【実録】コロナウイルスで休校!保育士・保護者の現状・生の声は?河西景翔先生コラム#5

保育士・子育てアドバイザーとして活躍する河西景翔先生の連載第5弾。今回は「新型コロナウイルスの流行で感じたこと」を紹介します。2月27日に政府より発表された小中高校の休校要請。しかし、休校要請くくりに未就学児を預かる機関が含まれていませんでした。河西先生のもとに届いた、現在の保育現場や保護者の声をコラムでつづります。

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この記事の監修

河西 景翔
保育士・子育てアドバイザー
河西 景翔

目次

  1. 仕方がない…しかし、なぜ保育園は休園でないのか
  2. 保育に必要な用品が用意できない
  3. 避けることができない保護者トラブル
  4. 実際に届いた現場の「保育士」の声
  5. 実際に届いた現場の「保護者」の声
  6. 新型コロナウイルスの影響を受けて思うこと【河西景翔】
  7. 河西景翔先生による子育てのアドバイス動画はこちら!
  8. 河西景翔先生のコラム
  9. 著者情報:河西景翔(かわにし けいと)
  10. 妊娠・育児に関するお役立ち情報発信中!
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河西先生

新型コロナウイルスの拡散を防ぐために2月27日に発表された休校要請を受けて、ほとんどの小中高校が全国的に3月2日から休校となりました。子育て世代の方は、政府の対策に驚いた方もたくさんいたことでしょう。

今回は、保育士として私の考えをつづりたいと思います。

仕方がない…しかし、なぜ保育園は休園でないのか

今回の休校要請で私が気になったのは、最初の政府対策のくくりに保育園が入っていなかったことです。

保育士の中にも小学校や中学校に通う子どもの休校が決定し、保育士の仕事を休まなければならない方がたくさんいます。それは国が決めたのですから、仕方のないことでしょう。

しかし、実際の現場はどうでしょうか。

保育園の中には、先生が超過勤務したりしっかりと休暇をとれなかったりと、厳しい人数で運営しているところも少なくありません。今回の小中高校の休校要請は私たち保育士にとって、配置基準以下での保育を強いられているような、そんな見えない圧力を感じてしまいました。

※配置基準…保育施設を運営するにあたり、子どもひとりに対して何人の保育士が必要かを表した基準

保育に必要な用品が用意できない

コロナウイルスの流行、あらゆるデマで世間がパニックになり、保育に欠かせない用品が購入しづらい状況です。

・アルコールスプレー
・トイレットペーパー
・ティッシュ
・職員用のマスクなど

保育に欠かせないものが市場からなくなり、現場はそれらを確保するために必死に対策を練っています。朝から各業者に在庫がないか電話したり一般客と同じようにドラッグストアなどの店舗に並んだり…保育と関係ないことを強いられている現状です。

政府の通達で、保育園を開所するのはもちろん構いません。しかし、保育園を開所することに対して、なにか支援をしてくれているのでしょうか。

現場の答えはNO!です。

国から保育に必要な用品の支援を優先的に受けているわけではありません。しかし、マスクや除菌など衛生面の対策は万全にするよう強いられています。

河西先生

実際に、マスクが手に入らずマスクをしないで保育していたら、保護者から区に通達が入り、区から指導が入った園もあるそうです。

避けることができない保護者トラブル

小中学生を持つ保育士が休むことになると、保育士の数が通常よりもぐんと減る園も少なくありません。すると、限られた保育士で運営しなければならなくなり、どうしても保護者とのトラブルやあってはならない事故なども起きやすくなります。

超過労働や不当な待遇を受けて園を去る保育士も多いのではないでしょうか。

なぜ、国はもっと福祉や子どもに寄り添いながら考えてくれないのか…悲しくなります。

実際に届いた現場の「保育士」の声

河西先生

とある保育園では、ベテランや中堅の保育士が小学校の休校で自宅勤務を命じられたこともあり、やむを得ず園長と新人で園を回しているといいます。

区からの対応。
保護者とのトラブル。

園長は、勤務体制や子どもの保育など全てを請け負うことになり、どうしたら良いのかわからない…と話していました。

他にもたくさんの保育士の声が届いているので、一部をご紹介します。

介護があっても超過勤務しています

保育士をしながら親の介護がありますが、小中高校の休校以外のことなので働くしかありません。しかし、休校の子どものために休まなければいけない保育士が多く、現場の保育士が足りないので8時間勤務で上がることができません。

