【小児科医解説】本の読み聞かせには良いことがいっぱい!親子にやさしい本読みのヒント 山口有紗#2

ままのてチャンネルで活躍中の小児科医・山口有紗先生の記事をお届けします。第2回は「本の読み聞かせのコツ」をお届けします。山口先生の心に響くやさしいメッセージにのせて、本読みの効果やメリット、子どもにおすすめの本の選び方などを解説いただきました。ぜひ本読みのコツをつかんで、子どもとの楽しい時間をお過ごしくださいね。

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この記事の監修

山口 有紗
小児科医
山口 有紗

目次

  1. 本読みの効果は?
  2. 絵本の読み聞かせは何歳からできるの?
  3. いつ、何分くらい読んだら良いの?
  4. 本はどうやって選んだら良いの?
  5. 本読みのコツは?
  6. 山口有紗先生による子育てのアドバイス動画はこちら!
  7. 山口先生のコラム
  8. 著者情報:山口 有紗(やまぐち ありさ)
  9. 妊娠・育児に関するお役立ち情報発信中!
  10. あわせて読みたい

【山口有紗先生より】
本の読み聞かせは、子どもの言語能力や認知能力、社会性、学校への準備に良い影響を与えることが、多くの研究により明らかになっています。脳科学の研究でも、言語をつかさどる脳の部分が、読み聞かせによって発達することがわかってきました。

・実際にどうやったら良いの?
・本の選び方は?
・何分読むの?
・子どもがのってこないけど何か解決策は?
・そもそも何か効果があるの?

山口先生

今回は、本の読み聞かせの効果と、読み聞かせを楽しく・効果的に行うためのヒントをご紹介します。

本読みの効果は?

子どもへのメリット

本の読み聞かせは、子どもの言語能力や認知能力、社会性、学校への準備に良い影響を与えることが、多くの研究により明らかになっています。脳科学の研究でも、言語をつかさどる脳の部分が、読み聞かせによって発達することがわかってきました。

家族と親子関係へのメリット

読み聞かせによって、家族の育児のストレスが軽減され、産後うつの頻度が減少するとされています。さらに、親子の関係性にも良い影響がもたらされ、より穏やかに子どもに接することができるようになることがわかっています。

このように、子どもの発達を伸ばしたいと考えているご家族や、日々の育児のストレスなどで子どもとの関係に難しさを感じている方には、本の読み聞かせはまさにぴったりな方法です。

絵本の読み聞かせは何歳からできるの?

「まだ小さくて本の内容が理解できないのでは…」、と考えるご家族もいらっしゃるかもしれません。でも、読み聞かせは、生まれてすぐの赤ちゃんからでもぜひやってみてほしいことのひとつです。

なぜなら、読み聞かせの目的は内容を理解することではなく、本を通してスキンシップをとったり、音や言葉を楽しんだり、一緒に同じものをみて気持ちを分かち合うという体験をすることだからです。

いつ、何分くらい読んだら良いの?

「毎日忙しい中、本読みをするなんて無理!」そうですよね。でも、がんばりすぎなくて大丈夫。大切なことは、本読みを日課にすることであり、一回の時間は長くなくても大丈夫です。

数分、本のほんの一部だけ読むだけでも良いので、できるだけ毎日、同じ時間帯に読んであげると、本が好きな子どもになると言われています。特に、夜の寝かしつけ前のスキンシップと本読みは、子どもたちが大好きな時間です。

本はどうやって選んだら良いの?

赤ちゃん、1歳以下の子ども

赤ちゃんは特に、厚紙でできているボードブックと呼ばれるものや、赤ちゃんの絵が描かれた本を気にいることが多いでしょう。

1歳の子どもの絵本の選び方

食べもの、車、動物、子どもが登場する本を好みます。まだ、文字は少ない方が良いかもしれません。

2歳の子どもの絵本の選び方

ヘンテコな本、動物の本、動物の鳴き声の本など。多くの本の中からきょうはこれ!と選べるようにすると喜びます。

3歳以上の子どもの絵本の選び方

長めの本で、ストーリーのあるものを好むようになります。絵だけで文字の書いていない本や、アルファベット・ひらがな・数の本、家族・友達についての本、学校についての本も好きな子どもが多いです。

子どもの生活に関係するものを選ぶのもコツです。お医者さん、動物園、学校、引っ越しなど、子どもの予定やイベントに合わせると、子どもの想像力が育まれます。

山口先生

もちろんこれらはあくまで目安です。お子さんの反応を見て、好きそうなものを選んであげるのが大切です。

子どもは繰り返し同じ本を読むのが大好きですし、繰り返すことが脳を育てますので、「いつもこればっかり!」と心配しなくても大丈夫。

大きくなってくると、自分で選ぶことでより本読みを楽しめます。いくつか選択肢を与えてあげたり、図書館や本屋さんで一緒に選んだりするのも良いですね。

本読みのコツは?

山口先生

本読みのコツとして最も大切なことは、本をしっかり読むことにこだわらず、本を介して楽しい時間を共有すること。その子どもと家族にとって一番しっくりくればどんな方法でも構いません。

でも、もしかしたら「なかなか本読みの時間がうまくいかない…」、と悩むご家族もいらっしゃるかもしれません。いくつか、ヒントを共有しますね。

本のストーリー通りに進まなくても気にしない

最初に表紙を見せて、「今日はぞうさんの冒険のお話だよ、始まり始まり!」と導入を入れてあげると、子どもはストーリーに入り込みやすくなります。指でいま読んでいるところをなぞるのも良いでしょう。

それでも、読み聞かせの途中で、子どもがページの順番をぐちゃぐちゃにしたり、ストーリーとは関係ない部分に注目してしまって先に進まなかったり、というのはよくあることです。

でも、実はそれこそが大切なこと。たとえばぞうが主人公の話でも、子どもが隅っこのきりんを指差していたら「わぁ!黄色いきりんさん、かっこいいね!」と、子どもが関心を持っているページや絵について話してみましょう。

子どもにページをめくらせてあげましょう

子どもたちは本のページをめくるのが大好きです。破れてしまったり、順番が逆だったりすることもあるかもしれません。

でも、自分の行動によって次に何が起こるか期待したり、新しいものが出てきたりするということが、発達にとってはとても大切です。「次は何かな…」と、子どもの手にご家族の手を添えて、ページがめくりやすいようにお手伝いしてあげても良いでしょう。

本を介して言葉のやりとりをしましょう

「次は何が起こるのかな」「わぁ!これおいしそうだね」「これ昨日食べたね、なんだった?」など、本に出てくるものをヒントに子どもと対話をしましょう。子どもに質問させたり、「どんなお話だったか教えて」と、自由に話してもらったりするのも良いですね。

山口先生

こうしたことをヒントに、ぜひ日々の生活に読み聞かせを取り入れてみてくださいね!

参考文献

Xie Q-W, Chan C.H.Y., Ji Q, et al. Psychosocial Effects of Parent-Child Book Reading Interventions: A Meta-analysis. Pediatrics. 2018;141(4):e20172675

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読み聞かせ

産後うつやマタニティブルーの症状

非認知能力とは?

山口先生のコラム

【小児科医解説】コロナ流行の中で小さな子どもの「こころのケア」のためにできることは? 山口有紗
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著者情報:山口 有紗(やまぐち ありさ)

山口 有紗

小児科専門医 小児精神神経学会認定医

子ども•ご家族のこころのケアを専門にしています。
子どもとその周囲が、少ししんどいときにこそ安心してつながることのできる社会になるよう、やさしい情報発信を行っていきたいです。

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