卵巣のう腫とは?妊娠・出産にかかわる&自覚症状はある?知っておきたい症状と治療法

卵巣のう腫(らんそうのうしゅ)は20~30歳代などの若年層に多いとされる病気で、卵巣腫瘍のひとつです。卵巣は「沈黙の臓器」とも呼ばれており、症状が進行するまで自覚症状がないことが特徴です。ここでは、卵巣のう腫の種類や妊娠への影響について解説します。

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この記事の監修

藤東 淳也
産婦人科医
藤東 淳也

目次

  1. 卵巣のう腫とは?
  2. 卵巣のう腫の自覚症状は?
  3. 卵巣のう腫ができる原因と検査方法は?
  4. 卵巣のう腫の治療方法は?
  5. 卵巣のう腫を予防するには?
  6. 卵巣のう腫になっても妊娠は可能?
  7. 定期検診をきちんと受けよう
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卵巣のう腫とは?

卵巣にできる良性腫瘍

卵巣に発生した腫瘍を「卵巣腫瘍(らんそうしゅよう)」といい、その中でも液体や脂肪などがたまった袋状の腫瘍のことを「卵巣のう腫(らんそうのうしゅ)」といいます。卵巣のう腫はそのほとんどが良性といわれていますが、まれに悪性の場合もあるので注意が必要です。腫瘍の組織を調べることで、良性か悪性かの判断をすることができます。

20代〜30代が発症しやすい

卵巣のう腫は中身によって以下の4つの種類に分けられています。種類によって、発症しやすい年代が異なりますが20代〜30代に多い病気です(※1)。

種類
のう腫の中身
発症しやすい年代
漿液(しょうえき)性のう腫卵巣から分泌される、さらっとした透明の液体がたまったもの。発生頻度が一番高い。10代~30代
粘液(ねんえき)性のう腫ゼラチンのようなネバネバした液体がたまったもの。肥大化しやすい。閉経後の50代〜
皮様のう腫毛髪や歯、脂肪などの組織が含まれたドロドロした物質がたまったもの。20代〜30代
チョコレートのう胞子宮内膜症が原因で、血液がチョコレートのような状態でたまったもの。30代〜40代

卵巣のう腫の自覚症状は?

大きくなるまで自覚症状がない

何らかしらの異常があったとしても、沈黙の臓器と呼ばれるほど自覚症状が出にくいといわれる卵巣です。そのため、卵巣のう腫も大きくなるまで自覚症状がないことが多いようです。一般的なのう腫の大きさは2~3cmですので、少しくらい腫れていてもスペースに影響を与えにくいといえます。気付いたときには、病状がかなり進行しているケースもあります(※2)。

痛みがないからといって放っておくと、卵巣の働きが悪くなったり、卵管が引き伸ばされて卵管の働きが悪くなったりと不妊症の原因にもなってしまうかもしれません。

緊急手術になる場合も

腫瘍が大きくなると、「茎捻転(けいねんてん)」といわれる卵巣がねじれてしまう状態や、腫瘍が破裂してしまうことがあります。そうなると下腹の激しい痛みや嘔吐、呼吸が速くなるなどのショック状態に陥ることがあるため、緊急手術が必要になります。

卵巣のう腫の症状チェック

卵巣はお腹の近くにあるので、のう腫が大きくなるにつれてお腹の内側が引っ張られるような軽い痛みを感じるケースも存在します。そのほかにも、以下のような症状が見られることがあるそうです(※3)。

・お腹がぽっこりしてウエストがきつく感じる
・お腹が張って苦しい
・腰痛
・便秘
・頻尿

違和感を覚えた場合は注意深く体調をみていくと良いでしょう。

卵巣のう腫ができる原因と検査方法は?

卵巣のう腫ができる原因

子宮内膜症が原因で起こるチョコレートのう胞以外は、のう腫がなぜできるのかはっきりとした原因は究明されていないようです。つまり、卵巣を持っているかぎりどの年代の女性もかかる恐れがあるということです。

卵巣のう腫の検査方法は?

問診と内診で卵巣の大きさを調べます。進行してのう瘍が大きくなっている場合は、内診でわかることが多いです。さらに超音波検査でのう腫の位置や大きさ、良性か悪性かのおおよその判断ができます。必要な場合は、血液検査やCT検査、MRI検査などをおこないます(※2)。

病院により異なりますが、問診〜超音波検査で4,000円ほどの費用がかかります。

卵巣のう腫の治療方法は?

