前駆陣痛から本陣痛、出産までの流れとは?陣痛の時間や間隔、経過について

これから出産を迎える妊婦さん、特に初産のママにとって陣痛は未知なる世界です。早く産みたいと思う反面、どんな痛みがどんな風にやってくるのか不安もありますよね。ここでは、前駆陣痛はどのような痛みなのか、本陣痛と見分けはつくのかなど、陣痛の種類と時間について解説します。

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この記事の監修

藤東 淳也
産婦人科医
藤東 淳也

目次

  1. 前駆陣痛から出産までの流れ
  2. 前駆陣痛が始まる時期と本陣痛との違い
  3. 陣痛の測り方
  4. 本陣痛(第1期)の特徴
  5. 本陣痛(第2期)の特徴
  6. 本陣痛(第3期)の特徴
  7. 陣痛の痛みや間隔は人それぞれ
  8. 陣痛開始から出産まで最長15時間以上の人もいる
  9. 陣痛に関する筆者の体験談
  10. 陣痛との闘い、長期戦の覚悟で体力つけよう
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前駆陣痛から出産までの流れ

前駆陣痛

臨月が近くなってくると、お腹が不定期に張るのを感じる人もいるでしょう。これを前駆陣痛と言い、いわば陣痛の予行練習です。前駆陣痛の痛みの幅は広いので、軽い痛みや張りの場合、妊婦さんも気が付かないこともあります。気になるお腹の痛みを感じたら、時間を計ってみましょう。

前駆陣痛の場合は痛みの間隔が不規則で、徐々に痛みが遠のきます。しかし、定期的に起こるようになり、痛みが増してくると、いよいよ本陣痛です。

本陣痛(第1期)

陣痛の時期は大きく3つにわけられており、陣痛の間隔が10分になってから子宮口が全開(10cm)に開くまでの間が第1期です。第1期が続く時間は個人差が大きいですが、初産婦で10~12時間、経産婦で4~6時間程度だといわれています。

本陣痛(第2期)

子宮口が全開になり、赤ちゃんが出てくるまでの時期を第2期と言います。初産婦さんで1~2時間、経産婦さんで30分~1時間程度です。痛みも疲れもピークとなり、赤ちゃんが肩まで骨盤にはまってようやく出産できます。

本陣痛(第3期)

赤ちゃんが出てきたあと、へその緒で繋がれている胎盤が出てくるまでの時間が第3期です。10分から30分程度で、陣痛と同じような痛みと収縮で胎盤が押し出され、出血や損傷のケアをします。

前駆陣痛が始まる時期と本陣痛との違い

妊娠36週~40週未満の臨月に前駆陣痛が起こる

多くの妊婦さんが、妊娠36週~40週の間に前駆陣痛を感じるようです。身体は、出産に向けて少しずつ陣痛を覚えようとしています。臨月になって「もしかしたら陣痛かもしれない」と思ったら、座って落ち着きながら、陣痛間隔の時間を計ってみましょう。

本陣痛と違い痛みの間隔がバラバラ

本陣痛は痛みと痛みの間の時間が等間隔です。最初は30分間隔くらいから始まり、20分間隔、15分間隔と等間隔で痛みの波が押し寄せてきます。前駆陣痛は痛みと痛みの間隔がバラバラで、時間を計っていれば一目瞭然です。痛みはあるけれどリズムはなく、やがて消えていきます。

前駆陣痛から本陣痛までは2週間~1ヶ月くらい

前駆陣痛が始まったからといって、すぐに今日明日に本陣痛につながるというわけではなく、2週間から1ヶ月ほど前駆陣痛が続く場合があります。「いつもこれが陣痛だと思ったら痛みが消えていく」「本当の陣痛がわからないのではないか」と不安になる人もいるでしょう。本陣痛が進んでくると、前駆陣痛とは比べ物にならない痛みなので絶対にわかります。ですから安心してくださいね。

前駆陣痛後すぐに本陣痛が始まる人もいる

前駆陣痛は長く続くこともありますが、反対に、前駆陣痛後にすぐ本陣痛が始まる人や、前駆陣痛なしで本陣痛に入るという人もいます。前駆陣痛だと気付かずに過ごし、後で思えば「あれがそうだったのかな」という軽さで、わからなかったという人もいます。

どのタイミングでどのように陣痛がくるかは、本当に人それぞれです。体調の変化には敏感になっておきたい時期といえます。

陣痛の測り方

痛みの始まりと終わりをメモする

繰り返されるお腹の張りに気付いたら、まずは落ち着いて時間を計りましょう。最初は30分くらいの間隔で痛みの波がやってくることが多いです。時間を記録し、間隔がどのように変わっていくかをチェックしておきましょう。

