切迫流産で入院!期間や費用は?保険は使える?入院準備や入院中の過ごし方について
切迫流産と診断されて入院することになった場合、入院期間や費用はどのくらいになるのか、入院には何を準備したら良いのか気になりますね。ここでは切迫流産で入院になった場合の期間や費用、保険の適用について助産師が解説していきます。入院の準備品や入院中の過ごし方についても触れているので参考にしてみてくださいね。
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目次
切迫流産とは?入院の基準は?
「切迫流産」と産婦人科で突然診断されて、驚いてしまうママは多いのではないでしょうか。妊娠22週未満で赤ちゃんが亡くなってしまうことを「流産」といいますが、「切迫流産」は赤ちゃんが子宮の中に残っているものの、流産になりかけている状態をいいます。切迫流産の症状として、下腹部の痛みや性器出血が現れることがありますが、特に自覚症状がない場合もあります。
切迫流産で入院となる基準は一概には決まっていません。ママの状態によって個別に判断されることになるでしょう。一般的には妊娠12週未満では自宅で経過観察する場合が多く、妊娠12週以降に下腹部の痛みや性器出血の症状があったり、子宮の頸管長が短くなっていたりすると入院になることがあります。
切迫流産での入院期間はいつからいつまで?
切迫流産は、一般的に妊娠12週以降で入院が必要となるケースが多いです。ママの症状によって個人差があるため「いつまで入院が必要だ」と入院期間は断定できません。状態によって1週間で退院できる場合もあれば、数週間もしくは1ヶ月以上の入院が必要になる場合もあります。退院しても再び状態が悪化する場合もあり、入退院を繰り返すママもいます。
また妊娠22週以降になると切迫流産ではなく「切迫早産」と病気の名前が変わります。これは赤ちゃんが子宮外に出ても、なんとか助かる可能性があるのが妊娠22週以降とされており、妊娠22週以降かつ37週未満に赤ちゃんが生まれた場合には「早産」という呼び方をするためです。
下腹部の痛みや出血が続いた場合、妊娠22週以降も入院が必要になります。その場合は、切迫早産として入院を継続することになり、長いと数ヶ月の入院が必要です。
切迫流産での入院費用は?保険は使える?
入院費用の相場は80,000円〜1,000,000円で入院期間による
切迫流産の入院費用には大きくわけて以下の3項目です。
・投薬などの治療費
・入院中の食費
・差額ベッド代
治療費は健康保険が適用になり、低所得者などを除く70歳未満の人は治療費の3割が自己負担となります。自己負担額は1日5,000円~10,000円程度でしょう。
入院中の食費は健康保険法などの規定で定められており、平成30年4月から1食460円になっています。所得が一定に満たない人は、460円以下の金額が設定されているでしょう。
差額ベッド代は全て自己負担となり個室を使用すると加算され、大部屋を使用した場合は差額がありません。差額ベッド代は入院する病院によって異なりますが、1室1日あたり5,000円~15,000円となっています。
入院費用の一例
仮に切迫流産で、大部屋(差額ベッド代なし)に入院した場合の費用を期間ごとに計算すると、下記の通り1週間で約8万円、1ヶ月で約34万円、約3ヶ月で約102万円かかることがわかります。治療費は状況によって異なりますし、入院費用が高額になる場合は公的な制度を活用すれば負担が大幅に軽減されることもあります。あくまでひとつのケースとして参考にしてくださいね。
1日 | 1週間 | 1ヶ月(30日) | 3ヶ月(90日) | |
治療費 | 10,000円 | 70,000円 | 300,000円 | 900,000円 |
食費(1食460円、1日3食) | 1,380円 | 9,660円 | 41,400円 | 124,200円 |
合計 | 11,380円 | 79,660円 | 341,400円 | 1,024,200円 |
民間保険の適用対象になることも
民間の生命保険の契約内容によっては、切迫流産が適用対象で給付金が支払われる場合があります。切迫流産で入院することになったら、加入している保険会社に問い合わせをして切迫流産が保険の適用になっているか確認しましょう。
切迫流産が適用になっている場合は、保険会社から保険金給付申請用の診断書を取り寄せて、退院の日程が決定したら病院に記載を依頼します。
切迫流産で長期入院!高額療養費制度の対象になる?
高額療養費制度とは?
