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河西景翔先生のコラム
著者情報:河西景翔(かわにし けいと)
保育士・子育てアドバイザー。
小学生の頃から保育士を目指し、中学から保育園でのボランティア活動を通して、日本音楽学校に入学し、保育士・幼稚園の資格を取得。
「子育て中のママやパパと、共に悩みながら最良の道を切り開く」
を念頭において、日々奮闘中。
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