【管理栄養士監修】災害や旅行に便利!液体ミルクとは?ママの体験談!飲ませ方や注意点は?
災害や旅行の際にも便利な乳児用液体ミルクは、2019年に国内の製造・販売が開始され、その手軽さから認知度が高まっています。ママたちの声を受けて商品の改良も進んでいます。進化した液体ミルクの値段や安全性・衛生面、販売場所などについて、赤ちゃんへの飲ませ方や温める方法、与えるときの注意点やママの体験談とあわせて紹介します。
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目次
液体ミルクとは?保存はきく?
調乳不要の便利なミルク
乳児用液体ミルク(通称:液体ミルク)とは、液状の人工乳を容器に密封したものであり、常温で長期間の保存が可能な母乳代替食品です。そのまま飲めるので授乳時にミルクをつくる手間を省けることから、粉ミルクに比べてママ・パパの負担軽減や安全面でメリットがあります。
海外では広く使われていましたが、日本で初めて液体ミルクが発売されたのは2019年3月のことです。導入から5年とまだ新しい市場ながら、その便利さや手軽さがうけ、認知度や商品に対する評価は高まっています。
常温保存OK、賞味期限は約9ヶ月~18ヶ月
液体ミルクは常温保存が可能で、防腐剤も使われていません。保存期間が紙パックは約9ヶ月、缶は約12ヶ月~18ヶ月年と容器包装により違うので表示の賞味期限を確認しましょう。災害時の備えとしても注目されています。
防災や旅行でも重宝! 液体ミルクのメリット
液体ミルクは粉ミルクより価格がやや高めですが、母乳や粉ミルクにはないメリットがたくさんあります。どのような点が優れているのでしょうか。
温め不要で簡単
粉ミルクと比べると、温め不要でそのまま飲めるため調乳の手間がかからずとにかく楽ちん。配合の失敗やお湯の温度の間違いがないので安全に授乳を行うことができます。
ママをフォロー
母乳と比べると、ママの体調が悪いときや服薬中、またママが不在のときでも授乳を行うことができます。
災害時も安心
地震など災害によりライフラインが断絶したときでも、水や電気・ガスを使わずに授乳を行うことができます。
持ち運びに便利
常温保存ができるため、携帯しやすく旅行で持ち運びやすいところも便利です。また、授乳室がない環境でも授乳を行うことができます。液体ミルクは一般的な粉ミルクよりも価格が高めなので日ごろから使うのではなく、旅行や災害時に備えて家に準備しておくという家庭も多いようです。
液体ミルクって実際はどう?ママたちの体験談
子どもを連れて義父母の家へ遊びに行くとき、粉ミルクはお湯を用意するのに気を使うし、授乳カバーをつけていても母乳はちょっと恥ずかしいなと思っていました。液体ミルクはそういったストレスがないので便利。義父母も授乳できるので喜んでいましたよ。
赤ちゃんと外出したときに、予定より早くお腹がすいたようでぐずり始めてしまいました。急いで帰宅しようとしたところ、ドラッグストアで液体ミルクを見つけて購入。哺乳瓶へ移し替えてすぐに授乳できたのでとても助かりました。おかげで、用事を済ませてから帰宅することができました。
生後2か月の子どもに初めて液体ミルクを飲ませてみました。常温だからか味が違うのか、ミルクを飲むペースはいつもより遅めでしたが、ちゃんと飲んでくれましたよ。
うちの子は液体ミルクの味に好みがあるみたいで、メーカーによって飲みっぷりが違いました。お出かけで使う前に、家で試すと安心だなと思いました。
母乳や粉ミルクとの違いや注意点
ミルクの成分
液体ミルクの栄養素の基準は調乳後の粉ミルクと同じです。乳児の発育に必要な栄養条件を満たすよう、消費者庁が示したタンパク質の含有量などの基準案にそってつくられています。
一方、母乳とは違いがあります。液体ミルクは母乳に近い栄養バランスでつくられていますが、母乳は栄養が豊富なだけでなく、乳児の免疫機能を高めるとともに、産後の母体の回復を促すはたらきがあります。そのため世界保健機関(WHO)では生後6ヶ月は母乳のみで育てることを推奨しているなど、母乳代替食品には補えないものもあるのです。
そのため、液体ミルクのパッケージには「母乳は赤ちゃんに最良の栄養です」と必ず記載されています。消費者庁は液体ミルクよりも母乳のほうが最良としたうえで、「母乳が不足した場合に、授乳の継続が困難な場合の代替品」としての使用をおすすめしています。
そうはいっても、さまざまな事情で母乳育児が難しいママもいることでしょう。ママが困ったときのお手伝いとして、液体ミルクを上手に使っていきたいですね。
アレルギーの可能性
液体ミルクの中には牛乳アレルギーの赤ちゃんも飲めるように乳成分を含まない商品もありますが、乳成分と大豆などを含むものもあります。赤ちゃんにアレルギーがある場合は商品の原材料をチェックするようにしましょう。心配な場合は、赤ちゃんの体質や健康状態によって、医師に相談してみましょう。
安全性と衛生面
粉ミルクでの調乳は作業が多いため衛生管理をするのが難しいですが、液体ミルクは容器を開けてそのまま飲めるため、衛生面において優れています。ただ、開封後は菌によって汚染されたり中身が変質したりする可能性があるため、すぐに飲み切らなければいけません。
国内メーカーの液体ミルクは冷蔵庫に入れても保存は不可能です。まだミルクを飲む量が少ない赤ちゃんは飲み残すこともあるので少しもったいないですね。
また開封直後の場合も、液体ミルクの容器に破損や膨張があるとき、色・におい・味に異常があるときは使用しないでください。
