赤ちゃんの咳が止まらない・続く!治らないときには咳止め薬が効果的?

「赤ちゃんが咳きこんでなかなか止まらない」「激しい咳が数日続く」など、ひどい咳の症状がなかなか治らないと、心配に思うパパやママは多いでしょう。咳止め薬などの薬を使用して良いかどうか悩みますよね。ここでは、赤ちゃんが咳きこむ原因や症状の対処法、咳止め薬について説明します。

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この記事の監修

千葉 智子
小児科医
千葉 智子

目次

  1. 赤ちゃんの咳が止まらない・続くときの問題点
  2. 赤ちゃんの止まらない・続く咳の原因は?
  3. 赤ちゃんの咳が止まらない・続くときの対処法
  4. 赤ちゃんの咳が止まらない・続くときは一度受診を
  5. 赤ちゃんの咳が止まらないときには咳止め薬が必要?
  6. 赤ちゃんの症状を医師に伝えられるようにしておこう
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赤ちゃんの咳が止まらない・続くときの問題点

咳は、赤ちゃんの身体を守るための自然な反応です。たとえば、気管や気管支の粘膜が病原体やほこりなどの異物をとらえると、異物は痰となって喉に送られます。痰を早く身体の外に出そうとする反応がせきやくしゃみです。ですから、一過性の咳であればあまり神経質になる必要はありません。

しかし、咳が止まらない場合は何かの病気のサインであることは多いでしょう。赤ちゃんの咳は風邪によるものが多いですが、風邪だと思って油断していると症状が悪化し、気管支炎や肺炎を招くことは珍しくありません。

赤ちゃんにひどい咳が続いたり止まらなかったりすると、食欲低下や睡眠不足を招いてしまいます。症状によっては呼吸困難に陥り、大事にいたることもあります。早めに病院を受診し、原因を特定して対処することが肝心です。

赤ちゃんの止まらない・続く咳の原因は?

赤ちゃんの咳が止まらない場合や長く続くときに考えられる原因をご紹介します。

日常生活の刺激

特に病気でなくとも赤ちゃんはささいな刺激で咳を出します。以下はその一例です。

・ほこり
・香水や柔軟剤などのきついにおい
・冷房の風や外気などの冷たい空気を吸ったとき
・タバコや線香の煙
・排気ガス

一過性のものであればあまり心配いりませんが、連日のように咳が止まらないようであれば原因を取り除くようにしましょう。

ウイルスや細菌

赤ちゃんの身体にウイルスや細菌などの病原体が入り込むと、鼻水が喉に流れ込んだり、喉や肺が炎症を起こしたりすることで咳が出ます。風邪による咳がほとんどですが、たかが風邪と思って油断していると気管支炎や肺炎を起こしてしまうことがあり、注意が必要です。

風邪以外に百日咳菌による百日咳やRSウイルスによる細気管支炎など、ウイルスや細菌がもたらす病気には咳をともなうものがあります。赤ちゃんに熱がない場合でも咳が続いたり止まらなかったりする状態にあり、なかなか治らないようであれば早めに病院を受診しましょう。

特に下記のような症状があった場合緊急を要します。

・ケンケンといったオットセイや犬の鳴き声のようなこもった咳(クループ症候群)
・横になって眠れない、胸が呼吸のたびにペコペコ動くなど(呼吸困難)
・顔色や唇の色が悪い(チアノーゼ)

ただちに病院を受診しましょう。夜間や判断に迷う場合には#8000の小児救急相談に電話をして相談をするようにしましょう。

アレルギー

アレルギー反応として咳が止まらないことがあります。特に呼吸困難などの発作が慢性的に繰り返される場合は、気管支ぜんそくと呼ばれます。

原因となるのはダニやほこり、ペットの毛、花粉、特定の食べものなど、個人差があります。アレルゲンによって気管支の粘膜が炎症をおこして腫れ、痰が多く分泌されます。空気の通り道が狭くなるので、呼吸が苦しくなりゼイゼイ、ヒューヒューといった音が聞こえます。

先天性の病気

赤ちゃんが生まれつきゼイゼイしている場合は、先天性喘鳴(ぜいめい)の疑いがあります。先天性喘鳴とは、生まれつき気道が狭く、呼吸のたびにゼイゼイ、ヒューヒューといった音がすることです。

ほとんどの場合は成長とともに改善されますが、先天性喘鳴がある赤ちゃんは、日常の小さな刺激でも激しい咳が出ることがあります。風邪などの病気にかかると悪化しやすく、咳が続く、止まらないといった症状が出るため、早めに対処することが肝心です。先天性喘鳴の疑いがある場合は、一度検査をしてもらいましょう。

