赤ちゃんの高熱!家庭での対処法や注意点、病院へ行く目安

赤ちゃんが高熱を出すと、どうすれば良いのか戸惑ってしまい、心配ですよね。落ち着いて対応してあげられように、対処法を知っておきましょう。ここでは、赤ちゃんの高熱で考えられる原因と症状、家庭での対処方法や注意点、病院へ行く目安を解説します。

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この記事の監修

千葉 智子
小児科医
千葉 智子

目次

  1. 赤ちゃんの高熱で考えられる原因とは?
  2. 家庭での対処方法
  3. 赤ちゃんが高熱を出したときの注意点
  4. 高熱を出したときの薬の使い方
  5. 病院へ行く目安とタイミング
  6. 赤ちゃんの高熱に関する体験談
  7. 笑顔は赤ちゃんにとっての一番のお薬
  8. あわせて読みたい

赤ちゃんの高熱で考えられる原因とは?

そもそも、なぜ熱が出るのでしょう。それは、ウイルスや細菌などの病原体が身体に侵入すると発熱物質ができ、体温が上がるからです。体温が上がると、病原体と闘う白血球の働きが高まり、病原体の増殖を抑制します。

つまり、病原体は自らが引き起こした熱によって倒されるということです。さらに、白血球の一種であるリンパ球は倒した病原体を記憶するため、同じ病原体に再び遭ったときに効率良く身体を守れるようになります。この働きが「免疫」です。発熱は、免疫を獲得していく成長体験でもあります。

風邪

急性咽頭炎などを含むいわゆる風邪をひくと、発熱のほかに以下のような症状が出ます。

・咳
・鼻水
・鼻づまり
・のどの痛み
・頭痛
・腹痛
・食欲不振  など

突発性発疹

突然発熱し、下痢や熱性けいれんをともなうことがあります。熱があるわりには機嫌が良く、食欲もあまり落ちません。

発熱後3~4日で熱が下がり始めると同時に、全身にうすいピンク色のあせもに似た細かい発疹が現れ、数日で消えます。解熱後発疹が現れるときに機嫌が悪くなる子が多いそうです。通常は経過が良好な病気ですが、まれに脳炎などの合併を起こすことがあります。

インフルエンザ

頭痛や寒気があり、38℃以上の高熱が出ます。筋肉痛や関節痛、下痢や腹痛、嘔吐のほか、のどの痛みやくしゃみ、鼻水、咳、たんなどが、普通の風邪より重い症状としてみられます。たいていは3~4日で解熱しますが、再度発熱したり、解熱後も重い風邪症状が続いたりすることがあります。まれに、脳炎や脳症を合併することもあります。

水疱瘡

身体に水疱ができ、高熱または微熱が出る感染症で、「水痘」ともいわれます。水疱が小さいと虫さされと見間違えられることもありますが、1~2日経つと水疱が増え、身体中に広がります。

水疱は2~3日でかさぶたになり、7~10日のうちに自然にはがれ落ちます。すべての水疱がかさぶたになるまでは感染力があると見なされ、登園、登校はできません。

おたふく風邪

40℃近い高熱が出て、まず片側の耳下腺がはれ、頭痛や食欲不振などが起こります。耳の周囲が痛いという子もいます。耳下腺の腫れは、発症後3日後ぐらいに最大になります。

もう一方の耳下腺も腫れてきますが、片方だけで終わることも珍しくありません。腫れは一週間程度で治まります。激しい嘔吐や頭痛をともなう脳炎や髄膜炎、男の子の場合には精巣炎を合併することもあり、その後も生殖機能に影響することがあるため、注意が必要です。
また、発症後5日を経過するまで登園、登校はできません。

麻疹

麻疹は「はしか」とも呼ばれます。38℃以上の高熱、咳、鼻水、目やになど、風邪のような症状から始まります。高熱が一度下がり、再び体温が上がると同時に、全身に発疹が現れます。

