赤ちゃん・子どもの指しゃぶりの原因は?いつから始まる?やめさせ方や防止方法は?【歯科医・助産師監修】
「指しゃぶりはいつから始まるのか」「指しゃぶりの防止方法を知りたい」といった疑問を持つパパやママは多いでしょう。指しゃぶりの原因や理由はさまざまで、必ずしもやめさせなければいけないものではありません。ここでは、指しゃぶりの基本的な情報とともに、いつからやめさせるべきか、おすすめのやめさせ方を紹介します。
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この記事の監修
目次
赤ちゃんの指しゃぶりはいつからいつまで?
一般的には生後2~3ヶ月頃から指しゃぶりが始まる
赤ちゃんの指しゃぶりはいつから始まるのでしょうか。一般的には、生後2ヶ月頃から指しゃぶりを始める赤ちゃんが多くみられます。新生児から指しゃぶりを始める赤ちゃんもいます。いずれにしても新生児~生後3ヶ月頃までの指しゃぶりは、げんこつであったり4本指であったりし、特定の指でないことも多いです。
新生児~生後3ヶ月頃までの指しゃぶりは生理的なものであるため、やめさせる必要はまったくありません。手を清潔に保ち、口の中をケガしないように爪を切っておくようにしましょう。
2~3歳頃までに指しゃぶりをやめる子どもが多い
指しゃぶりは、生後2ヶ月頃からほとんどの赤ちゃんにみられますが、1歳を過ぎると徐々にやめるようになります。厚生労働省の統計資料によると、1歳半で指しゃぶりをしている子どもは全体の30%、3歳では20%、5歳では10%です。(※1)
1歳を過ぎると、おもちゃで遊んだり保育園でお友だちと遊んだり、充実した時間を過ごす中で、成長とともに自然と指しゃぶりをすることは減ると考えられています。2~3歳頃には指しゃぶりをする子どもの数がさらに減少します。
ただし、日中はほとんど指しゃぶりをしない子どもであっても、眠い、お腹が空いた、緊張している、といったことを理由に指しゃぶりをすることがあります。
赤ちゃん・子どもが指しゃぶりをする原因は?
赤ちゃんや子どもはなぜ指しゃぶりをするのでしょうか。指しゃぶりの原因や理由について説明します。
探索(たんさく)反射・吸綴(きゅうてつ)反射
新生児~生後2ヶ月頃にみられる指しゃぶりやこぶししゃぶりは、探索(たんさく)反射と吸綴(きゅうてつ)反射という、新生児の頃から備わっている反射行動が原因です。
・探索反射
口の周りに物が触れると口を開けてくわえようとする
・吸綴反射
口に入ったものを吸う
生まれてすぐの新生児がママのおっぱいやミルクを上手に飲めるのは、探索反射と吸綴反射があるからです。探索反射と吸綴反射により、たまたま口の近くに来た自分の手や指を口に含んで吸うことで指しゃぶりとなります。生後2ヶ月を過ぎると少しずつ自分の手を認識できるようになり、自分の意志でこぶしや指を口に運ぶことができるようになります。
眠たい・お腹が空いた
普段あまり指しゃぶりをしない子でも、眠たいときやお腹が空いたときに指しゃぶりをすることがあります。限られた場面で指しゃぶりの癖が出ることは自然なことなので、あまり気にする必要はありません。言葉が話せるようになり、自分の欲求を伝えられるようになると指しゃぶりをしなくなることがあります。
好奇心
新生児の赤ちゃんは、たとえ指しゃぶりをしていても、それが自分の手や指であると気づいていません。しかし、次第に手や指が自分のものだとわかると、手を不思議そうにじっと見つめたり(ハンドリガード)、動かしたりして遊ぶようになります。
自分の興味があるものは何でも口に入れ、それが何であるか確認しようとします。さらにはちゅぱちゅぱと音を立てて指しゃぶりをするようになります。これは、赤ちゃんの好奇心や興味が芽生えてきた証拠といえるでしょう。
このとき、実は脳の中ではすごいことが起こっています。指をしゃぶると、舌や唇で指をしゃぶっている感覚があります。指の方は、しゃぶられている感覚があります。この2つの感覚は、脳の頭頂葉というところの違う場所で感じています。脳の違う場所で刺激を受けると、「指をしゃぶるとこうなる」と、脳の中で連携ができ、その動作や感覚を統合するのです。大人にとって、「手を見て、手を動かして、指をしゃぶること」は、何でもないことのように思いますが、赤ちゃんにとっては画期的な活動で、学習の一つなのです。
歯が生えてきている
歯が生え始める生後7~8ヶ月頃になると、歯茎がむずがゆく感じるため、今まで以上に指しゃぶりの頻度が増えることがあります。歯茎で噛んでしまうことがあるため、長時間にわたって指しゃぶりをすると、皮膚が傷つく原因になります。けがを防止するためにも、歯がため用のおもちゃやおしゃぶりを用意してあげましょう。
精神的に安心する
指しゃぶりによってリラックスしたり安心したりする子どもは少なくありません。たとえば、ママが席を外して姿が見えなくなったときや、知らない場所にきて落ち着かないとき、下のきょうだいが生まれて自分を取り巻く環境が変わったときなどに、心を落ち着かせるために指しゃぶりをすることがあります。
「愛情不足が原因なのでは」と心配するママもいますが、必ずしもそうとは限りません。ただし、スキンシップを多めにとることで指しゃぶりが和らぐ可能性もあるので、一度試してみてはいかがでしょうか。
癖になっている
赤ちゃんのころに始まった指しゃぶりをやめるきっかけがなく、そのまま癖になっているケースがあります。家族やお友だちとの関係性では特に問題がなく、本人も元気にしていればあまり気にする必要がありません。しかし、長く続くと歯並びに影響してしまうため、早めに卒業させると良いでしょう。
指しゃぶりは防止したほうが良いの?