初産では10分間隔、経産婦さんでも15分間隔になったら連絡するようにと、ほとんどの病院の指示があるのではないでしょうか。間隔がどれくらいで短くなっていくかは個人差がありますが、まずはメモをして把握することがとても大切です。

陣痛間隔をメモしてくれるアプリを使用する

陣痛はいつ来るかわからず、夜中だったりメモのないときだったりもするかもしれません。陣痛メモにはアプリが大活躍します。陣痛が来たら、きちんと時間を確認するためにもアプリを活用することをおすすめします。

■陣痛間隔に関する体験談
筆者も3人目の出産で陣痛アプリを使いました。寝ているときに陣痛が来たので、暗い中で記録しやすくて良かったです。アプリは、シンプルな時間を計るだけのものから、妊娠週数のアドバイスが見られたり様子を記録できたりするものまでいろいろあるので、自分にあったアプリを早めに見つけておくと便利ですよ。

本陣痛(第1期)の特徴

陣痛が始まって子宮口が全開(10cm)になるまでのこと

本陣痛が始まり、子宮口が全開になるまでの時間を第1期と言います。陣痛間隔は10分から始まり、子宮口が全開になるころは1分間隔です。時間が短くなるほどに、痛みも強くなっていきます。

本陣痛(第1期)の平均時間

規則的な陣痛が始まってからの平均所要時間は、初産婦で10~12時間、経産婦で4~6時間です。こう見ると結構長いと思ってしまいますよね。中には、第1期が1日2日かかる人もいます。痛みが増してくると体力も消耗するので、陣痛の合間には、ゆっくり休んで次回の陣痛に備えましょう。

陣痛の間隔の変化

子宮の開き具合によって、この第1期も3つにわけられています。子宮口の開きと陣痛の間隔の変化についてみていきましょう。

【準備期】
子宮口は0~3cmで、10分間隔で陣痛が起きます。病院に連絡して向かいましょう。この時期が陣痛の中で最も多くかかり、8~10時間ほど要することも珍しくありません。

【進行期】
子宮口は4~7cmで、5分間隔で陣痛が起き、痛みは大きくなってきます。2~5時間ほどこの状態が続く場合があります。

【極期】
子宮口は8~10cmで、1~3分間隔で陣痛が起きます。個人差がありますが、1~2時間ほどこの状態が続くこともあるでしょう。

陣痛時間の変化

【準備期】
陣痛時間は20~30秒ほどです。赤ちゃんはまだ高い位置にいるので、ママの痛みの間隔は腰や下腹部のあたりで、吐き気を感じたり、足が吊ったりする人もいます。

【進行期】
陣痛時間は30~45秒ほどです。赤ちゃんは骨盤に頭を入れ込むほどに下がるので、痛みが下に下がり、便意のようなお尻の圧迫を感じます。(よくテニスボールをあてると陣痛に効くというのはこの時期です。)会陰が押されて裂けそうになる感覚にもなってきます。

【極期】
陣痛時間は45秒~1分ほどで、陣痛間隔も1分と短くなってくるので、常に痛みがあるような感覚になるかもしれません。下半身が押しつぶされて割れそうな痛みになってきます。赤ちゃんは肩まで骨盤に入りました。ここまで来たらあとは赤ちゃんが出てくるのを待つだけ、もうすぐですよ。

本陣痛(第2期)の特徴

子宮口が全開大から赤ちゃんが誕生するまでの時期

子宮口が全開になったらあと少しです。分娩台での出産の場合は、ここでいよいよ乗りますよ。陣痛がくるたびにいきみたくなりますが、無理に力を入れてしまうと会陰損傷になることもあります。助産師さんのリードでタイミングをあわせましょう。

陣痛間隔は平均1~2分

陣痛の間隔は、1~2分おきくらいに痛みと休みを繰り返します。長時間陣痛に耐えてきた妊婦さんの中には、この1分の間で熟睡してしまう人もいるほどです。それほどのパワーが必要になってくる、つらい時期だといえます。

陣痛時間は約60~90秒

陣痛の間隔と同じくらい、1~2分程度の陣痛が繰り返されます。陣痛の間は大きく息を吸い、止めないよう呼吸しましょう。息を止めると血流が悪くなり、赤ちゃんが苦しくなるそうです。

