妊婦中の歯科治療はいつからいつまで?歯医者に行く前に知っておきたい治療時の注意点

歯はできれば妊娠前に治療を済ませておきたいと考える方も多いでしょう。妊娠中は虫歯や歯周病になるリスクが高いのかも気になりますよね。また、妊娠中に虫歯になったという方も少なくないようです。ここでは、妊娠中でも歯科治療が可能かどうか、歯医者へ行く時期や注意点、妊娠中の口内環境などについて解説します。

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この記事の監修

雨森 洋貴
歯科医
雨森 洋貴

目次

  1. 妊婦が歯科治療する時期はいつが良い?
  2. 妊娠中の歯科治療の注意点
  3. 妊娠中の口内環境
  4. 妊娠中の歯周病は注意が必要?
  5. 妊婦の治療の際の注意点
  6. 妊婦に注意が必要な治療
  7. 妊娠前や次の妊娠までにしておきたいこと
  8. 妊娠中の歯科治療に関する筆者の体験談
  9. 歯の痛みは我慢せず医師に相談しよう
  10. あわせて読みたい

妊婦が歯科治療する時期はいつが良い?

できれば妊娠前に歯科治療を済ませておく

妊娠中は、前期・中期・後期のどの時期でも歯科治療に気をつかいます。まだ妊娠しておらず今後妊娠を希望している場合、できるだけ妊娠前に歯科治療を済ませておくと良いでしょう。普段から定期的に歯医者へ通い、メンテナンスをしておくことが望ましいといえます。

妊娠中でも歯科治療は可能

妊娠中でも虫歯や歯周病で痛みが強かったり出血したりと緊急に歯科医に診察してもらいたい場合は、体調が良い日に診察に行くことは可能です。妊娠期間中に歯科治療に通ってはいけないということはありません。妊娠中であっても、少しでも歯の痛みがあれば歯科医に相談するのをおすすめします。

しかし、妊娠中は体調の変化が妊娠していないときに比べて大きいため、体調の良い日を選んで受診したり予約したりすると良いでしょう。

妊娠中の歯科治療の注意点

妊娠初期(1、2、3、4ヶ月)の注意

妊娠初期はつわりなどで体調がすぐれず、口内ケアが後回しになる妊婦さんも少なくありません。切迫流産も起こりやすい時期なので、歯科治療はなるべく控えたほうが良いとされています。しかし、歯や歯茎に我慢できないような痛みがある場合は、必ず受診するようにしましょう。医師の診断に従いながら、主に安定期になってから治療するのが望ましいといえます。

妊娠中期(5、6、7ヶ月)の注意

妊娠中期は安定期に入り、徐々につわりも軽減して体調が改善される方が多くなります。産婦人科医から安静が必要とされるなどの特別な診断がなければ、歯科治療を受けても問題ありません。安定期は体調が落ち着いていることが多く診察台で仰向けになっても苦しいと感じることが少ないため、歯科治療に最も適した時期ともいえるでしょう。

妊娠中期ごろであれば、麻酔が必要な虫歯治療や抜歯など、ほとんどの治療が可能です。

妊娠後期(8、9、10ヶ月、臨月)の注意

妊娠後期は徐々にお腹が大きくなり、診察台で仰向けになるとお腹が圧迫され身体に負担がかかるという方が増える時期です。歯科治療ができないというわけではありませんが、臨月になると前駆陣痛や陣痛が始まるなどの心配があります。そのため、妊娠後期の治療はなるべく避け、緊急の場合を除いて予防処置にとどめておくと良いでしょう。

しかし、どうしても痛みに耐えられない場合は、産婦人科医に相談した上で歯科治療を検討することをおすすめします。

妊娠中の口内環境

虫歯ができやすくなる

妊娠すると唾液の量が減り口の中が酸性に傾くため、虫歯ができやすくなるとされています。つわりや食生活の変化によって十分に歯磨きができない場合も多く、産後に歯科健診を受けて虫歯に気付いたという方も少なくありません。妊娠中も健康な口内環境を保つためにも、できるだけ定期健診に通うようにしましょう。

歯茎が腫れ出血しやすくなる

妊娠中の歯茎の腫れや出血は妊婦さんの約半数以上にみられ、主に妊娠中期ごろになる方が多いようです。これは、つわりの不快感によって歯磨きが十分にできないことが原因のひとつです。また、妊娠中に増える女性ホルモンの影響で歯周病の原因菌が増加し、歯茎が炎症しやすくなるとされています。

妊娠中の歯周病は注意が必要?

