扁桃腺が腫れている?扁桃炎の症状・原因・治療法は?手術が必要な場合は?
子どもが発熱して医療機関を受診したときに、扁桃腺(へんとうせん)が腫れていると診断されることがあります。扁桃腺が炎症をおこして腫れると、38℃~40℃の高熱が続くことがあり、ママは心配ですよね。ここでは、扁桃腺の炎症によって引きおこされる扁桃炎の症状や原因・治療法と予防法、扁桃腺を摘出する手術が必要な場合を解説します。
本ページはプロモーションが含まれています
この記事の監修
目次
扁桃炎(扁桃腺炎)とはどんな病気?
扁桃炎(へんとうえん)とは、扁桃腺炎(へんとうせんえん)ともいわれ、口の中の舌の付け根の両端のこぶのようなものが、炎症をおこし腫れることを言います。
扁桃腺が赤く腫れて扁桃炎になると、喉が赤くなり炎症をおこす他に、38℃~40℃の高熱が出たり、関節痛があったり、唾液を飲み込むのが痛かったりと、不快な症状が現れます。扁桃炎は風邪によって引きおこされることがほとんどで、風邪の一種と考えた方が良いでしょう。
また、扁桃腺だけが炎症をおこすことは少なく、咽頭炎といって、口や鼻の奥にある咽頭の炎症と同時におこることがほとんどです。
扁桃腺とは?どこにあるの?
扁桃腺の場所や呼び名は細かく分類されます。
口蓋扁桃(こうがいへんとう):
舌の付け根の両端にあるこぶのような場所で、一般的に扁桃腺と呼ばれる部分
咽頭扁桃(いんとうへんとう):
アデノイドともいわれる、のどちんこの上の部分
耳管扁桃(じかんへんとう):
口蓋扁桃の少し上の部分
舌根扁桃(ぜつこんへんとう):
舌の奥にある部分
扁桃腺の大きさには個人差がある
扁桃腺の大きさは、個人差があります。健康な状態のときにのどの奥を見ると、扁桃腺が小さくてどの部分なのかわかりにくい人もいれば、生まれつき扁桃腺が大きくて、のどをふさぐほどこぶがふくれている人もいます。また、風邪で耳鼻咽喉科を受診したときや、健康診断などで扁桃腺が大きいと指摘されたことがある人もいるでしょう。
扁桃腺が大きいからといって、扁桃炎をおこしやすいとは必ずしも言えません。見た目は小さくても、実は扁桃腺が埋もれている場合もあるようです。
しかし、扁桃腺が大きい場合は、睡眠のときにいびきをかいたまま無呼吸になるなど、危険な状態におちいることがあります。そのため、あらかじめ子どもの扁桃腺がどのくらいの大きさか、健康なときにのどをのぞいて確認しておくと安心ですね。
扁桃腺肥大の特徴
扁桃腺肥大とは、扁桃腺が通常よりも大きいことをいいます。
扁桃腺が大きすぎると、食が細い・息がしずらい・夜中に呼吸が困難になるほどいびきをかく・熟睡できないなど、不快な症状が現れることがあります。そのため、生活に支障をきたす場合は、扁桃腺を摘出する手術をすすめられることがあるでしょう。
手術をすすめられた際は、納得がいくまで医師と相談しましょう。どのような手術になるのか、どれくらいの入院期間なのか、後遺症はあるのかなどを確認できると良いですね。
扁桃腺の役割
ひと昔前までは、扁桃腺を摘出する手術が頻繁に行われていました。しかし、現代では扁桃腺の手術の件数は減っているとされています。
扁桃腺は、ウイルスの侵入をブロックする役割があります。幼少のころは扁桃腺が炎症をおこしやすく発熱しやすい体質でも、大人になるとともに免疫力がついて、自然と体質が改善されることが多いようです。
また、扁桃腺肥大と診断されたとしても、必ずしも手術をして扁桃腺を摘出しなければいけないわけではありません。子どもの症状を観察して、メリットとデメリットを知り、しっかり医師と話しあって決断できると良いですね。
扁桃炎の症状は?
