雛人形の飾り方!段別の位置や向き、飾る場所は?【イラストでよくわかる!】
毎年ひな祭りには雛人形を飾り、眺めたり写真を撮ったりして楽しみたいですよね。ところが雛人形を飾るときに、並べ方や手順で迷う方は多いようです。ここでは、雛人形の位置や方向などの飾り方・飾る場所など、イラストを交えて分かりやすく紹介します。(この記事は2021年12月時点の情報をもとに作成しています)
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目次
雛人形の飾り方や並べ方には決まりがあるの?
雛人形には、男雛と女雛の親王様(しんのうさま)の他、三人官女や五人囃子(ばやし)などの人形があります。五段や七段飾りの場合、随臣(ずいじん)や仕丁(しちょう)という、親王様の護衛やお世話をする雛人形も飾ります。
上段から手袋をはめて扱うのがおすすめ
段飾りの場合、下の段から飾ると上段を飾るときに下の人形や道具を倒してしまう恐れがあります。雛人形を飾る際は、屏風(びょうぶ)や三宝(さんぽう)・ぼんぼりなど、上段の奥に配置するものから順に飾るようにしましょう。人形の顔や道具が汚れるのを防ぐため、布製の手袋をはめて扱うと安心です。
雛人形の飾り方は?【七段をイラスト解説】
段飾りの場合、雛人形を飾る段や配置が決まっています。七段の階段を組み立てたら、人形や土台の傷みを防ぐため、毛氈(もうせん)という赤い織物を敷いてから人形を飾りましょう。
ここでは、七段飾りの一般的な飾り方をイラスト付きで解説します。
一段目 親王様(男雛・女雛)
雛壇の最上段は、正面から見て左に男雛(おびな)、右に女雛(めびな)を配置する飾り方が一般的です。
男雛は、冠(かんむり)をかぶって笏(しゃく)と太刀(たち)を持ちます。女雛は十二単(じゅうにひとえ)を着て、桧扇(ひおうぎ)を持つ姿のものがほとんどでしょう。
二段目 三人官女(さんにんかんじょ)
官女(かんじょ)とは、宮廷で女性に与えられていた名称です。宮廷行事のときに給仕するなど、君主(くんしゅ)や后妃(きさき)の身の回りの世話をする役割がありました。
雛人形のタイプにより、立ち姿2体と座り姿1体、もしくは立ち姿1体と座り姿2体など、官女のポーズが異なる場合があります。ポーズが違う場合、ポーズがひとつだけ違うものを真ん中に置き、他2体を外側の足が前に出るよう左右に配置しましょう。
三人官女が持っている道具は、下記を参考にしてください。
■長柄(ながえ)
正面から見て右の官女は、盃(さかづき)に酒を注ぐ長い柄のある道具を持ちます。
■島台(しまだい)または三方(さんぽう)
真ん中の官女が祝儀に使う置物を持ちます。盃を持つ場合があります。
■提子(ひさげ)
正面から見て左の官女は、急須のような形の金属性の器を持ちます。
三段目 五人囃子(ごにんばやし)
五人囃子は、現代では成人前を指す元服(げんぷく)前の美少年や秀才が、楽器や謡(うた)を披露している姿を表現した人形です。五人囃子は、正面から見て左から以下の通りに並べます。
■太鼓(たいこ)
バチを用いて演奏する締太鼓(しめだいこ)を両手で打ち鳴らします。
■大皮鼓(おおかわつづみ)
桜の木で作った胴に馬の革を張った鼓を左手で持ち、左膝に置いて右手で打ちます。
■小鼓(こつづみ)
大皮鼓よりひとまわり小さい小鼓を右肩にかついで、右手で打ちます。
■笛(ふえ)
竹でできた細い笛を持ち、リズムを刻みます。
■謡(うたい)
謡(うた)を歌う役割を担い、右手に扇(おうぎ)を持ちます。
四段目 随臣(ずいじん)
随臣とは、左大臣(正面から見て右)と右大臣(正面から見て左)のふたりを指します。随臣は親王様を守る警護係という立ち位置で、剣や弓、矢羽(やばね)を持ちます。
黒の装束を着た年配の男性である左大臣は位(くらい)が高く、正面から見て右側に配置します。それぞれの随臣の左右外側に、掛盤膳(かけばんぜん)という高級なお膳を置き、中央にひな祭りの定番ともいえる菱餅(ひしもち)をふたつ置きます。
五段目 仕丁(しちょう)
仕丁は、雛飾りの中でも唯一庶民出身の雑用係です。3体のうちの2体の袖に色があり、色が付いた袖が外側になるように配置します。正面から見て左から熊手/台傘、ちりとり/沓台、箒(ほうき)/立傘の道具を持たせます。
正面から見て一番左に右近の橘(うこんのたちばな)、一番右に左近の桜(さこんのさくら)を置きます。右近、左近とは、親王様から見て右・左という意味です。
六段目 嫁入道具揃(よめいりどうぐぞろい)
六段目は、姫の嫁入り道具として家紋の入った品が配置されます。正面から見て左から以下の通りに並べましょう。
■箪笥(たんす)
庶民は衣装が少ないことから、箪笥は上流階級の者だけが持つ道具でした。
■長持(ながもち)
衣装や寝具を入れるための大きな道具で、金具に竿を差してふたりで運びます。
■表刺袋(うわざしぶくろ)
特別な衣装である装束や、日常生活に必要な道具を持ち運ぶための袋です。頑丈でありながら外観にもこだわった袋です。
■火鉢(ひばち)
中に灰を入れて暖を取るための道具です。
■針箱
現在の裁縫道具箱にあたります。
■鏡台(きょうだい)
化粧道具を入れる箱に鏡を掛けるための柱が付いており、柱に手鏡を乗せて使うものです。化粧をしたり姿を見たりするために使いました。
■茶道具
茶道は貴族の子女のたしなみでした。
七段目 御輿入れ道具(おこしいれどうぐ)
七段目の御輿入れ道具(おこしいれどうぐ)は、姫や嫁入りの品を運ぶための道具です。正面から見て左から以下のように並べます。
■御駕籠(おかご)
従者が前後で担ぎ、姫を運びます。
■重箱(じゅうばこ)
食べ物を運ぶ道具として愛用された道具です。
■牛車(ぎっしゃ)
牛が運ぶ車です。昔は牛車の種類によって身分や家柄が異なったため、権威を表す道具と考えられています。
一段・二段・三段の雛人形の飾り方は?
