子宮筋腫だと妊娠しにくい?手術は必要?出産のリスクは?

子宮筋腫は良性の腫瘍で、ほとんどの人は治療の必要はありません。しかし、筋腫ができる場所や大きさによっては不妊の原因となり、妊娠・出産時のリスクも高まるため、妊娠を希望している人は注意が必要です。ここでは、不妊の原因になっている子宮筋腫の治療法や、子宮筋腫が妊娠中や出産時に引き起こす症状について解説します。

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この記事の監修

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産婦人科医
杉山 太朗

目次

  1. 子宮筋腫とは
  2. 子宮筋腫の種類
  3. 子宮筋腫は不妊の原因になる?
  4. 不妊の原因になる場合は手術が必要?
  5. 子宮筋腫の妊娠中のリスクは?
  6. 子宮筋腫があると帝王切開になる?
  7. 子宮筋腫の出産時のリスクは?
  8. 過度に心配せず上手に付き合おう
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子宮筋腫とは

「子宮筋腫」は子宮の筋肉の一部にできる良性の腫瘍で、成人女性の4~5人に1人がかかっているといわれています。子宮筋腫自体は命にかかわる病気ではなく、ほとんどの人は自覚症状がありません。しかし、筋腫が発生する場所や成長スピード、数によっては「過長月経」「過多月経」「貧血」「生理痛」といった症状がでて、治療が必要となります。

子宮筋腫ができる原因については現在のところ判明していません。初潮前の女性は発症しないことから、女性ホルモンのエストロゲンが筋腫の発生や成長にかかわっているといわれています。また、遺伝的なものによるという説もあります。

子宮筋腫の種類

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子宮筋腫は発生する場所によって3種類に分けられます。

筋層内筋腫

「筋層内筋腫」は子宮の筋肉の中にできます。直径3~4cmくらいに大きくなると子宮の収縮をさまたげ、子宮内膜に影響して過長月経や過多月経を起こします。

漿膜下筋腫

「漿膜下筋腫(しょうまくかきんしゅ)」は子宮の表面をおおう漿膜(しょうまく)の下にでき、子宮の外側に飛び出すように成長します。子宮内膜に影響を与えないため、お腹の上からしこりがわかるほど筋腫が大きくなっても症状がほとんどでません。

粘膜下筋腫

「粘膜下筋腫」は子宮内膜のすぐ下にでき、子宮の内側に向かって発育します。子宮内膜に影響し、小さいものでも過多月経や生理痛、貧血といった症状が強くでます。

子宮筋腫は不妊の原因になる?

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子宮筋腫があってもほとんどの場合、治療を行わずに「経過観察」しながら妊娠、出産できます。ただし、筋腫ができる場所や大きさなど、さまざまな条件により、子宮筋腫が不妊の原因になることがあります。とくに粘膜下筋腫や筋層内筋腫は妊娠への影響が大きいと考えられています。

着床障害

粘膜下筋腫や筋層内筋腫によって、子宮内膜が薄くなったり子宮の内側がでこぼこに変形したりすると、受精卵が着床しづらくなることがあります。

卵管通過障害

筋腫が発生する位置によっては、精子と受精卵の通り道である卵管が圧迫され、卵管通過障害が起こることがあります。手術で子宮筋腫を取り除いて通路を確保するか、あるいは体外受精を行わないと妊娠できません。

不妊の原因かどうか調べるには?

子宮筋腫が不妊の原因になっているかどうかの判断は、子宮卵管造影検査やMRI検査で総合的に行います。子宮卵管造影検査は、子宮内に造影剤を入れ、卵管から卵管采(らんかんさい)、腹腔内へと広がっていく様子をX線撮影する検査です。

卵管の詰まりが軽度ならば、造影剤が通ることで詰まりが解消され、妊娠する確率が高まるといわれています。そのため、不妊症の治療をかねて子宮卵管造影検査を行う病院もあります。

不妊の原因になる場合は手術が必要?

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手術する場合もある

検査の結果、子宮筋腫以外に不妊の原因が考えられなければ、筋腫部分を取り除く「筋腫核出術」を検討します。ただし、手術を受ければ必ず妊娠できるという保証がないうえ、筋腫が再発する恐れがあります。

手術後いつから妊娠できる?

手術方法や患者の体調にもよりますが、子宮筋腫の手術後は妊娠できない期間が発生します。お腹に小さな穴を開ける「腹腔鏡下手術」を行った場合、子宮破裂のリスクを避けるため、術後3~6ヶ月間は避妊をしなければなりません。

また、手術前にホルモン療法を行っていると、ホルモン剤の影響で術後も生理が数ヶ月間止まる場合があります。術後、長期間にわたって妊娠できないこともあるため、とくに高齢出産の年齢にあたる女性の場合、手術と体外受精などの生殖補助医療のどちらを先行させるか慎重に検討します。

子宮筋腫の妊娠中のリスクは?

