【助産師監修】赤ちゃん・子どもが奇声を発する!?月齢別の原因と対処法

赤ちゃんや子どもは何の前触れもなく、突然キーキーと甲高い声で奇声を発することがあります。家ならまだしも、電車やお店で叫ばれると困ってしまいますよね。なだめてもおさまらず、ママやパパも精神的に参ってしまいます。赤ちゃんが奇声をあげる原因や発達障害との関係、その対処法を月齢別にご紹介します。

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この記事の監修

河井 恵美
助産師・保育士
河井 恵美

目次

  1. 赤ちゃんの奇声と発達障害との関係は?
  2. 赤ちゃんが奇声をあげるときの主な原因は?
  3. 生後3ヶ月~4ヶ月頃の赤ちゃんが奇声をあげる原因・対処法
  4. 生後5ヶ月~7ヶ月頃の赤ちゃんが奇声をあげる原因・対処法
  5. 生後8ヶ月~10ヶ月頃の赤ちゃんが奇声をあげる原因・対処法
  6. 2歳頃の子どもが奇声をあげる原因・対処法
  7. 赤ちゃんの奇声に関する先輩ママの体験談
  8. 赤ちゃんの奇声は順調に成長している証拠
  9. あわせて読みたい

赤ちゃんの奇声と発達障害との関係は?

赤ちゃんや子どもの奇声は珍しいことではない

赤ちゃんや子どもが何の前触れもなく突然奇声を発すると、「もしかして発達障害の可能性が…」と考えてしまうママやパパも少なくないでしょう。奇声が繰り返されると、耐えられないと感じる瞬間もあるかもしれません。

実は、赤ちゃんや子どもが突然奇声を発することは、一般的によく見られることで珍しいことではありません。赤ちゃんは生後3ヶ月頃から母音に似た音を発するようになり、生後5ヶ月頃に母音を区別し始め、生後7ヶ月になると喃語(なんご)を話し出すそうです(※1)。

生後3ヶ月といえば、自分の手や足の存在に気づき、見つめたり動かしたりして自分の身体の動かし方を学び始める時期にもあたります。口の動きや声の出し方に対しても、唇や舌をどのように動かすと音が出るかを試しているのです。

赤ちゃんが奇声をあげるのは、大人が奇声をあげるのとは違う意味を持ちます。赤ちゃんや子どもの奇声は、成長過程のひとつと考えましょう。奇声をあげることは大きな声を出すことなので、言葉の発達や発声に必要です。また肺活量や腹筋を鍛えることにもつながります。奇声をマイナスにとらえるのではなく、プラスにとらえて受け止めてみましょう。

3~4歳を過ぎても続く場合は相談しましょう

3~4歳になると言葉でコミュニケーションをとることが上手になってきます。静かにしなければいけない場所など、きちんと説明すればわかってくれる年齢です。「奇声=発達相談」というわけではありませんが、3~4歳になっても頻繁に奇声をあげる場合は、そのほかに気になる行動や特性がないか注意深くみる必要があります。

奇声以外に、手足を突っ張っている、白目を向いているなどが続くようなら、医師に相談してみましょう。視線があわない、コミュニケーションがとれない、異様なこだわりの強さがあるなどの反応がある場合も、ひとりで悩まず自治体の専門機関や医療機関に相談してみましょう。

赤ちゃんが奇声をあげるときの主な原因は?

赤ちゃんは成長するにつれて「あ~」「う~」といった喃語を話し始めます。そして段々と聴力も発達し始め、自分の声が認識できるようになり、声を発することが楽しくて、突然大きな声をあげることもあります。月齢に関係なく赤ちゃんが突然奇声を発する原因には以下のものがあります。

楽しいから

笑顔で奇声をあげている場合は、楽しくて仕方がないときです。ニコニコ顔で大きな声を出すことで、楽しいことを表現しています。

眠いから

赤ちゃんは眠たいのに寝られないときにも奇声を発します。「泣かなければ寝られるのに…」と考えてしまいますが、どうにもできない気持ちが奇声となって現れていると理解し、ゆらゆらと抱っこしたり、おっぱいを飲ませたりしてみましょう。

眠いとき以外にも、自分の思い通りにならないなど、不満があるときにも奇声を発します。自我が芽生え始めている証拠です。奇声を止めさせるのではなく、赤ちゃんの気持ちを受け入れてみましょう。

不安だから

赤ちゃんはいつも一緒にいてくれるママやパパが大好きです。ママやパパが自分のそばからいなくなってしまったら、不安な気持ちでいっぱいになってしまいます。ママやパパがいない、暗くて怖いなど安心感が得られない場面でも、奇声を発します。きっと不安に負けないように大きな声を出して耐えているのですね。

注目してほしいから

赤ちゃんは、大きな声を出せば自分のことを見てくれる、ということを覚えていきます。上手に積み木が積めたとき、すべり台を上手にすべるところを見てもらいたいときなど、奇声をあげてアピールすることもあります。

生後3ヶ月~4ヶ月頃の赤ちゃんが奇声をあげる原因・対処法

黄昏泣き

生後3ヶ月~4ヶ月頃の赤ちゃんは、夕方になると機嫌が悪くなり、奇声をあげて泣き続けることがあります。これを「黄昏泣き」と呼びます。おむつを替えたり、おっぱいを与えたり、泣いている原因を探ってあらゆることをしてあげても泣き止まず、途方に暮れるママやパパも少なくありません。

黄昏泣きの原因は、夕方になると1日の疲れが出て機嫌が悪くなる、朝と夜の切り替えに赤ちゃんの未熟な身体がついていけないなど諸説ありますが、明確に解明されてはいません。

