産婦人科医監修|妊婦の新型コロナウイルス!厚生労働省の妊娠中の感染症対策まとめ

感染拡大の勢いが止まらない新型コロナウイルス。妊婦さんや小さな子どもを持つ家庭でも不安の声が広がっています。厚生労働省の公式HPでは「妊婦の方々などに向けた新型コロナウイルス感染症対策」として取りまとめたものを発表しています。ここでは、妊婦さんが注意したい点や感染症対策など、厚生労働省の発表をわかりやすく紹介します。

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この記事の監修

藤東 淳也
産婦人科医
藤東 淳也

目次

  1. 新型コロナウイルスによる肺炎の感染とは
  2. 妊婦の方々などに向けた新型コロナウイルス感染症対策
  3. 妊婦の方々向けのリーフレット
  4. 職場における妊娠中の女性労働者等への配慮
  5. 自分の健康を第一に考えて妊娠・出産を乗り切ろう
  6. あわせて読みたい

新型コロナウイルスによる肺炎の感染とは

新型コロナウイルスは、2019年12⽉30⽇に中国保健機関が公表した湖北省(こほくしょう)武漢(ぶかん)の「原因不明の肺炎」とされました。翌2020年1⽉7⽇には、その肺炎の原因が新種のコロナウイルス (2019-nCoV)と特定され世間を震撼させたのは記憶に新しいでしょう。

発生直後は中国のみで蔓延していた新型コロナウイルスですが、またたく間に各国に広がり今やその脅威は世界中に広がっています。2020年4月7日に発令された緊急事態宣言に引き続き、2021年1月には第2回目の緊急事態宣言が東京・神奈川・埼玉・千葉に発令されました。1都3府県以外でも日本国内での感染者は各都道府県で確かな収束がみられず、新たな感染者が増加しています。

ここでは、厚生労働省が正式に発表している「妊婦の方々などに向けた新型コロナウイルス感染症対策」(※)をまとめました。妊婦さんのみならず、小さな子どもを持つ方も参考にしていただき、予防策や注意点などを確認してできるだけ安心・安全な過ごし方を心がけていきましょう。

妊婦の方々などに向けた新型コロナウイルス感染症対策

厚生労働省が発表している「妊婦の方々などに向けた新型コロナウイルス感染症対策」は、体調の安全を最優先する妊婦さんに向けての指針を立てています。指針としている妊婦さんに対する支援や配慮など、受けられる支援を確認しておきましょう。

1.取り組みや周知

新型コロナウイルスの拡大が懸念された段階で、厚生労働省は妊婦さんに向けにリーフレットを発行しています。産科や医療機関、子育て世代への支援センターや保健センターで配布中です。

2.マスクの配布

妊娠中の方に対して、国で一括で購入した洗濯できる布製マスクを各市町村で配布するようにしました。

※2020年12月現在、期間内申し出済のマスクは配布完了

3.職場での配慮の要請

新型コロナウイルスに対して妊娠中の女性労働者の健康管理を適切に図ることができるよう、男女雇用機会均等法に基づく指針が改正されました。

ポイントとしては、妊娠中の女性が新型コロナウイルスによる職場の心理的なストレス削減や胎児の健康を保てるよう配慮されたものです。妊婦が医師や助産師から指導を受けた場合は、事業主は作業や出勤の制限(在宅勤務又は休業)などの措置を講じる必要があります。

4.周産期医療の提供

「周産期」とは、妊娠22週から出生後7日未満までの期間をいいます。この期間は、母体や胎児、新生児の命に関わる事態が発生する可能性が高くなる期間です。

厚生労働省は、周産期医療協議会を開催しています。妊産婦の感染を防ぐために、新型コロナウイルスの患者を受け入れない医療機関を設定したり、通常の患者と疑いのある患者をわけたりするよう各都道府県に依頼しています。

また、感染が疑われる妊産婦には、早めの相談を呼びかけるよう周知しています。

【新型コロナウイルス】妊娠中の対応策!日本産婦人科感染症学会や厚生労働…

妊婦の方々向けのリーフレット

引用元:www.mhlw.go.jp

厚生労働省は、妊娠中の方に向けてリーフレットを配布しています。各自治体の保健センターや産科などの医療機関で配布しているので、手元に持っておくと安心でしょう。

「厚生労働省は、省をあげて、妊婦の方々の安心・安全の確保に全力を尽くしてまいります」と書かれた心強いリーフレットの内容です。ぜひ参考にして、安心できる妊娠生活を過ごしてくださいね。

