赤ちゃんの予防接種の種類と注意点!いつから受ける?定期接種と任意接種の違いは?

予防接種にはさまざまな種類があり、定期接種や任意接種など聞き慣れない言葉も多いため、何となく難しい印象がありませんか。ここでは、赤ちゃんの予防接種や病気の概要、ワクチンの種類や接種時期を一覧でわかりやすく解説します。当日の服装や持ち物、お風呂に入れるかどうかなど、気になる疑問についても参考にしてください。

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この記事の監修

染谷 朋之介
小児科医
染谷 朋之介

目次

  1. 赤ちゃんの予防接種の目的は?
  2. 赤ちゃんの予防接種はいつから?
  3. 予防接種のワクチンの種類と違いは?
  4. 赤ちゃんが受ける定期接種の種類
  5. 赤ちゃんが受ける任意の予防接種の種類
  6. 赤ちゃんの予防接種の持ち物と服装
  7. 赤ちゃんの予防接種の注意点
  8. 赤ちゃんの予防接種で副作用が出てしまったときには?
  9. 予防接種の種類を把握してしっかり管理しよう
  10. あわせて読みたい

赤ちゃんの予防接種の目的は?

病気の流行を予防する

現在日本では、赤ちゃんや子どもをはじめ妊婦や高齢者など、多くの人が公費で予防接種を受けることができます。国が予防接種を推進する目的のひとつは、多くの人が予防接種を受けることにより、感染症の拡大を予防することです。

たとえば、結核は昭和20年代まで日本人の死亡原因の第1位でしたが、その後ワクチンが普及したおかげで、結核の発症者数は大幅に減少しています。

同様に、明治時代以降多くの患者数が見られたポリオに関しても、昭和39年にワクチンの定期接種開始にともない、患者数は減少しました。ポリオ患者は昭和55年を最後に国内では確認されていません(※1)。

病気の症状を緩和する

赤ちゃんは生後6ヶ月頃を過ぎると、ママからもらった免疫は徐々に失われます。そのため、赤ちゃんは自分自身で抗体を作らなければなりません。予防接種によってそれぞれの病気の免疫がつくため、病気にかかりにくくなる、もしかかったとしても症状が軽く済むといったメリットがあります。

特に、予防接種で防げる病気の中には、重症化すると深刻な後遺症を残すものや死亡するものもあります。予防接種は大切な赤ちゃんの健康を守るために不可欠な取り組みといえるでしょう。

赤ちゃんの予防接種はいつから?

一般的には生後2ヶ月から予防接種がスタート

初めての予防接種のことをワクチンデビューといい、一般的には生後2ヶ月から予防接種が受けられるようになります。生後2ヶ月では定期接種のヒブ、小児肺炎球菌、B型肝炎、ロタウイルスのワクチン接種が可能です。

※ロタウイルスワクチンは2020年9月30日までは任意接種でしたが、2020年10月より定期接種となりました。2020年8月以降に生まれた0歳児の赤ちゃんが定期接種の対象となるためご注意ください。

ロタウイルスは生後6週から接種可能

任意接種のロタウイルスは生後6週間からの接種が可能です。ロタワクチンには2種類ありますが、それぞれ生後24週・生後32週までに接種を完了しなければいけません。ロタワクチンの接種を希望する場合には、早めにスケジュールを組む必要があります。

ママがB型肝炎のキャリアの場合は生後12時間以内に免疫グロブリンを注射

ママがB型肝炎に感染している場合には、赤ちゃんもB型肝炎に感染し、将来的に慢性肝炎や肝硬変、肝臓がんを発症するリスクが高くなります。そのため、ママから赤ちゃんへの母子感染を防ぐことが必要です。

現在では、出生直後(なるべく生後12時間以内)に赤ちゃんにB型肝炎グロブリンが注射されます。あわせてB型肝炎ワクチンの接種も行います。

予防接種のワクチンの種類と違いは?

