妊娠初期症状の腹痛はいつからいつまで?腹痛の症状と対策や下痢の原因と対策

初めての妊娠でも、2人目3人目の妊娠でも、トラブルには敏感になってしまうものですよね。特に、妊娠初期は敏感になって当然です。お腹にいる大切な赤ちゃんの変化は、ママにしかわかりません。ここでは、妊娠初期にあらわれる腹痛の症状や原因、対策や過ごし方を解説します。

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この記事の監修

藤東 淳也
産婦人科医
藤東 淳也

目次

  1. 妊娠初期症状の腹痛はいつからいつまで?
  2. 妊娠初期症状の腹痛の原因
  3. 妊娠初期症状の腹痛の症状
  4. 妊娠初期症状の腹痛対策
  5. 妊娠初期の下痢
  6. 妊娠初期症状の腹痛に関する体験談
  7. 妊娠初期症状の腹痛は、赤ちゃんを育む準備期間

妊娠初期症状の腹痛はいつからいつまで?

「妊娠したかもしれない」という時期にお腹が痛むと、嬉しい反面とても不安になりますよね。ほとんどの妊婦さんが、妊娠初期にお腹の痛みを経験しているようです。

妊娠初期は、基礎体温が高温期に入り、1週間前後からお腹の痛みを感じることがあります。つまり、お腹が痛む時期としては、着床してから生理予定日の1週間前くらいが目安です。腹痛は徐々に落ち着き、1ヶ月程度で治まる妊婦さんがほとんどです。

安定期までお腹にチクチクと違和感のある方もいるので、痛みが続くからといって、過度な心配をする必要はないでしょう。気になる場合は産婦人科で相談してくださいね。

妊娠初期症状の腹痛の原因

着床日前後から感じる腹痛の主な原因は、受精卵が子宮にたどりついて着床したことだといわれています。この腹痛は、一般的には「着床痛」とも呼ばれています。しかし、妊婦さんによって腹痛の理由はさまざまです。ここでは、腹痛が起こり得る主な原因をご紹介します。

子宮の収縮

原因のひとつに。子宮収縮があるといわれています。子宮が着床した胎芽を育てるために収縮を繰り返すことで、子宮に接している腸も運動するので腹痛が起こるようです。生理前の腹痛は必要のないものを体外へ排出しようと働くことが原因なのに対し、妊娠初期の腹痛は子宮を大きく成長させることから起こります。

ホルモンバランスの変化

妊娠初期はホルモンバランスが変化するため、腹痛が起こりやすくなります。着床すると、「hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)」や、「エストロゲン」「プロゲステロン」が大量に分泌されます。そのため、ホルモンバランスが変化して腸の働きが弱くなるため、腹痛が起こりやすくなるのです。

腹痛の原因は、ママの身体が赤ちゃんを育てやすい環境を作ろうとしているためともいえるかもしれません。

妊娠初期症状の腹痛の症状

妊娠初期の腹痛はどのようなものなのでしょうか。人によって、チクチクと軽い痛みだったり、重い痛みだったりとさまざまなようです。ここでは、腹痛の主な症状を解説します。

子宮あたりの痛みや違和感

着床すると子宮には大きな変化が起こるため、子宮辺りに痛みや違和感を覚え、不安になることがあります。痛みの種類は、チクチクとしたものや生理痛のようにキューッと絞られるようなものなど、人によってさまざまです。

また、お腹に今まで感じたことのない気持ち悪さを感じることも多いようです。妊娠に心当たりがある場合は、内科よりも婦人科を受診したほうが良いでしょう。

下腹部の痛み

妊娠初期に感じる腹痛の多くは、下腹部の痛みです。痛みの感じ方は生理痛に似ていますが、着床するとプロゲステロンなどが多く分泌されるのに対し、生理のときにはプロスタグランジンが分泌されます。妊娠と生理の時期に分泌されるホルモンは全く別のものなのです。

恥骨の痛み

恥骨の痛みを感じる妊婦さんも多いです。恥骨あたりがズキズキと痛んだり、足の付け根の奥がジンジンしたりと、痛みの感じ方はさまざまです。「なぜ恥骨が痛くなるの」と不安になる方もいるでしょう。

恥骨が痛くなるのは、妊娠すると、体が出産に向けて骨盤を広げる準備をするためなのだそうです。骨を柔軟にしたり、胎児の体重増加に耐えられるよう筋肉が引っ張られたりと、体の状態が徐々に変わってくることが理由だといわれています。

着床出血を伴う腹痛

着床の際に感じる腹痛は、いわゆる着床痛といわれるものです。着床痛とは、受精卵が子宮内膜に着床するときに起こる痛みのことを言います。チクチクした痛みと表現されることが多いです。

着床した受精卵が懸命に根を張ろうとすることで、痛みが起こると考えられています。また、着床時に子宮の内側が傷つくことによって起こる出血を「着床出血」と呼びます。

もし痛みが酷かったり出血が多かったりと不安があるなら、すぐに産婦人科を受診しましょう。

妊娠初期症状の腹痛対策

妊娠初期の腹痛は、突然襲ってきます。まずは安静にすることが大切ですが、仕事があったり家事や育児に追われていたりと、なかなか休めないことも多いですよね。ここでは、できる範囲内での、妊娠初期症状の腹痛対策をご紹介します。

