子どもを守るための「性教育」とは?何から始めればいい?幼児期からの始め方やおすすめの絵本
近年になり、幼児期からの性教育がテレビや雑誌などで紹介されるようになりました。文部科学省も幼児期からの性教育についての情報を発信しており、おうちでも取り組みやすい方法が紹介されています。何から始めれば良いかわからないママ・パパに向けて、幼児期の性教育のポイントや始め方、読み聞かせにも使えるおすすめの絵本をご紹介します。
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目次
子どもを守るための性教育
10歳頃になると、男の子も女の子も子どもから大人の身体になるための準備がはじまります。この時期を思春期といいます。WHOによると思春期は10~18歳のあいだと定義されており、男女の性的な特徴があらわれる第二次性徴がみられるのもこの時期です(※1)。
第二次性徴で初潮や精通が起こると、身体的には赤ちゃんをつくる準備が整ってきていることになります。近年は望まぬ妊娠をする若年層が増加傾向にあり、子どもがわいせつ目的の犯罪に巻き込まれる事件も起こっています。
子どもたちが加害者や被害者、傍観者にならないためにも、幼児期・児童期・思春期と、その時期に適切なアプローチをすることが大切です。
幼児期の性教育は、その第一歩です。思春期に入り身体の変化があらわれる前に「自分だけのだいじなところ=プライベートゾーン」を知ることから始めます(※2)。身体や性について正しい知識を学べるよう働きかけ、子どもたちを性被害・性暴力から守りましょう。
幼児期の性教育のポイント
自分の身体は大切で、自分だけのもの
ママやパパは自分の身体に対して、どのようなイメージを持っているでしょうか。誇りや自信を持つ人がいる一方で、恥ずかしさや失望感をいだいている人もいるかもしれません。こうした「誇りや恥」などの情動は1歳半~2歳頃を過ぎてから形成され、4~6歳頃にかけて発達するものだといわれています(※3)(※4)。
つまり、乳幼児期は自分の身体に対する感情がまっさらな状態なのですね。この時期から自分の身体は自分だけのものであり、大切にするべきものだと伝えていくことが重要です。
「ママとパパはあなたのことをとても大切に思っているよ。あなたも自分のこと、自分の身体を大事にしてね」などと声がけしていきましょう。このとき必要以上に羞恥心や恐怖心をあおったり大人の感性で性をタブー視したりしないように注意してくださいね。
プライベートゾーンは人に見せない、さわらせない
自分の身体を大事にするというのは、どのように伝えると良いのでしょうか。それは、身体に一番近いところに身につける肌着やプールのときに着る水着で伝えると良いでしょう。
肌着もしくは水着で隠れるところは、自分だけの大事なところ=プライベートゾーンといいます。プライベートゾーンは人に見せたりさわらせたりしないものだと教えましょう。あわせて、ほかの人の身体はその人のものであり、自分以外のプライベートゾーンを見たりさわったりしないことも伝えておきたいポイントです。
肌着や水着で隠れる場所ではありませんが、口も人にさわらせたりほかの人のものをさわったりしない場所です。菌やウイルスなどから口を守るように、口を大事にすることも意識できると良いですね。
イヤな気持ちになったら「イヤだ」といって良い
プライベートゾーンをじろじろ見つめられたりさわられたりするのは、大人も子どもも関係なく気分が良くないものです。それが子ども同士や親しい間柄であっても、自分がイヤな気持ちになったら「イヤだ」といっても良いと伝えましょう。
それでもやめないときや恐怖を感じるときは、その場から逃げて親や先生など安心できる大人に話すよううながしてください。反対に、自分では遊んでいるつもりでも相手がイヤな気持ちになることもあります。そのようなときは行為をすぐにやめ、もうやらないことを説明しましょう。
性教育はいつから・どうやって始めれば良い?