予防接種は生ワクチンと不活性化ワクチンの2種類に大別できます。それぞれの違いについて知っておきましょう。

生ワクチン

生ワクチンは生きた細菌やウイルスの毒性を弱めたものです。生ワクチンをを接種すると、体内で細菌やウイルスが増殖するため、病気にかかった状態と同様の免疫力がつきます。

注射生ワクチン接種後のみ、次の予防接種までに27日(4週間)以上の間隔をあける必要があります。

■生ワクチンを使用した予防接種
・BCG
・麻しん・風しん(MR)
・水痘(みずぼうそう)
・ロタウイルス
・おたふくかぜ など

※2020年10月1日より、ワクチンの接種間隔の規定が変更されました。「注射生ワクチン」は、従来通り接種後27日以上の間隔をおかなければ「注射生ワクチン」の接種を受けることはできません。しかし、「注射生ワクチン」以外のワクチンでは、前のワクチン接種からの間隔に関わらず次のワクチンの接種を受けることができるようになりました。

不活化ワクチン

不活化ワクチンとは、感染力を失った細菌やウイルスを使用して製造されたワクチンです。不活性化ワクチンは、自然感染や生ワクチンに比べて毒性がないものの、1回の接種でできる免疫力は低いです。そのため、一定の間隔で2~3回接種したあと、約1年後に追加接種をして十分な抵抗力をつけます。

トキソイドは、強い毒素がある細菌の毒素のみを取り出したものです。不活性化ワクチンに分類されることもあります。

赤ちゃんが受ける定期接種の種類

■不活性化ワクチンを使用した予防接種
・不活化ポリオ・百日せき・ジフテリア・破傷風 = 四種混合(DPT-IPV)
・日本脳炎
・インフルエンザ
・B型肝炎
・百日せき
・肺炎球菌
・インフルエンザ菌b型(ヒブ)など

定期予防接種とは、国が一定の年齢で受けることをすすめている予防接種のことです。病気の中でも感染力が強いものや、症状が重く危険性が強いものが対象になります。ほとんどの場合、定期予防接種は公費で受けることができますが、期間を過ぎると自費扱いになるため、注意が必要です。

ヒブ(インフルエンザ菌b型)

ヒブワクチンは、インフルエンザ菌による細菌性髄膜炎、口頭蓋炎、肺炎などを予防するものです。特に髄膜炎は重症化しやすく死亡や重い障害が残ることもある危険な病気です。(※冬に流行するインフルエンザウイルスとは異なります。)

ワクチンの種類:不活性化ワクチン
接種回数:計4回
標準的な接種年齢:0歳代3回、1歳代1回

肺炎球菌

肺炎球菌による細菌性髄膜炎、敗血症、肺炎、気管支炎などを予防するものです。髄膜炎は重症化しやすく、死亡や重い後遺症が見られる危険な病気です。

ワクチンの種類:不活性化ワクチン
接種回数:計4回
標準的な接種年齢:0歳代3回、1歳代1回

B型肝炎

B型肝炎ウイルスによる肝炎を予防するものです。B型肝炎にかかると微熱、食欲不振、倦怠感、嘔吐、黄疸が見られます。感染状態が続くと慢性肝炎や肝硬変、肝臓がんのリスクが高くなることもわかっています。

ワクチンの種類:不活性化ワクチン
接種回数:計3回
標準的な接種年齢:0歳代3回

※母親が血液中に感染ウイルスを持っている場合は、母子感染のリスクが高いため、生後12時間以内にB型肝炎免疫グロブリンと、B型肝炎ワクチン接種(1回目)を行います。

四種混合(DPT-IPV)

四種混合はジフテリア・百日咳・破傷風・ポリオを予防するワクチンです。いずれも重症化しやすく死にいたる、後遺症が残るなど、危険性が高い病気です。

ワクチンの種類:不活性化ワクチン
接種回数:計3回
標準的な接種年齢:0歳代3回、1歳代1回

BCG

BCGは結核を予防するためのワクチンです。結核は発展途上国に多い病気ですが、国際化により、国内でも感染者が見られます。適切な治療を受ければ治りますが、入院措置が必要なことも多く、受診が遅れると命にかかわります。自治体によっては健診時に集団接種を実施するでしょう。

