マインドフルネスとは?子どもの集中力があがる?子育て中に実践できるおすすめの本を紹介
現代はストレス社会といわれています。こうした中、医療の現場や企業において脳と心の健康のために取り入れられているマインドフルネスが、子どもにも効果があると注目されています。ストレスを軽減し、集中力や幸福感が増すというマインドフルネスとはどのようなものなのでしょうか。ここではその意味や効果、子育てに役立つ情報を紹介します。
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目次
マインドフルネスとは?
今に意識を向けて感情と切り離すこと
マインドフルネスとは過去や未来にとらわれず、今この瞬間の自分の状態に意識を集中して「あるがまま」を受け入れることであり、「身体の感覚や動き」と「自分の感情や好き・嫌いの評価」とを切り離して考えることで得られる気づきがあるといいます。
たとえば「転んでけがをする」という事象が起こったとき、「ばい菌が入るかもしれない」という恐怖、「きれいに治るかな」という回復への不安、そして転んだことへの悔しさや恥ずかしさなど負の感情がこみ上げてくるでしょう。子どもであればパニックを起こすこともあるかもしれません。
ところが恐怖や不安という感情をやり過ごして「今」のけがの痛みだけに意識を向けると、耐えられる痛みであることに気づき、痛みにとらわれにくくなります。身体のほかの部分は問題なく機能していることに安堵し、心の余裕が生まれることさえあるのです。
この気づきを得るための練習法のひとつとされているのが、瞑想(めいそう)です。瞑想だけでも座る瞑想、歩く瞑想、ヨガの瞑想、食べる瞑想、呼吸の瞑想などいくつもあり、これらを通じてネガティブな感情をコントロールし、ストレスを軽減したり集中力を高めたりする効果が期待されています。
ふたつのマインドフルネス
実はマインドフルネスには大きくふたつの種類があります。ひとつが仏教の概念であるサティ(sati)を英語訳したものです。「今に心をとどめる」という意味を持ち、日本語では念や気づきと表現されます。この教えを世界に広めたのはノーベル平和賞の候補にもなったベトナムの禅僧ティク・ナット・ハンとされています。
もうひとつは、仏教のマインドフルネスに着想を得て、その実践法を科学的に体系化したものです。特に有名なのは1970年代にアメリカのジョン・カバットジン博士が提唱したマインドフルネスストレス低減法(MBSR)とそれを応用したマインドフルネス認知療法(MBCT)です。
この医療プログラムは開発の過程で宗教的な要素が取り除かれており、医療の現場において疾患の改善や認知機能の向上などがみられたことから、マインドフルネスが広く一般に知られるきっかけとなりました。
日本に広まっているマインドフルネスはこの流れにのるものです。現在ではマインドフルネスの研究が進み、医療をはじめビジネスや子育て、教育現場などで役立つさまざまな実践法が開発されています。
マンドフルネスの効果は?
ストレスが軽減し、幸福感が高まる
マインドフルネスを実践するときは、呼吸や身体の感覚に意識を向け、自分の状態を穏やかに観察します。そのあいだに浮かんでくる感情や思いはやり過ごし、ひとつの対象に意識を向ける練習を繰り返します。
この練習を続けていると、日常のできごとに対しても「良い・悪い」または「好き・嫌い」などの感情を排して冷静に対処できるようになるとされています。
こうしてマインドフルネスを実践することで、不安やストレスが軽減されるようになるといいます。また、慢性疾患の患者がマインドフルネスを実践したところ気分の変動が減り、日常のささいなことに幸せを見つけられるようになったという事例も報告されています。
集中力や注意力が高まる
マインドフルネスはさまざまな研究から脳の働きに影響を与えることが示唆されており、特に注意制御能力や情動調整能力が高まり、自分を客観的に見ることができるといわれています。さらにマインドフルネスの過程で認知機能が発達し、子どもの集中力や注意力が高まる効果があると考えられています。
教育現場に取り入れられた事例も
メンタルヘルスやウェルビーイングの観点から、オリジナルのプログラムを従業員に対して提供している企業や団体があります。子ども向けのマインドフルネスが教育現場で取り入れられる事例も出てきました。
小学生向けのプログラムによる実証実験では、マインドフルネスを2ヶ月間継続した小学4~6年生279名のうち、約71%にストレス反応に改善がみられたそうです(※1)。
日本ではまだ事例が少ないものの欧米諸国では教育現場での応用が進んでおり、日本国内でも今後事例が増えてくるかもしれませんね。
※ウェルビーイング…心身が満たされた状態
マインドフルネスのやり方がわかる!編集部おすすめの本
心が落ち着き、集中力がグングン高まる! 子どものためのマインドフルネス
発売日:2018年9月
著者/編集:キラ・ウィリー、アンニ・ベッツ
出版社:創元社
子どもヨガの専門家であり音楽家でもあるキラ・ウィリー氏による実践本です。楽しくバラエティーに富んだマインドフルネス・エクササイズを通じて、子どもが心と身体をコントロールする方法を覚えます。絵本のような語り口とイラストが子どもの興味を誘いますよ。
マインドフル・ゲーム 60のゲームで子どもと学ぶマインドフルネス
発売日:2018年7月
著者/編集:スーザン・カイザー・グリーンランド、大谷 彰
出版社:金剛出版
アメリカで長年マインドフルネスを指導してきたスーザン・カイザー・グリーンランド氏による入門書です。ゲームを通して感情をコントロールするスキルや社会性が身につくのが特徴で、遊びながらマインドフルネスの実践法をマスターできます。
イライラ・モヤモヤが消える ママの心のゆるめかた やさしくなれるマインドフルネス
発売日: 2022年07月
著者/編集:田中 えり
出版社:日本能率協会マネジメントセンター
子ども向けのマインドフルネスプログラムを開発したマインドフルネスサロンMELONでインストラクターを務め、二児の母でもある田中えり氏によるママのための子育て本兼実践本です。隙間時間でマインドフルネスを実践し、穏やかに子育てするためのヒントがまとめられています。
マインドフルネスは楽しみながら取り組もう
マインドフルネスは瞑想法、呼吸法、そして単純作業の反復など多種多様なやり方が提唱されています。子ども向けには、エクササイズやゲームとして体験的なプログラムが用意されていますよ。
しかし効果がある反面、実践の過程でストレスやメンタルの不調をより感じやすくなることもあるようです。マインドフルネスに限ったことではありませんが、セルフケアやトレーニングには向き不向きがあります。また、即効性があるものでもありません。
子どもと一緒に実践するときは、様子をみながら無理せず焦らず、楽しく取り組んでいきましょう。精神的な不調を抱えている人は、医師に相談してからはじめてくださいね。
※この記事は2022年9月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。