【小児科医解説】コロナ禍の過ごし方は?健診や予防接種、診察はどうする?【パパ小児科医コラム vol.19】

新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言が解除されてから約2ヶ月。全国では再び新型コロナウイルスの感染者が増え、日々不安な気持ちを抱えながら過ごされている方が多いでしょう。今回はパパ小児科医の加納友環(ぱぱしょー)先生に、小児科医の視点から必要な外出について、子どもの感染対策について教えていただきました。

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目次

  1. 外出を控えたいときの予防接種はどうする?
  2. 乳児健診には行ってもいいの?
  3. 子どもが体調を崩したら病院を受診してもいいの?
  4. 外遊びのメリットと気をつけること
  5. 子どもに上手に手洗いをさせるには?
  6. 感染症対策を継続しよう!
  7. ぱぱしょー先生によるお役立ち動画はこちら!
  8. パパ小児科医(ぱぱしょー)先生の過去のコラム
  9. 著者:加納友環(ぱぱしょー)
  10. あわせて読みたい

外出を控えたいときの予防接種はどうする?

イラスト:ヤマハチ

予防接種はできるだけ延期しない

新型コロナウイルスのように予防接種がない病気が流行すると、人々の生活が制限され、世の中に不安が広がることを実感した人も多いでしょう。

予防接種は必要だとわかっていても「この時期に病院を受診しても良いのか」と不安に思う保護者の方もいらっしゃると思います。子どもの予防接種は時期がある程度決まっていますので、私が医師を務めるクリニックにも「予防接種はどうすれば良いか」という問い合わせはよくあります。

問い合わせをいただくすべての方にお伝えしているのですが、予防接種は延期すべきではありません。予防接種を延期することで、防げるはずの感染症を防ぐことができず、また他の人への感染源にもなってしまう場合もあるからです。

予防接種で防げる病気はすべて予防接種で防ぐことが原則です。

接種期日とスケジュールに注意しよう

予防接種を延期することで公費による接種期間を過ぎてしまい多くの費用がかかってきたり、接種ができなくなったりする場合があります。

例えば、ロタワクチンについて初回接種は14週6日までに接種しなければなりません。時期を過ぎると接種できず、万が一ロタウイルスに感染すると嘔吐・下痢から脱水症状を起こして入院が必要になる場合もあります。

子どものためにも保護者のためにも、予防できる病気はできる限り予防していきたいですね。スケジュールや当日の体調については、かかりつけ医に相談すると良いでしょう。

乳児健診には行ってもいいの?

イラスト:ヤマハチ

乳児健診を延期することのデメリット

乳児健診も予防接種と同様に、できるだけ延期しない方が良いでしょう。

1ヶ月健診、4ヶ月健診など発達のキーとなる年齢には健診が設定されており、病気の早期発見や時期に応じた保健指導がなされます。延期することで病気の発見が遅れたり、時期にあった相談ができなくなったりするというデメリットがあります。

新型コロナウイルスの影響で集団予防接種や集団健診が一時中止になった自治体がありましたが、状況は刻々と変化しています。現在では、集団予防接種や集団健診を再開している自治体もありますので、受診の際には各自治体の情報を確認しましょう。

個別受診をするときの病院の選び方は?

新型コロナウイルスの感染が収束していない今、外出して病院を受診することに抵抗を持つ保護者の方は多いと思います。

感染リスクをできるだけ減らすため予防接種や健診の時間を分けていたり、一般の診療スペースとしっかりと分けていたりする病院を選ぶと良いでしょう。

日本小児科学会のサイトで、予防接種や集団健診を受診する際の注意点について述べられていますので参考にしてくださいね(※1)。

子どもが体調を崩したら病院を受診してもいいの?

イラスト:ヤマハチ

オンライン受診を活用しよう

病院の受診についてはどうするべきでしょうか。

定期的に使用している薬の継続であれば、クリニックによっては電話再診やオンライン診療が可能です(※2)。現在、新型コロナウイルス感染症拡大による特例で制限が緩和され、利用しやすくなっています。かかりつけ医が対応している場合は、感染リスクなく受診することができますよ。

急に症状が出てきたら?

ただし発熱や咳、腹痛など急に出てきた症状に対しては、対面で診察できない電話やオンラインでの診療は難しいと、個人的には考えています。まずは、電話やオンラインでも診療が可能かどうかを医療機関に問い合わせるのが良いでしょう。

子どもの様子を見ていて少し具合が悪そうだなと感じても、現在の感染状況から受診をためらう人も多いでしょう。緊急性のある症状かどうかは、日本小児科学会の「こどもの救急」のサイト(※3)を参考にしてくださいね。

外遊びのメリットと気をつけること

イラスト:ヤマハチ

外出は避けるべき?

