赤ちゃん・子どもの上手な薬の飲ませ方!飲まないときはどうしたらいい?ゼリーやスポイトの使い方は?

赤ちゃんや子どものなかには薬を飲むのが苦手な子どもがいます。子どもが薬を飲まない、吐き出してしまうという場合、どうやって薬を飲ませたらよいのかと頭を抱えてしまうというママやパパもいるでしょう。ここでは主な薬の種類や上手な薬の飲ませ方、注意点などについて解説します。

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この記事の監修

千葉 智子
小児科医
千葉 智子

目次

  1. 赤ちゃんはいつから薬が飲めるの?
  2. 主な赤ちゃん・子ども用飲み薬の種類
  3. 赤ちゃん・子どもへの上手な薬の飲ませ方
  4. 赤ちゃんに薬をスポイトであげる方法
  5. 赤ちゃん・子どもに薬を飲ませるときの注意点
  6. 赤ちゃん・子どもが薬を飲まない・吐くときは?
  7. ママの「子どもの服薬」への不安を減らそう!
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赤ちゃんはいつから薬が飲めるの?

赤ちゃんは、生後半年程度はお腹のなかでママからもらった抗体(母子免疫)が効いていて風邪などの病気にかかりにくいといわれています。そのため赤ちゃんの月齢が低いうちには薬を処方されないこともあるようです。

赤ちゃんにいつごろから内服薬を処方するかは、病状や小児科医の判断によって違いがあるでしょう。赤ちゃんが咳や鼻水がひどくて母乳やミルクが飲めない、嘔吐してしまう、眠れない、高熱が出ていてぐったりしているなどの状況では、月齢が低くても薬を処方されることが多いようです。小児科で処方された薬は、決められた量を飲ませるようにしましょう。

主な赤ちゃん・子ども用飲み薬の種類

赤ちゃんや4歳くらいの子どもにはドライシロップなどの粉薬や液状シロップが処方されることが多いでしょう。一方、未就学前後の子どもには子ども用の錠剤やカプセルが処方されることが増えてきます。

薬の形状にはそれぞれメリット・デメリットがあります。まずママやパパが双方を理解して、医師や薬剤師に相談できるようにしておくと良いですね。

粉薬

粉薬は、赤ちゃんや子どもに処方させることが多い薬のひとつです。粉薬のメリットとデメリットは下記の通りです。

【メリット】
・種類が多い
・持ち運びに便利・苦手意識のない子どもであれば飲みやすい
・計量がされているので誤差が出ない
・吸収性に優れていて効果がはやい
        
【デメリット】
・ざらざら感が苦手な子どもが多い
・水などに溶かす手間が面倒
・飲み合わせによって味や成分が変わりやすい

液状シロップ

液体シロップは、小さな赤ちゃんのうちから処方させることが多い薬のひとつです。液体シロップのメリットとデメリットは下記の通りです。

【メリット】
・飲みやすい、飲ませやすい
       
【デメリット】
・薬を図る手間が生じる
・計量に誤差が生じる
・スポイトなどを消毒する手間が生じる
・保存期間が短い 
・吸収性に優れていて効果がはやい
・薬の種類が少ない(抗生剤などはない) 

錠剤・カプセル

子どもが就学前後の年齢にさしかかると、錠剤やカプセルを処方されることもあるでしょう。錠剤・カプセルのメリット・デメリットは下記の通りです。

【メリット】
・種類が多い
・持ち運びに便利
・分量がわかりやすい
・保存期限が長い
・薬のにおいや苦みがわかりくいよう工夫されている 
・身体の中で薬剤が溶ける時間や臓器を調整する工夫がされている  
                
【デメリット】
・子どもには飲みにくい、苦手意識を持ちやすい
・3歳程度の子どもだと誤嚥につながる恐れがある

赤ちゃん・子どもへの上手な薬の飲ませ方

赤ちゃんや子どもの薬は飲みやすいよう甘い味つけがされていることがほとんどです。それでも、においや口の中の感触に異変を感じて吐き出してしまう赤ちゃんや子どももいるでしょう。多くの薬局や医療機関では赤ちゃんが薬を上手に飲めるようにアドバイスをしてくれるので、気になることがあれば聞いてみてくださいね。

粉薬の飲ませ方

粉薬は少量の水(スポイト3滴~5滴ほど)でといて柔らかいおもちくらいの固さにして団子状にします。上あごやほっぺの内側につけて、水を飲ませましょう。薬の団子を上あごやほっぺの内側につけるのは、苦みを感じる舌の先端に触れないようにして薬を飲ませるためです。