長時間での立ち仕事を控える

「痛くなってきた」と思ったら、すぐに座ったり横になったりすることが大切です。腹痛が起こっているときは、体に何らかの負担がかかっているといえます。負担を軽減するためには、やはり座って休むと良いでしょう。立ち仕事などでやむをえない場合も、できる限り休憩を心がけてくださいね。

体を温める

妊娠に関わらず、体を温めることは痛みを抑えるのに効果的です。特に妊娠初期は、子宮が徐々に大きくなる準備をするために少しずつ骨盤を圧迫します。よって、骨盤周りの筋肉が固くなって血行が悪くなり、冷えに繋がりることがあります。

冷えは体の機能を低下させやすいので、暑い時期でも、なるべく体を温める工夫をしましょう。

重いものを持たない

少しでも痛みを感じるときは、なるべく重いものを持たないようにしてください。腹痛を感じるのは、体に負担がかかっている証拠です。仕事や上の子の抱っこなど、どうしても無理をしなければいけない場合もあるかもしれませんが、できるだけ体の負担を減らすように心がけましょう。

ヒールが高い靴を履かない

綺麗な姿勢やスタイルを保つために、ヒールが高い靴を履きたくなってしまうかもしれません。しかし、かかとの高い靴を履いていると、どうしてもお腹に力が入ってしまいます。

また、転倒の危険性を考慮する必要もあります。転んで体に強い衝撃を与えてしまっては大変なので、「もしかして妊娠したかもしれない」と感じたら、スニーカーやヒールのない平べったい靴がおすすめです。

妊娠初期の下痢

妊娠初期は、腹痛とともに、下痢気味になってしまう妊婦さんも多いようです。ここでは、妊娠初期に起こる下痢の原因と対策を紹介します。

下痢の原因

妊娠初期に起こる下痢の原因はいくつか考えられます。まず、妊娠して体温の変化からお腹が冷えてしまったり、ホルモンのバランスで腸内の環境が乱れたりするなどの体に起こる変化が主な原因だと考えられています。

また、「妊娠したかもしれない」という精神のバランスの乱れが下痢を引き起こしているかもしれません。子宮は母体から水分や血液をたくさん吸収するので、水分不足によって腸の働きが悪くなるために下痢をする、という考えもあるようです。

下痢の対策

まず、栄養バランスの良い食事が大切です。悪阻が始まって思うような食事ができないかもしれませんが、バランスの取れた食事は腸内環境を整えます。

体を芯から温めることも大切です。湯船につかって体を温めたら、湯ざめしないように気を付けてくださいね。また、常温もしくは温かい飲み物を摂取するようにしましょう。

不正出血を伴う時は受診する

妊娠初期における多くの下痢の症状が流産につながる可能性はほとんどないといわれています。しかし、体の冷えなどからお腹を下している場合は、冷えの症状のせいで子宮内の環境が整わず、赤ちゃんにとって居心地が悪い場所になってしまうおそれがあります。

また、出血などを伴う腹痛がある場合は迷わずに婦人科の受診が必要です。

妊娠初期症状の腹痛に関する体験談

筆者は3人の妊娠、出産の経験がありますが、3度とも妊娠初期には腹痛と下痢がありました。酷くお腹を下すこともあり、とても不安になった記憶があります。

「妊娠したかもしれない」という時期には下腹部がチクチクと痛み、常に足の付け根が引っ張られるような違和感がありました。不安でいっぱいで婦人科の先生に尋ねたところ、「赤ちゃんは大丈夫だよ。子宮が徐々に大きくなる準備をしているから、お腹が引っ張られているんだね」と言われ、とても安心したことを覚えています。

特に妊娠初期の腹痛は心配になります。しかし、赤ちゃんを育むために母体にさまざまな変化が起こり、準備をしているのだと先生に教えられ、ひとつ不安を取り除くことができました。また、不思議と痛みが和らいだり、同じ痛みを感じても、穏やかに過ごせたりするようになりました。

妊娠当初は気付きませんでしたが、今考えるとやはり神経も過敏になっていたと思います。赤ちゃんを望んでいれば、妊娠初期は誰しもが慎重になる時期なので、当然のことですよね。

妊娠初期は少しでもママの不安を取り除いて、できるだけ穏やかに過ごすことを心がけると、きっと赤ちゃんにも伝わるのだなと感じた時期でしたよ。 

妊娠初期症状の腹痛は、赤ちゃんを育む準備期間

妊娠初期の腹痛は、ほとんどの妊婦さんが経験しています。赤ちゃんを望み、妊娠に気付き始める時期に腹痛があると、誰しも不安になるものです。それでも、赤ちゃんがしっかりと成長するためにママの体が準備をしていると思うと、腹痛も神秘的なものと感じられるのではないでしょうか。

妊娠初期は、できるだけ体を温めて、無理をしないことが大切です。時間があるときは休む、無理をせず横になる、ゆっくりと体を温めるなど、できる範囲で穏やかに過ごせると良いですね。

ただし、激しい痛みや出血がある場合は、赤ちゃんやママの体が危険な状態になっているおそれがあるので、すぐに受診しましょう。