子どもの咽頭炎とはどんな病気?症状・原因・治療法は?クループ症候群も解説

咽頭炎(いんとうえん)とは、空気の通り道である気道と、食べ物の通り道である食道がなんらかの原因で炎症を起こし痛みを生じることをいいます。咽頭炎を発症すると喉がズキズキ痛んだり食事が喉を通らなかったりするため、子どもにはとてもつらい病気です。ここでは、咽頭炎の原因や種類、かかった場合の症状、治療法を紹介します。

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目次

  1. 咽頭炎とはどんな病気?
  2. 咽頭炎の症状は?
  3. 溶連菌感染症からの咽頭炎
  4. 咽頭炎の治療方法
  5. 咽頭炎の予防方法
  6. これも咽頭炎?クループというケンケンとした咳
  7. 家族がしてあげられること
  8. 「喉の風邪」と甘く見ないで
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咽頭炎とはどんな病気?

溶連菌(ようれんきん)や咽頭炎(いんとうえん)は、冬だけではなく春~初夏にかけても多く発生する病気です。溶連菌に感染すると鼻汁や咳、くしゃみの回数が増え、咳やくしゃみをすることで唾液中の溶連菌が空中に舞って人へと感染することがほとんどです。その他にも、唾液などが飛散したり食器を共有したりすることで、飲食による経口感染も発症の原因とされます。

潜伏期間はおおよそ2~5日とされ、溶連菌を発症すると突然の高熱・全身の発疹・咽頭痛・全身の倦怠感・しばしば嘔吐を伴う症状があらわれます。

咽頭と咽頭炎

咽頭とは、鼻・口・喉・食道にいたるまでの器官を言い、主に空気の通り道である気道と、食べ物の通り道である食道のふたつの部分を指します。

咽頭炎とは、子どもがなんらかのウイルスや細菌に感染することで咽頭が炎症を起こし、喉の奥がズキズキと痛んだり、喉が痛くて食事を摂ることが困難になったり、痰や咳が出たりする症状のことを言います。喉が痛いと感じて受診すると、咽頭炎と診断されることが多いでしょう。

咽頭炎になる原因

咽頭炎とは一般的に「のどの風邪」になります。咽頭は空気を吸い込んだり食べ物を通したりする外部と直結した身体の一部でもあるので、常にウイルスや菌にさらされています。そのため、ウイルスに侵されて炎症を起こしやすい部位でもあると言えるでしょう。

もともと咽頭は粘膜で守られ、ウイルスをブロックしています。しかし、疲れやストレス、食事バランスの乱れなどが原因となり粘膜の分泌が少なくなると、咽頭にウイルスが付着しやすくなり炎症を起こすとされています。

咽頭炎になりやすい時期や環境

季節の変わり目など気温の変化が激しい時期は咽頭炎になりやすく、注意が必要です。また、煙やガスなどの大気汚染・タバコやタバコの副流煙・大人でいえばお酒などのアルコールの刺激が多い環境にあると、咽頭炎を引き起こしやすくなるとされています。

咽頭炎の症状は?

咽頭炎の症状

咽頭炎は、ウイルス感染によって咽頭に炎症が起こることをいい、一般的には「発熱」「のどの痛み」「咳」「鼻水」の症状があります。

しかし、風邪っぽく喉が痛いといっても、必ず咽頭炎であるとは限りません。喉の中は複雑で、咽頭炎と判断するには医師の診断が必要です。そのため、喉に違和感があったりズキズキ痛んだりする場合は、小児科や耳鼻科を受診することをおすすめします。

咽頭炎になると以下のような症状があります。

・発熱
・咳
・たん
・喉がズキズキして痛みを伴う
・喉が痛くて食事がまともに摂取できない
・喉の奥が赤く腫れている

子どもの様子を見てこのような症状を感じたら、必ずかかりつけ医を受診し医師に判断してもらうようにしましょう。

咽頭炎といっても症状はさまざま

咽頭炎と診断された子どものうち、咽頭扁桃炎(いんとうへんとうえん)という咽頭のすぐ横にある扁桃腺が腫れる症状を発症するケースがあります。咽頭扁桃炎は、咽頭炎と似た症状のほかに、つばを飲み込むだけでも痛い・吐き気・嘔吐・39度以上の高熱が出るなど、さらに強い症状を伴うことがほとんどで、咽頭炎に比べて回復に時間を要します。

なかには上咽頭炎(じょういんとうえん)に悩まされる子どももいます。これは、鼻と喉のあいだに粘液がまとわりついているような違和感を覚えるものの、それが排出されず、鼻水が鼻の穴へと垂れずに、のどの奥に落ちる状態が長く続く病気です。

上咽頭炎は慢性化しやすいと言われています。もし、日常的に、朝に痰が絡む・常に喉がイガイガする・喉の奥が詰まった感じがするなどの症状が子どもに見られる場合は、早めにかかりつけ医を受診するようにしましょう。

溶連菌感染症からの咽頭炎

溶連菌の原因と症状

咽頭炎のうち、細菌性が原因の場合はさまざまなタイプがあります。とくに子どもに多く見られるものとして肺炎球菌や溶連菌によるレンサ球菌性咽頭炎(上気道炎・化膿性皮膚感染症などの原因としてよくみられる菌)があります。

溶連菌から咽頭炎は主に、冬・春~初夏にかけて多く発生します。溶連菌に感染すると、鼻汁や咳やくしゃみなどによる唾液中の溶連菌の飛散によって人へと感染するのはもちろんのこと、飲食による経口感染も起こるとされます。