赤ちゃんや子どもの場合、薬を牛乳やジュースなどの飲み物、ヨーグルト、プリンやアイスクリームなど好きなものや食べられそうな甘味などに混ぜてしまうのもひとつの手です。しかし薬との相性によっては薬の成分が減少したり、味が悪くなったりすることもありますので飲み合わせについて薬剤師や医師に事前に確認しましょう。

また、混ぜる食品や飲料の量が多すぎると飲み残したり食べ残したりする可能性もありますので注意してくださいね。

液状シロップ薬の飲ませ方

液状シロップは内服の前に軽く上下に振って混ぜ合わせてから与えましょう。薬の容器を平らなところに置いてスポイトで適量吸い上げるのが間違いの少ない方法です。

赤ちゃんの場合はそのままスポイトで飲ませるか、哺乳瓶の乳首のなかにいれて吸わせ、服薬後には、水を飲ませると良いでしょう。離乳食が始まっている赤ちゃんであれば食品やジュースに混ぜて服用させるという方法もあります。

錠剤の飲ませ方

錠剤は体内の特定の箇所で分解されたり、成分が変質しづらかったり、治療におけるメリットが高い薬です。現在、世に出ている薬のなかでも最も種類が多く、粉薬やシロップでは対応しきれない病気もあるため、早めの年齢から錠剤ものめるようにしておくと良いでしょう。

子どもに錠剤を飲ませるときのポイントは、下記の通りです。

1.子どもを椅子などに座らせ上半身を起こします。
2.のどのコンディションをよくするため、常温の水を少量飲ませます。
3.小児科での、のどの診察のように口を大きく開けさせ、「あー」と声を出させると口の奥の方まで見えます。舌の奥に錠剤をおいて、すぐに水を飲ませましょう。

薬を飲むのがとても苦手な子どもの場合には、錠剤を見ないように、真上を向いてしまう場合があるようです。顔を真上に向けて口を開かせると、舌の上に薬を置く際に、のどのなかに薬が落ちてしまい、誤嚥の危険性があります。むせてしまったり、薬への苦手意識が強くなってしまったりする可能性もあります。薬が苦手な子どもの場合でも、目を閉じさせるなどして前をむいた姿勢で薬を飲ませましょう。

カプセルの飲ませ方

カプセル薬は苦みのある粉薬や、口内ではなく消化器官で溶けだしてほしい薬などをカプセルの中に閉じ込めたものです。カプセル薬は見た目が「異物」そのものなので、子どもだけでなく大人のなかにも苦手意識のある人は少なくありません。代替薬が粉薬や錠剤である場合には、代替薬を処方してもらうようにするのも良いでしょう。

しかし病気によっては、薬が溶け出す消化器官の場所や時間をコントロールことができるというカプセルのメリットが重要な場合もあります。子どものうちからカプセル薬も飲めるようにしておいた方が良いでしょう。

カプセルをうまく飲ませるコツは下記の通りです。

1.子どもを椅子などに座らせ上半身を起こします。
2.のどのコンディションをよくするため、常温の水を少量飲ませます。
3.小児科での、のどの診察のように口を大きく開けさせ、「あー」と声を出させると口の奥の方まで見えます。舌の奥にカプセルをおきます。
4.水を口に含ませたら、顔を下に向かせて飲み込ませます。
5.さらに「ゴクッ」と飲み込む瞬間に顔を下から正面に向けさせる、といっそうのどごしが良くなるようです。

基本的な飲み方は錠剤と同様ですが、カプセル内は粉薬と空気が含まれているため、顔を下に向けると口内でカプセルが水に浮かび、飲み込やすくなります。

赤ちゃんに薬をスポイトであげる方法

赤ちゃんに薬が処方されるとき、薬局や小児科でスポイトをもらうことがあるでしょう。スポイトは薬の量を計ったり、薬を溶かすときに使ったりするだけでなく、薬を飲ませるときにも使えます。

薬が苦手な子でなければ、そのまま、くわえさせて飲ませればよいのですが、はじめての服薬のときや薬が苦手な赤ちゃんには、スポイトを頬の内側にそって、なるべく口の奥の方に薬を押し出すようにしましょう。舌の先は苦味を感じやすいため、赤ちゃんの舌の上にスポイトの口が来ないように注意してくださいね。

