赤ちゃんが咳き込む!夜寝ているときに苦しそうな場合の対処法|小児科医監修

小児科医監修|赤ちゃんが咳き込んで苦しそうにしていたり夜になると咳が出たりすると、すぐに病院に連れて行くべきか悩む場合もあるでしょう。咳には心配がいらないものもありますが、病気のサインであることも多いものです。ここでは赤ちゃんが夜に咳き込む理由や考えられる病気、咳き込むときの対処法や病院に連れて行く目安をお伝えします。

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この記事の監修

染谷 朋之介
小児科医
染谷 朋之介

目次

  1. 赤ちゃんは夜や寝ているときに咳き込みやすい!
  2. 赤ちゃんが咳き込む場合に注意が必要な病気
  3. 赤ちゃんが夜に咳き込む場合に受診する目安
  4. 赤ちゃんが咳き込んで夜苦しそうなときの対処法
  5. 慌てず冷静に判断しよう
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赤ちゃんは夜や寝ているときに咳き込みやすい!

「昼間は元気にしているのに、夜になると突然咳き込むようになる」という赤ちゃんは珍しくありません。赤ちゃんは病気でなくとも咳をすることがあります。たとえば、夜中の咳は自律神経によるものが多いでしょう。

自律神経には、次のふたつがあります。

・交感神経
主に日中に活発になるもので、闘争・緊張の役割がある

・副交感神経
主に夜に活発になるもので、リラックス・休息の役割がある

夜になると副交感神経が活発になるので、喉や気管支、鼻腔の緊張がほぐれやすくなります。そのため、少しの刺激でも咳や鼻水、鼻づまりが出てしまうことがあるのです。自律神経の働きによる咳は、ほとんど心配いりません。夜間の冷気を吸うことや、横になり鼻水が気管に流れること、寝る前の体温上昇も、赤ちゃんが咳き込むきっかけとなります。

赤ちゃんが咳き込む場合に注意が必要な病気

RSウイルス感染による細気管支炎

細気管支とは気管支の先端の最も細い部分です。細気管支に炎症が起こることを細気管支炎と呼び、赤ちゃんが咳き込む症状があらわれます。細気管支炎はRSウイルスが原因で発症することが多いでしょう。

症状:
最初は風邪のような症状がみられますが、その後激しい咳や喘鳴(ゼイゼイ・ヒューヒュー)をともなう呼吸をするようになります。重症になると胸やお腹のあたりがくぼんだり、発熱やチアノーゼ(顔色が悪く唇が紫色になる)が出たりし、対応が遅れると命に関わるおそれがあります。

治療:
赤ちゃんの場合は入院治療が必要なこともあり、入院した場合には酸素吸入や点滴により治療が行われます。重症の場合でも1週間程度で回復することが多いです。

肺炎

肺炎は、風邪が悪化し、病原体が肺に侵入して炎症を起こす病気です。原因となる病原体は3つに分類でき、それぞれ症状が異なります。どの種類の肺炎でも赤ちゃんがかかると咳き込む症状があらわれるため、注意が必要です。

・細菌性肺炎
原因:肺炎球菌、ブドウ球菌、インフルエンザ菌など
症状:発熱、激しい咳、呼吸困難、下痢、嘔吐、お腹がへこむ、など 
治療:赤ちゃんの場合は入院治療がすすめられることが多いです。抗生物質投与や酸素吸入などが行われます。胸膜に膿がたまった場合は長期入院になる可能性があります。

・ウイルス性肺炎 
原因:RSウイルス、アデノウイルス、インフルエンザウイルスなど
症状:発熱、咳、呼吸の乱れ、など(細菌性肺炎より症状が軽いことが多いですが、アデノウイルスの場合は重症化するおそれがあるので注意しましょう)
治療:症状を和らげる薬を使用し回復を待ちます。月齢によっては入院の可能性もあります。

