妊娠超初期の風邪の症状と影響は?風邪薬は飲める?|産婦人科医監修
妊娠0週~4週前後の妊娠超初期は、正確な妊娠判定が出ておらずそわそわしている人が多い時期かもしれません。妊娠による症状なのか生理前の症状なのか、はたまた風邪なのかわからない症状が出ている人もいることでしょう。妊娠初期症状と風邪の違いや妊娠超初期の風邪の胎児への影響、風邪薬の服用の可否や予防法について解説します。
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目次
妊娠初期症状は風邪っぽい?
妊娠期間は妊娠初期・中期・後期と区別されることがありますが、妊娠初期の中でも受精や着床の前後までのまだ妊娠が判明していない時期(目安:妊娠0~4週)のことをとりわけ「妊娠超初期」と呼ぶことがあります。タイミングをはかったもののまだ正確な判定ができないため、妊娠しているだろうかとそわそわしている妊娠超初期の妊婦さんは多いかもしれません。
妊娠超初期には、ホルモンバランスの変化が原因で身体にさまざまな変化がみられることがあり、妊娠初期症状(妊娠超初期症状)と呼ばれています。眠気、吐き気、頭痛、イライラ、乳房の痛み、動悸、めまい、基礎体温の上昇など多くの種類があり、人によってあらわれる症状は異なりますが、生理前の症状や風邪の症状と似ていると感じる人も多いようです。
妊娠初期症状と風邪の違い
妊娠初期症状は風邪に似ているといわれていますが、両者の違いを区別することはできるのでしょうか。
実際のところ、高熱や激しい喉の痛み、1日に何度も続く嘔吐など明らかに風邪やウイルス性のものだと思われる症状がみられる場合を除いては、症状だけで見分けるのは難しいかもしれません。生理前にも似たような症状を感じやすい人は、妊娠によるもの、生理によるもの、風邪によるものという3つの可能性が出てくるので、ますますわかりにくいですよね。残念ながら、症状があまりにも似ている場合は正確な判定が出るまで待つのが手っ取り早い方法といえそうです。
一般的に、妊娠検査薬は生理予定日の1週間後(≒妊娠5週)から使用できます。妊娠検査薬で陽性が出たら必ず病院で検査を受け、正確な判定をしてもらいましょう。生理予定日の1週間後まで待ちきれないという人は、生理予定日前から判定できる早期妊娠検査薬を使用してみるのも良いかもしれません。日本ではまだメジャーになっていませんが、通販で手に入れることができますよ。
妊娠超初期の風邪の症状は?
妊娠超初期の症状と風邪の症状は勘違いしやすいものですが、妊娠していて、かつ風邪をひいているということも十分に考えられます。妊娠中は免疫力が下がりやすいといわれているため、風邪をひきやすい状態だからです。妊娠超初期に風邪をひいた場合にはどのような症状がみられ、どのように対処するべきなのでしょうか。
咳
咳は風邪のひき始めや治りかけによくある症状です。激しい咳をするとお腹に何か影響があるのではないかと気になる妊婦さんもいるかもしれませんが、一般的な風邪の咳が胎児に大きな影響を与えることはまずないと考えて良いでしょう。
ただし、激しい咳は体力を消耗させることになりかねない点に加え、咳によって寝不足になり体調不良の引き金となってしまうこともあります。咳がひどくてつらい人は妊婦さんでも飲める咳止めを処方してもらうと良いでしょう。
風邪がひどくなり、肺炎の症状として咳が出ているという可能性もあります。咳ぐらい、と軽くとらえすぎず、普通の風邪よりもひどいなと感じたら早めに病院で受診してくださいね。
のどの痛み