扁桃炎の主な症状は、下記の通りです。
・38℃~40℃の高熱
・頭痛、悪寒
・全身のだるさ
・炎症によるのどの痛み
・腹痛、嘔吐
さらに進行すると、のど全体に炎症が広がり、38℃~40℃の高熱が4~5日続くことがあります。
扁桃炎になると、肉眼で口蓋扁桃(一般的な扁桃腺の部分)が、はっきり腫れ上がっているのがみられます。そのとき扁桃腺には、赤みが強くなる、白色の斑点がある、黄色い膿がたまる、灰白色の膜のようなものができるなど、異変がみられます。
扁桃腺が腫れると、のどに強い痛みを感じることがほとんどです。そのため、唾液を飲むのも辛くなり、食欲がなくなることがしばしばおこります。扁桃炎がおこったときは、アイスやゼリーなど、のどごしの良い食べ物を無理のない範囲で与えてあげましょう。
扁桃炎の原因
扁桃炎は、ウイルスや細菌が原因で引きおこされます。主に、体力が低下していたり、風邪をひいたりと、ウイルスや細菌が体内に入ることにより扁桃炎がおこることが多いでしょう。
ウイルスや細菌は低温で乾いた場所を好むので、空気が乾燥する時期は、のどの乾燥が原因で感染が起き、扁桃炎がおこることがあります。風邪をひくと、鼻が詰まり口呼吸をすることになるので、さらに口腔内が乾燥して炎症が拡大することが考えられます。
また、ストレスから免疫や体力が落ちることによりウイルスや細菌に侵され、扁桃炎を引きおこすこともあるようです。
急性扁桃炎と慢性扁桃炎
急性扁桃炎とは
急性扁桃炎とは、一般的に扁桃腺と言われる口蓋扁桃(こうがいへんとう)が、急に炎症をおこして赤く腫れることを言います。
急性扁桃炎の原因は、細菌やウイルスです。主に「溶血性連鎖球菌」「アデノウイルス」「EBウイルス」などがあげられます。
慢性扁桃炎とは
慢性扁桃腺炎は、年に数回、食べ物や唾液を飲み込むときに痛みを感じるのが特徴です。のどの痛みや乾燥を感じ、倦怠感や喉がゴロゴロするような異物感を感じる人もいるでしょう。慢性扁桃炎は、子どもよりも大人の方が発症しやすい傾向にあるようです。
大人の場合、飲酒・喫煙などからおこる慢性扁桃炎もあります。主な症状は、のどの渇き・微熱・のどの痛み・のどの違和感・唾液や飲み物がしみる、などがあげられます。これらの症状は喉頭癌(いんとうがん)など、重大な病気と区別がつきにくい疾患とされているので、気になる場合は検査を受けることが大切です。
習慣性扁桃炎になりやすい年齢は?
習慣性扁桃炎とは、急性扁桃炎をたびたび繰り返すことで、主に慢性扁桃炎のひとつに分類されています。年に4~5回以上急性扁桃炎を繰り返し、一度の扁桃炎の症状が重く、保育園や幼稚園・学校を休んだり、入院をしたりする場合は習慣性扁桃炎と診断されることがあるでしょう。
習慣性扁桃炎は、小学校入学前の子どもに多く見られる病気です。個人差はありますが、一般的に小学校の低学年を過ぎると、年齢とともに炎症をおこす回数が減るとされています。
習慣性扁桃炎と診断されないためにも、子どもが急性扁桃炎をおこした場合は、その都度しっかりと治療をして完治させることが大切ですよ。
扁桃炎の治療方法は?
