産婦人科の内診とは?器具や指を使う?痛い・恥ずかしい場合の対処法
産婦人科を受診すると、問診やエコー検査に加え、腟の中に指を入れる内診が行われることがあります。痛みや恥ずかしさから内診を苦手に感じる人は多いものですが、そもそも内診は、どのようなときに必要となるのでしょうか。不快さを軽減するための対策はあるのでしょうか。内診の内容や注意点を確認して、内診を乗り切りましょう。
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目次
産婦人科の内診とは?妊娠がわかる?
妊娠が疑われる場合
産婦人科を受診すると問診票が渡され、来院理由や最終月経開始日、生理周期、既往歴、生活習慣などを聞かれます。問診表の内容から妊娠が疑われると判断された場合は、医師による診察の前に尿検査や血圧、体重測定などが求められる場合もあります。
医師による診察では内科などほかの科目と同様に、全身の状態を観察します。その後、問診や尿検査の結果で妊娠が疑われる場合は、内診において分泌物の状態、骨盤内臓器の異常、疾患の有無を確認します。内診では子宮の大きさ、硬さ、位置を確認し、妊娠の継続に問題がないかをチェックします。内診によって妊娠していることそのものがわかるというよりは、正常な妊娠かどうかを確認するひとつの手段として内診を行うと考えるほうが適切かもしれません。
妊娠の初診時には、経腟によるエコー検査も行われます。子宮外妊娠や絨毛性疾患などの妊娠異常がないかを確認するためです。経腟エコーでは、妊娠週数や子宮内膜の状態もわかります。
妊娠している場合(妊婦健診)
妊娠中は、定期的に妊婦健診を受け、胎児の発育や妊娠の状態を確認するよう推奨されています。定期的に病院に通うとなると、妊婦健診の内診を受けるのはいつまでなのか、腹部エコー検査に切り替わるのはいつからなのか気になるかもしれません。
内診は、妊娠15週までの健診では毎回行われます(※1)。内診が行われるのは、炎症や出血の有無を確認するためです。子宮口や子宮頸管を直接触診することで、流産や早産の原因になり得る子宮頸管無力症の所見がないかもチェックできます。
妊娠5~9ヶ月の妊婦健診では、流産や早産の予兆がないか調べることを目的に内診が行われます。妊娠10ヶ月になると、子宮頸管の長さや胎児の頭の位置を確認し、分娩の準備を進めていきます。
妊婦健診で経腟エコーから腹部エコーに切り替わるタイミングは、病院によって異なります。しかし、胎児の発育が進む妊娠12週頃になると、胎児の大きさをはかる大腿骨長(FL)や児頭大横径(BPD:頭蓋骨の外側から反対側の頭蓋骨の内側までの距離)の測定が可能になるため、12週~16週頃に腹部エコーによる検査が始まるのが一般的です。
生理不順やひどい生理痛がある場合
生理の間隔が長い・短い、生理の期間が長い・短い、経血量が多い・少ない、半年以上生理が来ないといった生理不順は、ホルモンバランスの異常が主な原因と考えられます。しかし、ごくまれに器質的な異常(子宮の病気など)が原因で、生理不順やひどい生理痛が起こることがあります。
代表的な器質性異常は、子宮内膜症、子宮筋腫、ポリープ、子宮がんなどです。内診ではしこりの有無や子宮の硬さを確認し、これらの異常がないかを調べることができます。
不正出血や下腹部痛がある場合
不正出血(生理以外の性器からの出血)や下腹部痛があるときに、原因を探るために内診を行うことがあります。生理前の症状である場合やホルモンバランスの乱れによる場合など、大きな異常ではないことも多いですが、子宮頸がんや子宮頸管ポリープ、子宮体がん、チョコレート嚢胞、腟部の炎症・ただれ、細菌感染などが原因となる場合もあるためです。必要に応じ、柔らかい綿棒などで子宮頸部の細胞をこすり取り、細胞診を行います。