のどが乾燥して粘膜が荒れてしまったり、細菌やウイルスに感染してしまったりすることもあります。のどが痛いなと思っていたらしばらくして熱が上がり、高熱が出るというパターンは夏風邪でもよくみられますよね。
のどの痛みを感じた場合は水を飲んだりのど飴をなめたりして保湿し、のどの粘膜を保護することを一番に考えましょう。寝ているときに口が開いている人は、ぬれマスクや口が開かないようにするテープを使用して、就寝中ののどの乾燥を防ぐ工夫をしてみても良いかもしれません。
数日経っても痛みが取れない場合や高熱が出てなかなか下がらない場合など、症状がつらいときは我慢せず医師に相談してくださいね。
熱
熱は妊娠超初期の症状と風邪の両方でみられる症状です。ただし妊娠超初期の症状の場合は出たとしても微熱で、38℃以上の高熱が出ることは基本的にありません。高熱が出たときは風邪など妊娠以外の要因によって発熱していると考えて良いでしょう。
通常の風邪であれば、水分と栄養を補給しながらしっかり寝て休めば自然と熱が下がる場合が多いですが、つらいときは無理せず病院に行ってくださいね。
とくに、数日経過しても熱が下がらない場合や40℃前後の高熱が出る場合、脱水状態が続く場合など、ただの風邪とは考えられない症状があるときは赤ちゃんにとってもママにとっても注意が必要です。必ず早めに病院へ行き、治療を受けましょう。
鼻水・鼻づまり
鼻水・鼻づまりも風邪の代表的な症状ですよね。妊娠超初期の鼻水・鼻づまりは、風邪でなく「妊娠性鼻炎」の症状という可能性もあります。妊娠性鼻炎は妊娠をきっかけに鼻炎の症状が出るというアレルギー疾患です。もともと鼻炎体質の人はよりひどくなる傾向があります。
のどの痛みや熱など、鼻水・鼻づまり以外の風邪の症状がみられない人は、妊娠性鼻炎の発症を疑っても良いかもしれませんね。鼻うがいをしたり鼻をあたためたり、簡単にできる対策から始めてみましょう。風邪の場合も鼻炎の場合も、あまりにも症状がひどいときは病院で薬を処方してもらってくださいね。
くしゃみ
くしゃみも風邪や妊娠性鼻炎の症状としてあらわれることがある症状です。咳と同様に、大きなくしゃみをするとお腹の赤ちゃんに影響があるのではないかと心配になる妊婦さんもいるかもしれませんね。
風邪や鼻炎でくしゃみをした程度でお腹の赤ちゃんに影響をおよぼすことは通常は考えられないので、気にしすぎる必要はないでしょう。ただ、くしゃみで目を閉じたときに階段を踏み外したり、運転中にくしゃみをして運転操作を誤ったりと、他の要因と組み合わさって危険が生じる場合があります。くしゃみがひどすぎて日常生活に支障をきたすときは病院で診てもらうほうが安心です。
妊娠超初期の風邪の影響は?
妊娠超初期は妊娠状態が安定していないので、流産のリスクなど、お腹の赤ちゃんへの影響が心配な妊婦さんも多いことでしょう。妊娠超初期の風邪は、「ただの風邪」である限りはお腹の赤ちゃんに影響を与えることは基本的にはありません。心配しすぎないでくださいね。
妊娠超初期の流産は染色体異常など母体の状態とは無関係な原因によって起こる場合が多いといわれています。風邪が直接的に流産の原因となることはほぼないと言って良いでしょう。
とはいえ、風邪が悪化すると肺炎など他のより重篤な病気に移行してしまうこともあります。風邪だと思っていたものがまったく別の感染症の症状だったというケースもあるかもしれません。そうした場合にまったく胎児への影響がないとは言い切れませんし、母体にとっても良くない状態になることが考えられます。どんな症状であっても症状が明らかにひどいときにはすぐに病院に行き、早期に治療を始めましょう。
妊娠超初期に風邪薬は飲める?