近年、マンションやアパート住まいの家庭が増えてきました。飾る場所や収納場所が限られるケースが多く、狭いスペースでも無理なく飾れるコンパクトな雛人形が人気を集めています。男雛と女雛のみ飾る「親王飾り」や、親王と三人官女・御輿入れ道具などを飾る「三段飾り」を購入する家庭が多いでしょう。
コンパクトな親王飾りや三段飾りであっても、飾り方や配置は変わりません。段飾りの上段や、御輿入れ道具の配置と同じように飾りましょう。その他、五人囃子などが付属している場合は、それぞれの雛段に合わせた並べ方を参考にしてください。
雛人形を飾る場所はどこが良い?向きに決まりはある?
雛人形はとても繊細なので、飾る場所に気を付けたいと考える方も多いでしょう。雛人形の向きや、飾る際の注意点も確認しておくと安心です。
リビングに飾る家庭が多いが決まりはない
雛人形を飾る場合、皆の目に付く座敷かリビングが適しています。しかし、飾る場所に明確な決まりはなく、玄関や寝室に飾る家庭も少なくありません。雛人形を飾る際は床や畳を傷つけないよう、毛氈を敷くと安心です。
住居のスペースや間取りにより、皆が雛人形を眺めることができる場所に飾りましょう。
雛人形は見えやすい向きに飾ればOK
雛人形は飾る方角にこだわらず、見えやすい向きに飾りましょう。
昔は北向きに飾ると縁起が悪いとされ、東や南向きがすすめられる説がありました。しかし、現在では家の間取りに合わせ、人形の顔が見えやすい向きに飾るのが一般的です。
直射日光や結露・エアコンの風に注意
雛人形はとてもデリケートです。人形の傷みを防ぐため、直射日光や湿気の多い場所・エアコンの風が当たる場所は避けるようにしましょう。
子どもやペットのいたずらが心配な場合は、少し高めの棚や台の上に置くよう工夫してみてください。
雛人形の飾り方は関東と関西で違う?
地域により、雛人形の飾り方が異なる場合があるようです。関東と関西では、どのように違うのでしょうか。
関東雛(関東)と京雛(関西)で飾り方が違う
もともと雛人形は、関東雛(関東)と京雛(関西)に分けられ、飾り方が異なりました。関東で主流の関東雛は、正面から見て左が男雛です。一方で、関西で主流の京雛は、正面から見て右に男雛を配置します。
現在も関西の一部では京雛の配置で飾る家庭がありますが、関東雛の飾り方を主流とする地域が増えてきました。
地方によって飾り方が違う理由
雛人形は平安時代の伝記にも記されていることから、古来より親しまれてきました。京に都があったころ、格式が高い人は「左」の席と決まっていたため、雛飾りでも男雛は左(正面から見て右)とするのが一般的だったようです。
しかし、明治時代に皇居が東京に移ると西洋の文化に倣い、格式の高い人が「右」という形式になりました。やがて、大正天皇が即位したときのスタイルが関東で広まり、「男雛が右」という現在の飾り方に変化したとされています。
そのため、関西では古来より男雛を正面から見て「右」に並べ、関東では新しい文化にならい男雛を正面から見て「左」に並べるようになりました。
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雛人形の飾り方を知ってひな祭りの歴史を感じよう
ひな祭りは、平安時代の書物にも記された伝統文化のひとつです。なかでも雛人形は、厄や災いを払い、女の子の健やかな成長を願うものされ親しまれてきました。もともとは七段で飾られていた雛人形も、現在では狭いスペースでも無理なく飾れるコンパクトな雛人形を選ぶ家庭が少なくありません。
コンパクトな雛人形を飾る際も、古くから伝わる段飾りの飾り方と違いはありません。子どもと一緒に雛人形を飾りながら、雛飾りの由来や歴史を話し合ってみても良いですね。
※この記事は2021年12月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。