ここまでは医療機関への受診について述べました。では日常生活の外出はどうでしょうか。

現在の状況では新型コロナウィルスの感染リスクがある限り、極力自宅で過ごす方が正解となりがちです。しかし、ずっと自宅にいることで子どもたちは運動不足になったり、ストレスが溜まったりすることでしょう。極力「Stay Home」を心がけつつ、できるだけ感染リスクが少ない方法で外出を取り入れるのが現実的な対応ではないでしょうか。

日光に当たることも大切

子どもたちにとっても大人にとっても日光に当たることは大切です。カルシウム吸収を助けるビタミンDの生成のためには、適度に日光に当たることが必要となります。運動と日光浴を兼ねてお散歩をしてみましょう。

ただし感染のリスクをできるだけ減らすために、人通りが少ない場所や時間帯を選ぶなど可能な範囲の工夫をしましょう。

公園遊びで気をつけること

公園遊びはどうでしょうか。大きな公園には比較的人が集まりやすいですし、遊具での遊びは「密」が生じやすいです。公園によっては遊具が制限されていることもありますよね。

屋外の公園であっても感染する可能性はありますので、人が少ない小さな公園を利用したり、人が密集している遊具は避けるようにしたりしたが方が良いでしょう。

ぱぱしょー先生ご一家の「Stay Home」

子どもの成長のためには外で遊ぶことも必要ですが、雨が降る日があったり、暑くなる日も増えてきたりと、外遊びができないときもありますよね。我が家では、お家遊びとしてシルバニアのおもちゃや、ドリル、ピアノ、お料理などできることをしています。

とはいえ、子どもは身体を動かさなければイライラが募りますし、大人も辛いでしょう。そんなとき我が家では可能な範囲で感染対策をしながら、お外を散歩していますよ。

子どもに上手に手洗いをさせるには?

イラスト:ヤマハチ

絵本や動画を活用して手洗いをする

正しい手洗いの方法などは、各メディアでも紹介されています。動画を使うのも良いですし、手洗いの方法や意味を説明した絵本もあります。我が子も何回も手洗いをするうちにだんだんと上手になってきました。

ただし、頻回に手を洗ったり、アルコール消毒したりすることで子どもたちは手が荒れやすくなっています。ワセリンやハンドクリームなどで保湿してケアをしていきましょう。

「うがい」は必要?

手洗いとセットで行う人が多いのが「うがい」ですよね。うがいについては小さな子どもは上手にできないかもしれません。

しかし、厚生労働省が勧める予防策の中にうがいは含まれていないので(※4)、無理にさせる必要はありませんよ。 うがいが上手でなくてもまずは手洗いや咳エチケット、3密を避けることで感染対策になります。

感染症対策を継続しよう!

2020年5月14日、東京都、大阪府など8都道府県を除く、39県で緊急事態宣言が解除されました。それに続いて、感染者が特に多かった8都道府県についても5月末に緊急事態宣言が解除されました。

しかし、東京を中心に人の行き来が出てきたことで、7月には1日の感染者が過去最高となってしまいました。手洗いを中心とする感染対策、可能な範囲で人混みを避ける対策は、今後も年単位で必要になっていきます。これらの対策は新型コロナウイルスだけでなく、インフルエンザやノロウイルスの流行防止にも役立つので、それぞれができる範囲で継続していくと良いでしょう。

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パパ小児科医(ぱぱしょー)先生の過去のコラム

「後医は名医」ってホント?医師が初診で大切にしていること【パパ小児科医コラムvol.18】
https://mamanoko.jp/articles/31645
【症状別】知っておくと安心!小児科医から見た病院の選び方【パパ小児科医コラムvol.17】
https://mamanoko.jp/articles/31601
小児科医直伝!子どもの病状を伝える「受診メモ」術【パパ小児科医コラムvol.14】
https://mamanoko.jp/articles/31405
子どもは肺炎や胃腸炎でしばしば入院するということを知っておこう【パパ小児科医コラムvol.12】
https://mamanoko.jp/articles/31300

著者:加納友環(ぱぱしょー)

二児(2歳、4歳)の父で小児科専門医。

TwitterやInstagramを中心に子育て当事者の立場から、また医療者の立場から子育てに役立つ情報を発信しています。

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