【保育士解説】保育園選び・見学の疑問を解決!希望の園に入園するには?河西景翔Vol.1
保育園といっても方針やシステムはさまざまで、子どもを預ける前に希望する保育園を見学して特徴を知ることが大切です。ここでは、保育園を選ぶ際に見ておきたいポイントを保育士・子育てアドバイザーの河西景翔先生に聞きました。保育園の先生だからこそ言える、本当に希望する保育園に入れなかったときのアドバイスも必見ですよ。
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「ままのて」ではこのたび保育士・子育てアドバイザーで活躍する河西景翔先生の連載第一弾。保育士アドバイザーならではの子育てのアドバイスや、先生の日々の思いをママやパパに発信します。
今回は、保育園選びの疑問や見学ポイント。保育のプロの視点で、見学のときに見ておきたいことや質問しておきたいことを解説してくれました。
保育園選びのポイント!見学のときに見ておきたいところは?
春・秋に希望する園の近くを散歩する
保育園を見学する際に「どこに気をつけたら良いでしょうか」という質問をよく受けます。私がアドバイスをしているのは、ずばり春・秋の時期に、入りたい保育園の近隣を散歩することです。
まぜ、春・秋かというと、この時期は、エアコンなどを使わず、窓を開けている時間が非常に長いからです。(逆に夏や冬は、エアコンを頻繁に使うので、閉め切っている状態が多い)そこで何がわかるのかというと、保育士が子どもに対してどのような言葉がけをしているのということです。
見学したときは「やさしそうだなぁ…」と感じても、実は見ていないところで子どもたちに対してきつい言葉をつかう保育士さんがいるケースもあります。本当の保育園の姿を知りたいのであれば、春や秋に園の近くを見に行ってみましょう。
時間帯は、11時か15時くらいが良いかもしれません。
この時間は給食やおやつの時間なので、食事の際の言葉がけなどを伺うことができますよ。
園の保育の目標を確認する
保育園に入る前に、そこの保育園がどのような保育の目標を持っているかをホームページであらかじめ確認しておきましょう。
たとえば、「食育」に力を入れているというのであれば、見学の際に検食(その日にどのような食事メニューだったのかを展示している)の中身を確認したり、食育はどのような取り組みをしたりしているのか、園を案内してくれる人に聞いてみても良いかもしれません。
食育をうたっているのにもかかわらず、おやつが手作りでなく購入したものであったり、食育の一環で育てている植物が収穫されず、枯れたままの状態の場合は注意が必要です。保育園の理念(目標)と現場との温度差が大きいので、もしかするときちんとした保育が行われていないかもしれませんね。
おむつの処理方法
見学のときに聞いておくことのひとつとして、ズバリ「おむつが持ち帰りなのか。園で廃棄なのか」というところも大切です。
最近は園で廃棄するところが増えましたが、まだまだ自宅で廃棄をしてくださいという園が多いです。しかし、徐々に園で廃棄しているケースが増えているので、場合によっては衛生面を考えた保育園選びをしても良いでしょう。
保育士さんの子どもに対しての言葉がけ、表情、知育玩具(手作りおもちゃ含め)なども見学の際には、気にかけておくと良いかもしれませんよ。
保育園の見学のときに質問しておきたいことは?
保育園の見学の際に何を質問して良いのかがわからないという相談もよく受けます。
私が保育園の案内をしていたときに保護者によく聞かれた内容を紹介します。
【主な質問内容】
□園の特徴(行事など含め)
運動会・発表会などの時期、参加時間など
□保育園が力を入れていること
食育・手作りおもちゃなど、保育園が独自で行っている「売り」としているもの
□外遊びの頻度
・固定遊具があるか
・園庭がない場合は、週何回くらい散歩に行くのか
・散歩のルートマップなどがあるのか
・外遊びを通して子どもの身体的な発達をどのように促しているのか、など
□保護者参加型の行事があるのか?
・保育者参加型がある場合は、必須なのか
・保護者主導の行事や、役員などがあるのか
(役員などがある場合は、仕事を休まなければならなかったり負担が増えたりすることが考えられる)
【その他の質問内容】
□保育方針
□持ち物
□セキュリティーなどのシステム
□災害時の対応(どのような手段で保護者と連絡を取るのか)
□ICT(※)導入をしているか
近年は、ICT導入をしている保育園が多いでしょう。ICTを導入することで、午睡のチェックなども目視と機械でWチェックができ、事故を防ぐことができます。子どもの命を守る体制であるかを確認することも大切です。
おたより帳なども、ICTですと保育士とのやり取りがより楽になるというママも多いようです。
ICTとは「情報通信技術」の略称です。ネット上で職員間の情報を共通したり、保護者がパソコンやスマホで園のようすをチェックしたりすることができる技術です。ICTシステムは、出欠のみで利用している園から連絡帳や登園管理、子どもの日中の活動を共有している園など多岐にわたります。
気になることはきちんと聞く・質問する
少しでも気になることがあったら、とにかく聞く・質問することが大切です。
「こんなことを聞いたら悪いかな」と思うことがあるかもしれませんが、そこは気にしなくて大丈夫です。私自身も、ここで挙げた質問以外にもいろいろなことを聞かれました。その質問に対して、しっかりと寄り添いながら答えてくれる保育園は、ママ・パパや子どものために一生懸命保育をしてくれる場所だと思います。
選ぶときのポイントでもお話しましたが、保育園という場所は第2の家です。
お子さんが楽しく6年間(0歳から預けた場合)過ごすのですから、保育の中身や保育園の理念・目標などを大切にして選んでほしいと思います。
保育園の見学のときのマナーはある?