ワクチンの種類:生ワクチン
接種回数:計1回
標準的な接種年齢:0歳代1回

MR(麻疹・風疹混合)

MRは麻疹(はしか)・風疹を予防するワクチンです。はしかは高熱、鼻水、結膜の充血が見られる病気で、肺炎などの合併症を起こしやすく、亜急性硬化性全脳炎を合併すると死にいたることもあります。風疹は大人がかかると重症化しやすく、特に妊婦にうつると赤ちゃんが難聴、心疾患などの障害を持つ可能性が高くなります。

ワクチンの種類:生ワクチン
接種回数:計2回
標準的な接種年齢:1歳代1回、年長1回※

※地域で流行している場合は、1歳前でも接種することがあります。

水痘(みずぼうそう)

水痘(水ぼうそう)は全身に赤い湿疹や水ぶくれ、かさぶたができる病気です。感染力が強く、大人がかかると重症化しやすいといわれています。水痘が治ったあともウイルスは潜伏するため、帯状疱疹として再発することがあります。

ワクチンの種類:生ワクチン
接種回数:計2回
標準的な接種年齢:1歳代2回

日本脳炎

日本脳炎は子どもが感染するとけいれん、腹痛、下痢などが現れるものです。治療が難しく、死亡や重い後遺症が残ることもあります。

ワクチンの種類:不活性化ワクチン
接種回数:計4回
標準的な接種年齢:3歳代2回、4歳代1回、9~12歳代1回

ロタウイルス

ロタウイルスによるウイルス性胃腸炎を予防するワクチンです。ロタウイルスにかかると水下痢や嘔吐が続きます。体内から水分や塩分が失われるので、脱水症になることもあります。

重症の場合はけいれん、脳炎、腎障害などの合併症を起こすため、注意が必要です。ワクチンは1価と5価の2種類がありますが、効果・安全性はどちらも同じです。

ワクチンの種類:生ワクチン
接種回数:1価は2回、5価は3回
標準的な接種年齢:1価は生後6~24週、5価は生後6~32週

※ロタウイルスワクチンは2020年9月30日までは任意接種でしたが、2020年10月1日より定期接種となりました。2020年8月以降に生まれた0歳児の赤ちゃんが定期接種の対象となるためご注意ください。

赤ちゃんが受ける任意の予防接種の種類

任意の予防接種の種類を紹介します。任意の場合は、受けさせるかどうか悩むかもしれません。しかし、ワクチンを接種することで病気にかからなくなる、または感染しても症状が軽くなるため、接種が望まれます。

おたふくかぜ

おたふくかぜは発熱と耳周辺に痛みと腫れをともなう病気です。4歳以下の子どもがかかることが多い傾向にあります。思春期以降にかかると男性は睾丸炎、女性は卵巣炎になることがあります。難聴や膵炎(すいえん)を合併した例も見られます。

ワクチンの種類:生ワクチン
接種回数:1~2回
標準的な接種年齢:1歳代1回(年長児1回)※

※地域で流行している場合は、1歳前でも接種することがあります。

インフルエンザ

冬に流行するインフルエンザの発症の可能性を下げたり、重症化を防いだりするためのワクチンです。子どもの場合は中耳炎や熱性けいれん、気管支喘息、急性脳症を合併することがあるため、保育園や幼稚園など集団生活が始まると、接種がすすめられています。ワクチンの数には限りがあるため、早めの予約が重要です。

ワクチンの種類:不活性化ワクチン
接種回数:2回(13歳以上は1回)
標準的な接種年齢:生後6ヶ月から接種可能。時期は10月ごろ

赤ちゃんの予防接種の持ち物と服装

予防接種の持ち物

予防接種に必要な持ち物は次の通りです。特に予診票や母子手帳がないと予防接種が受けられないことがあるため、忘れずに持って行くようにします。持ち物の準備は余裕を持って早めに済ましておきましょう。集団接種では荷物の取り違えがよくあるため、持ち物にはしっかり記名しておいてくださいね。