とくに卵巣は、症状があらわれるのに時間がかかる臓器です。卵巣に由来する不正出血や下腹部痛があるときは、症状が進行していることも珍しくありません。たとえ少量の出血でもなるべく早く医療機関を受診し、医師の診察を受けるようにしましょう。
器具と指を使う?内診の方法・内容
内診を行う際は、下着を外した状態で内診台にあがります。内診台にあがると、看護師が内診台を操作しシートが倒されます。それと同時に足が開き、医師が腟や子宮を観察しやすい状態となります。
内診ではまず、腟鏡(ちつきょう)を使った腟鏡診が行われます。腟鏡は「クスコ式腟鏡」が使われるのが一般的です。クスコ式腟鏡は、腟腔内に挿入する医療器具で、鳥のくちばしのような形をしています。閉じた状態で腟に挿入し、子宮まで達したら開いた状態で固定し、腟壁や腟円蓋、子宮腟部を観察します。
続いて腟鏡を抜き、指による内診が行われます。腟口から挿入した指を腟壁に沿って回旋させながら、ゆっくりと触診していきます。内部の触診が一通り終わったら、両手を使った診察が行われます。
内診している指で内部から子宮頸部を押し上げ、もう一方の手で外から下腹部を軽く押し下げます。こうして子宮体部を2本の手で挟むようにして、子宮の可動性や圧痛の有無などを確認していきます。内診では器具を温めたり、滅菌水で指の滑りを良くしたりして、極力苦痛を感じさせない方法がとられています。
産婦人科の内診は痛い?出血する?
産婦人科の内診に対する痛みの感じ方は個人差が大きいものですが、医師の内診を怖いと感じたり苦手に感じたりすると、痛みを強く感じる傾向にあるようです。また、医師の力加減でも痛みの具体は左右されるため、ある医院では痛みを感じなくてもほかの医院では「痛かった」というケースも見受けられます。
炎症や発熱などで免疫が低下しているときや、細胞診を行った場合は痛みを感じやすいものです。内診の際はできるだけリラックスを心がけ、検査後の出血に備えておりものシートやナプキンを持参すると安心です。
産婦人科の内診、料金はどれくらい?
産婦人科にかかる費用は、病院や診察の内容、初診・再診で異なります。子宮がん検診や妊婦健診は保険が適用されないため、自己負担での診察となり1回あたり4,000~10,000円程の費用がかかります。住んでいる市区町村からの助成が受けることができれば、自己負担は1,000~2,000円前後となるのが相場です。
最近では子宮頸がんとマンモグラフィ、内診、エコー検査、主な感染症検査をセットにした「ブライダルチェック」や「婦人科ドック」行う施設が増えています。検査は自費で行うもので、セット料金で15,000~30,000円ほどに設定されています。費用や検査内容について心配なことがあれば、診察を受ける前に検査の内容や費用について、あらかじめ確認しておくと良いかもしれません。
内診時の服装は?靴下も脱ぐ?
内診時の服装に決まりはありませんが、内診台には下着を脱いであがります。脱ぎ着しやすい服装で出かけると良いでしょう。靴下は脱ぐ必要はありませんが、パンツスタイルで出かけたときに、靴下だけ着用している状態に違和感を覚え、靴下も一緒に脱ぐケースは多いようです。
盲点となりやすいのが、靴です。下着を外すときは靴を脱ぐため、ひも靴やブーツだと脱ぎ履きに時間がかかってしまいます。普段から使い慣れている楽な靴を選びましょう。また、身体を締め付けるガードル、ストッキング、タイツ、スキニーパンツ、タイトスカートも避けたほうが良いかもしれませんね。
産婦人科の内診は生理中でも可能?