・マイコプラズマ肺炎
原因:マイコプラズマ(細菌とウイルスの中間にある微生物)
症状:発熱、激しい咳など(細菌性肺炎より症状が軽いことが多いです)
治療:抗生物質、症状に応じた薬を使用し回復を待ちます。場合によっては入院することもあります。

クループ(急性喉頭炎)

クループは喉の奥にある喉頭部が炎症を起こす病気です。喉頭部が腫れると空気の通りが悪くなって咳き込み、ひどくなると呼吸困難など深刻な症状を招くことがあります。

原因はウイルスがほとんどですが、細菌がクループを引き起こすこともあります。細菌性のクループはヒブやジフテリアが原因になることもありますが、Hib(ヒブ)ワクチンや四種混合(または三種混合)ワクチンの予防接種によって感染が防げます。

症状:「ケンケン」や犬の遠吠えのような特徴的な咳がみられます。呼吸の乱れや、声がかすれることもあり、酷い場合はチアノーゼ(唇や顔色が青紫色になる症状)が出ます。

治療:細菌性の場合は抗生物質、ウイルス性の場合は症状を抑える薬を使用し様子を見ることが多いです。重症の場合は入院のうえ、酸素吸入になったり炎症を抑える薬が投与されたりすることがあります。

ぜんそく様(性)気管支炎

風邪をひいたり、冷たい空気を吸い込んだりすることで、気管支ぜんそくのように咳き込む症状や呼吸困難がみられる病気です。気管支ぜんそくとは区別され、年齢とともに改善するケースが多いですが、気管支ぜんそくに移行する子どもは少なくありません。

症状:風邪のウイルスや冷気などにより、気管支内の粘膜が腫れたり痰が増えたりすることで空気の通りが悪くなります。咳や喘鳴(ゼイゼイ、ヒューヒュー)、呼吸困難などがみられます。

治療:症状が軽いときは特別な治療は不要です。呼吸が荒くひどく咳き込む場合は、痰を切りやすくする薬や気管支を広げる薬が使われます。

百日咳(ひゃくにちぜき)

百日咳菌による感染症です。母体から免疫が受け継がれることが少ないので、新生児でもかかる可能性があります。四種混合(または三種混合)ワクチン接種によって感染を予防できます。

症状:最初は風邪のひき始めのような症状がみられ、時間が経っても治らず、徐々に悪化します。ひどくなると激しく咳き込み、けいれんをともなう発作やチアノーゼ(顔色や唇が青紫色になる症状)がみられます。また、合併症(脳炎・肺炎・中耳炎)を引き起こす可能性があります。

治療:抗生物質や、それぞれの症状を和らげる薬が使用されます。月齢が低い場合は入院し、酸素吸入や点滴治療が行われます。

気管支内異物

気管支内異物とは、ピーナッツやおもちゃの部品、タバコなどを誤って飲みこんでしまい、気管支を詰まらせることを指します。

症状:直前まで元気にしていたのに、突然激しく咳き込み、呼吸困難や嘔吐がみられます。目を白黒させたり、チアノーゼがみられたりすることもあります。

治療:喉に異物を詰まらせている場合は、うつ伏せにして肩甲骨のあたりをたたいて吐き出させ、ただちに病院に連れていきましょう。緊急時は救急車を呼んでも構いません。病院では、周囲を傷つけないように異物を取り出す処置が行われます。

赤ちゃんが夜に咳き込む場合に受診する目安

赤ちゃんは免疫力や体力が弱く、病気にかかるとすぐに重症化するおそれがあります。激しい咳は呼吸困難を起こし、命に関わる可能性もあります。

夜間や休日であっても、以下のような状態の場合は受診しましょう。

・咳のために苦しくて眠れない
・激しく咳き込み、何度も吐いてしまう
・呼吸が乱れ息苦しそうにしている
・「ケンケン」や犬の遠吠えのような特徴のある咳が出ている
・チアノーゼ(顔色や唇が青紫色になる症状)がみられる

