【小児科医監修】子どもの夏風邪!高熱・発疹・下痢の症状の原因と対策は?

夏風邪といってもさまざまな病気があります。ここでは、子どもが夏に感染しやすい手足口病、ヘルパンギーナ、咽頭結膜熱(プール熱)、溶連菌感染症の4つの病気について、原因や経過、対策などを小児科医監修で詳しく解説します。子どもの夏風邪の予防方法もぜひ参考にしてくださいね。

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この記事の監修

染谷 朋之介
小児科医
染谷 朋之介

目次

  1. 夏は子どもの風邪が流行りやすい!
  2. 子どもの夏風邪の主な症状
  3. 子どもの代表的な夏風邪の種類と流行時期
  4. 子どもの夏風邪:手足口病
  5. 子どもの夏風邪:ヘルパンギーナ
  6. 子どもの夏風邪:咽頭結膜熱(プール熱)
  7. 子どもの夏風邪で注意すること
  8. 子どもの夏風邪の体験談
  9. 子どもの夏風邪の予防方法は?
  10. 風邪に弱い子どもたちも少しずつ強くなっていく
  11. あわせて読みたい

夏は子どもの風邪が流行りやすい!

夏は、子どもたちのあいだでさまざまな風邪が流行します。そもそも夏の風邪と冬の風邪は何が違うのでしょうか。実のところ、夏と冬の風邪では原因となる菌やウイルスが異なります。冬の風邪の原因となるウイルスは、乾燥しているところで活発に働きます。そのため、加湿が風邪の予防になるとされています。

一方、夏風邪の原因となるウイルスは高温多湿を好むため、夏場に活発になります。さらに、暑い時期は、食欲低下やクーラーによる冷えや冷たいものの食べすぎ、夏バテなどで、免疫や体力が低下することが多いです。小さい子どもは特に夏風邪に感染しやすくなるので、夏にも風邪をしっかり予防することが大事です。

子どもの夏風邪の主な症状

夏に子どもがかかる風邪では、鼻水や咳を伴わず熱だけ出る、喉が赤く腫れるといった症状が特徴的です。夏風邪にはどのような症状があるのでしょうか。ひとつずつ見ていきましょう。

高熱が続く・熱が下がらない

夏風邪は突発的に高熱になり、数日下がらないこともあります。「数時間前までは元気に過ごしていたのに、いきなり高い熱が出てぐったりしてしまった」ということも少なくありません。39~40℃の高熱が突然出て驚くママもいるでしょう。熱が出た場合はとにかく安静第一とし、しっかり休ませるようにしましょう。

高熱が出た場合の対処法は次の通りです。

・安静第一にし、しっかり休ませる
・額や脇の下、足の付け根を軽く冷やす
・水分を多く摂らせる(冷たすぎるものは避ける)
・食事ができる場合は消化が良いものを与える
・汗をかくので下着をこまめに取り換える
・苦しそうな場合は解熱剤を使用する
・熱が上がるときは寒気があるため、服を多めに着せたり布団を多めにかけたりと、あたたかくする
・熱が下がるときは服や布団を1枚減らすなど、熱を逃がす

のどの痛み(赤くなる)

夏風邪は、喉の赤みや痛みをともなうものが多いです。食事がとれないだけでなく、飲み物や唾液を飲み込むのも難しいほど激しい痛みがみられ、よだれの量が増えたり、機嫌が悪くなったりすることがあります。

のどの痛みがある場合は刺激がある食べもの(熱い、すっぱい、辛いなど)を避け、のど越しの良いものを与えます。また、白湯や赤ちゃん用イオン水などを飲ませ、脱水症状を防ぎましょう。何も食べたり飲んだりできないという場合は医師に相談してください。

発疹

夏風邪の種類によっては、虫刺されに似た小さな発疹が現れます。かゆみがある場合とない場合がありますが、口内や喉の奥にできる発疹はつぶれて潰瘍になると、激しい痛みをともないます。食事ができなくなることもあるので、あまりに痛がる場合は医師に相談しましょう。