扁桃炎と診断された場合の治療法
扁桃炎をおこすと、発熱や痛みを押さえるために、解熱剤・痛み止め・うがい薬・トローチが処方されることがあります。子どもが粉薬が苦手な場合、液体シロップなど、子どもが飲みやすい薬を処方してもらえないか医師に尋ねても良いですね。
また、扁桃炎と診断されたら、以下のことに注意をして過ごすようにしましょう。
・睡眠をしっかりとり、身体を休める
・のどの乾燥を防ぐため、加湿器などをかける
・食事が摂れない場合は、水分をしっかり摂る
扁桃腺の原因が細菌であると考えられる場合
溶連菌などの細菌が原因と考えられる扁桃炎の場合、抗生物質が処方されることがあります。抗生物質が処方された場合は、かならず医師の指示にしたがって、薬を飲みきりましょう。また、扁桃炎の症状が重症化したときや、きちんと薬を飲めないときは、抗生物質の点滴をすすめられることがあるようです。
溶連菌による扁桃炎ががきちんと治療されないと、腎炎や心臓弁膜症(しんぞうべんまくしょう)の原因になるリウマチ熱など、他の病気を併発しやすいとされています。子どもがのどの違和感を訴えたら、早めに医療機関を受診して、適切な処置を受けましょう。
扁桃炎の予防方法は?
扁桃炎に限らず、感染症の予防は「手洗い」「うがい」が基本です。石鹸でしっかりと爪のあいだまで洗いましょう。うがいをまだ上手にできない赤ちゃんは、口の周りを優しく拭いてあげると良いですね。
また扁桃炎の予防として、マスクをして感染症を予防するように心がけてください。空気が乾燥している時期は、加湿器などで部屋の乾燥を防ぐよう意識するのも効果的ですよ。
扁桃腺の手術が必要な場合は?
扁桃腺を摘出する手術は、過去、頻繁に行われていた時代があるようです。現在では扁桃腺の手術自体は減少していますが、それでも耳鼻咽喉科で行われる頻度の多い手術のひとつです。
一般的に4~5歳ごろから扁桃腺の手術が可能になります。しかし、扁桃腺が肥大していることが原因で睡眠時無呼吸症候群を引きおこす場合は、さらに低年齢でも手術を行うことがあるでしょう。一般的な手術や入院の経過は以下の通りです。
■手術が必要な場合
1年に何回も扁桃腺が腫れて、発熱やのどの痛みを感じ、日常生活や登園、登校に支障をきたす場合は手術をすすめられることがあります。また、扁桃炎が長引き、食事や水分などから栄養補給が困難な場合も同様です。
■入院期間
1週間前後
■入院費
入院費は、医療機関や入院の期間により差がありますが、10万~20万円程度の費用がかかることが多いようです。子どもの場合は、乳幼児医療助成や小児医療助成が適用され、支払う金額が少額になる場合があります。
まれに、扁桃腺の手術後に強い痛みがおこったり、味覚が変わったりする後遺症が残ることがあるようです。しかし、後遺症のほとんどは一時的なもので、時間が経過するとともに改善されることが多いとされています。手術後は、親子で無理をせず、子どもの状態を優先させてあげられると良いですね。
扁桃炎を知ってのどのケアを意識しよう
扁桃炎は、のどの奥にある扁桃腺が炎症をおこして、38℃~40℃の高熱が出る病気のひとつです。高熱がでると、ママも心配ですよね。扁桃炎は、さまざまな細菌やウイルスが原因で引きおこされることがほとんどです。日ごろから感染症を予防するために、手洗いやうがいを習慣づけておくと安心ですよ。
扁桃炎には習慣性扁桃炎のように、扁桃炎が原因で高熱などの症状が年に数回繰り返される場合があります。年齢とともに症状が改善されることがほとんどですが、慢性化させないためにも、扁桃炎をおこしたら、その都度適切な治療を受けることが大切です。
また、場合によっては扁桃腺を摘出する手術をすすめられることがあるでしょう。その際は、医師としっかりと話しあい、メリット・デメリットを知り、子どもの状態を優先した選択ができると良いですね。