赤ちゃん誕生までの時間

すぐに出る人もいれば、少し時間がかかる人もいますが、初産婦さんで1~2時間、経産婦さんで30分~1時間程度です。ここまでくればもうすぐに赤ちゃんに会えます。いきみを我慢する時間が大変ですが、助産師さんの言葉にあわせていきめると良いですね。

本陣痛(第3期)の特徴

赤ちゃん誕生から胎盤が出るまでのこと

赤ちゃんが出てもそこで終わりというわけではありません。まだお腹の中に胎盤が残っています。数分から20分くらいかけてもう一度陣痛のような痛みが起こり、残りの胎盤が出てきます。これが後産です。

病院や状況によって処置方法も異なり、自然に胎盤が出るのを待つこともあれば、子宮収縮剤を使ったりマッサージをしたりして早めに出すこともあります。また、医師が手ではがすこともあるようです。胎盤が出るときの収縮や医師の処置に痛みを感じるかもしれません。その後、会陰切開や損傷していた場合は、糸で縫合します。

所要時間は早くて10分、平均20~30分

「長い時間陣痛に耐えてきたのに、また陣痛があるの」と思ってしまいますが、後産はそう長くは続かないので心配しないでくださいね。胎盤が出るのは長くても30分程度で、この時間にカンガルーケアをする病院も多いですね。

赤ちゃんに会えた喜びとやりきった達成感でいっぱいで、後産も乗り越えられるでしょう。産後は経過観察のため、そのまま同じ場所で2時間ほどママは休憩します。

後陣痛という子宮の収縮が再開する

後産とは別に、出産後数日間は後陣痛が起きます。これは、膨らんでいた子宮が小さく戻っていくときに伴う痛みです。初産婦さんよりも経産婦さんの方が、痛みが大きいといわれています。

赤ちゃんに授乳をすることでも後陣痛を感じることがあります。これは、赤ちゃんが乳首を吸うことでオキシトシンというホルモンが分泌されるためです。オキシトシンは子宮を収縮させる効果があり、授乳をすることで子宮も回復していきます。つまり、母乳育児は子宮回復の役目もあるというわけです。

陣痛の痛みや間隔は人それぞれ

痛みや時間は個人差がある

陣痛の痛みの感じ方は本当に個人差が大きく、「もっと痛みが強くなると思っていたら生まれた」とい人もいれば「この痛みで安産と言われるなんて信じられない」という人もいます。

陣痛が始まったら即出産という人もいる

陣痛が短くてすぐに出産したという人や、分娩台に乗って数回いきんだら出てきたという人もいます。経産婦に多いといわれますが、初産でも起こり得ることです。特に痛みに強い人は、「まだこのくらいなら違うはず」という自己判断で我慢することなく、病院の指示に従いましょう。

陣痛開始から出産まで最長15時間以上の人もいる

陣痛時間が短い人もいれば、微弱陣痛で何日もかかる人もいます。お腹の収縮の力で赤ちゃんは出てくるので、痛みが弱ければ、長く続いたところで勢いが出ずに出産が長引きます。陣痛が続きすぎてママも赤ちゃんも体力を消耗してしまい、危険だと判断された場合、緊急帝王切開に切り替わることもあります。

陣痛に関する筆者の体験談

筆者は3人出産経験がありますが、2人目3人目はとても軽かったので(3人目は自宅で30分くらいで産まれてしまいました)、やはり陣痛で思い出すのは1人目の大変さと時間の長さです。

知識ではわかっていても、何時間も痛みが続くことは本当に大変です。しかも、病院では、初期の陣痛だとあまり様子を見に来てくれないのです。

孤独と痛みと戦いながら、たまに子宮口を見に来た助産師さんからの「まだ4cmだね、あと6時間かな」という言葉に暴言で返し、医師の回診でもガルガル暴言ぶりで、とにかく暴れたみっともない妊婦でした。付き添った主人には、あまりの私の豹変ぶりに悪魔に取りつかれたのかと思ったと言われました…。

6時間少しでの出産。助産師さんには「安産だったね。日を超すと思ったけど早く生まれてびっくりした」と言われ、「これが安産なのか」と当時は憤っていたのですが、多分今振り返れば安産だったのかなと思います。

陣痛との闘い、長期戦の覚悟で体力つけよう

陣痛の痛みの感覚も時間も、どんなお産になるかはそのときになってみなければわかりません。長引いたけれど安産だったと思う人もいれば、すぐ生まれたけれど大変だったと思う人もいるでしょう。出産時間が短かったという人でも、痛みと戦う時間は必ずあります。

まずは、陣痛が長期戦になることを覚悟して、体力をつけておくことが大切です。ぜひ今からしっかり動いて体力をつけておきましょうね。

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