子どもは耳垢塞栓になりやすい?耳垢塞栓の原因と症状、除去方法

耳垢塞栓(じこうそくせん)とは耳あかがたくさんたまって耳の穴をふさいでいる状態で、赤ちゃんや子どもに多くみられる症状です。しかし、子どもの小さな耳の穴はどこまで掃除して良いのか迷うこともありますよね。ここでは、赤ちゃんや子どもに多くみられる耳垢塞栓の原因や症状、除去方法、子どもの耳掃除について紹介します。

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目次

  1. 子どもは耳垢塞栓になりやすい?
  2. そもそも耳垢とは
  3. 耳垢塞栓の原因
  4. 耳垢塞栓の症状
  5. 耳垢塞栓の除去方法
  6. 子どもの耳掃除ってどうしたら良いの?
  7. 正しい耳掃除で子どもの健康を守ろう
  8. あわせて読みたい

子どもは耳垢塞栓になりやすい?

一般的に赤ちゃんや子どもは耳垢塞栓(じこうそくせん)になりやすいといわれています。本来、耳垢は食べ物を噛んで顎が動くことで自然と外に出てくるものですが、食生活であまりかたいものを噛む習慣がなかったり咀嚼回数が少なかったりすると、外耳道(耳の穴)にたまり耳垢が多くなる傾向にあります。

また、赤ちゃんや子どもの耳掃除をするときに誤って耳垢を奥へ押し込んでしまっていることが原因で引き起こされることもあります。そのため赤ちゃんや子どもは耳垢塞栓に陥りやすいとされています。

そもそも耳垢とは

耳垢腺・皮脂腺の分泌物など

耳垢の正体のひとつは外耳道にある「耳垢腺」と「皮脂腺」という部位から出る分泌物です。耳垢腺からは耳垢の元となる脂が分泌されています。また皮脂腺からは皮膚を柔らかくしたり耐水性を保ったりする皮脂が分泌されています。これらが耳垢の元となるのです。

もうひとつは古い皮膚細胞です。耳の穴の中にも皮膚があります。新しい皮膚に生まれ変わるときに古い皮膚が剥がれおちた結果、これが耳垢となるのです。その他にも外部から耳の中に入った小さいほこりなどの粉塵が耳垢の一部となっています。

役割

耳垢の正体である耳垢腺から分泌される液には耳の洗浄作用や殺菌作用があるといわれており、耳垢は微生物が侵入しないように耳道を保護する役割があるとされています。また比較的薄い皮膚組織の鼓膜や外耳道を耳垢で覆うことで乾燥防止や保護をしています。

耳垢塞栓の原因

複雑な耳垢

耳垢というものは、本来掃除をしなくても食べ物を噛むために口を開けたり閉めたりすることにより発生する蠕動運動(ぜんどううんどう)によって、自然と外に出ていくようになっています。しかし、まれにうまく排出されない場合があります。この状態が続くと耳の奥に耳垢がたまってしまい、耳垢塞栓になるのです。

耳かき

耳掃除をする際に耳垢を誤って耳の奥に押し込んでしまうことがあります。赤ちゃんや子どもの耳の穴はとても小さく鼓膜までの距離も短いものです。耳の奥のほうにある耳垢を取ろうとしてかえって奥に押し込んでしまうこともあるのですね。

外耳炎

外耳炎も耳垢塞栓の原因となります。鼓膜から耳の入り口までを「外耳道」と呼ぶのですが、耳かきのときに外耳が傷つけられてしまったり、耳を触るときに爪で傷つけてしまったりして炎症が起こってしまう場合があります。この状態を外耳炎と呼ぶのですが、これが耳垢塞栓の原因となってしまうのです。

外耳炎によって痛みやかゆみがあらわれますが、悪化すると耳から膿のような液体が出てきます。その膿のような液体が耳の中で固まることで耳垢塞栓が引き起こされてしまいます。

外耳道の湿疹

アトピー性皮膚炎や耳かきのし過ぎによる外耳道の湿疹を「外耳湿疹」と呼び、これも耳垢塞栓の原因となります。外耳湿疹はかゆみがあるため、つい耳をいじってしまいます。その結果外耳炎を引き起こして耳垢塞栓となってしまうのです。

耳垢塞栓の症状

音が聞こえづらい

耳垢塞栓は音が聞こえづらくなる症状が出ます。耳垢が耳の奥で詰まりコルク状に固まってしまうので、耳がふさがれたような聞こえづらさや圧迫されているような耳閉感が起こります。