この際、誤嚥を避けるために、なるべく座らせた体制や縦抱きで正面を向いた姿勢で薬を飲ませるようにしましょう。薬が赤ちゃんの口の中に入ったら、水を飲ませましょう。

水の代わりに授乳をするママもいます。赤ちゃんがまだ水を飲んだことがないという場合には仕方がないかもしれません。しかし赤ちゃんによっては、味に違和感を覚えて授乳自体を嫌がるようになることもあるようです。赤ちゃんへの薬の処方量は唾液でも飲み込める程度ではありますが、赤ちゃんによって味覚がとても敏感な場合もあります。後々の授乳に苦労するといったことにならないように薬を口に入れたあとは水を飲ませておいたほうが無難でしょう。

赤ちゃん・子どもに薬を飲ませるときの注意点

薬の誤飲には要注意!

赤ちゃんや子どものなかには、薬につけられた甘みが大好きという子もいます。子どもが保護者の目を盗んで、過剰な量の液状シロップ薬を飲んでしまった、ドライシロップを舐めていたという話を耳にすることもあるでしょう。必要のない薬を飲んでしまうことも誤飲といいます。

そういったことがないよう、薬の残量や保存場所は、保護者がしっかり管理をしましょう。子どもが椅子やテーブル、といった踏み台になるものを使っても届かない場所に薬をしまうということが重要です。

もし、それでも子どもが誤飲をしてしまったという場合には、お薬手帳など、薬の情報がわかるものを手にして、処方を受けた小児科や小児救急医療相談(#8000)に電話をして判断を仰ぐと良いでしょう。

万が一、子どもが自分の美味しい薬と間違えて大人の薬を飲んでしまったという場合には、いつ頃飲んだのか、何を飲んだのかを特定することはとても重要です。大人と違い、子ども、特に乳児や幼児は薬の副作用が出やすいので注意が必要です。薬の種類、時間がわかったら、小児救急相談(#8000)や処方を受けた病院に相談しましょう。夜でも救急外来などを受診する必要があるかもしれません。

薬アレルギー、副作用に気をつけて

子どものなかには、食物アレルギーがなくても、薬へのアレルギー反応がでる子どももいます。主なものは薬疹という蕁麻疹のような赤い発疹で、薬疹が出た場合には薬の服用を中止して処方された小児科に相談しましょう。

子どもに処方される薬のなかでも特にアレルギー反応が起こりやすい薬の種類は抗生剤や解熱剤などです。赤ちゃんや子どもは自分の身体に異変があっても言葉でうまく説明することができません。薬を飲ませたあとは、しっかり子どもの様子を観察してアレルギー症状が出ていないかチェックするようにしましょう。

薬疹以外の薬物アレルギーの症状は下記の通りです。
・発熱
・のどの痛み
・眼の周辺の腫れ
・呼吸障害
・倦怠感
・黄疸

こういった症状にあてはまるものがある場合には、夜や休日であっても医療機関を受診しましょう。アレルギー反応が出ているのに、そのまま原因となった薬を飲ませていると、まれに重篤な中毒症状やアナフィラキシーショックを招く恐れもあります。

まず、どの薬をどのくらい飲ませたらこうなったかという説明ができるように、日ごろから薬局や医療機関でお薬手帳の記載を行うようにしてください。

また、赤ちゃんや子どものなかには、特定の薬を飲むと下痢や嘔吐をしてしまう子どももいます。主に抗生剤などの副作用と考えられていますが、この場合も薬の服用は中止して処方を受けた病院に相談するようにしてください。

一度でもアレルギー症状や体調不良を起こした場合は、どの薬でアレルギーが起こったのかをしっかり突き止めて、記憶、記録しておくようにしてください。今後、処方を受ける際には、これまでアレルギー反応が出た薬を伝えるようにしましょう。薬品名は違っても成分が似た薬もあります。自分で判断できると思わずに、処方の段階から子どもにあわない薬は避けられるようにしましょう。

飲み残しの薬を放置しないで

水で溶いてしまった粉薬や、飲み物に混ぜてしまった液体シロップ薬、シートから出してしまった錠剤やカプセルを放置しておくと、苦みが増したり薬の成分が変わったりすることがあります。きょうだいのいる家庭では、下の子がジュースやお菓子と間違えてその薬を飲んでしまうということもあるかもしれません。どうしても飲めなかった薬は、早めに処分してしまいましょう。