高額療養費制度とは、医療費の自己負担額が高額となった場合に、一定の金額を超えて支払った費用があとから払い戻しされる制度です。一定の金額は1ヶ月単位で計算し、年齢や所得に応じて決められています。
ここで注意したいのは、高額療養費制度の対象となるのは健康保険が適用された医療費です。入院中の生活に必要なものを買った諸費用や差額ベッド代、自由診療の医療費は高額療養費制度の対象にはなりません。
申請方法には指定の銀行口座に払い戻しをしてもらう方法と限度額認定証を利用する2つの方法があります。健康保険証に記載されている管轄の協会けんぽ支部に申請をします。国民健康保険の場合は市町村へ申請しましょう。
指定の銀行口座に払い戻しをしてもらう方法
健康保険高額療養費支給申請書にママの名前や住所、振り込み先の銀行口座の情報を記載して後日払い戻しをしてもらいます。
この場合、病院から協会けんぽに提出される診療報酬明細書の審査があるため、払い戻しには診療した月から3ヶ月以上の時間がかかります。
払い戻しはありますが、いったん高額な医療費を支払うことになります。そのため一時的ですが、家計の負担が大きいというデメリットがありますね。家計の負担を軽減させるために、高額療養費支給の見込み額の8割相当の金額を無利子で貸し付ける、高額療養費貸付制度というものがあります。大きな支出を抑えたいママは、利用を検討してみても良いかもしれませんね。
限度額適用認定証を利用する方法
急な長期入院で、これから高額な医療費がかかることがわかっている場合には「限度額適用認定証」を取得することをおすすめします。限度額適用認定証は、各健康保険の窓口に申請すると発行されます。限度額適用認定証と健康保険証を病院の窓口で提示すると、支払う額は自己負担の限度額までとなります。
限度額適用認定証を利用すれば、一度に高額な費用を支払わずに済み、また高額療養費の支給申請をする手間がなくなります。限度額適用認定は申請月の初日から最長1年間有効です。
切迫流産で入院が決まったときの準備は?
入院準備品を用意
切迫流産の入院で必要な準備品は以下の通りです。
・パジャマ
・ショーツやシャツの下着類
・バスタオルとフェイスタオル
・はし、スプーン、マグカップ
・スリッパ
・ティッシュ
・生理用ナプキン
・シャンプーや洗顔料、歯磨きセット
・母子健康手帳
・健康保険証
・筆記用具
・印鑑
切迫流産の入院は急に決まることがあります。その場合は焦らずに、すぐに使うパジャマや下着類だけ準備をして、残りの準備品はあとから家族や身近な人に持ってきてもらいましょう。
事前に医師から入院の可能性について説明があれば、入院の準備をあらかじめしておくと良いでしょう。
上の子のお世話の依頼
経産婦のママの場合、入院しているあいだの上の子のお世話の依頼が必要です。パパや他の家族と相談して、上の子のお世話を誰がどの時間担当するのか話し合いましょう。地域のファミリーサポートのヘルパーさんや、ベビーシッターを利用する方法もありますね。
入院中は上の子がママに会えない時間が多いため寂しくなり、心が不安定になる場合があります。病院の面会時間やママの身体の負担にならない範囲で、家族と一緒に上の子のケアを考えておきましょう。
職場への連絡
ママが仕事をしている場合は、職場への連絡が必要です。いつ入院するのかと、おおよその入院期間は入院が決定した時点で早めに連絡しましょう。仕事の引継ぎについての相談も同時に進められると良いですね。入院の可能性が医師から説明されている場合は、事前に職場に伝えておくとよりスムーズかもしれません。
職場によっては、入院の証明となる診断書の提出が求められることがあります。診断書の提出が必要な場合は、職場に記載事項を確認してから医師に話して作成してもらいましょう。
切迫流産での入院中の過ごし方
絶対安静が基本
切迫流産は絶対安静が治療の基本となります。点滴や飲み薬でお腹の張りを抑える治療を行う場合もあります。食事やトイレ、シャワー浴以外はベッドに横になり、安静にすることが大切です。
おしゃべりを楽しむ
切迫流産の治療では安静が治療の中心になるため、ママ自身は何もすることがないと感じがちです。ベッドで横になりながら、家族や友人との面会や同室のママとのおしゃべりを楽しんで、入院でのストレスをできるだけ軽減してみてはいかがでしょうか。
読書・編み物などを楽しむ
安静にしながらできることはないと思うかもしれませんが、読書や編み物などは安静にしていてもできることです。何もすることがないとネガティブにとらえるのではなく、ママ自身のために時間をたくさん使えると考えて、読みたかった本をゆっくり読んだり、編み物をしたりして楽しみましょう。
切迫流産で入院になっても焦らずにゆったりと過ごす
切迫流産は流産になりかけている状態です。お腹の痛みや出血があったり、入院が決まったりすると、「これから妊娠を継続できるのか」「今後の経過はどうなるのか」と不安になってしまいますよね。ママが安静にすることで切迫流産の症状が軽減し、妊娠が継続できる場合があります。不安や焦りを取り除くのは難しいかもしれませんが、入院中はゆったりと過ごして休息につとめるようにしましょう。