当て字の名前の新基準!法律で禁止されていることは?どこまでOK?ダメな例と使える漢字・名前一覧を紹介
当て字の名付けとは、漢字の読みや響きだけを借りて名前に当てはめたものや、反対に漢字が持つ意味に合わせて、変わった読み方をさせる名付けの方法を指します。名前に当て字を使うときに、ルールや禁止事項はあるのでしょうか。男の子や女の子に人気の名前で、おすすめの当て字を紹介します。
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目次
当て字とは?
当て字のパターン
当て字とは、漢字の本来の意味を離れ、読みや響きだけを借りて当てはめたものをいいます。本来は漢字が存在しない外来語に漢字を当てはめた「亜米利加(アメリカ)」「珈琲(コーヒー)」などは当て字です。政治家や文学者、蘭学者といった人たちが用いたことで、定着していったようですね。
また、漢字が持つ意味に合わせて、変わった読ませ方をするのも当て字の一種です。「生活(くらし)」や「紅葉(もみじ)」「秋桜(コスモス)」などがこの例に当てはまります。当て字は日本古来の文化のひとつともいえるでしょう。外国人の名前の当て字を教えてあげると喜ばれることもあります。
名付けで用いられる当て字とは?
子どもの名付けにも、当て字を用いるケースがあります。どこまでが当て字と考えるかは難しいかもしれません。たとえば「あゆみ」という名前に「歩」ではなく「亜由見」と一文字ずつ漢字を当てたら当て字とするのか、読むのが難解な漢字を当てたら当て字とするのか、人によって意見が分かれるところです。
ここでは、漢字の音訓の一部を使った名付けや、意味から漢字を当てはめた名前を紹介します。すでに名前の響きは決まっていて、当てはめる漢字に悩んでいる人は、指定されたひらがなに合う漢字を検索して、候補を見つけてくれるサイトを参考にしてみると良いでしょう。
当て字で名付けるときのポイント!ルールや禁止事項は?
名付けで使える漢字
日本の名付けにはいくつかのルールがあります。たとえば名前の漢字には、使ってよいものと、禁止されているものがあります。名前で使える漢字は「常用漢字」と定められた2136字(※1)と「人名用漢字」として認められた漢字のみ(※2)です。「薔薇(ばら)」や「棗(なつめ)」といった漢字を名付けに使いたくても、法律上使えないのです。(2025年6月現在)
読み方のルールに関する改正戸籍法が2025年5月に施行
名前には漢字だけでなく、カタカナやひらがなも使用可能です。しかし、ローマ字や他の文字で名前を付けることはできません。このように使える文字に制限があった一方で、読み方に関するルールは設けられていませんでした。しかし、2025年5月に改正戸籍法が施行され、読み方にも一定のルールが加えられています。
改正戸籍法では、戸籍に名前のフリガナを記載することが義務付けられます。フリガナとは、名前の読み方のことです。この改正により、フリガナについて「氏名として用いられる文字の読み方として一般に認められているものでなければならない」という規律が新たに設けられました(※3)。
読み方として認められる当て字・認められない当て字とは
改正戸籍法では、漢字とは反対の意味の読み方になるもの、読み違い・書き違いかどうか判然としないもの、明らかに異なる単語を付け加えるなどして漢字の意味や読み方と関連性がみとめられないものは読み方として認められません。たとえとして「高(ひくし)」、「太郎(ジョージ)」、「健(けんいちろう)」などが挙げられています。
「心愛(ここあ)」のように漢字の一部を読むもの、「飛鳥(あすか)」のように熟語として読めるもの、「美空(そら)」のように置き字を使ったものは読み方として認められます。
読み方に一定のルールはあるものの、常識に照らし合わせた範囲であれば、名づけに当て字を用いても認められるケースが大半でしょう。一方で、これまで認められていたものの今後は認められないというケースも出てくるかもしれません。当て字で名前を考えるときは、この点に注意が必要です。
まわりの人が困らない読み方にする
改正戸籍法では、「差別的・卑わい・反社会的な読み方など、社会通念上相当とはいえないもの」も読み方として認められないとしています。具体的な事例は示されていませんが、マイナスの意味を持つ読み方や漢字は避けたいところです。