保育園の見学の際に特別なマナーは必要ありません。しかし、注意しておきたい点があるのでご紹介します。
見学の日時はきちんと守る
アポイントメントなく見学に行ったり、当日時間を急遽ずらしたり、連絡なしでキャンセルしたりすることは絶対にやめましょう。
見学を案内するのは、園長や主任が多いです。園長や主任は、会社で言えば社長・副社長のような存在で、日々の保育のチェックや会議などに追われている中で時間を作り、見学を行っています。時間になっても来ない、時間をずらすということは、保育園がわにも非常に迷惑がかかるので気をつけましょう。
アクセサリーは控える
見学に行く際は、装飾品(ピアスやアクセサリー)などは外して行きましょう。保育室なども見学ができるのですが、身につけていた装飾品が万が一落ちてしまったら、その装飾品を子どもが口に入れてしまったら…とても大きな事故につながりますよね。
保育園は、安心・安全が守られる場所です。そこを守るために保育士さんは、日々いろいろなことに気をつけています。リスクを回避するためにも、見学ではアクセサリーを外しておくと安心です。
認可と認可外の違いはどのようなところ?
認可保育園とは
認可とは、保護者が働いているなどの理由によって、0歳から小学校入学前までの乳幼児を対象として、預かり保育をする厚生労働省管轄の「児童福祉施設」です。
国が定めた設置基準をすべてクリアして、都道府県知事に認可された施設です。運営費として国から補助金を受けています。
【認可保育園の基準項目】
・施設の広さ
・配置基準
・保育士等の職員数
・給食設備
・防災管理
・衛生管理など
近年では、認可保育園の中でも社会福祉法人が運営する保育園の他に、株式会社が運営する保育園も増えてきました。
株式会社の運営する保育園は、多様性を重視したカリキュラムやアクテビティを取り入れているところも多く、保護者からの人気も高いですよ。
認可外保育園とは
認可外は、認可保育園に比べ、基準が緩やかに設けられている施設です。国から補助金等の収入源はないのですが、都道府県の監査などもありません。それぞれの目的や特色、目指す保育内容が異なります。利用者のニーズに合わせた保育施設といえます。
一方で、なかには配置基準などを無視してずさんな運営をしているところもあり、子どもの事故が多い園もあります。認可では、補助金を使い保育士の研修などが多く行われていますが、認可外では、補助がないので研修の機会も少ない傾向にあるようです。
認可外保育園のメリットは、保育園独自のカリキュラムを自由に組むことができる点です。
子どもの「個々を伸ばしたい!」という保護者の思いと保育園のカリキュラムが合致すれば、より成長を促すこともできるでしょう。
希望の保育園に入れなかった方へのアドバイス
今の時代は、保護者が保育園を選ぶことができません。見学に行っても必ず希望する保育園に入れるとは限りませんよね。むしろ人気のある保育園は、入るのが難しい場合もあります。
もちろん仕事に復帰するために、お子さんを預けなければならないことを前提にお話させていただきます。
保育園の面積で受入れ人数が決まっている
0歳〜2歳は、認可の保育園ですとかなり倍率が高いのが現状です。それはなぜか。認可の保育園は、面積によって子どもの入れる数が決まっているからです。120名規模の保育園ですと、以下のような受入れ人数が平均でしょう。
年齢 | 受入れ人数 |
---|---|
0歳 | 9名 |
1歳 | 18名 |
2歳 | 20名 |
※120名規模の保育園の受け入れ人数平均
一方で、幼児クラス(3歳〜5歳)は受入れ人数の枠が一気に広がるので、幼児クラスの待機児童がほぼないに等しいのです。
年齢 | 受入れ人数 |
---|---|
3歳 | 25名 |
4歳 | 27名 |
5歳 | 27名 |
年齢が上がるほど子どもの受入人数は増えていくので、どうしても希望の保育園に入りたい場合、2歳までは小規模保育園や企業主導型の保育園に預け、毎年申請を出すと良いでしょう。転園などで急に募集がかかることもあるので、そこで希望の園に入園させることができるかもしれません。
0歳児3名に対して保育士1名の配置基準が認可なのですが、企業主導型保育園や小規模認可保育園は、配置基準に余裕を持たせているところもたくさんあります。0歳〜2歳の子どもたちに必要な、「寄り添う保育」ができ、また情緒の発達を促すこともできる環境です。
小規模認可や認証保育所、企業主導型を選ぶ際は、園の特色や、子どもの数に対しての配置人数なども見学の際に確認してみると良いかもしれませんね。
子どもはストレスを非常に感じやすいので、転園などで急に環境が変わると精神的な不安から、夜泣きなどをすることもあります。
転園する際は子どもの気持ちのケアも大切ですよ。
※この記事は2020年1月に作成しています。
河西景翔先生による子育てのアドバイス動画はこちら!
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赤ちゃんの寝かしつけ方法
赤ちゃんのげっぷのさせ方
著者情報:河西景翔(かわにし けいと)
保育士・子育てアドバイザー。
小学生の頃から保育士を目指し、中学から保育園でのボランティア活動を通して、日本音楽学校に入学し、保育士・幼稚園の資格を取得。
「子育て中のママやパパと、共に悩みながら最良の道を切り開く」
を念頭において、日々奮闘中。