妊娠超初期に風邪をひいた場合、風邪薬を飲んで症状を抑えることはできるのでしょうか。妊娠中には薬の使用が制限されるため、気になる人が多いかもしれません。
妊娠超初期の薬の影響
妊娠0~3週(妊娠1ヶ月)に薬を服用による胎児への影響は、「All or none」と表現されることがあります。影響がまったく出ないか、流産するかのどちらかという意味です。ただし体内に残留する時間が長い一部の薬については、胎児の体内に移行して奇形の原因になるケースもあるといわれています。
妊娠4~7週になると、0~3週とは違って胎児に薬が移行することで胎児に影響を与えるリスクが高まります。この期間には主要な臓器が形成されるため、薬の投与でもっとも心配されるのは胎児の奇形との関わりです。慎重に薬を服用する必要があります。
妊娠超初期は医学用語ではないため明確な定義はありませんが、0~4週前後の妊娠判定前の期間を指す場合が多いです。上記のどちらの期間のリスクについても頭の片隅においておくと良いかもしれませんね。
妊娠超初期の風邪薬の服用の可否
抗ウイルス薬や解熱鎮痛剤、抗炎症薬のなかにも妊娠中には服用してはいけない薬や注意して投与しなければならない薬があります。妊娠している可能性がある人が風邪薬を服用する場合には、必ず病院で処方してもらいましょう。医師には事前に妊娠している可能性がある旨を伝え、薬は用法用量を守って服用してくださいね。
なかには妊娠していることを知らずに風邪薬を飲んでしまったという人もいるかもしれません。4~7週に服用した場合は、薬によっては胎児に影響があることが考えられるため医師に早めに報告しておきましょう。妊娠0~3週に服用して流産していない場合には胎児への影響はないと考えられますが、念のため医師に薬を飲んだことを報告し、安全性について確認しておくと良いでしょう。不安な気持ちを和らげることができるかもしれませんよ。
妊娠超初期の風邪をしっかり予防しよう
うがい・手洗いをする
妊娠していてもしていなくても、風邪の予防法には大きな違いはありません。基本的な風邪予防を毎日続けることがもっとも大切です。帰宅時のうがい・手洗いやトイレ後の手洗いはとくに欠かさないようにしましょう。手洗い後にアルコールなどで消毒するとより除菌効果を期待できますよ。
手洗いをするときは、石鹸をつかって指のあいだや手首までしっかり洗うと効果的です。風邪をうつされるリスクを減らすため、パートナーや家族と同居している場合は一緒に取り組むと良いでしょう。
マスクをする
外出時にはマスクをし、風邪をうつされないようにしましょう。マスクをすると口内の乾燥を防ぐことにもつながるので、就寝時に装着するのもおすすめです。冬であれば防寒対策にもなるので一石二鳥ですよ。鼻と口をしっかり覆うことができるもの、自分の口の大きさ・形にあったものを選べると良いですね。
人混みを避ける
人が多い場所はできるだけ避けて過ごしましょう。電車で移動するときなどやむを得ない場面もありますが、人が多い場所に行く場合にはマスクや帰宅後の手洗いを普段以上に徹底してくださいね。
暖かい格好をする
薄着で外出したり、お風呂上りに湯冷めしたり、汗をかいたあとに冷えたりして風邪につながることもありますよね。外の温度に適した格好をする、お風呂からあがったらすぐに髪を乾かしてできるだけ早く寝る、汗の処理はこまめにするなど、身体が冷えないようにするためにできることから始めましょう。
寒暖差が激しい時期はもちろんのこと、温度差が激しい場所を行き来するときには温度調節も工夫したいですね。着脱が簡単な羽織ものやストール、ネックウォーマー、ブランケットなどを活用してしっかり身体を温めましょう。
妊娠超初期の風邪は、心配しすぎず油断しすぎず
妊娠超初期の症状と風邪の症状は似ているので、最初に気になるのは自分の身に起こっているのはどちらの症状なのかというところかもしれません。生理前にPMS(月経前症候群)の症状がある場合はさらに判断に迷うところですよね。
妊娠初期症状と風邪、あるいはPMSと風邪が同時に出ているというケースもあるためはっきりと見分けるのは難しいですが、一時的な高熱やのどの痛みなど、明らかに風邪が疑われる症状がある場合には風邪と考えて良いでしょう。とはいえ、新しい命が宿っている可能性もあるという前提で風邪を治す方法を考えていきたいですね。
風邪を治す方法は妊娠中と非妊娠時で大きな違いはありませんが、妊娠している可能性があるときは薬の使用について普段以上に注意を払いましょう。まずはしっかり水分補給をしながらバランスの良い食事をとってゆっくり寝る、症状が強く出ている場合など薬で治したいときは市販薬に頼らずに病院で処方してもらう、という方針でいれば基本的には問題ないでしょう。
ただ、風邪が悪化して重篤な病気にかかっている場合や、もともと風邪以外の病気が原因で症状が出ている場合もまったく考えられないわけではありません。おかしいな、と感じたときには我慢せず早めに病院に行くようにすると安心です。いずれにしろ、心配しすぎず油断しすぎず、身体をいたわりながら過ごしてくださいね。