かゆみ

耳垢塞栓は耳垢が耳の奥に詰まるほど多くあるので、そこから「かゆみ」を引き起こすこともあります。かゆいからと耳掃除を繰り返したり指で耳の穴を掻いたりして外耳に傷ができます。その結果、耳垢塞栓の原因となる外耳炎になってしまいます。かゆいからといって耳を刺激することは避けましょう。

めまい

耳垢塞栓によって耳の中の皮膚が炎症を起こしている状態だと、身体のバランスをとる内耳にまで影響し、耳鳴りやめまいを引き起こす可能性もあります。原因不明の耳鳴りやめまいを起こしている場合は、耳垢塞栓が原因であることもあるため、医師に相談してみましょう。

中耳炎

中耳とは鼓膜よりさらに奥にある空洞のことです。中耳は外耳と鼓膜によって仕切られているので耳垢塞栓が中耳炎の直接的な原因ではありません。しかし、鼓膜に付着したたくさんの耳垢を除去するときに、鼓膜を傷つけ穴が開いてしまった場合に菌が中耳に入ってしまうこともあり、中耳炎になることもあるため注意が必要です。

耳垢塞栓の除去方法

もしかして耳垢塞栓かもしれないと思ったら、耳鼻科を受診しましょう。耳垢塞栓の治療法は詰まった耳垢を除去することです。

耳垢をふやかす

かたい耳垢が多く無理に引っ張って取ろうとすると出血してしまいそうな場合は、耳垢をふやかす処置がされます。かたい耳垢を柔らかくする「耳垢水」という薬が処方され、家で何回か点耳して耳垢をふやかしてから処置を行うことになります。

吸引

耳垢塞栓の除去方法には吸引もあります。しかし皮膚が炎症を起こして外耳炎になっている場合、吸引することによってさらに強い痛みが発生します。その場合は外耳炎の治療を行い痛みがなくなってから耳垢を吸引することになります。

ピンセットでとる

耳鼻科ではピンセットのような道具(耳垢鉗子)で耳垢を除去することもあります。ピンセットで除去する場合も、痛みが強いときはまずは痛みの原因となっている症状の治療から行います。処置の回数や治療期間はその状態により異なります。

子どもの耳掃除ってどうしたら良いの?

赤ちゃんや子どもがなりやすい耳垢塞栓。耳かきで耳垢を奥に押し込んでしまうことも原因となることから、耳掃除を気を付けて行うことが予防にもなります。赤ちゃんや子どもの耳掃除はどのようにしたら良いのでしょうか。

頻度

まず耳掃除の頻度ですが、調べによると一週間に一度の割合でケアしているママが多いようですが、これでもやり過ぎだといわれています。回数が多いと外耳を傷つけ外耳炎を引き起こすことによる耳垢塞栓の原因となるため注意しましょう。

子どもの耳掃除は月に一回、多くても二週間に一回程度で大丈夫です。耳垢は顎を動かすことによって自然と外に出てくことも多いので、このくらいの頻度で十分だといわれています。

自宅での耳かきのやり方

自宅で子どもの耳掃除で綿棒を使っている方も多いでしょうが、綿棒は耳掃除に適していません。綿棒の使用は、お風呂上がりなど耳が湿っている場合に耳の入り口付近をぬぐってあげる程度にしましょう。使用する綿棒は大人と同じものではなく赤ちゃん用の綿棒がおすすめです。

耳かき棒を使用する場合は子ども用がおすすめです。かきだす部分が小さくやわらかいものを使うと刺激も少ないようです。そして耳かき棒をどこまで突っ込んで良いのか悩む人もいるのではないでしょうか。ついつい奥まで入れてしまいたくなりますが耳はたくさんの神経が通っているとてもデリケートな場所です。

赤ちゃんであれば5mmくらい、子どもであれば1.5cmのところまでのケアにすると、耳を傷つけることなく安全に掃除してあげられます。それよりも奥に耳垢を見つけたとしても無理に取ることはせず、自然と入り口付近まで出てくるのを待ったほうが良いでしょう。

半年に一度耳鼻科に行く

子どもの耳の穴は小さいから耳掃除がこわい、うまく取ることができないと思ったら、迷わず耳鼻科に連れていきましょう。半年に一度を目安に耳鼻科で耳掃除をしてもらうのもおすすめです。

正しい耳掃除で子どもの健康を守ろう

子どもの耳の穴はとてもデリケートでちょっとの刺激でも傷ついてしまうことがあります。それが耳垢塞栓の原因となり、耳垢を耳掃除の際に耳の奥に押し込んでしまうことでも引き起こされるため注意が必要です。

頻繁な耳掃除は避けて、多くても二週間に一度を目安にすることを基本にしましょう。さらに半年に一回、耳鼻科で耳掃除をしてもらうのが良いですね。正しい耳掃除で子どもの耳の健康を守ることが大切です。

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