・予診票
・母子手帳
・保険証
・筆記用具
・着替え
・おむつ
・哺乳瓶、ミルク
・授乳ケープ
・ビニール袋
・タオル
・おもちゃなど

予防接種の日の赤ちゃんの服装

予防接種当日は着脱しやすい服装にしましょう。健診を兼ねている場合は裸になることもあるので、スムーズに脱がせられるようにしておきます。院内は適温に調節されているので、冬場でも必要以上に着込む必要はありません。

赤ちゃんの予防接種の注意点

赤ちゃんの体調の良い日に予防接種を受ける

当日は赤ちゃんの体調が良いことを確認してから予防接種を受けましょう。微量の鼻水程度であれば予防接種が受けられることが多いので、心配な方はでかける前に電話で質問しておくと良いですよ。

そのほか、発熱、下痢、発疹はないかなどもチェックしておいてくださいね。四種混合ワクチンに含まれるポリオワクチンは、下痢のときに接種すると排出されてしまうため、十分な効果が見込めません。気になる症状があれば、医師に判断を仰ぐようにしてください。

授乳や食事は30分前までに済ませる

当日は30分前までに授乳や食事を終わらせ、機嫌が良い状態で予防接種を受けられるようにしましょう。特にロタウイルスワクチンは、注射器を使わずに接種するものです。ワクチン接種前に授乳や食事をとってしまうと、ゲップと一緒にワクチンを吐いてしまう可能性があります。効果を確実にするためにも、授乳や食事は30分前までに済ませておきましょう。

子どもの様子に変化がないか注意する

予防接種後は赤ちゃんや子どもの体調に変化がないか注視します。発熱、じんましんが見られたら医師に相談しましょう。特に予防接種後30分は、ワクチンによるアナフィラキシー症状が現れる可能性があります。何かあればすぐに受診できるよう、予防接種を受けた病院の近くに待機すると安心です。

予防接種後は安静に過ごす

予防接種後は激しい運動を控え、安静に過ごしましょう。赤ちゃんはいつもと違う環境で疲れやすくなっているため、当日はなるべく静かに過ごしてください。

お風呂には入ってもOK!

予防接種当日の入浴は差し支えありません。ただし、副反応の有無がわかるよう、接種から1時間以上あけてから入浴するようにしましょう。注射した部位はこすらないように気を付けてくださいね。

赤ちゃんの予防接種で副作用が出てしまったときには?

予防接種では、赤ちゃんの体内に微量のウイルスや菌、それらに類似したものを投与するため、身体の中ではウイルスや菌に抵抗しようと免疫反応(副反応)が起こります。副反応は、病原体に抵抗しようと子どもの免疫機能が正常に働いている証であり、悪いことではありません。

副反応は主に発熱、注射した部位の腫れやかゆみなどです。軽度であればあまり心配はいりませんが、高熱が続く場合や、顔や唇の腫れ・じんましん・吐き気などの症状が見られる場合は、すぐに医師に相談しましょう。

予防接種の種類を把握してしっかり管理しよう

予防接種にはさまざまな種類があり、ワクチンによって回数や期限などが異なるため、わかりにくいと感じる方が多いでしょう。特に0歳児は接種するワクチンの本数が多く、スケジュールが過密になりがちです。母子健康手帳をよく確認し、接種し忘れていないか、こまめにチェックすることが大事です。

予防接種のスケジュールは、母子健康手帳や自治体で配布されているパンフレットなどを参考に組むと良いですよ。2020年10月よりワクチンの接種間隔の規定が変更されよりスケジュールが組みやすくなりました。

最近はスマホアプリを使って予定管理をする方も多いです。自分に合った方法で、予防接種を管理しましょう。

※この記事は2023年3月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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