一般的な子宮がん検診の案内に、「生理中の受診は避けてください」と書かれているのを見たことがある人もいるのではないでしょうか。内診は、できるだけ生理中を避けて受診するようにしましょう。検査の目的によっては腟や子宮頸管の分泌物を採取することがあり、血液が混ざると正確な検査結果を得にくくなる可能性があるためです。内診以外に尿検査も同時に予定されている場合には、尿検査そのものを行えないこともあるでしょう。
ただ、生理周期が安定していない場合や、予想外の不正出血が起こった場合など、病院に予約していた日にたまたま出血が始まってしまうこともあるでしょう。そのようなときは、まずは病院に相談してみましょう。検査の目的によっては出血していても内診を行える場合がありますし、内診が行えなかったとしても、問診や他の検査を行える場合があります。またその出血自体が病気の兆候というケースも考えられるため、病院に行ってみることで何かがわかるかもしれませんよ。
内診が恥ずかしい!苦手な場合の対処法
診察時に顔を合わせる医師に対して、足を開いた状態になるのは勇気がいるものですね。しかし、内診台と医師のあいだはカーテンで仕切られていることが多く、内診中は直接顔を見合わせることはありません。
医師の存在を意識せず、できるだけ身体の力を抜いて診察に臨みましょう。産婦人科に出かけるときの服装をスカートにすれば、内診時は下着を外すだけでよく、下半身を露出するストレスが軽減されるかもしれません。
また、外出前に下着を新しいものに着替え、シャワーで腟の周辺を清潔にしておくことも、気持ちを軽くしてくれますよ。ただし、腟の中を頻繁にビデで洗浄したり、石けんで何度もごしごしと洗ったりするのは良くないといわれています。腟内のバランスがくずれてしまい、抵抗力を弱めてしまうことにつながる可能性があるためです。また、分泌液が洗い流され、正常な検査結果が得られない可能性もあるので注意しましょう。
産婦人科の内診、夫の見学はあり?
妊婦健診では、エコー検査で赤ちゃんが動いている様子を見ることができます。そのため夫が妻の健診に付き添い、夫婦ふたりで受診したいと希望する声は少なくありません。
ただし、診察室内に夫が付き添えるかどうかは、病院ごとに対応が異なります。内診や経腟エコーの際には、男性に席を外してもらうという病院もあるため、付き添い可能な内容について、あらかじめ確認しておくと良いでしょう。
また、医師とはいえ、別の男性が妻を診察することに夫が抵抗を感じることもあるようです。逆に女性側が、「旦那に内診中の様子を見られたくない」と考えることもあるかもしれません。内診に立ち会う際には、どこまで付き添うか夫婦で意識のすり合わせをしておきましょう。
妊娠後期の内診ぐりぐりはいつから?
「内診ぐりぐり」とは、出産予定日の前後に行われる陣痛誘発法で、正式には「卵膜剥離」と呼ばれます。卵膜剥離は内診の際に医師か助産師が行います。指で円を描くように、子宮頸部に付着した卵膜をはがしていきます。
日本助産学会がまとめた「エビデンスに基づく助産ガイドライン―妊娠期・分娩期2016(※2)」では、イギリスのNational Institute for Health and Clinical Excellence(NICE)が発表する「分娩誘発ガイドライン」に基づき、妊娠40週以降の妊婦に対し、薬剤による誘発を行う前に卵膜剥離を行うことを推奨しています。
臨月に入ると「内診ぐりぐり」を実施する病院もあり、いつから始めるかは病院の方針で決められています。
リラックスできる方法をみつけて内診に臨もう
内診を苦手に感じたり、嫌だと思ったりするのはごく自然な気持ちの流れです。しかし、その思いが強くなりすぎると、身体の異変や違和感を覚えても、病院へ行こうという気持ちが揺らいでしまうかもしれません。
内診は、身体の内側に直接触れて内部を観察できるすぐれた診察法です。どうしても苦手意識が消えないときは、女医がいる病院を探すのもひとつの選択肢です。内診を嫌って診察が遅れることのないように、怖さや恥ずかしさを乗り越える方法を見つけていきたいですね。