歯周病菌がお腹の赤ちゃんに感染する

歯周病も虫歯と同じで感染症の一種です。妊娠中のママに感染があると胎盤を通してお腹の赤ちゃんに感染することがあります。

虫歯だけではなく歯茎に違和感を覚えたら、できるだけ体調の良い日に歯科を受診すると良いでしょう。

重い歯周病は早産の原因になる可能性がある

重い歯周病になると、歯茎で起こった炎症性の物質が血液を通して徐々に全身に広がります。すると、子宮を収縮する物質の分泌がうながされ早産になるといわれています。1996年のJournal of Periodontologyに発表されたOffenbacherの研究によると、歯周病がみられた妊婦はそうでない妊婦に比べて早産になるリスクが高かったという報告があります。(※)

歯周病が強く見られると胎児の体重減少や死産などが起こるという報告もあるため、歯周病を軽く見ずに違和感を覚えたら産婦人科医に相談し、歯科を受診するようにしましょう。

妊婦の治療の際の注意点

産婦人科医に相談する

妊婦健診では定期的に妊娠中のママの身体や胎児の状態をチェックしています。歯科に通いたい場合は、通う時期などさまざまなアドバイスをもらうためにも、受診している産婦人科に相談してから歯科を受診するようにしましょう。

妊娠していることを歯科医に伝える

妊娠初期や妊娠中期は、見た目では妊娠しているかわからないことがほとんどです。虫歯治療のためにレントゲン写真の撮影や麻酔などの薬剤を使用することもあります。安全な歯科治療をするためにも、事前に妊娠していることを伝えるようにしましょう。

母子健康手帳を持参する

母子健康手帳には妊娠経過が記されているます。歯科医にも妊娠の週数や健康状態を把握してもらうためにも、母子手帳を持参すると治療の進行の目安となります。

体調の良い日に受診する

妊娠初期・妊娠後期は特に体調の変化が大きいものです。歯科に行く直前に気分が悪くなったら無理をせず、日にちを改めるのが望ましいでしょう。事前に妊娠していることを伝え、体調により予約の変更が可能かどうかを訪ねておくと安心です。

楽な姿勢で受診する

徐々にお腹が大きくなると、仰向けになることでお腹が圧迫され苦しいという方も少なくありません。歯科治療中に姿勢が苦しいと感じたら、我慢せずに歯科医に伝えましょう。

妊婦に注意が必要な治療

X線撮影(レントゲン)

歯科レントゲンは線量が少なく、妊娠中でも基本的に問題なく行えるとされています。より安心して検査ができるように、防護エプロンを着用し腹部を保護してX線撮影を受けるようにしましょう。

麻酔

一般的に歯科麻酔は局部麻酔です。通常量の使用では母子ともに影響はありません。

投薬(痛み止め、抗生物質)

原則として妊娠中の患者に投薬はしません。ただし痛みがひどく、その痛みを我慢することで胎児に悪影響を与えると判断された場合に、産婦人科の先生と相談した上で投薬することもあります。

妊娠前や次の妊娠までにしておきたいこと

クリーニング

定期的に健診を受けてクリーニングをしておくことで、歯周病や虫歯を防ぐことができます。妊娠している・していないに関わらず、定期的に通って口内の健康を保ちましょう。

親知らずの抜歯

親知らずの抜歯は、処置後に人によっては腫れや痛みが強く出ることがあります。その場合、抗生物質や痛み止めを長期間飲まなくてはいけないこともあるので、親知らずの抜歯は早めに歯科医に相談して治療の時期を決めましょう。

歯周外科手術 ・インプラント治療

歯周外科手術やインプラント治療などすぐに積極的に行わなくても良い処置は、妊娠期間外にすることが望ましいといえます。インプラントは腫れや痛みが少ない処置ですが、人によっては長期にわたって抗生物質を飲まなくてはいけないこともあります。急を要さない治療は妊娠中を避け、妊娠前に済ませておいたり産後の体調が整った時期から検討したりすると良いでしょう。

妊娠中の歯科治療に関する筆者の体験談

妊娠していることを告げてから歯科治療しました

妊娠中に歯の痛みがあり、安定期に歯科に通いました。あらかじめ妊娠していることは伝えていたので治療中の姿勢のことなど気遣ってもらうことができ、安心して治療に臨めました。親身になってくれる歯医者さんが見つかると良いですね。

歯の痛みは我慢せず医師に相談しよう

虫歯や歯周病などの影響で、少しでも痛みを感じたらすぐに産婦人科医や歯科に相談すると良いでしょう。また、虫歯にならないように丁寧な歯磨きなどで予防し、日ごろから定期健診に通って口内の健康を保つことが大切です。妊娠中でも痛みは我慢せず、適切な治療方法を産婦人科医や歯科医にたずねてくださいね。

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