【産婦人科医監修】GBS検査の方法と時期は?陽性だとどうなる?赤ちゃんへの影響は?
出産が近くなると、妊婦さんは健診で「GBS検査」という検査をします。あまり聞きなれない言葉ですが、GBSとはいったいどのようなもので、GBS検査は妊娠何週にどのように行うものなのでしょうか。また、陽性の場合は赤ちゃんに影響があるのでしょうか。ここでは、妊娠中のGBS検査について、産婦人科医監修の記事で解説します。
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この記事の監修
目次
GBSとは?
「GBS」とはGroup B Streptococcusの略で、「B群溶血性連鎖球菌」の事です。感染症の原因菌としてはとても一般的なもので、健康な人であっても、GBSは消化管や皮膚に常に存在しています。免疫が低い時に感染をすると、咽頭炎や扁桃炎などをおこしますが、通常は菌を持っていても症状のない方がほとんどです。
GBS検査の結果はお産の進行や生後の赤ちゃんに影響が出てきますので、その意味をしっかり理解しておきましょう。
GBSは赤ちゃんに影響があるの?
妊婦さんの10〜15%が、腟にGBSを持っているといわれています。GBSを持っていても、妊娠中はママや赤ちゃんに影響はありません。しかし、GBSが陽性のまま出産した場合は、産道から赤ちゃんに感染する可能性があります。免疫力の弱い赤ちゃんが感染すると、GBS感染症といって肺炎や髄膜炎を起こす危険があります。赤ちゃんに発症すると急速に症状が悪化して、最悪の場合死に至る事もあります。
ただし、GBS陽性のママから産まれた赤ちゃん全てが、GBS感染症になるわけではありません。GBS陽性のママが出産し、赤ちゃんがGBS感染症を発症する確率は、1%前後と言われています。
GBS検査の方法と時期は?
産婦人科診療ガイドラインでは、妊娠33~37週の間に、腟の培養検査を行う事を推奨しています。妊娠後期になると、貧血などの血液検査と同じ時期にGBS検査を行う産院が多いようですね。GBS検査は、腟や肛門付近を検査用の綿棒で軽くこするだけなので、すぐに終わります。
GBS検査の結果は1週間程で分かりますが、医師によっては、GBSが陰性の場合は問題ないと判断して、あえて妊婦さんに伝えない事もあるようです。医師に特に何も言われない場合は、大丈夫だったと思ってください。気になる場合は、直接医師に結果を確認して下さいね。
また、以前出産した赤ちゃんがGBS感染症だった場合は、今回の妊娠でGBSが陰性だったとしても陽性扱いとするため、検査自体を省く場合もあります。
GBS検査が陽性だった場合はどうなる?
GBSが陽性の場合でも、出産中にきちんと対処をする事で赤ちゃんの感染リスクを下げる事ができます。具体的には、経腟分娩の陣痛が始まった場合、4時間毎に抗生剤の点滴をします。陣痛が始まる前に破水してしまった場合は、赤ちゃんへのGBS感染リスクが高くなる為、その時点から抗生剤の点滴が開始されます。GBSが陽性か陰性か分からない場合も、陽性と同様の対処を行います。
GBS陽性の方には必ず医師から治療についての説明があるはずなので、きちんと確認をするようにしましょう。
GBSは帝王切開の場合は関係がない?
帝王切開の場合は、赤ちゃんは産道を通ってGBSに感染するリスクがないので、GBSの治療を行う必要はありません。ただし、帝王切開であっても手術前に破水する可能性もあり、破水した場合は赤ちゃんへの感染リスクが高まるので、治療を行う必要があります。たとえ帝王切開の方であっても、妊娠後期にGBS検査を受けた方が良いでしょう。
GBSが陽性だとしても、出産時の適切な対処によって感染予防ができますので、GBS陽性だからといって帝王切開になることはありません。
GBSの結果は変動するって本当?
抗生剤でGBS感染が防げるのなら、妊娠初期や中期の段階で治療すればいいのでは?と思われる方もいるかもしれませんね。もちろん、抗生剤の投与で、GBSやその他の菌は減らす事ができます。しかし、何かのタイミングでGBS陽性と分かったとして、初期や中期に抗生剤の治療をして陰性になったとしても、妊娠後期には再び陽性となる事があります。前回の妊娠の時は陰性でも、今回は陽性という場合もあります。
GBSの結果はその時々のタイミングで変動しますので、どんな方であっても妊娠後期にはGBS検査を行い、そこでの結果をもとに治療を判断する必要があります。
まとめ
GBS陽性の場合の出産時の治療は医療機関で行うため、医療設備の整わない助産院では治療が難しくなります。もし助産院のお産を希望されていて、妊娠後期にGBS陽性となった場合は、お産の場所を変更する事があります。かかりつけの医師によく確認をしてください。
GBS検査が陽性になることは、決して珍しいことではありません。適切な処置をすれば赤ちゃんに影響はないため、心配しすぎる必要はありませんよ。しっかりと病院で検査を受け、出産に備えてくださいね。
※この記事は2022年5月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。