発疹が現れてからも、さらに3~4日高熱が続きます。点滴や入院が必要となることも少なくありません。発疹は、少し色を残して次第に薄くなっていきます。症状が出てから10日~2週間で治りますが、重症になると肺炎や中耳炎、脳炎になるおそれがあるため、注意が必要です。

家庭での対処方法

発熱は、一般的に次のような経過をたどっていきます。

1.熱の出始め
2.ピーク期
3.解熱期
4.回復期

それぞれの状態では、どんなことに気をつければ良いのでしょうか。

身体を冷やさずに温める

熱の出始めは悪寒、ふるえ、手足の冷え、顔色が悪い症状が出てきます。このような状態のときには、布団などをしっかりかけ身体を温めてあげましょう。

高熱のときはピンポイントで冷やす(脇の下、首の後ろ、足首)

体温が勢い良く上昇しているときは、冷やしても熱は下がりません。手足まで温まり、汗をかき始めたら、熱が上がりきったサインです。薄着にし、本人が嫌がらなければ氷まくらや冷却シートで冷やしてあげましょう。

特に太い血管のある後頭部から首筋にかけて氷まくらで冷やします。赤ちゃんには冷えすぎることがあるので、氷まくらを厚めのタオルで包んだり、濡れたタオルを使用したりしましょう。太い血管のある脇の下、ももの付け根などを冷やすと効果的です。また、濡れタオルでこまめに汗を拭いてあげると、気化熱によって体温を下げる効果があります。
嫌がる場合は、無理に冷却材を使用する必要はありません。

こまめに水分補給をする(脱水症状に注意する)

発熱時は、普段よりも早く身体から水分が失われていきます。脱水症状を起こさないよう、こまめに水分補給をしましょう。

比較的元気なときには、麦茶、湯冷ましなどを欲しがるだけ与えてください。発熱の影響で胃腸が弱っているので、脂肪分が少ない消化の良い食べ物を少しずつ食べさせることも大切です。

食欲がなくてぐったりしているときには、食事は無理に与えず、水分補給を優先します。経口補水液や幼児用イオン飲料など、電解質や糖分を含んだものを与えてもよいでしょう。

ただし、糖分の摂り過ぎには注意が必要です。口内炎があって痛くて食べられないとき、身体が熱いときには、冷たい飲み物や果汁でできたゼリーやシャーベットなどが食べやすいので、試してみると良いですね。

汗をかいたらこまめに着替えさせる

綿100%の吸湿性の良い肌着を枕元に用意し、汗をかいたらこまめに着替えさせましょう。敷布団の上にバスタオルを敷くと汗を吸い取ります。湿ったバスタオルも取り換えましょう。

お風呂は短時間かシャワーで済ませる

お風呂は、熱があっても元気な様子のときには短時間で済ませるか、シャワーなどでサッと汗を流してあげましょう。赤ちゃんは汗をかきやすく、肌の表面が汚れて雑菌が繁殖しやすい状態なので、1日に1回はお風呂で汗や肌の汚れを流してあげたほうが良いといわれています。

しかし、熱の有無にかかわらず元気がないときには、体を拭いてあげるか、シャワーでおしりや陰部を洗う程度にしましょう。

赤ちゃんが高熱を出したときの注意点

赤ちゃんの様子をじっくり見ておく

高熱が出ていても、機嫌が良く元気そうにしていることもあり、じっとしているのは難しいこともあるでしょう。熱を測ったり、こまめに水分補給をしたりしながら、赤ちゃんの様子をじっくりと冷静に見ましょう。診察時の参考になるので、全身の状態の変化も観察しておくと良いですね。

遊びたがっても無理はさせない(夜に高熱がぶり返すこともあるため)