身体にできた発疹は、強く引っかくと症状を悪化させてしまいます。爪を短く切る、手袋をつけるなどの対策をしましょう。

下痢・お腹の痛み

下痢や腹痛がみられる場合は、脱水症状を起こしやすくなるので水分補給を忘れずに行ってください。牛乳や冷たいジュースなどは下痢を悪化させるため、避けたほうが安心です。また、寝ているあいだは腹巻をするなど、お腹が冷えないように気を付けましょう。

子どもの代表的な夏風邪の種類と流行時期

子どものあいだで流行しやすい、代表的な夏風邪を解説します。それぞれ症状や対処方法が異なるので、事前に知っておくと良いでしょう。

病名原因菌かかりやすい年齢流行時期
手足口病エンテロウイルス コクサッキーウイルス1~4才5~9月
ヘルパンギーナコクサッキーウイルス3~10才6~8月
咽頭結膜熱 (プール熱)アデノウイルス幼児~小学生7~9月
溶連菌感染症溶血性連鎖球菌2~10才7~9月 または 9~12月

子どもの夏風邪:手足口病

手足口病は、エンテロウイルスやコクサッキーウイルスによる感染症で、春から夏にかけて流行する風邪の一種です。名前にもある通り、手のひらや足裏、口内に細かい発疹が多くできます。手や足はあまり痛みませんが、口内の発疹は口内炎のような症状を呈し、痛みをともなうことがあります。

微熱や鼻水などの風邪症状がみられることもあり、発疹は1週間程度でおさまります。特効薬はありませんが、口内を痛がる場合は口内炎用の軟膏を処方してもらいましょう。食欲がないときは、薄味で口あたりの良いものを与えてください。

子どもの夏風邪:ヘルパンギーナ

ヘルパンギーナはコクサッキーウイルスを原因とする病気です。急な高熱と喉の奥の痛みが特徴で、鼻水などの一般的な風邪の症状はあまり見られません。

特に喉の傷みが激しく、唾液を飲み込むことも難しくなるため、不機嫌な状態が続きます。さらに、口の中にできた水疱が破れて潰瘍になると、痛みがますます強くなります。ミルクなどの水分もいやがることがあるため、脱水症状に注意しましょう。

ほとんどの場合、安静に過ごしていれば高熱やのどの痛みの症状は2~3日で自然に治ります。食事はのどに負担がかからないものにし、酸味や塩味が強いもの、熱いものは避けましょう。

子どもの夏風邪:咽頭結膜熱(プール熱)

咽頭結膜熱は、かつてはプールで感染することが多かったため、プール熱とも呼ばれています。アデノウイルスを原因とする、咽頭炎と結膜炎が合併した感染症です。

突然の高熱、のどの痛み、目の充血、首の腫れなどの症状があり、頭痛、腹痛、下痢が起こることもあります。目が真っ赤に充血する、涙目になる、大量の目やにがでるなど、特に目に症状が出るのがほかの夏風邪との違いです。

高熱は3~4日程度、その他の症状は1週間前後で治癒します。特別な治療法はありませんが、高熱が続く場合は解熱剤、のどの痛みが酷い場合は鎮痛剤、目の症状には薬を処方してもらいましょう。

目やには濡れたガーゼなどで優しくふき取ります。そのガーゼを介して家族に病気がうつらないように気を付けましょう。

子どもの夏風邪で注意すること

子どもは、夏風邪に一度かかるとなかなか治らないことが多いようです。多くの場合はウイルス性の風邪のため、特別な治し方はありませんが、子どもが早く回復するようにホームケアをしてあげたいですね。子どもが夏風邪にかかってしまったら、どのようなことに注意すれば良いのでしょうか。

エアコンの温度に注意する

暑い夏の時期だからといって設定温度を下げすぎると、身体を冷やしてしまい、回復を遅らせたり、下痢を招いたりすることがあります。とはいえ、汗をかくほど暑い部屋にいては、よりいっそう体力を消耗してしまいます。

子どもの様子や汗の量などをこまめにチェックし、エアコンの温度を設定しましょう。空気の入れ替えも忘れずに行ってくださいね。

解熱剤を使いすぎない

高熱のために眠れない、食事がとれない場合、解熱剤を使用することで一時的に症状を楽にし、体力の消耗を防ぐことができます。

しかし、解熱剤は一時的に熱を下げるものであり、病気そのものを治すものではありません。熱が出ていても比較的元気に見える場合は解熱剤を使わず、自然に回復するのを待ちましょう。