これが長く続くかと思うと、つらすぎてやめたくなります。

もし保育園に通う子どもが保菌していたら…

なぜ子育てしている人だけが休めて、子どもがいない私たちが休めないのか。たとえば保育園の子どもたちが保菌していたら、私たちにも感染する可能性があります。保育士だから、子どもと接する仕事だから仕方ないと思われているのでしょうか。

保育園の子どものあいだで感染し、休校で休んでいるきょうだいに感染したら…小中高校のみの休校要請に疑問を抱きます。

河西先生

直近では、保育士が勤務過多で体調を崩して休んだことで、現場はさらに悲惨だという声がありました。

一部地域で適応されているように、今後は国基準ではなく自治体基準で、保育園の休園検討があり得るかもしれません。

河西先生

一方で、保育士ですが自宅にいなければならない方からは、このような声もありました。

現場が大変なのに、本当にごめんなさい

現場が大変なのが手に取るようにわかります。我が子は病気でもないのに子どもが家にいるからという理由で働けません。

他の先生たちに申し訳ない。子どもがいなかったらこんな気持ちにならなかったのかなと思うと…。本当に先生たちごめんなさい。

実際に届いた現場の「保護者」の声

河西先生

私たち保育士が誰かをカバーしているように、子どもを預けて働いている保護者も誰かをカバーして会社で働いているのでしょう。

保護者から届いた声を一部紹介します。

保育園から休んで欲しいと言われた

保育園から一方的に休んでほしいと言われました。しかし、自宅や近所で子どもを預けられる人がいません。ベビーシッターを頼もうとも考えましたが、料金を考えるとそれも違うような気がしています。

自宅保育が必要ならば、保育園側も対策を考えて欲しいと思いました。

保育料とシッター料で今月の支払いが怖いです

保育園から休んで欲しいと言われて、子どもを休ませることにしました。しかし、私には仕事があります。

日中はベビーシッターさんに見てもらっていますが、今月は保育料とシッター料を支払うことになります。今後の生活を考えなくては…と頭を悩ませています。

子どものマスク着用も徹底してもらいたい

どうしても仕事を休めず子どもを保育園に預けていますが、子どもが菌をもらってきたら…と考えるととても怖いです。保育園でも、子どものマスク着用と手洗い・うがいを徹底してもらいたいと思います。

新型コロナウイルスの影響を受けて思うこと【河西景翔】

今回の新型コロナウイルスの影響、国の発表を受けてさまざまなことを考えました。

保育士目線の考え。
保護者目線の考え。
そして、両者の目線の考え。

私はどの気持ちもわかるので、さまざまな意見や悩みを聞いて本当に心が苦しくなりました。

なぜ保育園に通う子どもたちは、今回政府が発表した休校要請の「こども」のくくりに入らなかったのか。保育に必要なものがそろわない、そろわなくなるかもしれない状況で、保育園を開所することが果たして正しいのか。

保育士として現在の保育現場のありかたを考えると、通常通り12時間の開所は非常に難しい状況です。私の考えでは、このようなイレギュラーな場合は開所時間を9:00~17:00と決めるのがベストではないかと考えます。保育時間を短くすることで子ども同士の接触時間も短くなり、保育士も勤務過多にならずに済むのではないでしょうか。

もうひとつ、保育園はサービス業になりすぎた気がします。子どもたちのためにと思いやりで行っていたことがいつの間にか当たり前になり「働いている人のために保育園はあるのだ」というように、認識にずれが生じている気がします。

保育園は社会のためにあるのではなく、「子どものため」にあるべき場所なのではないでしょうか。

どうか「小さな子どもたち」そして「保育の現場で働く人たち」を守ってください。

※この記事は2020年3月時点の情報をもとに作成しています。

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著者情報:河西景翔(かわにし けいと)

保育士・子育てアドバイザー。
小学生の頃から保育士を目指し、中学から保育園でのボランティア活動を通して、日本音楽学校に入学し、保育士・幼稚園の資格を取得。
「子育て中のママやパパと、共に悩みながら最良の道を切り開く」
を念頭において、日々奮闘中。

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