特に、チアノーゼなどの顔色の悪化、呼吸困難がみられる場合は、大至急病院に行くか場合によっては救急車を呼んでも構いません。夜間や休日に病院に連れて行くか迷うときは、「#8000(小児救急電話相談)」に電話しましょう。小児科医師・看護師より、対処方法や受診する医院についてアドバイスが受けられます。

赤ちゃんが咳き込んで夜苦しそうなときの対処法

赤ちゃんが夜に咳き込んでで苦しそうにしている場合は、次のことを試してみましょう。

鼻水・鼻づまりを解消してあげる

鼻水や鼻づまりは赤ちゃんが咳き込む原因になります。部屋の湿度を上げると赤ちゃんの鼻水や鼻づまりが和らぐことがあります。蒸しタオルを赤ちゃんの顔の近くで広げると一時的に楽になるので試してみましょう。

赤ちゃんの鼻水はこまめにふき取り、清潔に保つように気を付けてください。鼻水は時間が経つとかたまってしまい、鼻をつまらせたり呼吸がしづらくなったりします。鼻くそは蒸しタオルをあてて柔らかくしてからとると、皮膚を傷つけずに済みます。

赤ちゃんの鼻の周りの皮膚が荒れている場合は、ワセリンやベビーオイルでケアをします。赤ちゃんは自分で鼻水をかむことができないので、鼻水吸引器で吸い出してあげましょう。鼻水吸引器はベビー用品店やドラッグストアなどで購入できます。あまり強い力で吸引しないように注意してください。

水分をとらせる

水分摂取により喉を潤すことで呼吸が楽になり、咳が切れやすくなります。ミルクの場合は少し薄めて飲ませましょう。一度に多く飲ませると赤ちゃんが咳き込んだりむせたりするので、少しずつ与えます。

部屋の加湿をする

湿度を高めることで咳の症状が緩和されます。鼻水が出ている場合も症状が抑えられ、鼻の通りが良くなります。加湿器がない場合は、お湯を沸かしたり洗濯物を室内に干したりすることで、加湿できます。

一時的な対処ですが、暖かい蒸しタオルを顔の前に広げる、バスルームで熱いシャワーを出して蒸気を吸わせるのもおすすめです。

上半身を高くして寝かせる

赤ちゃんが咳き込んでいるときには、平らな布団で寝かせるのではなく、枕や座布団を使い上半身を少し起こすような体勢にして寝かせます。上半身を高くした状態で横向きにし、背中をさすると楽になることがあります。横向きにする場合は、うつぶせ寝による窒息が起こらないよう、必ずパパやママが赤ちゃんのそばにいてあげましょう。

ラッコ抱きにする

赤ちゃんが咳き込んで苦しそうなときには、ラッコ抱きを試してみても良いでしょう。パパやママが仰向けに寝た状態になり、胸の上に赤ちゃんをうつ伏せの状態で寝かせてあげます。

赤ちゃんをラッコ抱きにして、片方の手で背中をさすったりトントンとしてあげたりすると症状が落ち着くことがあります。パパやママの身体が密着するので、精神的にもリラックスできるでしょう。まだ首がすわっていない場合は、片方の手で首をしっかり支えてあげましょう。

慌てず冷静に判断しよう

夜中に赤ちゃんが激しく咳き込むと、パニックになってしまうパパやママは少なくありません。しかし、赤ちゃんに異変がみられたら、慌てずに冷静になる必要があります。

日中に何かおかしいところがなかったか、ほかにどのような症状がみられるか、呼吸の早さや異常はないかなど、確認することが必要です。赤ちゃんの症状が一時的であり、機嫌良くし過ごしていれば、無理に夜間に病院に行かずに様子を見て良いでしょう。

赤ちゃんに明らかな異変がみられ夜間に病院に連れていく場合も、できる限り焦らずに気持ちを落ち着かせることが大事です。健康保険証、母子手帳、診察券、おむつ、ミルク、着替え、ブランケットや防寒着など必要な持ち物を準備していきましょう。車で連れていく場合、安全運転を心がけてくださいね。

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