2022年の出生数がはじめての80万人割れ!減少の要因と今後の対策は?

日本の出生数がはじめて80万人を割り込むことが発表されました。想定されるよりも高い低下率であることから、子育て支援の拡充と妊娠・出産にかかわる環境整備などの対策が進められています。子育て世代に直結する少子化について、要因と現在進められている対策について紹介します。

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目次

  1. 出生数がはじめての80万人割れ
  2. 出生数が減少している要因は?
  3. 政府の対策は?
  4. 子どもたちの未来のためにできることを考えよう
  5. あわせて読みたい

出生数がはじめての80万人割れ

2023年2月28日、厚生労働省より人口動態統計の速報値が発表されました。発表によると2022年の出生数は79万9,728人で、1899年の統計開始以来、出生数がはじめて80万人を割る結果となりました(※1)。

出生数は、第二次ベビーブームを迎えた1974年(昭和49年)の202万9,989人から多少の増減を繰り返しつつ減少傾向が続き、2016年からは毎年過去最少を記録しています(※2)。出生数の減少はある程度見込まれていたものの、80万人を下回るのは想定よりも11年早いことから、政府は喫緊の課題として少子化対策をあげています。

出生数が減少している要因は?

結婚・出産に対する価値観の変化

出生数が減少している要因として考えられていることのひとつが、結婚年齢の上昇と生涯における未婚化が進んでいることです。

最近は、さまざまな理由により未婚・晩婚を選ぶ人が増えています。家族との同居や独身生活が心地よく、結婚に対するメリットを感じにくいこと、働く女性が増えたこと、経済的な不安を抱く若者世代が多いことなどがその理由です。

恋愛、出産、結婚はデリケートなテーマであり、ひとによって考え方が変わります。以前は「結婚適齢期」という言葉が一般的に使われていました。しかし最近は、個人の意思を尊重するように社会の意識が変わってきています。このような価値観の変化も、出生数の減少に関係しているのかもしれません。

子育てに対する負担感

子育てをしながら生活を回していくのは胆力がいります。子どもの笑顔や成長に喜びを感じる一方で、体力的にも精神的にも負担を感じることがあるでしょう。さらに子育て中は教育費や食費、光熱費などがかさむため、経済的な負担感もぬぐえません。

こうした状況にもかかわらず、保育園や学童に入れない問題など、仕事と子育てを両立するための環境は十分とはいえないのが現状です。今後のキャリアや時間などの余裕を考えると、出産に対して慎重になってしまうのもうなずけます。

新型コロナウイルスの感染拡大

2020年からの新型コロナウイルス感染症の拡大は、出生数にも影響を与えました。出生数の低下に直結しているのが、婚姻数の大幅な減少です。経済的に不安定な情勢が続いたことも、妊娠控えにつながったと考えられます。

マスク越しでのコミュニケーションが求められ、大人数の会食が制限されるなど、新型コロナウイルスにより生活様式は大きく変化しました。マスクの着用や行動制限の解除後には婚姻数・出産数が回復するのか、今後の推移を見守りたいものです。

政府の対策は?

少子化は、今後の社会や経済の在り方にかかわる問題です。政府は、少子化対策を喫緊の課題として位置づけ、妊娠から子育てまでの一貫した支援をさまざまに打ち出しています。不妊治療の保険適用、各種助成による経済的支援、産後ケアや待機児童対策といったサービスの拡充、育休取得等の働き方改革などです。

2023年4月には「こども家庭庁」が発足します。内閣府や厚生労働省が中心となって行っていた子どもや子育てに関する政策をこども家庭庁に集約し、政策の充実とスピードアップを図ることが狙いです。岸田首相は「異次元の少子化対策」を掲げました。現在は対策の実現に向け、予算の確保に関する議論が急ピッチで進められています。

子どもたちの未来のためにできることを考えよう

少子化の加速は、社会システムや経済力の維持、コミュニティの形成など、さまざまなところに影響をおよぼします。このままの状態で少子化が進むと、子どもたちが大人になる未来のことが心配です。

日本財団が行った「18歳意識調査」では、17~19歳の男女1,000人のうち、将来子どもを持つと思うと回答した割合は45.6%でした(※3)。少子化を食い止めるためには、子育て世代はもちろんのこと、将来を担う若い世代が子育てに対して希望を持てる社会にすることが欠かせません。

最近のニュースでは、育休を取得した社員の同僚に対して応援手当を支給する企業の制度が話題となりました。社会全体が「子育て」を前向きに受け止められるように、行政をはじめ企業や地域社会でも少子化対策に取り組むことが求められます。

それと同時に、現在子育てをしているママやパパが子育てを楽しみ、次世代の希望につなげることが、少子化対策の第一歩になるといえるでしょう。子どもたちの未来のために、一人ひとりができることを考えていきたいですね。

※この記事は2023年3月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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