羊水検査で何がわかる?時期と費用、リスクとは

羊水検査と聞いたことがあっても、実際にどんなことをして何がわかり、どのくらいの費用がかかるのか知らない人もいるのではないでしょうか。ここでは、羊水検査の方法や、検査によってわかること、気になる費用について解説します。

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この記事の監修

杉山 太朗
産婦人科医
杉山 太朗

目次

  1. 羊水検査とは
  2. 羊水検査の流れ
  3. 羊水検査で何がわかるの?
  4. 羊水検査を受ける時期
  5. 羊水検査の費用
  6. 羊水検査のリスク
  7. 検査には、メリット・デメリットがあることを忘れずに!
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羊水検査とは

「羊水検査」とは妊娠中にお腹の中の羊水を採取する「出生前診断」のひとつです。羊水検査の精度はほぼ100%といわれ、「確定診断」として検査されます。

胎児は、お母さんのお腹の中で羊水に包まれて大きくなります。羊水には胎児の細胞が含まれているので、羊水を調べることで胎児の染色体について調べることができます。羊水を採取するために針を使用するので、検査を行っても大丈夫なのか不安な妊婦さんもいるでしょう。羊水検査は、全ての妊婦さんが必ず行わないといけない検査ではありません。

羊水検査の流れ

羊水の採取

エコーを使用して胎児の状態を確認しながら、妊婦さんのお腹に細い針を刺して羊水を採取(約20mL)します。穿刺針(せんししん)を刺す場所は、だいたいお臍の下あたりです。ほとんどの場合は、1回だけ穿刺(せんし)が行われます。羊水を採取する時間は短く、15~20秒くらいです。

採取後はエコーで胎児を確認して約30分間は安静にし、最後にもう一度エコーで異常がないか確認したら検査が終わります。病院によって多少は違いますが、検査にかかる時間は約1時間です。感染予防として、3日間程度の内服薬(抗生物質、子宮収縮抑制の薬)が処方されます。

赤ちゃんの細胞の培養

お腹から摂取した羊水を培養します。これは、胎児の細胞を増やすということです。

FISH法による検査

「FISH法」は細胞を培養せずに行うため、短期間(4~5日)で結果が出ます。一般的には染色体「13番、18番、21番」と「X・Y染色体」の異常を調べますが、FISH法だけではわからないこともあるので、最終診断は細胞培養をして「G-hand法」で判断することが一般的です。

G-hand法による検査

G-hand法による検査は、FISH法より時間はかかりますが、染色体「1~22番」と「X・Y染色体」の数や構造の異常なども判定することができます。

羊水検査で何がわかるの?

赤ちゃんの染色体の数と構造と異常

お腹の赤ちゃんの染色体の数と、構造の異常があるかどうかがわかります。

■染色体の数の異常
・21トリソミー(ダウン症)
・18トリソミー
・13トリソミー
・ターナー症候群
・クラインフェルター症候群  など

■構造の異常
・転座
・欠失  など

開放性神経管奇形の有無

開放性二分脊椎や無脳症などがわかります。

羊水検査を受ける時期

羊水検査は妊娠中ならいつでも受けてよいというわけではありません。羊水検査を受けるのに適している時期は、妊娠15~18週のようです。これは、羊水の量が比較的多く、胎児が小さいため、検査で針によって傷つけるリスクが少ないからです。検査時期が限られているので、羊水検査を行うか迷っている方は、早めに医師に相談しましょう。

羊水検査の費用

羊水検査に興味はあっても、費用がわからずに迷っている人もいるでしょう。以下で、費用の目安を解説します。受診した医療機関によっても金額は異なるので、ご自身で羊水検査を行う病院に確認してみてくださいね。

6~15万円程度が目安

一般的に羊水検査を受けると、6~15万円くらいかかるようです。検査を行う病院によって費用は変わってきます。

入院になるかどうかで費用は変わる

羊水検査を行い母体や胎児に異常がない場合は、日帰りで行う事ができる検査となるでしょう。しかし、入院する場合は費用が変わります。

全額自己負担

羊水検査では、健康保険が適応されません。そのため、全額自己負担になります。

羊水検査のリスク

羊水検査は胎児や母体にとって「リスク」もあるようです。羊水検査を行うことにより考えられるリスクには、どのようなものがあるのでしょうか。

流産・死産の可能性がある

羊水検査後に流産になってしまう場合があるようです。確率は約0.1%~0.3%で、1,000人中、1~3人ということです。羊水検査は、割合的には稀ですが、流産や死産の可能性があるので、100%安全な検査ではないようです。

破水してしまうこともある

羊水検査後に破水や出血、下腹部痛などが起こる場合もあります。100人に1人程度の割合です。

全ての結果がわかるわけではない

羊水検査は必ず明確な検査結果が出るとは限りません。とても細かい異常や、モザイクと呼ばれる正常な遺伝子と異常な遺伝子が混在している胎児の異常は、発見できないこともあるからです。

細胞の培養がうまくいかないこともある

羊水が採取できたのに、細胞の培養がうまくいかない場合も、1,000人に15人くらいの割合(約1.5%)で発生するようです。

検査には、メリット・デメリットがあることを忘れずに!

羊水検査には、出産前に赤ちゃんの染色体の数や構造の異常を知ることができるメリットもあります。しかし、羊水検査を行うことによって流産や死産などのリスクもあるため、よく考えてから羊水検査をしましょう。赤ちゃんはパパとママの子どもなので、ひとりで決めるのではなく、パートナーや家族とよく相談してくださいね。

また、最近では高齢出産の妊婦が増加しているため、「クアトロテスト」という血液検査で、一部の染色体異常の確率を調べることができるようになりました。流産などの副作用は起こらない検査なので、心配な場合はこちらを検討しても良いかもしれません。

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