潜伏期間はおおよそ2~5日とされ、溶連菌感染症を発症すると、突然の高熱・全身の発疹・咽頭痛・全身の倦怠感・しばしば嘔吐を伴う症状があらわれます。

溶連菌の治療方法

溶連菌と診断するための医師の判断基準は、喉の奥を軽くこすってサンプルを採取し検査をするという方法が一般的です。溶連菌と診断された場合、溶連菌によって引き起こされる咽頭炎は細菌性のため、解熱剤や鎮痛剤のほかに、抗生剤を飲む治療が必要です。一般的に発熱は3~5日以内に下がり、身体に表れた症状は1週間以内に落ち着くことがほとんどです。

抗生剤は、一般的な風邪とは異なり2週間程度処方されることがあるでしょう。症状が治まったからといって内服を自己判断で中止すると後に合併症としてリウマチ熱や急性糸球体腎炎(きゅうせいしきゅうたいじんえん)という、血尿や尿の減少、尿たんぱくを引き起こす病気にかかる可能性があるので注意が必要です。

重症化を防ぐためにも、風邪症状が長引く場合は早めの治療を心がけ、ただの風邪ではないことを視野に入れて小児科を受診するようにしましょう。

咽頭炎の治療方法

ウイルス性の咽頭炎であれば、医師から解熱剤や鎮痛剤を処方してもらい、一般的な風邪と同じく安静にすることで、次第に回復します。しかし、溶連菌などの細菌による感染が原因となる場合は、さらに抗生物質を処方してもらい同じく安静にする必要があります。

昼間よりも夜の方が熱が上がりやすいとされています。昼間には熱はなく元気があるからという理由で様子をみていると症状が悪化し危険をともなう場合があります。子どもの様子がいつもと違う・咳やたんが絡み喉がつらそうだという場合は早めに受診をするようにしましょう。

咽頭炎の予防方法

ウイルス性の咽頭炎は一般的に「喉の風邪」です。日頃からの、手洗い・うがい・必要に応じてマスクの着用を心がけることで、ウイルスの感染を予防することができるでしょう。また、咽頭炎を発症している人との濃厚な接触を避ける必要があります。とくに、喉の風邪や溶連菌が流行している時期や、家族や友達がウイルスに感染している場合は、飛沫感染を防ぐためにもマスクを用いて予防することが効果的でしょう。

うがいの際の注意点として、イソジンなどのうがい薬はたくさん使用することでより効果が得られるというわけではありません。うがいの際にあまり多く使用すると、口の中の良い働きをしている菌までもが死んでしまい、菌のバランスが崩れてさらに自分自身の抵抗力がなくなりかねません。うがい薬の使用は、用量・使用方法を守って上手に咽頭炎を予防していきましょう。

これも咽頭炎?クループというケンケンとした咳

咽頭炎にはクループ症候群という突然の呼吸困難(息を吸えない・息をするとゼイゼイという)を起こし、鋭いヒーヒーという息が漏れ、ケンケンといった咳を伴う病気があります。

これは、気管の入り口である咽頭が炎症を起こし、むくんで狭くなることにより起こるとされています。これは、発熱・咳・声のかすれを発症する、パラインフルエンザウイルスが原因とされ、生後3ヶ月~7歳ほどまでの子どもに多く、冬に流行しやすい病気です。

昼間は風邪に似た、声がかすれたような症状だけでも、夜中になると突然高熱が出て激しい咳をする特徴があります。咳はイヌの遠吠えのようなケンケンという音で、息を吸い込むときにはゼーゼーヒューヒューと音がなり、呼吸も速くなる傾向があります。

もし、クループ症候群の疑いがある場合は、呼吸困難に陥る危険な場合もあるので、すぐに病院を受診しましょう。夜であれば緊急や夜間診療を行っている病院へ受診すると良いでしょう。さらに、クループ症候群の疑いがある場合は、部屋の乾燥を防ぐために加湿器を使用し、温かい飲み物を与えるなどしてケアをしていきましょう。

家族がしてあげられること

咽頭炎は子どもにとって呼吸や食べ物の摂取が困難になる、とてもつらい病気です。そのため、タバコを吸うご家族がいたら家での喫煙は遠慮してもらいましょう。さらに、日頃から喉の炎症を抑えるためにも、加湿をして湿度を保ち、子どもには水分を少しずつ摂らせるよう心がけましょう。

日中より夜間の方が、咳がひどくなることが多いでしょう。子どもの咳が止まらない場合、布団をまるめてうつぶせによりかかって眠ったり、身体を起こして体勢を変えてあげたりして、楽な姿勢を見つけてあげましょう。

咽頭炎を発症すると、食べ物は喉が痛くなかなか入っていきません。刺激が少なくのどごしの良い食べものを選び、少しずつ与えてあげましょう。

「喉の風邪」と甘く見ないで

咽頭炎は、簡単に喉の風邪とは言い切れないとても複雑な病気です。子どもの症状をみて素人判断で咳止め薬を与えるのは危険なケースもあります。咳が治まらず、喉が痛くて食事が取れない場合は、きちんと医師の判断で処方された薬を指示の通りに薬を飲みましょう。

とくに、溶連菌などの細菌性の場合は、治ったからといって途中で薬をやめるとさらに悪化する場合があります。症状が治まれば途中でやめて良い薬なのか、処方された分は飲みきらないといけない薬なのか、医師にきちんと確認するようにしましょう。

また咽頭炎は家族間で感染しやすいもの。ママやパパもしっかりマスクをして子どもの世話をするように心がけてください。

■厚生労働省 小児救急でんわ相談

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