体重が増えない場合は心臓や肺の異常・障害が疑われます。大きな病院で診てもらうようにしましょう。

赤ちゃんの咳が止まらない・続くときの対処法

赤ちゃんの咳が止まらない、長く続くといった場合は次のことを試してください。

鼻水を小まめに吸う

鼻水が喉に下っていくことを後鼻漏(こうびろう)と呼びます。後鼻漏になると激しい咳が出るほか、のどの痛みやいびき、口臭の原因にもなります。

赤ちゃんは自分で鼻をかめないので、鼻水吸引器を使用し、こまめに鼻水を吸い出すことで対策していきましょう。鼻水をこまめに取ってあげることで、咳が止まらない状態を解消することができるかもしれません。授乳や睡眠の前に吸ってあげると、より効果的です。

部屋の湿度を50~60%に保つ

部屋の湿度を上げると喉が湿るため、咳が和らぐことがあります。湿度が高いとウイルスの動きが鈍くなり、ウイルスの繁殖を防げるため、風邪予防にも効果が期待できます。咳が止まらないときには、加湿器を使う、お湯を沸かすなどして湿度を調節しましょう。湿度50~60%が最適です。

ただし、湿度を上げるために洗濯物の部屋干しをすると、洗剤や柔軟剤のにおいや成分が咳や鼻炎を招くおそれ(化学物質過敏症)があります。部屋干しする際は赤ちゃんの様子に注意しましょう。

水分を多くとらせる

水分補給は喉の乾燥を防ぎ、咳の症状を和らげて痰を切りやすくします。咳が止まらない場合には、水や薄めた麦茶を与えるか、こまめに授乳をするようにしましょう。ミルクの場合は少し薄めにして与えても良いでしょう。

発熱をともなう咳が続く場合は汗をかきやすくなり、身体の水分が奪われてしまいます。さらに、食欲が低下している場合は食事からの水分摂取がしにくくなります。そのため、こまめに水分を補給させて脱水症状を防ぎましょう。

寝るときには上半身を高くする

咳が続くときや止まらないときには、赤ちゃんを平らなところで寝かせるのではなく、枕やバスタオルなどを使い、上半身を少し起こすような体勢で寝かせます。苦しいときは横向きに寝かせるのもおすすめですが、月齢が低い赤ちゃんは窒息のおそれがあるので、注意が必要です。

部屋の環境を見直す

赤ちゃんが過ごす部屋の環境を見直すことで、咳の症状が軽くなる可能性があります。以下のことを試してみましょう。

・部屋を常に清潔に保つ
・じゅうたんやラグマットを外してフローリングで生活する
・赤ちゃんが過ごす部屋はペットが入れないようにする
・ぬいぐるみや寝具、カーテンなどもこまめに洗濯する
・観葉植物を室内に置かない
・エアコン、空気清浄機、加湿器のフィルターを掃除する

赤ちゃんの咳が止まらない・続くときは一度受診を

赤ちゃんの咳がわずかであればあまり気にする必要はありませんが、頻繁に咳きこんでいる、ひどい咳が多く眠れないといった場合は、病院に行ったほうが良いでしょう。特に生後間もない赤ちゃんは体力が少ないため、風邪をこじらせると肺炎などの合併症を起こしかねません。

「風邪だと思っていたらほかの病気だった」という可能性もあります。混雑する時間帯を避け、病院を受診してみましょう。

赤ちゃんの咳が止まらないときには咳止め薬が必要?

咳は身体に侵入した病原体を外に出すという役割があるため、薬で咳を抑えるべきではないという考え方もあります。しかし、赤ちゃんの咳の症状が激しく止まらない場合は、咳止めのシロップや鼻水を抑える抗ヒスタミン薬など、症状を抑える薬を出してもらえないか医師に相談してみても良いでしょう。

特に気を付けたいのが市販の薬です。市販の薬は赤ちゃんには強すぎたり、副作用が出たりする可能性があります。症状によっては咳止めを使用してはいけない場合もあるため、素人判断で投与することは避けましょう。赤ちゃんには必ず病院で処方された薬を使用し、市販の薬は使わないようにしましょう。

赤ちゃんの症状を医師に伝えられるようにしておこう

赤ちゃんは自分で症状を話すことができず、診察中に症状が出るとも限りません。そのため、パパやママが赤ちゃんに代わって医師に症状を伝えられるようにすることが大事です。

赤ちゃんがいつから咳をしているのか、咳が出やすい時間帯、咳の音や長さ、咳以外の症状といった情報は、診察の手掛かりになり、原因の特定を早めてくれます。口頭で伝えるのも良いですが、メモ書きしたものを病院に持っていくとスムーズです。

気になることや疑問も一緒に書き留めておくと「質問したいことがあったのに聞きそびれた」ということも少なくなります。赤ちゃんに異変がみられたら記録に残す癖をつけておきましょう。もしものときに役に立つので、ぜひ実践してみてください。

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