赤ちゃんがちゅぱちゅぱと音を立てて指しゃぶりをしていると、「いつまで指しゃぶりをしているのだろう」「歯並びに影響するのでは」と心配になるママは少なくありません。では、指しゃぶりはいつからやめさせれば良いのでしょうか。
新生児から1歳頃までの指しゃぶりは正常な発達の過程なので、心配する必要はありません。2~3歳頃の指しゃぶりも歯並びに影響することはないでしょう。指しゃぶりによって精神的なリラックスを得ていることが多く、無理にやめさせるとかえって指しゃぶりに固執する可能性があるため、あまり気にしないほうが良いでしょう。
しかし、4~5歳頃になると指しゃぶりが歯並びや噛みあわせに影響すると考えられています。日本小児歯科医師学会は、指しゃぶりを続ければ続けるほど、歯並びや噛みあわせに悪影響があると指摘しています(※2)。ちなみに、同報告書には、指しゃぶりほどではありませんが、おしゃぶりも噛みあわせに影響があると述べられています。
歯並びや噛みあわせの悪化は、見た目に影響が出るだけでなく、食事、発声、呼吸など、日常生活にも大きなデメリットをもたらします。4~5歳頃を目安に、指しゃぶりを防止する方法や、やめさせる方法を試してみることをおすすめします。
指しゃぶりのやめさせ方・防止方法は?
ここでは指しゃぶりのやめさせ方や防止方法をご紹介します。子どもの年齢や指しゃぶりの状況に応じて、良い方法を取り入れてみてはいかがでしょうか。
指しゃぶりを自然と忘れる環境を作る
指しゃぶりの防止方法のひとつは、指しゃぶりをせずに済むような環境を整えてあげることです。たとえば、退屈しているときに指しゃぶりをする子どもには、子どもが集中して遊べるおもちゃを用意する、両方の手に物を持たせる、といったやめさせ方が適しています。
1歳を過ぎて歩行ができるようであれば、公園などに出かけて多くの刺激を与えるのも良いでしょう。空腹時の指しゃぶりをやめさせるには、なるべく早めに食事を与えたり、腹持ちが良いおやつを与えたり、あるいは飲み物で紛らわしたりするといった方法があります。
眠いときに指しゃぶりをする場合は、パパやママが手をつないで寝かしつけてあげてみてください。手をつなぐことはスキンシップにもなりますよ。
絆創膏やテーピングを利用する
指しゃぶりのやめさせ方として、しゃぶってしまう指に絆創膏やテーピングをします。絆創膏やテーピングをした指をしゃぶると、いつもとは違う感じを不快に思い、指しゃぶりを止める子どももいるようです。お気に入りのキャラクターの絆創膏を貼って「痛がるかもしれないから指しゃぶりを止めようね」と声をかけるのも効果が得やすいのではないでしょうか。
指に苦い味をつける
指に苦い味をつけることで指しゃぶりを防止するやめさせ方です。子どもの口に入っても問題ないものを使用しましょう。市販の商品を使うと便利です。
「チュチュベビー バイバイスキンクリーム」は指しゃぶりの癖を防止する、苦みがあるベビークリームです。保湿成分であるグリセリンと肌を整える成分のスクワランが配合されているので、指しゃぶりで荒れてしまった手や指のスキンケアにも良いでしょう。食品原料99%以上なので口に入っても安心ですね。
指しゃぶりや爪噛みの癖を何とか防止したいときにおすすめのマニキュアです。日本製でオーガニックな植物由来の成分を配合しています。強制的なやめさせ方ですが、その分高い効果が期待できるでしょう。
指しゃぶり矯正手袋を使ってみる
指しゃぶりを防止するための矯正手袋を使用するやめさせ方です。手袋やミトンでも代用できますが、市販の商品を使うと便利です。
指しゃぶりを止めさせたいママがいろいろと試み、失敗を重ねながら思考錯誤の末に作り上げた指しゃぶり防止用の手袋です。こちらの手袋には、赤ちゃんの肌にやさしい生地が使われています。布製なので洗濯でき、衛生的です。
使い始めは手袋に慣れずに嫌がるかもしれません。どうしても手袋をはめてくれない場合は寝ているときに付け、少しずつ慣らしてみましょう。
パパやママが温かく見守ってあげよう
パパやママが指しゃぶりに神経質になり、指しゃぶりをきつく叱ったり無理にやめさせたりすると、子どもが深く傷ついてしまうことがあります。3歳頃までの指しゃぶりはあまり気にせず、子どもの癖のひとつとして考えておきましょう。
4歳以降の指しゃぶりは歯並びに影響することが心配されます。子どもの目線に立って「なぜ指しゃぶりがいけないか」を説明し、指しゃぶりを納得してやめられるようにサポートしてあげましょう。
子どもは指しゃぶりの習慣をやめることを不安に感じるものです。時間がかかるかもしれませんが、温かく見守ってあげてくださいね。
※この記事は2022年7月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。