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基本的には経過観察

子宮筋腫が発症している状態で妊娠することを「子宮筋腫合併妊娠」といいます。ほとんどの場合、子宮筋腫が妊娠に影響することはないとされ、基本的には経過観察にとどめます。ただし、妊娠初期から中期にかけては筋腫が増大することがあるため、注意が必要です。従来、妊娠中の筋腫核出術は行わないほうが良いとされていましたが、筋腫により妊娠の継続が困難とみられる場合には、筋腫核出術を行うようになってきました。

痛みや出血

妊娠によりエストロゲンの分泌が増えるのに伴って子宮筋腫が大きくなります。それにより、臓器が圧迫されて痛みや出血が起こることがあります。

切迫流産・切迫早産

大きくなった筋腫が子宮の拡大を制限したり、痛み物質をだして子宮の収縮を誘発したりする場合があります。そのため、切迫流産や切迫早産の症状が起こり、早産率が正常な妊婦の約2倍に増加するとされています。

筋腫の変性によるリスク

腫瘍に栄養や酸素を運ぶ血管が圧迫され、筋腫が石灰化するなどして壊死することがあります。これは「筋腫の変性」といい、妊娠中期から後期にかけて起こりやすいようです。変性した筋腫は、強い痛みを伴い、子宮が陣痛を起こしたような状態になるため、流産や早産のリスクが高まります。さらに、変性を起こした筋腫は感染症を合併することがあり、胎児が危険にさらされてしまいます。

胎児の発育不全や胎盤の異常

子宮筋腫がある位置に胎盤が付着すると、胎盤への血流がさまたげられ、「胎児発育不全」が発生しやすくなるほか、胎盤が子宮の壁から剥がれ落ちる「常位胎盤早期剥離」のリスクも増加します。また、筋腫が多数存在し、子宮腔が変形すると、逆子などの「胎位異常」や、胎盤が正常より低い位置に付着して子宮口を塞ぐ「前置胎盤」も起こりやすくなります。

子宮筋腫があると帝王切開になる?

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子宮筋腫があると必ず帝王切開になるわけではなく、自然分娩も可能です。妊娠初期に分娩障害となると考えられた筋腫が、後期には胎児より上方に位置することもあります。そのため、自然分娩ができるかどうかは、実際に陣痛が起こって、赤ちゃんの頭がどの程度下がっているかといった状況を見たうえで判断します。

子宮筋腫が子宮の出口付近にあって、赤ちゃんが産道を通るときのさまたげになりそうなときは帝王切開となります。また、子宮筋腫は、「逆子」、赤ちゃんが分娩時に身体をうまく回せない「回旋異常(かいせんいじょう)」、陣痛が弱くなる「微弱陣痛」になりやすいため、帝王切開になる確率は高いと言えます。

帝王切開時に子宮筋腫を取り除くことも

病院によっては、帝王切開と同時に筋腫核出術を行い、筋腫を取り除くことがあります。帝王切開時に筋腫を残したままにすると、「子宮収縮不良」「筋腫の増大」「次回妊娠時の流産や早産」といった多くのデメリットが考えられるためです。

子宮筋腫の出産時のリスクは?

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微弱陣痛

筋腫が大きい場合や多発している場合、分娩時に子宮の収縮がさまたげられて陣痛が弱くなり、子宮口がなかなか開かないことがあります。微弱陣痛が続くと母子への負担が大きいことから、状況を注意深く判断しながら、陣痛促進剤を投与したり、やむをえない場合は緊急帝王切開を行ったりします。

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回旋異常

分娩時、赤ちゃんは産道を通りやすいよう、何度か向きを変え、回転しながら降りてきます。これを「回旋(かいせん)」といいます。子宮筋腫があると、この回旋がうまくいかず、難産になることがあります。

弛緩出血

自然分娩での出産直後には、通常、胎盤が子宮壁から剥がれたあとから多少の出血がありますが、子宮が急激に収縮することにより自然に止まるようになっています。ところが、筋腫によって子宮の収縮がさまたげられると、血管が閉鎖されずに大量に出血したり、いつまでもだらだらと出血が続いたりする「弛緩出血」の状態になることがあります。

子宮復古不全

出産後、子宮は妊娠前の大きさに戻るために約1ヶ月間かけて収縮しますが、筋腫があると、正常に収縮ができない「子宮復古不全」になることがあります。子宮復古不全になると、止血しづらくなるほか、通常は分娩後2~3週間で完成する子宮内膜の再構築が遅れます。すると、「悪露(おろ)」という産後の出血が長引いたり、悪露から細菌が感染して、子宮内膜炎などの子宮内感染症を併発したりしやすくなります。

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過度に心配せず上手に付き合おう

子宮筋腫があると妊娠しにくいのではないかと不安になるかもしれません。また、妊娠中や出産時のリスクも気になるでしょう。筋腫ができる場所や大きさによっては、不妊の原因になったり、流産や早産を引き起こしたりすることがあり得ます。そのため、筋腫の状態を病院で定期的にチェックするのはもちろん、小さな体調の変化も見逃さず、医師に相談するようにしましょう。子宮筋腫があっても、ほとんどの方は無事に妊娠、出産できますので、過度に心配しないことも大切ですよ。

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