少し熱があっても元気な子もいますが、体力は落ちて疲れやすくなっているので、無理をさせないようにしましょう。外出は控え、できるだけ自宅でゆっくり過ごすことが大切です。室内で自らおもちゃなどで静かに遊べている場合は、遊びをやめさせる必要はありません。それだけ少し元気な証拠です。ただ、夜に高熱がぶり返すこともあるため、体力を消耗しすぎないように気を付けてくださいね。

日頃の様子と違ったことがあればメモを取っておく

いつもの様子と違ったことがあれば、メモを取っておきましょう。咳の仕方、鼻水の色、食欲、熱、便や尿の様子、機嫌、泣き方の違いなど、診断の参考になります。

食べたがらなくても消化の良いものを取らせる

食欲がないようでも、栄養は摂らなければならないので、できるだけ食べられるものを食べさせてください。ゼリーやおかゆ、パン、りんごなど消化が良い物を与えましょう。脂分が多いものや乳製品などは消化が悪いので、おすすめしません。

高熱を出したときの薬の使い方

高熱でも解熱剤で無理に下げる必要はない

発熱するのは、身体がウイルスや細菌と闘っているからです。解熱剤を使って熱を下げても、病気の治りを早めるわけではありません。しかし、熱が高くて眠れない場合や、気分が悪いときには解熱剤を使って一時的に熱を下げ、気分を良くしてあげても良いでしょう。

解熱剤を使うときは医師に処方してもらう

解熱剤を使用する場合は、医師の指示に従い、受診時に処方されたものを使うようにしてください。

医師に診せないまま勝手に薬を飲ませない

診察前の服薬はできるだけ避けましょう。解熱剤を使うことで症状が変わってしまうので、正しく診断できなくなります。しかし、どうしてもの場合は、いつ、何の薬を使用したのかわかるようにして、翌日には必ず受診しましょう。
なお、ひどくぐったりしている場合は、救急受診も考慮しましょう。

病院へ行く目安とタイミング

熱が3日以上続く

38℃以上の熱がある、または微熱が3日以上続いているときは病院を受診しましょう。

元気がない、ぐったりしている

熱は高くなくても、普段に比べて元気がなく、ぐったりしているときには受診してください。

発熱以外の症状がある(咳や下痢、嘔吐、頭痛など)

下痢、嘔吐、咳、頭痛、発疹など他の症状も伴っている場合は、受診したほうが良いでしょう。

夜間の救急病院にかかる目安

次のような症状が出た場合には、大至急受診するか救急車を呼びましょう。

・意識が朦朧としている
・顔色や唇の色がひどく悪い
・初めてのひきつけ
・熱が41℃以上に上がった
・生後3ヶ月未満での発熱(重症感染の可能性もあるため)
・水分を受け付けず、ぐったりしている
・青ざめたり、息苦しそうにしたりしている

赤ちゃんの高熱に関する体験談

娘が赤ちゃんのとき、ふと身体をさわるととても熱く、熱を計ると高熱でびっくりしたことがあります。高熱にも関わらず、機嫌が良く元気そうにしていました。慌てて病院に連れていき、ただの風邪ですと診断されても、元気になるまではとても心配でした。

夜中も苦しそうでぐずり、泣いてなかなか寝てくれないときには筆者も気になって寝られず、ずっと抱っこして疲れ果ててしまう状態でした。苦しそうな姿を見て、変わってあげたいなと何度も思いました。熱が下がり、娘の笑顔が見られたときには本当に安心しました。元気が一番だと実感しました。

笑顔は赤ちゃんにとっての一番のお薬

赤ちゃんが高熱を出したときには、びっくりしてどうしてあげたら良いのか戸惑い、心配ですよね。なかなか熱が下がらず、ヤキモキすることでしょう。しかし、まずはママが落ち着くことが大切です。

赤ちゃんはお母さんの様子をよく見て感じ取っています。「大丈夫だよ」というひと言と、優しい笑顔で赤ちゃんは安心するのではないでしょうか。熱が出ているということは、身体が病気と闘っている証拠だと思い、まずは赤ちゃんの様子をよく観察しましょう。

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