様子を見て良い場合

卵巣のう腫が自然消失することは期待できないため手術療法が基本ですが、大きさが5cm以下で成長スピードが遅い場合は、症状がない限りは定期検査のみで様子を見ても良いでしょう。ただし、急な痛みや違和感を覚えた場合は必ず医師の指示を仰いでください(※3)。

手術の場合

卵巣の大きさが5cmを超えていたりどんどん大きくなっていたりする場合には、早めに処置をしたほうが良いでしょう。

治療は手術となることがほとんどです。チョコレートのう胞の場合は薬の治療で小さくなることがありますが、その他ののう腫はのう腫だけを切り取るか卵巣全体を切り取る手術が必要になります。

手術方法
詳細
卵巣のう腫摘出術腫瘍部分だけを取り除き、正常部分を残す
卵巣摘出術卵巣とともに摘出する
付属器摘出術卵巣・卵管とともに摘出する

摘出する手段によって開腹手術と腹腔鏡下手術があります。腹腔鏡下手術は、開腹手術に比べて傷が小さくてすみ術後の傷跡も目立ちません。また、お腹を大きく切らないので身体への負担が少なく回復が早いのもメリットです。最近は腹腔鏡下手術が行われることも多くなったので、もし自分がこのような立場に立たされてしまった場合には、しっかりと医師に相談するようにしましょう。

腫瘍の種類や大きさ、これからの妊娠・出産の希望などを考慮して手術方法や摘出手段を選択することが大切です(※4)。

卵巣のう腫を予防するには?

卵巣のう腫は、女性であれば誰にでも起こりうる可能性がある病気です。ただし、発症したほとんどの場合で生活習慣が関わっていないことが多く、卵巣のう腫を事前に予防することは難しいともいわれています。つまり、卵巣のう腫は食事や運動などの日常生活で防げるものではありません。

初期には自覚症状がないことから、定期的に婦人科検診を受けて卵巣の状態を診てもらうことが症状悪化の予防につながり、早期発見が可能となります。初期に見つかった場合は、医師により適切な対応が行われるため最悪のケースを防げることがほとんどです。

卵巣のう腫になっても妊娠は可能?

必ず不妊になるわけではない

漿液性(しょうえきせい)のう腫や粘液性のう腫、皮様のう腫があるからといって必ずしも不妊につながるとは限りません。ただし、摘出手術を行わないまま妊娠すると、妊娠中に腫瘍が破裂したり卵巣がねじれたりして重症化してしまうリスクがあります。のう瘍の大きさによっては妊娠前に摘出しておいたほうが安心でしょう。

また、チョコレートのう胞の場合は妊娠環境を悪化させてしまう可能性があるため注意が必要です。卵巣にしっかりと癒着してしまい、摘出の際に卵子も一緒になくなってしまうケースもあります。この場合、あえて摘出せずに薬で治療を進めるなど、医師とよく話し合ったうえで選択しましょう。

片方の卵巣を取り除いた場合

卵巣は腎臓と同じように、左右にひとつずつある臓器です。片方の卵巣を摘出しても、もう片方の卵巣が正常に残されていれば妊娠が可能です。

卵巣がひとつになったら「妊娠の可能性が半分になるのでは?」と思うかもしれませんが、心配はいりません。残ったほうの卵巣がしっかり働いてくれるので、月経や妊娠の可能性はふたつあったときと変わらないのです。

両方の卵巣を取り除いた場合

両方の卵巣を全部摘出してしまった場合は、卵子のもととなる原始卵胞がなくなってしまうため妊娠はできなくなります。卵巣を摘出することになったとしても、ふたつある卵巣のうちひとつが残っていれば、通常通り生理がきて妊娠も可能です。

また、のう腫を摘出し米粒ほどしか卵巣が残らなくても、卵巣は機能しているので生理の継続、妊娠もできるようです。ただし、再発するリスクを考慮して、閉経後の女性は全摘出するケースが多いそうです。

定期検診をきちんと受けよう

卵巣のう腫は、卵巣をもつ女性である限りかかる恐れのある病気です。また、事前に予防するすべはなく、最悪の事態を引き起こさないように早期発見により経過を見守るしかありません。

手術によりのう腫を摘出することになったとしても、卵巣をどのように残すかによって妊娠の可能性を術前と変わらず継続させることができます。すべての女性に可能性がある病気だからこそ、婦人科検診を定期的に行うことができると良いですね。

※この記事は2022年1月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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