薬を捨てるのはもったいないと感じたり、薬が足りなくなると不安になったりするかもしれません。あらかじめ処方の際に「薬が足りなくなることもあるかもしれない」ということを医師に相談して、その際の指示を仰ぎましょう。

スポイトはしっかり洗おう

薬を飲ませる際に使ったスポイトは、洗剤を使わずに水を数回すいあげたり出したりして洗いましょう。それでも衛生面に不安のあるママは、ミルトンなどの消毒液につけて消毒すると良いでしょう。スポイトはプラスティックやゴムなどでできているものがほとんどです。煮沸消毒などは加熱のし過ぎでスポイトが溶け出す恐れもあるため、注意が必要です。

赤ちゃん・子どもが薬を飲まない・吐くときは?

ママの味方「服薬ゼリー」

すでに離乳食をはじめている赤ちゃんには、市販されている服薬用のゼリーに混ぜてしまうのもひとつの手です。薬の種類によっては相性の悪い味もあるようです。たとえば抗インフルエンザ薬のタミフルや抗生剤はチョコ味のゼリーが合うようです。ブドウ味やイチゴ味のゼリーでは酸味があるため、苦みが強く出る薬もあります。服薬ゼリーを買うときは飲み合わせについて薬剤師に相談して購入すると良いでしょう。

言い聞かせも工夫のひとつ

大人でも薬は苦手という人は少なくありません。なぜ大人が薬を飲めるのかというのは、薬の効能や飲まなかった場合のデメリットを理解しているから、というのが正直なところでしょう。

特に薬の苦さが理解できるようになった2歳・3歳の子どもの場合は、薬を嫌がるケースが多いようです。1歳前後の赤ちゃんでも、一度薬の不快感を味わうと、なかなか薬を飲んでくれないことがあるでしょう。

理解できないかもと思う年齢の子どもにも、薬を飲むことのメリットを話すことは大切なことです。「薬を飲まないと良くならない」「薬を飲まないのだったら○○できないよ」というような言い聞かせ方ではなく、「薬を飲んで元気になったらママやパパは嬉しいな」「薬を飲んで元気になったら○○できるね」というような前向きな話し方が良いでしょう。

そして薬が苦手な子が服薬できたときには、たくさんほめて成功体験を積ませてあげてください。小さい子どものときに薬を飲んで体調が良くなったり、ほめられたりした経験は、子どもが大きくなってからも役立つでしょう。将来、病気をしたとき自発的に服薬できる、服薬の必要性を理解できる、といったことにつながるかもしれません。

それでも薬を飲まない場合には

飲み薬は食前食後、といった服用の時間帯などが指定されているものがほとんどです。しかし、食前に薬を飲むと「気持ち悪くなる」という子どもや、食後に飲ませようとすると「お腹がいっぱいで飲めない」という子どももいるでしょう。そういった場合には、決められたタイミングで無理に飲ませようとしすぎないのもひとつの手でしょう。

服薬のタイミングは医師の考え方や薬によりますが、患者の飲みやすさや飲み忘れを防ぐために食事の前後を指定しているケースがあります。念のため、決められた時間帯に飲めない場合にどうすれば良いか、あらかじめ医師に確認しておくと良いでしょう。ママやパパといった保護者が1日に飲む薬の量を管理できるのであれば、服用のタイミングはほとんど気にしなくて良い、という医師もいるようです。

ママやパパが薬を飲ませようと頑張れば頑張るほど、意地になって薬を飲む気をなくす子どももいます。どうしても無理、という場合には子どもの自然治癒力を信じるというのも良いかもしれません。

病状によってむずかしいときもありますが、咳止めや熱さましに、テープや坐薬で対応するということもできます。また薬を飲むのが苦手な子のなかには、無理強いしないでいると、自分の気持ちを理解してもらえたと安心して、急に薬を飲む気になる子もいるようです。

ママの「子どもの服薬」への不安を減らそう!

初めて子どもに薬を飲ませるときや子どもが薬を飲んでくれないときは不安になりますよね。ママやパパの不安な気持ちは子どもにも伝わりやすいので、「こういうときもある」と気持ちを切り替えて、次の服薬のタイミングを図るというのも良いでしょう。

また子どもに処方される薬や飲ませ方に不安があるときは、医師や薬剤師に納得できるまで質問しましょう。薬剤師やお医者さんは薬の苦手な子どもには慣れているものです。良いアドバイスをもらえるかもしれませんよ。

※この記事は2023年12月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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