対処法

夕方になり外が暗くなってきたら、早めに室内を明るくしてゆったりした時間を過ごさせてあげましょう。マッサージをしたり、絵本を読んであげたり、ママやパパも赤ちゃんもリラックスすることが大切です。きちんとお昼寝をさせると黄昏泣きがおさまる傾向もあるようなので、規則正しい生活を心がけてみましょう。

黄昏泣きの場合は、何をしても泣きやむことが少なく、無理に泣きやませようとすると逆に悪化することもあります。黄昏泣きの時期は、夕方までに家事を済ませたり、手を抜いたりするなど、割り切って生活してみましょう。

赤ちゃんが泣き続けると焦ってしまいそうですが「この時期は仕方がない」と考え、心に余裕を持って赤ちゃんと向きあうことが大切です。

生後5ヶ月~7ヶ月頃の赤ちゃんが奇声をあげる原因・対処法

いろいろな声を出せるのが楽しい

生後5ヶ月~7ヶ月頃の赤ちゃんは特に奇声を発する子どもが多いようです。このころの赤ちゃんは聴力や発語の力が発達してきて、自分の声が聞こえることが楽しくなる時期です。大きな声が出せること、いろいろな声が出せることが楽しくて奇声を発してしまいます。ニコニコ顔で手足を元気に動かし、奇声をあげて楽しく遊んでいるような感じです。

対処法

生後5ヶ月~7ヶ月頃の赤ちゃんは、まだママやパパの言うことを理解するのが難しい時期です。しかし外出時など、公共の場所にいるときには大きな声を出すことは良くないことを徐々に教える必要があります。5~7ヶ月頃の赤ちゃんのうちから、根気良く教えることで、静かにしなければいけない場所があることを少しずつ学んでくれます。

静かにしてほしいときに、人差し指を口元に当てて「シー」というポーズを地道に続けてみましょう。5ヶ月~7ヶ月頃の赤ちゃんが笑顔で奇声をあげているときは楽しんでいることが多いため、家の中にいるときは思いっきり楽しませてあげましょう。

ママやパパも赤ちゃんが出した声を真似してみるのも良いですね。声かけをしながら一緒に遊んであげると、スキンシップもとれるのでおすすめです。

生後8ヶ月~10ヶ月頃の赤ちゃんが奇声をあげる原因・対処法

思い通りにならないとき

生後8ヶ月~10ヶ月頃の赤ちゃんは段々と自我が芽生えてきます。「おもちゃでもっと遊びたいのに、お風呂なんて入りたくない」「歯磨きしたくない」など、自分の思い通りにならないときに奇声をあげて訴えている場合があります。

対処法

生後8ヶ月~10ヶ月頃の赤ちゃんの奇声は、自我が芽生えてきたことによるものが多いので、とても喜ばしいことです。奇声をあげたことに対して、大声で叱りつけるのではなく、どうして大声を出してはいけないのかを伝えるようにしましょう。

「シー」というポーズをして「大きな声出すと、ママの耳が痛いよ」「みんながいるところでは静かにしようね」など具体的に説明すると理解しやすいです。また公共の場所に行くときには、家を出る前に「これから〇〇に行くから大きな声を出してはいけないよ」と声をかけておくのも効果的です。

2歳頃の子どもが奇声をあげる原因・対処法

注目してほしい

2歳頃の子どもが奇声をあげる原因は、注目してほしいことが多いようです。絵が上手に描けたとき、ボールを投げるときなど、自分のことを見て、ほめてほしいという気持ちから奇声を発します。

対処法

注目してほしくて奇声をあげている場合は、日ごろから「いつも見てくれている」という気持ちにさせてあげることが大切です。しかしママやパパは家事もしなくてはなりません。ずっと注目してあげることは困難なので「今からご飯作るから、ちょっと待っていてね」と声かけをしておくと子どもも理解しやすいでしょう。

家事が終わったあとは待っていたことをほめてあげて、一緒に遊んであげましょう。同じ時間帯に同じことを行うことで、子どもも段々と「この時間はママが遊べない時間だ」ということがわかるようになってきます。遊んであげられないときと、遊んであげられるときのメリハリをつけましょう。

子どもとの関わり方を見直すと「自分は愛されている」と安心感を与えてあげられるので、「注目してほしい」ときの奇声も減ってくるでしょう。

赤ちゃんの奇声に関する先輩ママの体験談

筆者の上の子はキーキーいうタイプではなかったのですが、下の子は1歳前後の奇声がすごかったです。電車もバスもダメ、スーパーやレストランもダメで、5分もたたないうちに叫び続け、出かけるたびに疲労困憊したものです。

一時はそれがストレスで極力出かけないようにしていたのですが、乳幼児健診で相談したところ「慣れさせることも大事」とアドバイスされました。

初めは周囲の目が気になって1駅ごとに降りていましたが、だんだん親子とも慣れることができました。必ずしも効果があるかはわかりませんが、「親子ともに落ち着く練習をする」といったことも大切なのかもしれません。ぜひ参考にしてみてくださいね。

赤ちゃんの奇声は順調に成長している証拠

赤ちゃんや子どもの奇声はママやパパを悩ませるものですが、順調に成長している証です。大きな声が出せるようになった、自我が芽生えてきた、できるようになったことを見てほしいなど、赤ちゃんや子どもの奇声の原因にはさまざまな理由があります。その原因を知り、対処していくことが大切です。

突然発せられる奇声に戸惑うこともあるでしょう。しかし赤ちゃんや子どもの奇声はずっと続くわけではありません。成長過程のひとつとして大きな心でとらえ、一時期の奇声と楽しくつきあってみましょう。

※この記事は2024年9月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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