液体ミルクの飲ませ方
容器を正しい方法で使おう
液体ミルクの容器は、紙パックや缶、哺乳瓶型などがあります。海外の液体ミルクだと容器に付属、もしくは別売りのニップルを取り付けるものも多いです。紙パックや缶の場合は、清潔な容器へ移し替えて使います。開封前によく振るなど、商品の使用方法を確認して使いましょう。
液体ミルクは水で薄めてはいけません。赤ちゃんによって授乳ペースや飲む量に個人差があるので、ミルクの量や回数を加減すると良いでしょう。初めての場合は、少量ずつ飲ませて赤ちゃんの様子をみましょう。
常温で飲ませても大丈夫
液体ミルクは温めずに常温で飲ませることができます。粉ミルクは温めて使うので驚くママも多いかもしれませんが、熱すぎたり冷たすぎたりしなければ大丈夫です。
温めるときは湯煎がおすすめ
常温でも大丈夫なものの、室温が低い真冬など赤ちゃんに温かいミルクを飲ませたいときもありますよね。液体ミルクの冷たさが気になる場合は、清潔な哺乳瓶などに移し替えてから湯煎をして温めるのがおすすめです。温めすぎには十分注意してください。電子レンジでの加熱は、ミルクの飛び散りの原因になることがあるので避けたほうが良いでしょう。
液体ミルクの人気メーカー一覧と買える場所(2024年6月現在)
液体ミルクは国内での製造・販売開始から5年が経ち、液体ミルク市場に参入している国内メーカーは2024年6月現在で江崎グリコと明治、雪印ビーンスターク、森永の4社になりました。国内メーカー4社それぞれが扱う液体ミルクは形状・容量も異なります。用途や月齢に応じて使い分けるのも良いでしょう。
液体ミルクが買える場所は、ベビー用品店や通販サイトだけでなく、身近なドラッグストアやスーパーマーケットでも液体ミルクを取り扱っているので、いざというときにとても便利ですね。
江崎グリコ「アイクレオ赤ちゃんミルク 125mL」
内容量: 125mL×18本
日本で初めて製品化された江崎グリコの乳児用液体ミルク。小さな身体と心を思い、「無菌パック製法」で無菌化された状態でつめるので、常温で賞味期限9ヶ月と長期保存ができます。
明治「ほほえみ らくらくミルク 120mL」
内容量:120mL×24本
「ほほえみ らくらく ミルク」は災害発生下などの過酷な状況においてもミルクの品質を守ることができるスチール缶を採用しています。製造工程などの工夫により賞味期限は1年と長持ちです。アタッチメントを取り付ければ、哺乳瓶を使わず授乳できます。
明治「ほほえみ らくらくミルク 200mL」
内容量:200mL×24本
明治の「ほほえみ らくらく ミルク」は、発売当初は240mL缶で製造されていました。しかし、一度開封すると残ったミルクは廃棄となるため、「余ってしまうともったいない」という声も少なくありませんでした。
そこで現在は120mL缶と200mL缶で液体ミルクを製造しています。120mL缶で足りなくなってきたら「ほほえみ らくらく ミルク200mL」にシフトすると良いでしょう。1回あたりの調乳量の目安が200mLとなる月齢の目安は3~5ヶ月頃です。200mL缶の賞味期限は18ヶ月と120mLよりも長くなっています。
明治ステップ「らくらくミルク 200mL」
内容量:200mL×24本
フォローアップミルク「明治ステップ」の液体ミルクもラインアップされています。飲み物としてはもちろん、おやつやご飯に入れて使うこともでき、1~3歳頃の栄養を手軽に補えます。
雪印ビーンスターク「液体ミルク すこやかM1 200mL」
内容量:200mL×6本入
母乳の成分であるオステオポンチン、シアル酸、ガラクトシルラクトースが日本で初めて配合された液体ミルクです。2022年には、ホスファチジルセリンが新たに表示されました。生後3ヶ月から6ヶ月の標準的な1回あたりのミルク量に合わせて、1缶200mL入りの飲みきりサイズになっています。賞味期限は製造日から365日です。
森永「はぐくみ 液体ミルク 100mL」
内容量: 100mL×5袋
「はぐくみ液体ミルク」はアルミパウチタイプの液体ミルクです。持ち運びが簡単なので、おでかけのときにも最適ですね。1袋100mLの使い切りサイズなのでミルクの量も調整しやすいでしょう。哺乳瓶に注いだあとは畳んで捨てられるのも荷物が多くなりがちなママにとっては嬉しいポイントです。賞味期限は製造後12ヶ月です。
「母乳は最良の栄養です」の表示で思いつめないで
液体ミルクのパッケージには「母乳は赤ちゃんにとって最良の栄養です」といった文言をわかりやすく表示することが義務付けられています。これはWHOとFAO(国際連合食糧農業機関)による国際的な食品の規格で、粉ミルクも含め母乳代替品には必ず記載が必要とされているもの。液体ミルクは母乳と同じ栄養でつくられていますが、母乳にはそのほかに乳児の免疫機能を高め、産後の母体の回復を促すはたらきがあります。
この表記によって、母乳の液体ミルクに頼ってしまうことへ罪悪感を覚えるママも少なからずいるようです。しかしママが体調を崩したときや服薬中、母乳の出が悪いときにお手伝いする代替品として粉ミルクや液体ミルクがあります。液体ミルクを使うことに思いつめることなく、赤ちゃんの身体が心配なときはかかりつけの医師に相談をしながら活用していきたいですね。
【動画で解説!】管理栄養士さんから見て液体ミルクはどう?
※この記事は2024年6月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。