主な内容は下記の通りです。

コロナウイルスの感染が妊娠に与える影響

厚生労働省の「新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)」によると、子宮内で胎児が感染したことを示唆する報告も少数ながら存在しますが、新型コロナウイルスに感染した妊婦から胎児への感染はまれだと考えられています。また、妊娠初期または中期に新型コロナウイルスに感染した場合に、ウイルスが原因で胎児に先天異常が引き起こされる可能性は低いと記されています。アメリカでは妊娠中に妊婦が新型コロナウイルスに感染した場合、非感染の妊婦と比較して、早産になりやすいという報告もあるようです。

日本でも、新型コロナウイルス感染症の母子への影響を把握するため、新型コロナウイルス感染症に罹患した妊産婦や小児の罹患状況などの調査研究を行っているとされています。(令和2年度厚生労働科学特別研究事業)

日ごろの感染予防でできること

こまめな手洗いうがい、人込みを避けるなど、基本的な予防策は必須です。一般的に、妊娠中の方が肺炎を起こした場合は重症化する可能性があるため、日ごろから予防を心がけましょう。

とくに人込みを避けるという点でも、「密閉空間・密集場所・密接場面」といった3つの「密」が重なる場所は避けるよう促しています。

妊婦の働き方について

妊娠中の女性労働者に向けても、アドバイスを送っています。ご自身の体調をふまえて時差通勤やテレワークの活用、休暇の取得などを勤務先に相談するよう促しています。

妊婦健診の受診について

厚生労働省のHPでは、妊婦健診は妊婦と胎児の健康のために非常に重要とされています。自分で判断せず、かかりつけの産婦人科医等と、よく相談して受診するようにしましょう。

妊婦健診には、妊婦の健康状態、妊娠週数等によって推奨される受診間隔があります。しかし産婦人科医と相談の上であれば、状況に応じて妊婦健診の間隔をあけることも可能とされています。

里帰り出産について

緊急事態宣言が発令されたころは、妊娠中の方はできるだけ住まいの地域での出産をすすめられていました。緊急事態宣言の解除後も新型コロナウイルスの再流行やそれ以外の感染症流行に備えて、里帰り分娩は可能な限り控えるようにすすめられています。しかし、里帰りを余儀なくされる場合は、十分健診担当医や分娩医療機関と相談し、それぞれの担当医・医療機関の判断に従うようにしましょう。

また、分娩施設を探す際には、現在の居住地のかかりつけの産婦人科医等と、妊娠中の経過や合併症の有無、帰省先の医療体制などを踏まえて十分に相談することが大切とされています。

妊婦がコロナウイルスに感染したときの分娩について

万が一妊娠中に新型コロナウイルスに感染したとしても、妊婦さんが安心して分娩できるよう、各都道府県で医療提供体制を整えるよう努めています。新型コロナウイルスに感染した場合でも過度に悲観せず、かかりつけ産科医療機関と分娩先などについてしっかりと話し合ってくださいね。

職場における妊娠中の女性労働者等への配慮

妊娠中の方の働き方について職場での大きな不安を避けるよう、令和2年5月7日~令和3年1月31日までのあいだ、事業主が法律に基づき講じなければならないという新型コロナウイルス感染症に関する措置を追加しました。

新型コロナウイルス不安やストレスが、母体または胎児の健康に影響があると主治医や助産師から指導を受けた場合、事業主は必要な措置を講じなければなならにというものです。「感染のおそれが低い作業に転換させる」「テレワークや休業など、出勤について制限する」といった考慮が必要となります。

指導事項を的確に伝えるため「母健連絡カード」があるので、主治医等に書いてもららい適切な措置を受けるようにしましょう。

自分の健康を第一に考えて妊娠・出産を乗り切ろう

新型コロナウイルスは爆発的に拡大し、世界を震撼させています。とくに妊娠中や小さな子どもを持つ方、高齢者などは不安になる方も多いででしょう。しかし、基本的な予防をしっかりとすることで、感染をおさえることができます。

厚生労働省は「省を上げて、妊婦の方々の安心・安全の確保に全力を尽くしてまいります」と発表しています。日ごろから、ぜひ厚生労働省が発行するリーフレットなどを頼りに対応してください。

適切な相談窓口を利用したり医療機関を受診したりと、正しい情報を得ることも大切ですよ。健康第一に妊娠生活を過ごして、元気な赤ちゃんに会えるのを楽しみに今の時代を乗り越えましょう。

※この記事は2021年1月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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