たとえば「おわる」「やみ」「やまい」「おそれ」などの読み方は使わないほうが良いでしょう。漢字の形がかっこいいから、読みが適しているからという理由で、無理にマイナスの意味を持つ漢字を当てはめないことが大切です。たとえば「鬱」や「狂」「変」などは、響きがあっていてもおすすめできません。
画数が多過ぎる漢字や一般的に使われていない漢字も、子どもが書くときに大変かもしれません。当て字を使うのであれば、意味がわかりやすく、覚えやすいものがベターですよ。
男の子の当て字の名前一覧
読み方 | 名前例 | 名前例 | 名前例 |
---|---|---|---|
はると | 陽音 | 晴 | 波瑠人 |
りく | 凌久 | 涼玖 | 琉空 |
そうた | 奏尊 | 蒼詩 | 颯宇太 |
せな | 星七 | 千成 | 正直 |
いつき | 一樹 | 伊月 | 壱希 |
「はると」「りく」「そうた」などの名前の読みは、明治安田生命の男の子名付けランキング(2024)の上位です。当てはめられる漢字が多いため、個性的な名前にすることも可能です。
たとえば「はると」は漢字一文字の「晴」としたり、音の響きから「波瑠人」としたりする名付け例があります。「りく」は「陸」の漢字が人気ですが、あえて「凌久」「涼玖」のように響き重視の漢字を当てる方法もあります。
名前に数字を入れるのも、テクニックのひとつです。「六」は「りく」や「む」などに当てはめることができます。「一」も名付けに人気の漢字ですね。それだけで「はじめ」と読むことができますが、「一番」「一位」「一等」などで「はじめ」と読ませる名付けもあるようです。
女の子の当て字の名前一覧
読み方 | 名前例 | 名前例 | 名前例 |
---|---|---|---|
つむぎ | 月紬 | 紬凪 | 紡希 |
えま | 咲愛 | 衣舞 | 笑茉 |
さな | 颯夏 | 咲花 | 桜奈 |
みお | 心桜 | 実想 | 望緒 |
さくら | 桜愛 | 咲春 | 沙久来 |
明治安田生命の名前読み方ランキング(2024)によると、女の子で人気なのは「つむぎ」「えま」「さな」「さくら」などです。とくに「さくら」は、日本が誇る花の名前であり、日本人らしさと愛らしさを兼ね備えていることから、長年名前ランキングの上位にあります。
おなじ「さくら」という響きでも、独自の漢字を当てはめることでアイデンティティーが出ますよね。「春」や「咲」という漢字を使って桜を表現する名付け方法もあります。「愛」のように「あ」「ま」「い」「な」など、読みの一部が使いやすい漢字は当て字の名付けでよく登場します。
聞き慣れた響きの名前でも、漢字によっては新しいイメージの名前となります。気になる響きの名前一覧を作り、それぞれ当て字を検討してみても良いですね。意味を重視するのか、読みを重視するのか、どちらもバランス良く入れるのか、夫婦でよく話し合ってみましょう。
当て字の名前に関する体験談
子どもの名前は、まずは読みから決まったので、後から漢字を当てはめていきました。響きを重視しつつ、三文字で、意味もそれなりに伝わるようなものを探していきました。途中で迷ったのは漢字の読みの切り方です。
たとえば「悠」や「優」を「ゆ」と読ませてもいいのか、「愛」や「藍」を「あ」と読ませてもいいのかどうかを悩みました。結局、多くの人がスムーズに読めるのであれば、読みをある程度切っても問題ないと自分で納得しました。しかし、人によっては違和感を覚えることもあるようです。
当て字で個性的な名付けに
当て字とは、漢字が持っている意味とは関係なく、読みや響きを借りて名前に当てはめたり、反対に漢字が持つ意味に独創的な読みを当てはめたりすることです。子どもの名付けで当て字を使う人もいます。
よく聞くような響きの名前でも、当て字を使うことで個性的に感じることがありますね。名前の読みにルールはありませんが、できるだけ周りが混乱しない読み方であることが基本です。子どもがずっと笑顔でいられるような、素敵な名付けができると良いですね。
※この記事は2025年6月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。