また、病院を受診する前に解熱剤を使ってしまうと、本来の病気の原因が特定できないことがあります。そのため、受診前はできるだけ使用を控えましょう。

しっかり水分補給をする

夏風邪は高熱や下痢、おう吐をともなうことがあります。夏はただでさえ水分が失われやすい季節です。脱水症状をおこさないためにも、こまめな水分補給を心がけるようにしましょう。口内の発疹や水疱がみられる場合は、特に注意しましょう。

食べ物に気をつける

夏風邪にかかると食欲が落ちてしまう子どもも多いです。なるべく本人の好きなもので、消化が良く栄養価が高いものを与えるようにしましょう。

口内やのどの痛みがあって食事を嫌がる場合は、ゼリーやプリンなどなめらかなものを試してみてください。刺激があるものや胃に負担となるものは避けましょう。食後はうがいをしたり水を飲んだりと、口内や喉を清潔に保ちましょう。

家族への感染に注意する

夏風邪は感染力が強いため、下のきょうだいなどに感染する可能性が高いものです。まわし食べをしない、夏風邪をひいた子どもにはできるだけ近づかせないようにするなど、感染予防をしっかり行いましょう。

夏風邪は子どもだけがかかる病気ではありません。看病をしている大人が感染することがあります。大人の場合は長引く可能性もあるので、十分に注意しましょう。

頭痛や嘔吐などが続くときにはすぐに受診する

ウイルス性の夏風邪は自然に治癒することが多いでしょう。しかし、頭痛や嘔吐が続く場合は無菌性髄膜炎などのほかの病気を発症している可能性があるため、すみやかに受診しましょう。

子どもの夏風邪の体験談

子どもの夏風邪についてままのてに寄せられた体験談を紹介します。

子どもの手足口病が大人にもうつって大変!

子どもが1歳半のころに手足口病にかかりました。最初は蚊に刺されたのかなと思うような赤い発疹がみられ、時間が経つと手や足にまで広がっていきました。翌日に小児科で診てもらったところ、「手足口病で間違いない」と診断されました。しかし、特効薬はないので、元気であれば問題ないとのことでした。

確かに熱もなく元気そうに見えたのですが、大変なのはここからでした。口内にできた発疹が口内炎のように痛み始め、食事がまったく食べられなくなりました。少し食べては大泣き、また食べて大泣きの連続。母乳まで嫌がってしまいました。

唯一口にできたのが、ケーキとバナナとゼリーです。約2日間はその状態が続き、こちらもすっかり疲弊しました。3日目からはなんとか食事もできるようになりました。

しかし、これだけでは終わりません。翌日に私の手にも発疹がでてしまいました。幸い熱が出ることはありませんでしたが、口内に30個近い発疹ができてしまいました。口内炎のように、食べ物がしみてとてもつらかったです。子どもの苦しみを実感しました。

子どもの夏風邪の予防方法は?

夏風邪にかかわらず、子どもの風邪の予防方法は次の通りです。

・マスクを使用する
・石鹸で手洗いをする
・うがいをしっかり行う
・食べ回しや飲み回しをしない
・バランスのとれた食事をとる
・しっかり寝る
・人が多い場所を避ける

夏風邪の場合は次の2つを取り入れるようにしましょう

・目を洗う、目薬を使用するなどし、目を清潔にする
(夏風邪は目から感染する可能性があるため)

・湿気対策を行う
(夏風邪のウイルスは湿気を好むため、こまめに布団を干し、部屋を除湿しておく)

夏風邪によっては、一度かかっていても同じ時期にまた感染することがあります。油断することなく、徹底した予防対策が必要です。

風邪に弱い子どもたちも少しずつ強くなっていく

子どもによっては1年に何度も風邪をひいてしまい、心配なママは少なくありません。しかし、子どもは風邪に繰り返しかかりながらも免疫を付けていき、丈夫な身体になっていきます。子どもの体調にあまり過敏になりすぎずに、おおらかな気持ちで対応していきましょう。

※この記事は2023年4月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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