子どもが身体に興味を持ったときがタイミング
子どもの性教育は、何歳になったから始めるという決まりはありません。子どもが身体に興味を持ったときが始めるタイミングです。
子どもから「パパとママはどうして違う身体をしているの」「赤ちゃんはどこから生まれるの」などの質問が出たときに、男女の身体の違いやプライベートゾーンについて話してみてはいかがでしょうか。
絵本の読み聞かせから始めよう
子どもは何度も同じことを聞いたり、答えにくい質問をしたりすることがありますね。ママやパパがスムーズに返せれば良いのですが、どのように対応したらよいか困ることもあるかもしれません。
性教育の始め方や質問への答え方がわからないときは、性について描かれた絵本が役立ちます。絵本の読み聞かせなら子どもにもわかりやすく、正しい知識を伝えられるでしょう。
子どもと性について学べる編集部おすすめの絵本
性の絵本 みんながもってるたからものってなーんだ?
発売日:2021年05月
著者/編集:たきれい、高橋 幸子
出版社: KADOKAWA
男女の違いや赤ちゃんがどうやってできるのかが、シンプルなイラストとわかりやすい文章で描かれています。性をタブー視せずに向き合う大切さや、命の大切さが伝わってくる絵本です。防犯という観点で、性にまつわる犯罪についても触れていますよ。
イラストを担当するのは3児の母であるたきれいさん。監修は年間120回以上、全国の小学校・中学校・高等学校にて性教育の講演を行う産婦人科医の高橋幸子さんです。3歳以上を対象とした内容になっています。
だいじ だいじ どーこだ?
発売日:2021年07月
著者/編集:遠見才希子
出版社:大泉書店
かわいらしいイラストで自分の身体のプライベートゾーン(本著ではプライベートパーツ)が学べる絵本です。身体と性について基本的なことがシンプルに伝わり、性教育の入門編として取り入れたい一冊です。
作者は、これまでに全国で900ヶ所以上の学校をめぐり講演を行っている産婦人科医のえんみさきこさんです。実子とのエピソードを交えたメッセージを発信しています。
いいタッチわるいタッチ (だいじょうぶの絵本)
発売日:2016年02月
著者/編集:安藤由紀
出版社:復刊ドットコム
スキンシップと性的な虐待はまったく別物ですが、その線引きはあいまいです。本著はかわいい犬の子どもたちを主人公に、良いタッチと悪いタッチがあることを学べる絵本です。
著者である安藤由紀さんは子どもの虐待を防止するための活動を続けており、2005年度にはスイスの女性団体から「世界で平和活動をする1000人の女性」にリストアップされています。
おちんちんのえほん (からだとこころのえほん)
発売日:2000年08月
著者/編集:山本直英、佐藤真紀子
出版社:ポプラ社
ほのぼのとしたやさしいタッチで性について伝える一冊です。タイトルは「おちんちん」ですが、女の子との違いやプライベートゾーンのこと、赤ちゃんが生まれるまでが描かれており、子どもの興味を引き付けながら楽しく正しい知識が得られます。
性ついての話題は大人だからこそ難しく感じてしまうものですが、本著なら気負わずシンプルに伝えることができますよ。
性教育について学べるおすすめの本
おうち性教育はじめます
発売日:2020年03月
著者/編集:フクチマミ、村瀬 幸浩
出版社:KADOKAWA
子どもへの性教育について積極的に発信されるようになったのは、ごく最近の話です。自分たちが子どものころは性の話題がタブー視されていたというママ・パパも多いでしょう。
本著は子どもからの質問に対しての答え方や日々の言葉かけの方法がていねいにまとめられた性教育本です。性のこと、セックスのこと、命のこと、防犯のことなどが親しみやすいマンガでまとめられていますよ。
LGBTや性行為のことなど親子で共有するのは難しく思われる話題も、偏見やいやらしさを感じることなく読み進められるおすすめの一冊です。
幼児期の性教育は自分と人を大切にするための教育
幼児期の性教育が話題となったのは最近のことです。ママやパパが子どものころは性についての話題をまじめに取り上げることはまれで、どちらかというと性の話題はタブー視されてきたのではないでしょうか。
近年の性教育は性をやましいものとして扱うのではなく、生や命に直結するテーマとして据えています。自分のこと、ほかの人のことを大切にするために必要な知識です。生涯をとおして犯罪や望まない妊娠といったかなしい側面に触れずに済むよう、子どもに正しい情報を伝えていきましょう。
※この記事は2022年5月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。